eo152 戦争②
ー/ー 戦闘が始まった。
喚声と衝撃音が鳴り渡る。
土煙が舞い上がり地響きが重々しく響く。
「特殊技能〔ニュンパグレイズ〕」
俺は嵐の如く縦横無尽に次から次へと敵を薙ぎ払う。
物量ではこちら側が圧倒的に不利だが、俺たちはまったく引けをとらない。
まず、ヘッドフィールドのギャングたちはどいつもタフな連中だった。圧倒的な数の魔物軍団に対してもまったく臆することがない。個々の気迫もそうだが、何よりもそれを支えるのは…やはり〔狂戦士〕。
「オラァァッ!!」
ジェイズは自らが暴風のように暴れ回りながらゴーレム軍団は鋼鉄の躰ごと敵へ突っ込んでいく。
一体この男はたった一人でどれだけの戦力を誇るのだろうか。計り知れないにもほどがある。
そして彼だけじゃない。
「固有技能〔魔動炎閃〕」
カレンは芸術的なまでの魔法剣で華麗に敵を薙ぎ払っていく。
これが世界最高の魔法剣士の本領か。心強いなんてもんじゃない。世界を救った勇者の妹の実力は寸分も疑いようがない本物中の本物だ。
「特殊技能〔モルス・インベル〕」
エレサの闇の力も凄まじかった。彼女の放つ闇の刃は敵全体にまで及ぶレベルで広範囲へ降り注ぐ。
凄い。これがダークエルフの真の実力なのか。もはやキラースに怯えていた哀しい姿はそこになかった。
「おいおいおい……調子にノッてんじゃねえぞ!!」
その時、上空から鳥獣に乗ったキラースが叫んだ。相変わらずムカつく声だ。
「テメーらにはコイツをブチ込んでやる。特殊技能〔クラスターボム〕」
鳥獣の口がパックリと開き、ズズズズッと危険な魔力弾が生成される。
「あれはマズイぞ!!」
カレンのエマージェンシーと同時にバッと俺が動きだす。
「あれの対処は俺が一番適している!」
ところが俺はピタッと足を止めた。俺の目に入ったのは、颯爽と現れた女盗賊、アイ。彼女は屋根上からカササギと見間違うほど身軽にパァッと跳躍すると、
「特殊技能〔ディプライブ〕」
魔術を発動した。
それは一体どんな魔術なのか? なんと、鳥獣の口内に生成された魔力弾がパッと消失した。
「はぁ!? なにしやがったテメェ!!」
キラースも何が起こったのか理解できない。
アイが地面にスタッと着地すると、彼女の右手には弾となった魔力の塊が握られていた。
「魔法を奪った」
そう言うとアイは俺に視線を投げてきた。ピンと来た俺は彼女へ向かって走りこんでいくと、その手に握られた物をスパッと斬り払った。魔力の塊はあっさりと滅失した。
「これがあたしの偸盗術だ。だが、奪うことはできてもそれを放てるとは限らない。今の魔法は放つのは危険だと判断した」
「魔法を盗るって……驚いたな」
「スゲェだろ? うちのアイちゃんは」
ジェイズがドヤ顔を決める。右腕の実力はダテじゃないってわけか。納得だ。本当に凄い。
数では劣る俺たちだけど、ジェイズもカレンもエレサもアイも、まさに一騎当千の実力者。彼らだけでも万の軍に匹敵するといっても過言ではないかもしれない。
俺は彼らを見回して改めて感嘆した。
「調子ノリすぎだぞクソがぁぁ!!」
逆上したキラースが鳥獣ごと俺とアイのところへ突っ込んできた。
ハッキリ言って無謀な突進だ。俺は魔法を斬り裂けるしアイは魔法を奪える。ただ向かってくるだけなら俺の剣で斬り伏せるだけ。
「なーんちゃって」
キラースは小馬鹿にするように舌を出して鳥獣をぐーんと上昇させた。次の瞬間、背後の上空から別の鳥獣数体が一気に迫ってきたと思ったら、
「ガウゥゥゥゥッ!!」
その上から何頭ものサンドウルフが牙を剥いてガーッと飛び降りてきた。
これは意表を突かれた。といっても、俺が本当に意表を突かれたのは別のことだ。
「アルカーナ・ヴェントゥス」
ブワァァァッ!
