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【1】①

ー/ー



「ねー、カギ落としちゃったぁ」
「え!?」
 インターホンを押したわたしの言葉に、マンションのとなりに住む(りょう)くんはびっくりしたみたい。
 ガチャってインターホン切って、すぐに玄関まで走って来た。

「鍵って、それ大変じゃないか。どこで落としたかわかる?」
 ドア開けた遼くんはすごく心配そう。

「わかんない。ランドセルに付けてたピーって伸びるの、さっき家に入ろうと思ったらなかったんだよ~。わっかが外れちゃったみたい」
「ピー、って。……ああ、リールキーホルダーか」
 困った顔のわたしに、遼くんは家に上がるように言ってくれた。遼くんなら追い返したりしないと思ってたけど、よかった~。

「ありがとー」
 遠慮とかしないで、平気で靴を脱いでるわたしに、なれてる遼くんは別に怒ったりしない。

(あい)、部屋で待ってて」
 廊下の途中にある遼くんの部屋の前。
 ドアを開けながら声掛けられて、わたしはうん、て返事する。

「ココアでいいか? 好きだったよな?」
「えー、ココアなんて好きだったの保育園のころじゃなーい! コーヒーがいいな」
 遼くんてわたしのことすっごい子どもだと思ってない?

「何言ってんだ、コーヒーなんて飲めないだろ。コーヒー牛乳とは名前が近いだけで別物だぞ」
「知ってるもん、それくらい。……えっと、カフェオレだったら飲める」
 遼くんの言う通り、わたしはコーヒーは飲めない。
 っていうか、ママに「子どもにはまだ早いの!」って飲ませてもらえないんだ。

 どーしてもってねだったら、ほとんど牛乳みたいなカフェオレ作ってくれたけど。あったかくて甘くておいしかった。
 一応コーヒー入ってたから、カフェオレだよね?

「はいはい、甘いカフェオレな。牛乳たっぷりのやつ」
 笑いそうになりながら、遼くんはキッチンへ向かった。 

「愛、これカフェオレ。零すなよ。今母さん居ないから、お菓子とかどこにあるかわからないんだ」
「ありがと! もうそんな小さい子じゃないんだからこぼさないよ。遼くん、失礼じゃない? お菓子は今いらない、帰ったらごはんだから」
 ホントはおなか空いてたけど、わたしはマグカップを受け取って平気なふりした。
 たぶん、遼くんにはばれてると思う。ぐーって鳴らないといいなぁ。

 マンションのおとなり同士で、ずっとなかよくしてもらってる十歳年上の遼くん。
 一人っ子のわたしには、ホントのお兄ちゃんみたいだった。前は。
 ……今は、ちょっとちがう。

 もちろん、遼くんが嫌いになったとかじゃないの。
 そうじゃなくて、同じ好きでもになってたんだ、いつの間にか。


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「ねー、カギ落としちゃったぁ」
「え!?」
 インターホンを押したわたしの言葉に、マンションのとなりに住む|遼《りょう》くんはびっくりしたみたい。
 ガチャってインターホン切って、すぐに玄関まで走って来た。
「鍵って、それ大変じゃないか。どこで落としたかわかる?」
 ドア開けた遼くんはすごく心配そう。
「わかんない。ランドセルに付けてたピーって伸びるの、さっき家に入ろうと思ったらなかったんだよ~。わっかが外れちゃったみたい」
「ピー、って。……ああ、リールキーホルダーか」
 困った顔のわたしに、遼くんは家に上がるように言ってくれた。遼くんなら追い返したりしないと思ってたけど、よかった~。
「ありがとー」
 遠慮とかしないで、平気で靴を脱いでるわたしに、なれてる遼くんは別に怒ったりしない。
「|愛《あい》、部屋で待ってて」
 廊下の途中にある遼くんの部屋の前。
 ドアを開けながら声掛けられて、わたしはうん、て返事する。
「ココアでいいか? 好きだったよな?」
「えー、ココアなんて好きだったの保育園のころじゃなーい! コーヒーがいいな」
 遼くんてわたしのことすっごい子どもだと思ってない?
「何言ってんだ、コーヒーなんて飲めないだろ。コーヒー牛乳とは名前が近いだけで別物だぞ」
「知ってるもん、それくらい。……えっと、カフェオレだったら飲める」
 遼くんの言う通り、わたしはコーヒーは飲めない。
 っていうか、ママに「子どもにはまだ早いの!」って飲ませてもらえないんだ。
 どーしてもってねだったら、ほとんど牛乳みたいなカフェオレ作ってくれたけど。あったかくて甘くておいしかった。
 一応コーヒー入ってたから、カフェオレだよね?
「はいはい、甘いカフェオレな。牛乳たっぷりのやつ」
 笑いそうになりながら、遼くんはキッチンへ向かった。 
「愛、これカフェオレ。零すなよ。今母さん居ないから、お菓子とかどこにあるかわからないんだ」
「ありがと! もうそんな小さい子じゃないんだからこぼさないよ。遼くん、失礼じゃない? お菓子は今いらない、帰ったらごはんだから」
 ホントはおなか空いてたけど、わたしはマグカップを受け取って平気なふりした。
 たぶん、遼くんにはばれてると思う。ぐーって鳴らないといいなぁ。
 マンションのおとなり同士で、ずっとなかよくしてもらってる十歳年上の遼くん。
 一人っ子のわたしには、ホントのお兄ちゃんみたいだった。前は。
 ……今は、ちょっとちがう。
 もちろん、遼くんが嫌いになったとかじゃないの。
 そうじゃなくて、同じ好きでも《《特別》》になってたんだ、いつの間にか。