A2……あのさぁ……
ー/ー 勇者ロキと魔法使いアイラ、戦士のトニー、そしてロボのA2は、ついに魔神ディアボロスと対峙していた。
「さあ、見せてもらおうか……お前たちの足掻きを。」
ディアボロスは不敵な笑みを浮かべ、闇の魔力をその巨大な体にまとわせる。
アイラが前に出て、杖を構えた。
「師匠……あなたを超えてみせる……『リムーブ』!」
補助魔法強制解除——。
師匠から教わった奥義の一つだ。これにより相手の強化魔法を無効化し、攻撃を有効にすることができる。
——パキン!
アイラの魔法が命中し、ディアボロスを包む防御魔法が砕け散った。
「今よ!」
ロキが叫び、仲間たちが一斉に武器を構えたその瞬間——。
「ふっふっふ……いいねぇ……『壊す力』っていうのはよ……。」
——ビシャァ!
ディアボロスの体から放たれる紫色の光。
その光は破壊された防御魔法を一瞬にして再生し、さらに強固なものへと変えてしまった。
「心ゆくまで壊してみろ。」
その言葉には圧倒的な自信と余裕が込められていた。
「くっ……!」
アイラは悔しそうに唇を噛むが、ロキが前に進み、剣を構えた。
「いいじゃねえか……なら、何度でもぶっ壊してやるさ!」
一同は再び戦いの構えを取る。彼らとディアボロスの死闘は、今まさに始まろうとしていた。
——ッ!
一瞬で魔法の気配を読み取ったアイラは、素早く詠唱に入る。
「ファイウォール!みんな!中に入って!」
咄嗟に展開された炎の壁。その直後、ディアボロスが指をわずかに動かしただけで、極限まで圧縮された火炎が放たれた。
——ピュン……。
それは音を超えた衝撃のような轟音とともに爆発し、凄まじい火炎が辺りを巻き込む!
「くっ……!」
炎の壁がギリギリのところで一行を守り抜く。だが時間はない。
「トニー!」
ロキが叫ぶと、トニーは豪剣「飛龍落とし」を構えた。
「わかってる!」
その言葉を合図に、ロボのA2が腕部のパネルを展開。内蔵されていたミサイルが露出される。
「射出角度OK、射出速度設定OK、着弾距離OK。」
A2の冷静な分析とともに、トニーの「飛龍落とし」が振り下ろされる!豪剣が空中を切り裂き、眩い閃光を放出。その光に合わせてA2のミサイルがディアボロスに向かって射出された。
だが——。
——ガキィン!
凄まじい衝撃音とともに、閃光とミサイルはディアボロスに弾かれてしまう!
飛龍落としとミサイルの同時攻撃が反射され、一行に向かって牙をむいた!
「しまった!間に合わ——」
——ジュワッ!
返ってきた閃光は、アイラが展開したファイアウォールに吸収された。
だが、それは常識ではあり得ないことだった。
「な!?助かっただと……?」
ロキが驚愕する。
ファイアウォールは火属性専用の防御魔法。それに対し、飛龍落としは光属性の攻撃だ。本来ならその属性に対応するはずがない。
「それだけじゃないわよ。」
アイラの冷静な声が響く。気がつくと、ファイアウォールが放つ輝きが増していた。
「アイラ、まさか……!」
トニーが目を見開く。
アイラは一瞬の間に防御魔法を追加し、ファイアウォールに光属性吸収の効果を付与していたのだ。それによってバリアは大幅にパワーアップし、周囲の魔力をも巻き込んで燃え上がっている。
「ただ守るだけなんて私の流儀じゃないわ!」
そう言うと、アイラは杖を振り上げ、ファイアウォールを球体に変形させた。
「お返しのお返しよ!」
エネルギーを限界まで溜め込んだ球体は、まるで流星のような速度でディアボロスに向かって振り落とされた。
——ゴゴゴゴゴ!
