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SCENE144 心配性だよ、視聴者さん

ー/ー



 バトラーと衣織お姉さんの戦いを配信できないのは残念だけど、僕は持ってきてくれたものを早速お披露目することにしたよ。衣織お姉さんからは許可はもらったしね。

「みなさん、こんにちは。ダンジョンマスターのウィンクです」

『こんらみあ~』

 配信を始めると、相変わらず反応が早い。いくら通知がいくからといっても、この早さは尋常じゃないと思うんだ。

『今日はどんな内容なんだろうね』

『ダンジョンマスターの配信は、ウィンクちゃんとセイレーンさんの二人だけだから、すっごく楽しみなんだよな』

「あはは、そうなんですね」

 視聴者さんたちの反応に、僕は笑って返しておく。
 でも、実際にダンジョンマスターによる配信は僕とセイレーンさんの二人しかない。まあ、そもそもダンジョンマスターが配信ドローンを持っていることが異常だからね。
 この配信ドローンは、僕たち地球の側でしか持っていない装置なんだもん。それこそ、僕のように探索者側からダンジョンマスターにでもならないことには、持つことはまずありえない話なんだよね。セイレーンさんが例外すぎるだけなんだ。

「それはそれとして、今日の配信は迷路の進み具合についての報告ですね」

『おっ』

『順調なのかな?』

 僕が話をすれば、視聴者さんはとても興味深そうに反応してくれている。

「はい、とても順調です。一応迷路の形は決まりましたので、あとは宝と罠を設置していくだけですよ」

『おおーっ』

『できたら行く』

 視聴者さんたちは歓喜に沸いているみたいだ。いやぁ、喜んでもらえると、僕も嬉しい限りだな。
 喜んでいるところで、僕は迷路の情報をさらに出していく。

「それでなんですけれど、迷路に置く宝物に関して、知り合いから提供して頂くことが決まりしました」

『なんと?!』

『誰からの提供なん?』

「はい、妹です。僕の妹、まだ十三歳なんですけれど、裁縫が得意なんですよね。僕が今着ているこの服も、妹が作ってくれたものなんですよ」

『はえーっ』

『探索者になる前から技能持ちとはすごいな』

 僕の着ている服のことを話したら、視聴者さんたちがとてもよく食いついてくる。

「実は、衣織お姉さんと通して、妹に頼んだんですよね。僕の服を作ってくれたことを思い出して、探索者用の服を作ってくれないかって」

 僕は宝物に妹の作った服を入れることについての事情を話していく。
 正直なところ、どんな反応をされるか想像はまったくしてなかった。でも、迷路に関係したことなので話さないといけないよねという気持ちだけで話を続けていた。

