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序章 ひだまりが差すように

ー/ー



 東京の住宅街を抜けた先に立地する、ひだまり療育園。
 二階建ての木製の建物はどこか温かく、園庭には滑り台、ブランコ、砂場がある一見すると幼稚園や保育園に見えるこの場所。
 周辺には子供達を見守るかのように桜の木々が植えられていて、サワサワとした風の音とお日様の香りを教えてくれる。

 ここに通うのは、何かに困っていたり、生きにくさを感じる就学前の三歳から六歳の子供と、その子達を育てる保護者。
 困り事を抱えている心は水上に張った氷のように繊細で、僅かな刺激でパリンと音を立てて壊れてしまう。
 だからこそ関わりには専門的な知識が必要で、常に冷静に対応する心の余裕と寄り添う姿勢が求められる。

 私、佐伯あかりは短大の保育学科を卒業後にひだまり療育園で保育士として働き三年目になる二十二歳。困っていることに対して共に向き合い、どうしたら苦しさを軽減出来て生きやすくなるかを考えお手伝いするのが仕事だ。
 しかし一人一人違う感性を持ち合わせる子供達にぴったり合うマニュアルなんてあるはずもなく、日々模索し、苦悩し、葛藤の毎日を繰り返している。
 明確な答えが分からないまま常に手探りで、暗闇の中を灯りもなく彷徨っているみたいで。
 本当に道があるのかも分からない全てが未知数な世界だけど、そんな暗黒に僅かな光を差して、混迷の世界を生きていかなければならない子供達を照らしていける存在になれたら。
 そんな思いで肩までの髪を上部で一つに括り、薄化粧を心掛け、保育士の象徴とされる可愛い絵柄のエプロンを付ける。
 優しいひだまりが今日も優しく照らしてくれる中、今日も私は子供達と向き合っていく。


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 東京の住宅街を抜けた先に立地する、ひだまり療育園。
 二階建ての木製の建物はどこか温かく、園庭には滑り台、ブランコ、砂場がある一見すると幼稚園や保育園に見えるこの場所。
 周辺には子供達を見守るかのように桜の木々が植えられていて、サワサワとした風の音とお日様の香りを教えてくれる。
 ここに通うのは、何かに困っていたり、生きにくさを感じる就学前の三歳から六歳の子供と、その子達を育てる保護者。
 困り事を抱えている心は水上に張った氷のように繊細で、僅かな刺激でパリンと音を立てて壊れてしまう。
 だからこそ関わりには専門的な知識が必要で、常に冷静に対応する心の余裕と寄り添う姿勢が求められる。
 私、佐伯あかりは短大の保育学科を卒業後にひだまり療育園で保育士として働き三年目になる二十二歳。困っていることに対して共に向き合い、どうしたら苦しさを軽減出来て生きやすくなるかを考えお手伝いするのが仕事だ。
 しかし一人一人違う感性を持ち合わせる子供達にぴったり合うマニュアルなんてあるはずもなく、日々模索し、苦悩し、葛藤の毎日を繰り返している。
 明確な答えが分からないまま常に手探りで、暗闇の中を灯りもなく彷徨っているみたいで。
 本当に道があるのかも分からない全てが未知数な世界だけど、そんな暗黒に僅かな光を差して、混迷の世界を生きていかなければならない子供達を照らしていける存在になれたら。
 そんな思いで肩までの髪を上部で一つに括り、薄化粧を心掛け、保育士の象徴とされる可愛い絵柄のエプロンを付ける。
 優しいひだまりが今日も優しく照らしてくれる中、今日も私は子供達と向き合っていく。