燃え盛る球体がディアボロスを直撃し、その衝撃波が周囲に轟音を響かせた。
ディアボロスの姿が光と炎に包まれる中、一行は攻撃の成果を見届けようと目を凝らしていた。
「まだ終わってないわよ……!」
アイラの声が、緊張感をさらに高めた。
——パキ……パキパキ……
「さすがだな……大魔導師の弟子なだけある。」
瓦礫の中から、ディアボロスがゆっくりと立ち上がった。体には傷が刻まれているものの、まだ余裕を感じさせる笑みを浮かべている。
次の瞬間——ディアボロスの姿が消えた。
——ガキィン!
ディアボロスの爪とトニーの豪剣“飛龍落とし”が激しく交差する!
「く……重い!」
トニーは必死に剣を押し返そうとするが、その圧力に歯を食いしばる。
その隙を突くように、A2がもう一方の腕をチェーンソーに変形させ、ディアボロスの右腕に向けて振り下ろした。
——ブオオオォン!
——ザクッ!
宙を舞う右腕。
ディアボロスは一瞬驚いた表情を見せるが、すぐに唾を吐き捨てて笑った。
「ゴホッ!……ふん!機械如きが!」
怒りを露わにしたディアボロスは、左の爪を振りかぶり、カウンターの一撃をA2に叩き込もうとする。
——しかし。
「どこ見てんだよ!」
背後から勇者ロキの一撃がディアボロスの背中を切り裂いた!光り輝く剣が、深い切り傷をディアボロスの全身に刻む。
「くっ……甘くみていたかッ!やはり近距離戦は……!」
押しも押されぬ攻防戦が続いていたが、ついに勇者たちの連携が実を結び、ディアボロスは両腕を失った。
——バシュン!
宙を舞う最後の腕。
「ふん!これで腕なしだな!」
ロキが叫びながら剣を構える。
「ぐほ……さすがは勇者……。」
片膝をつきながら、それでもディアボロスは不敵な笑みを浮かべていた。
しかし、その時、ロキ、アイラ、トニー、A2は何も言わず、まるで示し合わせたように一斉に動き始めた。
A2がその巨大な体を使い、股を大きく開き、ロキとトニーを両腕でしっかりと支える。そしてその背中に搭載されたバーニアが赤く燃え上がり始めた。
——ズゴオオオオォ!
A2のバーニアから噴射される推進力が、ロキとトニーを一気に加速させる準備を整える。
その間、アイラは精神を統一し、自身の魔法エネルギーを練り上げる。両手を差し出し、そのエネルギーをロキとトニーの間に流し込んだ。
「この一撃で……全てが終わりますように……。」
アイラの願いが込められた魔力は、巨大な剣のような光の塊となり、ロキとトニーの武器に融合する。
「もう二度と……誰も泣かない世界に——。」
——ゴゴゴゴゴゴ……。
周囲の空間が震えるほどの膨大なエネルギーが集約されていく。ディアボロスの表情からも、わずかに焦りの色が見え始めていた。
「終わらせるぞ……ディアボロス!」
ロキが叫ぶ。
「全力だ!くらえ、この一撃を!」
トニーも叫び、剣を振りかぶる。
ついに、一行の全てを込めた最終の一撃が放たれようとしていた。
だが——。
瓦礫の中に膝をつき、不敵な笑みを浮かべるディアボロス。その表情に、一同は冷や水を浴びせられたような不吉な感覚を覚えた。
「……何かがおかしい。」
ロキがつぶやく。
A2のセンサーが異常な警告を発する。
(急激な体温上昇を検知、標的の周囲に異常な振動の検知、魔力ゲージのオーバーフロー検出。)
それら全ての符号が指し示すもの——それは最悪の事態だった。そして、その事実に気づいたA2は、誰よりも早く行動を起こした。
——ゴォォン!
