山賊

ー/ー



 ルナは村人達から注目を浴びて、慣れない視線に縮こまる。

「なんか、こう迎えられると恥ずかしいですね」

 すっかり慣れてしまったマルクエンとラミッタは、フフッと軽く笑った。

 辺境の地なので宿屋は無い。村長に案内されて、一軒の家を紹介された。

「あのう、勇者様。この家をお使いくだせぇ」

 どうやら、この村では一番新しく見える家だ。

 中から人が出てきてマルクエン達に礼をする。

「勇者様! ようこそおいで下さいました!」

 マルクエンは遠慮がちに言った。

「本当にお世話になって良いのでしょうか? 私達はテントがあるので……」

「何を仰いますか! 勇者様を泊めたとあらば、末代までの栄誉です! ささ、こちらへ」

 そこまで言うのであればと、マルクエンは言葉に甘える。

「それでは、よろしくお願い致します」

 マルクエン達は村人達の温かい歓迎を受け、一晩を過ごした。

 次の日、出発の際に村長から言われる。

「この辺りは、山賊が出ますので、勇者様の敵ではないとは思いますが、ご用心を」

 マルクエンは笑顔で返した。

「ご忠告ありがとうございます。気を付けます」

 馬車は村に預け、山岳地帯なので歩きの旅になる。

 歩き始めてすぐにラミッタは言った。

「あの村長。山賊とか言ってたけど、こんな辺鄙(へんぴ)な場所に山賊なんて出るのかしら?」

 それについてはルナが説明を入れる。

「このマーピュの希少な魔石や、魔物が目当ての者達を狙う山賊はいるらしいです」

「なるほどね、数より質で勝負って感じかしら」

 山道は険しかったが、皆すいすいと登っている。

 マルクエンはルナを気遣い尋ねる。

「ルナさん、疲れていないか?」

 それに対し、元気いっぱいに答えた。

「はい! 体力と筋力強化の魔法を使っているので全然!」

 マルクエンは笑いながら言う。

「それは頼もしいです」

 ルナは大荷物を持つマルクエンに質問をする。

「マルクエン様は筋力強化の魔法をずっと使っていますよね? それこそ疲れませんか?」

「あぁ、幼い頃から常に使うよう訓練されていまして」

「す、凄い……」

 魔術師として、その凄さは理解できたルナ。

 そんな時だった、ラミッタとルナは生物の動きを感知する。

 これは人の動きだ。

 ラミッタは言う。

「何か来るわね」

 ルナもいつでも戦えるようにきっとした顔になった。

「登山客だと良いのですが」

 マルクエンは戦いやすいように荷物を下ろす。

 茂みからガサリと音がして人影が現れた。

「よう、そこの良い男。その荷物と装備を置いていきな」

 相手は軽装備の女だった。大斧を片手で軽々と持ち、命令する。

 マルクエンはその女に言い返した。

「お嬢さん、一人かな?」

 それを聞いて女は高笑いする。

「ハッハッハ。山賊の私をお嬢さんだなんていい度胸しているじゃないか」

 その言葉に、ラミッタは剣を抜き、ルナも杖をギュッと握った。

 山賊の女は続けて言う。

「私は群れるのが嫌いでね。それに山賊の男なんて役に立ちゃしない。私一人で充分だ!」

 マルクエンは斧をこちらに向けてきた山賊の女に告げる。

「ならば一騎打ちと行こうか」

 ラミッタはため息を吐いてやれやれと言う。

「なに勝手に決めてんのよ」

 マルクエンは「まぁ任せろ」と言って剣を引き抜いた。

 山賊の女は斧を振り上げてこちらへ向かってきた。

「いい度胸だ。行くぞ!」

 マルクエンに向かって斧を振り下ろすも、避けられ、地面には大穴が空く。

「おぉ、中々の威力だ」

 マルクエンは感心していた。

 山賊の女は斧を振り回し続ける。

「くらえ!!」

 だが、そのすべてはマルクエンの身軽な動きで避けられた。

 山賊の女はニヤリと笑う。

「やるな。だが、コイツはどうかな?」

 斧に魔力を込めて振り下ろす。

 地割れが起き、上空に飛んだ岩が降り注ぐ。

 ラミッタは面倒くさそうに上に魔法の防御壁を張り、自身とルナを守った。