『ウィンクちゃん』

「はい、なんでしょうか」

『その服、見せてもらってもいい?』

「はい、もちろんですよ。さすがに全部とはいきませんけれど」

 視聴者さんからの要望に応じて、僕は服を取り出して配信ドローンに向けてしっかりと見せる。
 一応、男性用と女性用を一枚ずつ、しっかり全体を見せておいた。

『できがすっごくよさそう』

『素材はなんなん?』

 視聴者さんからの感想と質問がいろいろと飛んでくる。
 できばえを褒めてもらえるのは、僕としても嬉しい限りだな。

「えっとですね。衣織お姉さんの話では、素材はケイヴベアーの毛皮で、縫製の糸はアラクネの糸を使っているみたいですよ」

『ぶっ!』

『さすがは鬼百合の衣織・・・』

『ケイヴベアーって車並みのスピードでダンジョンの中を走ってくるあれだよな?』

『そうそう、カーブでも速度を落とさずに追っかけてくるやつ』

『ウィンクちゃんの妹さんも、大概やない?』

『ダンジョンに潜れない年で服作っちゃうから、将来有望かもしれん』

 僕が説明をすると、視聴者さんたちはかなり驚いているみたいだ。やっぱり、分かる人は分かっちゃうんだなぁ。

『服を作れる人員ともなると、ギルドも欲しがる人がいるだろうなぁ』

『だが、十三歳ではギルドに所属させることはできんぞ』

『今回のことは特例だろうしな』

『うん、手を出さない方がいい』

 ついでに、瞳のことであれこれ話し合っているみたいだ。僕の配信なんだけどなぁ……。

「とりあえず、妹には視聴者さんたちがすっごく褒めていたよって伝えておきますね。きっと喜ぶと思いますよ」

 僕がにこにことしながら話すと、視聴者さんたちはなぜか黙り込んでしまっていた。
 あまりの反応のなさに、僕は笑顔のまま首を傾けてしまう。

『いやぁ、ウィンクちゃん』

「なんですか?」

 視聴者さんが、何か言いにくそうにコメントをしてくる。

『あんまりダンジョンに絡んじゃいけない子を巻き込むのはよくないと思うよ』

 何かと思えば、まだ十三歳の瞳に関することだった。
 確かに、ダンジョン探索は十六歳からしかダメだから、瞳にはダンジョン素材に触れさせるのも早いかもしれない。
 だけど、僕の服を作り上げた才能を眠らせておくのももったいないと思うんだよね。

「分かりました。妹は大事な子ですから、あまり巻き込まないようにします」

『うん、そうしておくれ』

『モンスター化したら、それはそれで損失やしなぁ』

『ダンジョン素材を加工できる人材は保護せねば』

 視聴者さんたちは、瞳に対してちょっと過保護になりつつあるみたいだった。なんだか身内みたいな反応だよ。本当の身内は僕なのに。

「それじゃ、頼んである分だけ作ってもらったら、妹には依頼を出さないようにしておきます。みなさん、ご心配をおかけしてすみません」

『うんうん、無茶はさせないのが一番』

 そんなこんなで、視聴者さんに怒られちゃった配信になっちゃったよ。
 ここまで言われちゃったから、僕も反省しなくちゃね、うん。


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次のエピソードへ進む SCENE145 迷路を実際に作ろう