突然の衝撃波。A2がロキ、トニー、アイラを強制的に吹き飛ばした。
「ちょ……!何してんだよ!」
「おい!A2!」
3人の声を振り切るように、A2は背中のバーニアを全開にしてディアボロスに突進する。そしてそのまま、全力でディアボロスを押し続け、遠ざかっていった。
「早く!離れるのデス!自爆する可能性、99.9%!」
「な——。」
ロキたちの目の前で、A2はディアボロスを押し込みながら加速を続ける。
エネルギーの膨大な爆発が迫りくるのを背後に感じながら、A2の声が通信から最後に響いた。
「仲間の生存率、1%でも上げるのが、私の役目デス……。」
——カッ!
眩い閃光が視界を覆い尽くす。轟音と共に爆発が起こり、周囲の全てが白く染まった。
「A2……!」
ロキは叫ぶが、その声も光と衝撃にかき消された。
閃光が消えた後、彼らの目の前には、瓦礫と静寂だけが広がっていた——。
瓦礫の山の中から、黒い瘴気が立ち上り始めた。
「……何だこれは。」
ロキが剣を構えながら、息を飲む。
瘴気は空中でゆらゆらと集まり始め、次第に霧のようなものを形成していく。そして、その中心から響く低い笑い声。
「やるな、勇者どもよ……。」
不気味に響く声が、周囲の空気を震わせた。
「だがこれは言わば『前座』……この我がここで消えるとでも?ふっふっふ……。」
霧の中に、ぼんやりとした人型の影が浮かび上がる。
「我の分体を倒した程度で喜ばぬことだな……。」
影が徐々に輪郭を濃くし、膨れ上がる。ディアボロスの狂気に満ちた笑い声が爆発するように響き渡った。
「ふっふっふ……はっはっはっは……ぬわあああぁはっはっはっはっはっはぁ!」
「な——。」
ロキもトニーも、絶句して言葉を失う。アイラは握りしめた杖を震わせながら、目の前の恐怖に立ち尽くした。
A2の命をかけた一撃も、ディアボロスを完全に消し去るには至らなかった。彼らの戦いはまだ終わらない——それどころか、これが本当の始まりなのだと痛感させられる瞬間だった。
——キラ。
トニーは瓦礫の山の中で、微かに光る何かを見つけた。
「これ……。」
手を伸ばし掴み上げると、それは厳重に保護されていたA2のチップの破片だった。かすかに焦げ跡がついている。
トニーの頭にA2の最後の言葉がよみがえる。
——仲間の生存率、1%でも上げるのが、私の役目デス。
トニーは拳を震わせ、唇を噛み締めた。
「A2……。」
横にいるロキがその肩に手を置く。
「無駄じゃねえ……。」
ロキの力強い言葉に、トニーは顔を上げる。そしてその瞳に宿るのは、怒りと決意の炎だった。
「無駄じゃねえんだ!」
トニーが叫び、巨大な剣「飛龍落とし」を高く掲げる。
「おおおおおおおおおおぉ!」
その雄叫びが瓦礫の山に響き渡り、勇者たちの士気を一気に引き上げた。
*******************
——次回予告
ついにディアボロスを倒したロキたち。
しかし、それはあくまで分体に過ぎなかった!
A2を失い、途方に暮れる彼らに休む暇はない。黒き山を越え、冒険の舞台はついに魔界へ突入する。
「なんて数の魔物だ……。」
「しかもこいつら上級魔族ばかり……。」
「囲まれた!?」
「ゲヘヘヘ……お前たちの行動など、すでに見えておる……。」
絶望的な状況に陥るロキたち。しかしその時——!
——ガシャァン!
「A……A2!」
「嘘だろ……!」
目の前に現れたのは、かつての仲間A2。しかし、彼は静かに首を振った。
「いいえ、私はA2ではありません。私は……『A3』。」
博士の必死の作業により、見事に復元された新たなロボが、彼らの前に立ちはだかる敵に向けて腕を掲げる!