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 ルナは村人達から注目を浴びて、慣れない視線に縮こまる。
「なんか、こう迎えられると恥ずかしいですね」
 すっかり慣れてしまったマルクエンとラミッタは、フフッと軽く笑った。
 辺境の地なので宿屋は無い。村長に案内されて、一軒の家を紹介された。
「あのう、勇者様。この家をお使いくだせぇ」
 どうやら、この村では一番新しく見える家だ。
 中から人が出てきてマルクエン達に礼をする。
「勇者様! ようこそおいで下さいました!」
 マルクエンは遠慮がちに言った。
「本当にお世話になって良いのでしょうか? 私達はテントがあるので……」
「何を仰いますか! 勇者様を泊めたとあらば、末代までの栄誉です! ささ、こちらへ」
 そこまで言うのであればと、マルクエンは言葉に甘える。
「それでは、よろしくお願い致します」
 マルクエン達は村人達の温かい歓迎を受け、一晩を過ごした。
 次の日、出発の際に村長から言われる。
「この辺りは、山賊が出ますので、勇者様の敵ではないとは思いますが、ご用心を」
 マルクエンは笑顔で返した。
「ご忠告ありがとうございます。気を付けます」
 馬車は村に預け、山岳地帯なので歩きの旅になる。
 歩き始めてすぐにラミッタは言った。
「あの村長。山賊とか言ってたけど、こんな|辺鄙《へんぴ》な場所に山賊なんて出るのかしら?」
 それについてはルナが説明を入れる。
「このマーピュの希少な魔石や、魔物が目当ての者達を狙う山賊はいるらしいです」
「なるほどね、数より質で勝負って感じかしら」
 山道は険しかったが、皆すいすいと登っている。
 マルクエンはルナを気遣い尋ねる。
「ルナさん、疲れていないか?」
 それに対し、元気いっぱいに答えた。
「はい! 体力と筋力強化の魔法を使っているので全然!」
 マルクエンは笑いながら言う。
「それは頼もしいです」
 ルナは大荷物を持つマルクエンに質問をする。
「マルクエン様は筋力強化の魔法をずっと使っていますよね? それこそ疲れませんか?」
「あぁ、幼い頃から常に使うよう訓練されていまして」
「す、凄い……」
 魔術師として、その凄さは理解できたルナ。
 そんな時だった、ラミッタとルナは生物の動きを感知する。
 これは人の動きだ。
 ラミッタは言う。
「何か来るわね」
 ルナもいつでも戦えるようにきっとした顔になった。
「登山客だと良いのですが」
 マルクエンは戦いやすいように荷物を下ろす。
 茂みからガサリと音がして人影が現れた。
「よう、そこの良い男。その荷物と装備を置いていきな」
 相手は軽装備の女だった。大斧を片手で軽々と持ち、命令する。
 マルクエンはその女に言い返した。
「お嬢さん、一人かな?」
 それを聞いて女は高笑いする。
「ハッハッハ。山賊の私をお嬢さんだなんていい度胸しているじゃないか」
 その言葉に、ラミッタは剣を抜き、ルナも杖をギュッと握った。
 山賊の女は続けて言う。
「私は群れるのが嫌いでね。それに山賊の男なんて役に立ちゃしない。私一人で充分だ!」
 マルクエンは斧をこちらに向けてきた山賊の女に告げる。
「ならば一騎打ちと行こうか」
 ラミッタはため息を吐いてやれやれと言う。
「なに勝手に決めてんのよ」
 マルクエンは「まぁ任せろ」と言って剣を引き抜いた。
 山賊の女は斧を振り上げてこちらへ向かってきた。
「いい度胸だ。行くぞ!」
 マルクエンに向かって斧を振り下ろすも、避けられ、地面には大穴が空く。
「おぉ、中々の威力だ」
 マルクエンは感心していた。
 山賊の女は斧を振り回し続ける。
「くらえ!!」
 だが、そのすべてはマルクエンの身軽な動きで避けられた。
 山賊の女はニヤリと笑う。
「やるな。だが、コイツはどうかな?」
 斧に魔力を込めて振り下ろす。
 地割れが起き、上空に飛んだ岩が降り注ぐ。
 ラミッタは面倒くさそうに上に魔法の防御壁を張り、自身とルナを守った。