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 バトラーと衣織お姉さんの戦いを配信できないのは残念だけど、僕は持ってきてくれたものを早速お披露目することにしたよ。衣織お姉さんからは許可はもらったしね。
「みなさん、こんにちは。ダンジョンマスターのウィンクです」
『こんらみあ~』
 配信を始めると、相変わらず反応が早い。いくら通知がいくからといっても、この早さは尋常じゃないと思うんだ。
『今日はどんな内容なんだろうね』
『ダンジョンマスターの配信は、ウィンクちゃんとセイレーンさんの二人だけだから、すっごく楽しみなんだよな』
「あはは、そうなんですね」
 視聴者さんたちの反応に、僕は笑って返しておく。
 でも、実際にダンジョンマスターによる配信は僕とセイレーンさんの二人しかない。まあ、そもそもダンジョンマスターが配信ドローンを持っていることが異常だからね。
 この配信ドローンは、僕たち地球の側でしか持っていない装置なんだもん。それこそ、僕のように探索者側からダンジョンマスターにでもならないことには、持つことはまずありえない話なんだよね。セイレーンさんが例外すぎるだけなんだ。
「それはそれとして、今日の配信は迷路の進み具合についての報告ですね」
『おっ』
『順調なのかな?』
 僕が話をすれば、視聴者さんはとても興味深そうに反応してくれている。
「はい、とても順調です。一応迷路の形は決まりましたので、あとは宝と罠を設置していくだけですよ」
『おおーっ』
『できたら行く』
 視聴者さんたちは歓喜に沸いているみたいだ。いやぁ、喜んでもらえると、僕も嬉しい限りだな。
 喜んでいるところで、僕は迷路の情報をさらに出していく。
「それでなんですけれど、迷路に置く宝物に関して、知り合いから提供して頂くことが決まりしました」
『なんと?!』
『誰からの提供なん?』
「はい、妹です。僕の妹、まだ十三歳なんですけれど、裁縫が得意なんですよね。僕が今着ているこの服も、妹が作ってくれたものなんですよ」
『はえーっ』
『探索者になる前から技能持ちとはすごいな』
 僕の着ている服のことを話したら、視聴者さんたちがとてもよく食いついてくる。
「実は、衣織お姉さんと通して、妹に頼んだんですよね。僕の服を作ってくれたことを思い出して、探索者用の服を作ってくれないかって」
 僕は宝物に妹の作った服を入れることについての事情を話していく。
 正直なところ、どんな反応をされるか想像はまったくしてなかった。でも、迷路に関係したことなので話さないといけないよねという気持ちだけで話を続けていた。
『ウィンクちゃん』
「はい、なんでしょうか」
『その服、見せてもらってもいい?』
「はい、もちろんですよ。さすがに全部とはいきませんけれど」
 視聴者さんからの要望に応じて、僕は服を取り出して配信ドローンに向けてしっかりと見せる。
 一応、男性用と女性用を一枚ずつ、しっかり全体を見せておいた。
『できがすっごくよさそう』
『素材はなんなん?』
 視聴者さんからの感想と質問がいろいろと飛んでくる。
 できばえを褒めてもらえるのは、僕としても嬉しい限りだな。
「えっとですね。衣織お姉さんの話では、素材はケイヴベアーの毛皮で、縫製の糸はアラクネの糸を使っているみたいですよ」
『ぶっ!』
『さすがは鬼百合の衣織・・・』
『ケイヴベアーって車並みのスピードでダンジョンの中を走ってくるあれだよな?』
『そうそう、カーブでも速度を落とさずに追っかけてくるやつ』
『ウィンクちゃんの妹さんも、大概やない?』
『ダンジョンに潜れない年で服作っちゃうから、将来有望かもしれん』
 僕が説明をすると、視聴者さんたちはかなり驚いているみたいだ。やっぱり、分かる人は分かっちゃうんだなぁ。
『服を作れる人員ともなると、ギルドも欲しがる人がいるだろうなぁ』
『だが、十三歳ではギルドに所属させることはできんぞ』
『今回のことは特例だろうしな』
『うん、手を出さない方がいい』
 ついでに、瞳のことであれこれ話し合っているみたいだ。僕の配信なんだけどなぁ……。
「とりあえず、妹には視聴者さんたちがすっごく褒めていたよって伝えておきますね。きっと喜ぶと思いますよ」
 僕がにこにことしながら話すと、視聴者さんたちはなぜか黙り込んでしまっていた。
 あまりの反応のなさに、僕は笑顔のまま首を傾けてしまう。
『いやぁ、ウィンクちゃん』
「なんですか?」
 視聴者さんが、何か言いにくそうにコメントをしてくる。
『あんまりダンジョンに絡んじゃいけない子を巻き込むのはよくないと思うよ』
 何かと思えば、まだ十三歳の瞳に関することだった。
 確かに、ダンジョン探索は十六歳からしかダメだから、瞳にはダンジョン素材に触れさせるのも早いかもしれない。
 だけど、僕の服を作り上げた才能を眠らせておくのももったいないと思うんだよね。
「分かりました。妹は大事な子ですから、あまり巻き込まないようにします」
『うん、そうしておくれ』
『モンスター化したら、それはそれで損失やしなぁ』
『ダンジョン素材を加工できる人材は保護せねば』
 視聴者さんたちは、瞳に対してちょっと過保護になりつつあるみたいだった。なんだか身内みたいな反応だよ。本当の身内は僕なのに。
「それじゃ、頼んである分だけ作ってもらったら、妹には依頼を出さないようにしておきます。みなさん、ご心配をおかけしてすみません」
『うんうん、無茶はさせないのが一番』
 そんなこんなで、視聴者さんに怒られちゃった配信になっちゃったよ。
 ここまで言われちゃったから、僕も反省しなくちゃね、うん。