次回、ロキの冒険……「返ってきたロボ」
——というアニメを見ていたエリシア。
「えええええぇ……。」
エリシアは画面を睨みつけ、両手でリモコンを握りしめた。
「キエエエええぇぇええエええぇエエエェ!」
叫びながら立ち上がり、画面に向かって指を突きつける。
「ちょ……お前……A2……えええええぇえええぇ!?」
その声は深夜の屋敷に響き渡り、メイドたちがそっと物陰から様子を伺うのだった。
「さあ、見せてもらおうか……お前たちの足掻きを。」
ディアボロスは不敵な笑みを浮かべ、闇の魔力をその巨大な体にまとわせる。
アイラが前に出て、杖を構えた。
「師匠……あなたを超えてみせる……『リムーブ』!」
補助魔法強制解除——。
師匠から教わった奥義の一つだ。これにより相手の強化魔法を無効化し、攻撃を有効にすることができる。
——パキン!
アイラの魔法が命中し、ディアボロスを包む防御魔法が砕け散った。
「今よ!」
ロキが叫び、仲間たちが一斉に武器を構えたその瞬間——。
「ふっふっふ……いいねぇ……『壊す力』っていうのはよ……。」
——ビシャァ!
ディアボロスの体から放たれる紫色の光。
その光は破壊された防御魔法を一瞬にして再生し、さらに強固なものへと変えてしまった。
「心ゆくまで壊してみろ。」
その言葉には圧倒的な自信と余裕が込められていた。
「くっ……!」
アイラは悔しそうに唇を噛むが、ロキが前に進み、剣を構えた。
「いいじゃねえか……なら、何度でもぶっ壊してやるさ!」
一同は再び戦いの構えを取る。彼らとディアボロスの死闘は、今まさに始まろうとしていた。
——ッ!
一瞬で魔法の気配を読み取ったアイラは、素早く詠唱に入る。
「ファイウォール!みんな!中に入って!」
咄嗟に展開された炎の壁。その直後、ディアボロスが指をわずかに動かしただけで、極限まで圧縮された火炎が放たれた。
——ピュン……。
それは音を超えた衝撃のような轟音とともに爆発し、凄まじい火炎が辺りを巻き込む!
「くっ……!」
炎の壁がギリギリのところで一行を守り抜く。だが時間はない。
「トニー!」
ロキが叫ぶと、トニーは豪剣「飛龍落とし」を構えた。
「わかってる!」
その言葉を合図に、ロボのA2が腕部のパネルを展開。内蔵されていたミサイルが露出される。
「射出角度OK、射出速度設定OK、着弾距離OK。」
A2の冷静な分析とともに、トニーの「飛龍落とし」が振り下ろされる!豪剣が空中を切り裂き、眩い閃光を放出。その光に合わせてA2のミサイルがディアボロスに向かって射出された。
だが——。
——ガキィン!
凄まじい衝撃音とともに、閃光とミサイルはディアボロスに弾かれてしまう!
飛龍落としとミサイルの同時攻撃が反射され、一行に向かって牙をむいた!
「しまった!間に合わ——」
——ジュワッ!
返ってきた閃光は、アイラが展開したファイアウォールに吸収された。
だが、それは常識ではあり得ないことだった。
「な!?助かっただと……?」
ロキが驚愕する。
ファイアウォールは火属性専用の防御魔法。それに対し、飛龍落としは光属性の攻撃だ。本来ならその属性に対応するはずがない。
「それだけじゃないわよ。」
アイラの冷静な声が響く。気がつくと、ファイアウォールが放つ輝きが増していた。
「アイラ、まさか……!」
トニーが目を見開く。
アイラは一瞬の間に防御魔法を追加し、ファイアウォールに光属性吸収の効果を付与していたのだ。それによってバリアは大幅にパワーアップし、周囲の魔力をも巻き込んで燃え上がっている。
「ただ守るだけなんて私の流儀じゃないわ!」
そう言うと、アイラは杖を振り上げ、ファイアウォールを球体に変形させた。
「お返しのお返しよ!」
エネルギーを限界まで溜め込んだ球体は、まるで流星のような速度でディアボロスに向かって振り落とされた。
——ゴゴゴゴゴ!
