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SCENE174 年越し配信、スタート

ー/ー



 さあ、いよいよ配信開始の時間だ。
 僕は、画面内の『配信』ボタンを押していよいよ配信を始める。

「みなさん、こんばんは。ダンジョンマスターのウィンクです」

『こんらみあ~』

 相変わらず反応が早い。にしても、すっかりこの挨拶は定着しちゃってるなぁ。

「本日は大みそかということで、年越し配信を予定しています」

『あれっ、未成年……だよね?』

 僕が年越し配信だということを宣言すると、やっぱりこの反応が出てきた。

「はい、未成年ですけれど、僕はダンジョンマスターです。ダンジョンマスターなので、通常の法律の枠組みから外れてしまったみたいなんですよね。ダンジョン管理局の人に確認をしてみたので、間違いありません」

『なるほど、それなら安心』

 僕の説明に、視聴者さんたちは納得してくれたみたいだ。こういう時にモンスターっていうのは便利だよね。

『そういえば、横浜ダンジョンのセイレーンも配信始めてるけど、なにこれ』

『なにっ、ぶつけてきたのか?』

 おっと、どうやら同時視聴をしている視聴さんがいるみたいだ。へえ、すぐに分かったちゃうんだな。

「おほん、セイレーンさんにも何か考えがあるのでしょう。僕は僕で配信を進めさせてもらいますので、あんまりよそ見をしないで下さいね」

『了解』

『ウィンクちゃんがそういうのなら・・・』

 僕がちょっと前かがみになりながらめっとすると、視聴者さんたちは納得してくれていた。
 さて、配信をするのはいいけれど、今回初めて姿を見せる人たちもいるので、まずは紹介しないとね。
 そんなわけで、僕は咳払いをひとつして、姿勢を真っすぐに戻す。

「おほん、年末に配信を始めておいてあれなんですが、まずはダンジョンの新しい仲間を紹介したいと思います」

『あれっ、増えたん?』

『ラティナちゃんのことがあるとはいえ、増えるって謎よな』

 視聴者さんたちはなんとも混乱しているような感じだ。
 そりゃまあね。基本的にダンジョン内のモンスターは、ダンジョンコアでポイントを消費して召喚することでしか増えない。なので、ラティナさんみたいなことは、本当に異例中の異例なんだ。
 とはいえ、増えたのは事実なので、僕は普通に紹介することにする。

「新しいダンジョンの仲間は、まずはこの人です」

 僕の呼び掛けに応じて、アルカナさんが配信ドローンの前にやってくる。なぜか初めて会った時の衣装のままで、さらに恥ずかしがっている。恥ずかしいなら、なんでその衣装着てるのかなぁ……。

『これまた、なんとも露出度の高い服装だな』

『いかにもツンデレそうな雰囲気』

『踏んでくれっ、ぶひぃっ!』

『豚は寝てろwww』

 うーん、なんか雰囲気がおかしいなぁ。年末テンションってやつかな、これ。
 なんか気になるけど、まあ続けよう。

「この方は、アルカナ・リッチモンドさんです。それでは、自己紹介をお願いします」

「みなさま、初めまして。アルカナ・リッチモンドと申しますわ。あたくし、元々はよそのダンジョンのマスターでしたけれど、幸運にもこのダンジョンへと移ってこれましたの。これからは、ウィンクスダンジョンのメンバーとしてよろしくお願いしますわ」

『ダンジョンマスター?!』

『ダンジョンマスターって、ダンジョンを移動できたっけ?』

『知らんわwwwww』

 アルカナさんの自己紹介で、みんながかなり興奮している。やっぱり、元ダンジョンマスターっていうのは大きいよね。

「アルカナ様は、樹海ダンジョンという場所のマスターだったそうです。それを攻略なさった方のご厚意により、こうやってダンジョンを移ってきたのです。わたくしと同じ特殊なモンスターでしたので、可能となったそうです」

『樹海ダンジョン!』

『最近消滅したっていう、あのダンジョンか』

『こんな可愛い子が、あの恐怖ダンジョンのマスターだったのか』

『しかしなぁ・・・、あのダンジョン、犠牲者多いんだよなぁ・・・』

『確かに、なんで生きてんのって話になってくるよな』

 わぁ……。さすがに犠牲者の多いダンジョンだったから、視聴者さんの意見が割れちゃってるなぁ……。

「あの、それは本当に申し訳ございませんでしたわ。ですが、ダンジョンマスターであるからには、やらなければいけないことがありますし、自分の身も守らなければならないので仕方なかったのですわ。これからは誰も殺すことはありませんので、信じて下さいませ」

 アルカナさんは、深々と頭を下げている。
 僕はダンジョンマスターになったから、モンスター側の事情をすごく理解している。
 確かに大勢の人を殺してきたことは許せいないことだけど、アルカナさんはダンジョンマスターから解放されてやり直そうとしている。だから、僕はその姿勢を応援したい。

『ま、まあ、ダンジョンは生きるか死ぬかだしな・・・』

『これだけしっかり謝罪されたら、俺たちはなんともいえないな・・・』

 視聴者さんたちは、ものすごく戸惑った反応を示している。
 どうしよう。新しい仲間の紹介から始めたけれど、いきなりこれじゃ、配信の先行きが不安だよ。
 僕が困っていると、ポンと背中を叩く感触があった。

「ここは、私に任せなさい」

 唇に人差し指を当てながら、スピアさんが僕に対してウィンクをしている。
 なんだかよく分からないけれど、ものすごく自信があるみたいだ。なので、僕はスピアさんに任せることにする。
 なんとも微妙なスタートになってしまった配信。うまく立て直せるといいんだけど。
 僕は祈るような気持ちで、スピアさんをじっと見つめていた。


