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第41話【セレネ編】執行猶予は一週間!?従者と花嫁の〝宣戦布告〟もう奇跡には頼らない

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第41話【セレネ編】執行猶予は一週間!?従者と花嫁の〝宣戦布告〟もう奇跡には頼らない


「…あそこが、テラの言っていた隠れ家だ」

脱出艇〝アルカ〟が向かったのは、きらびやかな政府直轄市から遠く離れた、混沌とした活気にあふれる旧市街の路地裏だった。
ここは政府の役人すら足を踏み入れるのをためらう、法の届かない〝闇の聖域〟だ。



​たどり着いたのは、古びたネオンが怪しく光る酒場〝アフロディーテ〟。
情報のゴミ捨て場であり、同時に〝自由〟が売買される唯一の場所だった。

――ギィィィ

扉を開けた瞬間、タバコの煙と安酒の匂いが一行を包む。
カウンターの奥でグラスを磨いていた、真っ赤なドレスの美女・ベスタが、鋭い視線を向けた。

「……あんたたち、ホログラムで観たよ。テラの身内だね。安心しな、ここなら政府の犬どもも手出しはさせないよ」

「私はテラ様の従者セレネです。こちらは――」

「ボクはメルクリア。テラの〝サポーター〟ってところかな。あんたがベスタ?テラからは、万が一失敗したらここへ逃げ込めって聞いてたよ」

​ベスタはメルクリアを値踏みするように見ると、フッと煙草の煙を吹きかけた。

「テラの馴染みなら歓迎する……けど、その様子じゃあ、アイツは相当なヘマをやらかしたみたいだね」

​そこへ、店の手伝いをしていた一人の女性が駆け寄ってきた。
かつて、権力者への〝生贄の花嫁〟にされそうだったところをテラとセレネに救い出された女性、イナンナだ。

「セレネさん!無事だったんですね!……でも、テラさんは!?一緒じゃないんですか!?」

「イナンナ様……ごめんなさい。テラ様とアレス様は、私たちを逃がすために……」

「そんな……。あんなに強いテラさんが……!」

「相手が悪すぎたんだ。世界のシステムそのものみたいな野郎だよ、ウラヌスってのは。ボクのハッキングも、テラやアレスの物理も、全部〝予知〟されてた」

​イナンナは震える拳を握りしめ、セレネの肩を抱いた。

「セレネさん、諦めちゃダメです。私がここで生きていられるのは、あの時テラさんが〝お前の心がどうしたいかだけを言え。〟って、門を蹴破ってくれたから。今度は、私たちがテラさんの運命を奪い返しに行く番です!」

「威勢がいいね。……イナンナ、店の地下にある〝防音室〟を開けな。あそこなら、政府の盗聴器も魔法の探知も届かない。メルクリアと言ったかい?あんたのガラクタを広げるにはあそこが一番だよ」