燃え盛る球体がディアボロスを直撃し、その衝撃波が周囲に轟音を響かせた。
ディアボロスの姿が光と炎に包まれる中、一行は攻撃の成果を見届けようと目を凝らしていた。
「まだ終わってないわよ……!」
アイラの声が、緊張感をさらに高めた。
——パキ……パキパキ……
「さすがだな……大魔導師の弟子なだけある。」
瓦礫の中から、ディアボロスがゆっくりと立ち上がった。体には傷が刻まれているものの、まだ余裕を感じさせる笑みを浮かべている。
次の瞬間——ディアボロスの姿が消えた。
——ガキィン!
ディアボロスの爪とトニーの豪剣“飛龍落とし”が激しく交差する!
「く……重い!」
トニーは必死に剣を押し返そうとするが、その圧力に歯を食いしばる。
その隙を突くように、A2がもう一方の腕をチェーンソーに変形させ、ディアボロスの右腕に向けて振り下ろした。
——ブオオオォン!
——ザクッ!
宙を舞う右腕。
ディアボロスは一瞬驚いた表情を見せるが、すぐに唾を吐き捨てて笑った。
「ゴホッ!……ふん!機械如きが!」
怒りを露わにしたディアボロスは、左の爪を振りかぶり、カウンターの一撃をA2に叩き込もうとする。
——しかし。
「どこ見てんだよ!」
背後から勇者ロキの一撃がディアボロスの背中を切り裂いた!光り輝く剣が、深い切り傷をディアボロスの全身に刻む。
「くっ……甘くみていたかッ!やはり近距離戦は……!」
押しも押されぬ攻防戦が続いていたが、ついに勇者たちの連携が実を結び、ディアボロスは両腕を失った。
——バシュン!
宙を舞う最後の腕。
「ふん!これで腕なしだな!」
ロキが叫びながら剣を構える。
「ぐほ……さすがは勇者……。」
片膝をつきながら、それでもディアボロスは不敵な笑みを浮かべていた。
しかし、その時、ロキ、アイラ、トニー、A2は何も言わず、まるで示し合わせたように一斉に動き始めた。
A2がその巨大な体を使い、股を大きく開き、ロキとトニーを両腕でしっかりと支える。そしてその背中に搭載されたバーニアが赤く燃え上がり始めた。
——ズゴオオオオォ!
A2のバーニアから噴射される推進力が、ロキとトニーを一気に加速させる準備を整える。
その間、アイラは精神を統一し、自身の魔法エネルギーを練り上げる。両手を差し出し、そのエネルギーをロキとトニーの間に流し込んだ。
「この一撃で……全てが終わりますように……。」
アイラの願いが込められた魔力は、巨大な剣のような光の塊となり、ロキとトニーの武器に融合する。
「もう二度と……誰も泣かない世界に——。」
——ゴゴゴゴゴゴ……。
周囲の空間が震えるほどの膨大なエネルギーが集約されていく。ディアボロスの表情からも、わずかに焦りの色が見え始めていた。
「終わらせるぞ……ディアボロス!」
ロキが叫ぶ。
「全力だ!くらえ、この一撃を!」
トニーも叫び、剣を振りかぶる。
ついに、一行の全てを込めた最終の一撃が放たれようとしていた。
だが——。
瓦礫の中に膝をつき、不敵な笑みを浮かべるディアボロス。その表情に、一同は冷や水を浴びせられたような不吉な感覚を覚えた。
「……何かがおかしい。」
ロキがつぶやく。
A2のセンサーが異常な警告を発する。
(急激な体温上昇を検知、標的の周囲に異常な振動の検知、魔力ゲージのオーバーフロー検出。)
それら全ての符号が指し示すもの——それは最悪の事態だった。そして、その事実に気づいたA2は、誰よりも早く行動を起こした。
——ゴォォン!
突然の衝撃波。A2がロキ、トニー、アイラを強制的に吹き飛ばした。
「ちょ……!何してんだよ!」
「おい!A2!」
3人の声を振り切るように、A2は背中のバーニアを全開にしてディアボロスに突進する。そしてそのまま、全力でディアボロスを押し続け、遠ざかっていった。
「早く!離れるのデス!自爆する可能性、99.9%!」
「な——。」
ロキたちの目の前で、A2はディアボロスを押し込みながら加速を続ける。
エネルギーの膨大な爆発が迫りくるのを背後に感じながら、A2の声が通信から最後に響いた。
「仲間の生存率、1%でも上げるのが、私の役目デス……。」
——カッ!