突如、サンドウルフどもへ狙い澄ましたような疾風が襲いかかりヤツらを吹き飛ばした。
そこへアイがわかっていたようにすかさずビュッとクナイを投げつけてトドメを刺した。
俺はハッとして振り向く。
「クローさぁぁぁん!!」
シヒロが走ってきた。そうか。アイが連れてきてくれたんだな。
「す、少しは役立ちましたか?」
シヒロの言葉でやっと理解した。
「今の風魔法はシヒロがやったのか」
「は、はい! そうです!」
「攻撃魔法は苦手だって言ってたよな」
「そ、そんなことも、言ってられないですよね?」
俺はシヒロの手が若干震えているのを見てとった。しかし彼女は即座に歯を食いしばると、キッと表情を変える。
「ぼ、ぼくも魔法で戦います!」
彼女の純粋な瞳からは本気の覚悟がうかがえた。俺はこくっと頷き、一言だけ添える。
「無理はするなよ」
「は、はい!」
今度はそこへトレブルとブーストが駆けこんで来た。
「嬢ちゃん!」
俺は二人に一瞥をくれて無言で命令した。シヒロを守れと。
「ダンナ! 任せときな!」
彼らは瞬時に察してくれた。
俺は目で返事をすると、敵に向かってダッと飛び出した。この戦いに勝つために、シヒロたちを守るために……俺は敵をぶっ潰す!
「まだギアを上げんのか!? やっぱりテメーはおもしれえ!」
「このまま押し切るぞ!」
「わたしもまだまだいける!」
「さて、あたしも本格的に混ざるか」
俺の勢いに呼応するように一同は俄然盛り上がった。
この戦争に…勝利するんだ!!
喚声と衝撃音が鳴り渡る。
土煙が舞い上がり地響きが重々しく響く。
「特殊技能〔ニュンパグレイズ〕」
俺は嵐の如く縦横無尽に次から次へと敵を薙ぎ払う。
物量ではこちら側が圧倒的に不利だが、俺たちはまったく引けをとらない。
まず、ヘッドフィールドのギャングたちはどいつもタフな連中だった。圧倒的な数の魔物軍団に対してもまったく臆することがない。個々の気迫もそうだが、何よりもそれを支えるのは…やはり〔狂戦士〕。
「オラァァッ!!」
ジェイズは自らが暴風のように暴れ回りながらゴーレム軍団は鋼鉄の躰ごと敵へ突っ込んでいく。
一体この男はたった一人でどれだけの戦力を誇るのだろうか。計り知れないにもほどがある。
そして彼だけじゃない。
「固有技能〔魔動炎閃〕」
カレンは芸術的なまでの魔法剣で華麗に敵を薙ぎ払っていく。
これが世界最高の魔法剣士の本領か。心強いなんてもんじゃない。世界を救った勇者の妹の実力は寸分も疑いようがない本物中の本物だ。
「特殊技能〔モルス・インベル〕」
エレサの闇の力も凄まじかった。彼女の放つ闇の刃は敵全体にまで及ぶレベルで広範囲へ降り注ぐ。
凄い。これがダークエルフの真の実力なのか。もはやキラースに怯えていた哀しい姿はそこになかった。
「おいおいおい……調子にノッてんじゃねえぞ!!」
その時、上空から鳥獣に乗ったキラースが叫んだ。相変わらずムカつく声だ。
「テメーらにはコイツをブチ込んでやる。特殊技能〔クラスターボム〕」
鳥獣の口がパックリと開き、ズズズズッと危険な魔力弾が生成される。
「あれはマズイぞ!!」
カレンのエマージェンシーと同時にバッと俺が動きだす。
「あれの対処は俺が一番適している!」
ところが俺はピタッと足を止めた。俺の目に入ったのは、颯爽と現れた女盗賊、アイ。彼女は屋根上からカササギと見間違うほど身軽にパァッと跳躍すると、
「特殊技能〔ディプライブ〕」