​地下の密室で、メルクリアが持ち出したデータを広げ、テラとアレスを救い出すための策を練り始めた。

――その時だった。

店内に設置された大型ホログラムモニターが、強制的に政府の臨時ニュースに切り替わった。

「……ッ!」

画面に映し出されたのは、拘束され、ボロボロになったテラとアレスの姿。

『善良なる市民たちよ。世界に不安の種を撒き散らした偽りの勇者テラとアレスを拘束した!』

――そして、その横で冷酷に微笑むネプチューンの顔だった。

『一週間後、中央広場にて、テラとアレスの公開処刑を執行する。これは世界の秩序を守る、正当な処罰である!』

「テラ様……っ!」

「そんな……あと1週間なんて……!」

「……落ち着くんだ。奴らはテラたちを〝餌〟にして、ボクたちをおびき出す気だ。だが、それは奴らの喉元に食らいつくチャンスでもある」

「……でも、神剣デウスエクスマキナの〝目〟。あの未来を予知する力がある限り、私たちがどれだけ作戦を練っても、すべて事前に潰されてしまいます……」

「……一つだけ、心当たりがある。それはあの剣を作った張本人に会い、弱点を聞くことだ」

「……なら、面白い話があるよ。中央都市の底……廃棄区画のゴミ捨て場に、政府に剣を打たされ、用済みになった〝偏屈な鍛冶屋〟が閉じ込められてるって噂さ……」

「……!?ベスタ様、その方の名は?」

「ゴブニュ。神の剣を打たされ、用済みになって地下に囚われた、哀れな鍛冶屋だよ」

「……メルクリア様!作戦の第一段階は決まりです。ゴブニュ様を救出しましょう!」

​かつて守られるだけだった少女たちが、今、自分たちの意志で〝奇跡〟ではない反撃を計画し始めた。






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第41話【セレネ編】執行猶予は一週間!?従者と花嫁の〝宣戦布告〟もう奇跡には頼らない
「…あそこが、テラの言っていた隠れ家だ」
脱出艇〝アルカ〟が向かったのは、きらびやかな政府直轄市から遠く離れた、混沌とした活気にあふれる旧市街の路地裏だった。
ここは政府の役人すら足を踏み入れるのをためらう、法の届かない〝闇の聖域〟だ。
​たどり着いたのは、古びたネオンが怪しく光る酒場〝アフロディーテ〟。
情報のゴミ捨て場であり、同時に〝自由〟が売買される唯一の場所だった。
――ギィィィ
扉を開けた瞬間、タバコの煙と安酒の匂いが一行を包む。
カウンターの奥でグラスを磨いていた、真っ赤なドレスの美女・ベスタが、鋭い視線を向けた。
「……あんたたち、ホログラムで観たよ。テラの身内だね。安心しな、ここなら政府の犬どもも手出しはさせないよ」
「私はテラ様の従者セレネです。こちらは――」
「ボクはメルクリア。テラの〝サポーター〟ってところかな。あんたがベスタ?テラからは、万が一失敗したらここへ逃げ込めって聞いてたよ」
​ベスタはメルクリアを値踏みするように見ると、フッと煙草の煙を吹きかけた。
「テラの馴染みなら歓迎する……けど、その様子じゃあ、アイツは相当なヘマをやらかしたみたいだね」
​そこへ、店の手伝いをしていた一人の女性が駆け寄ってきた。
かつて、権力者への〝生贄の花嫁〟にされそうだったところをテラとセレネに救い出された女性、イナンナだ。
「セレネさん!無事だったんですね!……でも、テラさんは!?一緒じゃないんですか!?」
「イナンナ様……ごめんなさい。テラ様とアレス様は、私たちを逃がすために……」
「そんな……。あんなに強いテラさんが……!」
「相手が悪すぎたんだ。世界のシステムそのものみたいな野郎だよ、ウラヌスってのは。ボクのハッキングも、テラやアレスの物理も、全部〝予知〟されてた」
​イナンナは震える拳を握りしめ、セレネの肩を抱いた。
「セレネさん、諦めちゃダメです。私がここで生きていられるのは、あの時テラさんが〝お前の心がどうしたいかだけを言え。〟って、門を蹴破ってくれたから。今度は、私たちがテラさんの運命を奪い返しに行く番です!」
「威勢がいいね。……イナンナ、店の地下にある〝防音室〟を開けな。あそこなら、政府の盗聴器も魔法の探知も届かない。メルクリアと言ったかい?あんたのガラクタを広げるにはあそこが一番だよ」
​地下の密室で、メルクリアが持ち出したデータを広げ、テラとアレスを救い出すための策を練り始めた。
――その時だった。
店内に設置された大型ホログラムモニターが、強制的に政府の臨時ニュースに切り替わった。
「……ッ!」
画面に映し出されたのは、拘束され、ボロボロになったテラとアレスの姿。
『善良なる市民たちよ。世界に不安の種を撒き散らした偽りの勇者テラとアレスを拘束した!』
――そして、その横で冷酷に微笑むネプチューンの顔だった。
『一週間後、中央広場にて、テラとアレスの公開処刑を執行する。これは世界の秩序を守る、正当な処罰である!』
「テラ様……っ!」
「そんな……あと1週間なんて……!」
「……落ち着くんだ。奴らはテラたちを〝餌〟にして、ボクたちをおびき出す気だ。だが、それは奴らの喉元に食らいつくチャンスでもある」
「……でも、神剣デウスエクスマキナの〝目〟。あの未来を予知する力がある限り、私たちがどれだけ作戦を練っても、すべて事前に潰されてしまいます……」
「……一つだけ、心当たりがある。それはあの剣を作った張本人に会い、弱点を聞くことだ」
「……なら、面白い話があるよ。中央都市の底……廃棄区画のゴミ捨て場に、政府に剣を打たされ、用済みになった〝偏屈な鍛冶屋〟が閉じ込められてるって噂さ……」
「……!?ベスタ様、その方の名は?」
「ゴブニュ。神の剣を打たされ、用済みになって地下に囚われた、哀れな鍛冶屋だよ」
「……メルクリア様!作戦の第一段階は決まりです。ゴブニュ様を救出しましょう!」
​かつて守られるだけだった少女たちが、今、自分たちの意志で〝奇跡〟ではない反撃を計画し始めた。