眩い閃光が視界を覆い尽くす。轟音と共に爆発が起こり、周囲の全てが白く染まった。
「A2……!」
ロキは叫ぶが、その声も光と衝撃にかき消された。
閃光が消えた後、彼らの目の前には、瓦礫と静寂だけが広がっていた——。
瓦礫の山の中から、黒い瘴気が立ち上り始めた。
「……何だこれは。」
ロキが剣を構えながら、息を飲む。
瘴気は空中でゆらゆらと集まり始め、次第に霧のようなものを形成していく。そして、その中心から響く低い笑い声。
「やるな、勇者どもよ……。」
不気味に響く声が、周囲の空気を震わせた。
「だがこれは言わば『前座』……この我がここで消えるとでも?ふっふっふ……。」
霧の中に、ぼんやりとした人型の影が浮かび上がる。
「我の分体を倒した程度で喜ばぬことだな……。」
影が徐々に輪郭を濃くし、膨れ上がる。ディアボロスの狂気に満ちた笑い声が爆発するように響き渡った。
「ふっふっふ……はっはっはっは……ぬわあああぁはっはっはっはっはっはぁ!」
「な——。」
ロキもトニーも、絶句して言葉を失う。アイラは握りしめた杖を震わせながら、目の前の恐怖に立ち尽くした。
A2の命をかけた一撃も、ディアボロスを完全に消し去るには至らなかった。彼らの戦いはまだ終わらない——それどころか、これが本当の始まりなのだと痛感させられる瞬間だった。
——キラ。
トニーは瓦礫の山の中で、微かに光る何かを見つけた。
「これ……。」
手を伸ばし掴み上げると、それは厳重に保護されていたA2のチップの破片だった。かすかに焦げ跡がついている。
トニーの頭にA2の最後の言葉がよみがえる。
——仲間の生存率、1%でも上げるのが、私の役目デス。
トニーは拳を震わせ、唇を噛み締めた。
「A2……。」
横にいるロキがその肩に手を置く。
「無駄じゃねえ……。」
ロキの力強い言葉に、トニーは顔を上げる。そしてその瞳に宿るのは、怒りと決意の炎だった。
「無駄じゃねえんだ!」
トニーが叫び、巨大な剣「飛龍落とし」を高く掲げる。
「おおおおおおおおおおぉ!」
その雄叫びが瓦礫の山に響き渡り、勇者たちの士気を一気に引き上げた。
*******************
——次回予告
ついにディアボロスを倒したロキたち。
しかし、それはあくまで分体に過ぎなかった!
A2を失い、途方に暮れる彼らに休む暇はない。黒き山を越え、冒険の舞台はついに魔界へ突入する。
「なんて数の魔物だ……。」
「しかもこいつら上級魔族ばかり……。」
「囲まれた!?」
「ゲヘヘヘ……お前たちの行動など、すでに見えておる……。」
絶望的な状況に陥るロキたち。しかしその時——!
——ガシャァン!
「A……A2!」
「嘘だろ……!」
目の前に現れたのは、かつての仲間A2。しかし、彼は静かに首を振った。
「いいえ、私はA2ではありません。私は……『A3』。」
博士の必死の作業により、見事に復元された新たなロボが、彼らの前に立ちはだかる敵に向けて腕を掲げる!
次回、ロキの冒険……「返ってきたロボ」
——というアニメを見ていたエリシア。
「えええええぇ……。」
エリシアは画面を睨みつけ、両手でリモコンを握りしめた。
「キエエエええぇぇええエええぇエエエェ!」
叫びながら立ち上がり、画面に向かって指を突きつける。
「ちょ……お前……A2……えええええぇえええぇ!?」
その声は深夜の屋敷に響き渡り、メイドたちがそっと物陰から様子を伺うのだった。
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