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 さあ、いよいよ配信開始の時間だ。
 僕は、画面内の『配信』ボタンを押していよいよ配信を始める。
「みなさん、こんばんは。ダンジョンマスターのウィンクです」
『こんらみあ~』
 相変わらず反応が早い。にしても、すっかりこの挨拶は定着しちゃってるなぁ。
「本日は大みそかということで、年越し配信を予定しています」
『あれっ、未成年……だよね?』
 僕が年越し配信だということを宣言すると、やっぱりこの反応が出てきた。
「はい、未成年ですけれど、僕はダンジョンマスターです。ダンジョンマスターなので、通常の法律の枠組みから外れてしまったみたいなんですよね。ダンジョン管理局の人に確認をしてみたので、間違いありません」
『なるほど、それなら安心』
 僕の説明に、視聴者さんたちは納得してくれたみたいだ。こういう時にモンスターっていうのは便利だよね。
『そういえば、横浜ダンジョンのセイレーンも配信始めてるけど、なにこれ』
『なにっ、ぶつけてきたのか?』
 おっと、どうやら同時視聴をしている視聴さんがいるみたいだ。へえ、すぐに分かったちゃうんだな。
「おほん、セイレーンさんにも何か考えがあるのでしょう。僕は僕で配信を進めさせてもらいますので、あんまりよそ見をしないで下さいね」
『了解』
『ウィンクちゃんがそういうのなら・・・』
 僕がちょっと前かがみになりながらめっとすると、視聴者さんたちは納得してくれていた。
 さて、配信をするのはいいけれど、今回初めて姿を見せる人たちもいるので、まずは紹介しないとね。
 そんなわけで、僕は咳払いをひとつして、姿勢を真っすぐに戻す。
「おほん、年末に配信を始めておいてあれなんですが、まずはダンジョンの新しい仲間を紹介したいと思います」
『あれっ、増えたん?』
『ラティナちゃんのことがあるとはいえ、増えるって謎よな』
 視聴者さんたちはなんとも混乱しているような感じだ。
 そりゃまあね。基本的にダンジョン内のモンスターは、ダンジョンコアでポイントを消費して召喚することでしか増えない。なので、ラティナさんみたいなことは、本当に異例中の異例なんだ。
 とはいえ、増えたのは事実なので、僕は普通に紹介することにする。
「新しいダンジョンの仲間は、まずはこの人です」
 僕の呼び掛けに応じて、アルカナさんが配信ドローンの前にやってくる。なぜか初めて会った時の衣装のままで、さらに恥ずかしがっている。恥ずかしいなら、なんでその衣装着てるのかなぁ……。
『これまた、なんとも露出度の高い服装だな』
『いかにもツンデレそうな雰囲気』
『踏んでくれっ、ぶひぃっ!』
『豚は寝てろwww』
 うーん、なんか雰囲気がおかしいなぁ。年末テンションってやつかな、これ。
 なんか気になるけど、まあ続けよう。
「この方は、アルカナ・リッチモンドさんです。それでは、自己紹介をお願いします」
「みなさま、初めまして。アルカナ・リッチモンドと申しますわ。あたくし、元々はよそのダンジョンのマスターでしたけれど、幸運にもこのダンジョンへと移ってこれましたの。これからは、ウィンクスダンジョンのメンバーとしてよろしくお願いしますわ」
『ダンジョンマスター?!』
『ダンジョンマスターって、ダンジョンを移動できたっけ?』
『知らんわwwwww』
 アルカナさんの自己紹介で、みんながかなり興奮している。やっぱり、元ダンジョンマスターっていうのは大きいよね。
「アルカナ様は、樹海ダンジョンという場所のマスターだったそうです。それを攻略なさった方のご厚意により、こうやってダンジョンを移ってきたのです。わたくしと同じ特殊なモンスターでしたので、可能となったそうです」
『樹海ダンジョン!』
『最近消滅したっていう、あのダンジョンか』
『こんな可愛い子が、あの恐怖ダンジョンのマスターだったのか』
『しかしなぁ・・・、あのダンジョン、犠牲者多いんだよなぁ・・・』
『確かに、なんで生きてんのって話になってくるよな』
 わぁ……。さすがに犠牲者の多いダンジョンだったから、視聴者さんの意見が割れちゃってるなぁ……。
「あの、それは本当に申し訳ございませんでしたわ。ですが、ダンジョンマスターであるからには、やらなければいけないことがありますし、自分の身も守らなければならないので仕方なかったのですわ。これからは誰も殺すことはありませんので、信じて下さいませ」
 アルカナさんは、深々と頭を下げている。
 僕はダンジョンマスターになったから、モンスター側の事情をすごく理解している。
 確かに大勢の人を殺してきたことは許せいないことだけど、アルカナさんはダンジョンマスターから解放されてやり直そうとしている。だから、僕はその姿勢を応援したい。
『ま、まあ、ダンジョンは生きるか死ぬかだしな・・・』
『これだけしっかり謝罪されたら、俺たちはなんともいえないな・・・』
 視聴者さんたちは、ものすごく戸惑った反応を示している。
 どうしよう。新しい仲間の紹介から始めたけれど、いきなりこれじゃ、配信の先行きが不安だよ。
 僕が困っていると、ポンと背中を叩く感触があった。
「ここは、私に任せなさい」
 唇に人差し指を当てながら、スピアさんが僕に対してウィンクをしている。
 なんだかよく分からないけれど、ものすごく自信があるみたいだ。なので、僕はスピアさんに任せることにする。
 なんとも微妙なスタートになってしまった配信。うまく立て直せるといいんだけど。
 僕は祈るような気持ちで、スピアさんをじっと見つめていた。