魔術を発動した。
それは一体どんな魔術なのか? なんと、鳥獣の口内に生成された魔力弾がパッと消失した。
「はぁ!? なにしやがったテメェ!!」
キラースも何が起こったのか理解できない。
アイが地面にスタッと着地すると、彼女の右手には弾となった魔力の塊が握られていた。
「魔法を奪った」
そう言うとアイは俺に視線を投げてきた。ピンと来た俺は彼女へ向かって走りこんでいくと、その手に握られた物をスパッと斬り払った。魔力の塊はあっさりと滅失した。
「これがあたしの偸盗術だ。だが、奪うことはできてもそれを放てるとは限らない。今の魔法は放つのは危険だと判断した」
「魔法を盗るって……驚いたな」
「スゲェだろ? うちのアイちゃんは」
ジェイズがドヤ顔を決める。右腕の実力はダテじゃないってわけか。納得だ。本当に凄い。
数では劣る俺たちだけど、ジェイズもカレンもエレサもアイも、まさに一騎当千の実力者。彼らだけでも万の軍に匹敵するといっても過言ではないかもしれない。
俺は彼らを見回して改めて感嘆した。
「調子ノリすぎだぞクソがぁぁ!!」
逆上したキラースが鳥獣ごと俺とアイのところへ突っ込んできた。
ハッキリ言って無謀な突進だ。俺は魔法を斬り裂けるしアイは魔法を奪える。ただ向かってくるだけなら俺の剣で斬り伏せるだけ。
「なーんちゃって」
キラースは小馬鹿にするように舌を出して鳥獣をぐーんと上昇させた。次の瞬間、背後の上空から別の鳥獣数体が一気に迫ってきたと思ったら、
「ガウゥゥゥゥッ!!」
その上から何頭ものサンドウルフが牙を剥いてガーッと飛び降りてきた。
これは意表を突かれた。といっても、俺が本当に意表を突かれたのは別のことだ。
「アルカーナ・ヴェントゥス」
ブワァァァッ!
突如、サンドウルフどもへ狙い澄ましたような疾風が襲いかかりヤツらを吹き飛ばした。
そこへアイがわかっていたようにすかさずビュッとクナイを投げつけてトドメを刺した。
俺はハッとして振り向く。
「クローさぁぁぁん!!」
シヒロが走ってきた。そうか。アイが連れてきてくれたんだな。
「す、少しは役立ちましたか?」
シヒロの言葉でやっと理解した。
「今の風魔法はシヒロがやったのか」
「は、はい! そうです!」
「攻撃魔法は苦手だって言ってたよな」
「そ、そんなことも、言ってられないですよね?」
俺はシヒロの手が若干震えているのを見てとった。しかし彼女は即座に歯を食いしばると、キッと表情を変える。
「ぼ、ぼくも魔法で戦います!」
彼女の純粋な瞳からは本気の覚悟がうかがえた。俺はこくっと頷き、一言だけ添える。
「無理はするなよ」
「は、はい!」
今度はそこへトレブルとブーストが駆けこんで来た。
「嬢ちゃん!」
俺は二人に一瞥をくれて無言で命令した。シヒロを守れと。
「ダンナ! 任せときな!」
彼らは瞬時に察してくれた。
俺は目で返事をすると、敵に向かってダッと飛び出した。この戦いに勝つために、シヒロたちを守るために……俺は敵をぶっ潰す!
「まだギアを上げんのか!? やっぱりテメーはおもしれえ!」
「このまま押し切るぞ!」
「わたしもまだまだいける!」
「さて、あたしも本格的に混ざるか」
俺の勢いに呼応するように一同は俄然盛り上がった。
この戦争に…勝利するんだ!!
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