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第9話:情報戦?いいえ、ただの探検ニャ。-2

ー/ー



 こうして、リリアーナは、魔王の企みを阻止するためではなく、ただ「キラキラしたもの」を探すために、王国軍と共に輝きの鉱山へと向かうことになった。彼女の胸には、新たな「おもちゃ」への期待だけが満ちていた。

 輝きの鉱山は、王国の北部に位置する巨大な山脈の中にあった。

 その山脈は、まるで巨大な竜が横たわっているかのように、荒々しくそびえ立っている。鉱山の入り口は、巨大な洞窟のようだが、内部は複雑に入り組んだ坑道が、まるで蟻の巣のように張り巡らされている。
 坑道の壁面には、自然に生成された魔力結晶が埋め込まれており、その輝きが、坑道全体をほのかに、しかし幻想的に照らしていた。

 王国軍は、鉱山の入り口付近に陣を張り、魔王軍との衝突に備えていた。兵士たちは、重い鎧を身につけ、剣を構え、緊張した面持ちで坑道の奥を見つめている。リリアーナは、アリアの隣で、鉱山の奥から漂ってくる、かすかな魔力の輝きに目を細めていた。

「ニャー…(奥に、もっとキラキラがあるニャ…)」

 その輝きは、リリアーナの猫としての本能を強く刺激した。
 まるで、隠された獲物の気配を感じ取るかのように、彼女の意識は坑道の深部へと引き寄せられていく。

 リリアーナは、待つのが苦手だった。
 特に、目の前に「キラキラ」があるのに、じっとしているのは拷問に等しい。
 ミーコは、獲物を見つけたら、すぐにでも飛びつきたい性分だった。

 リリアーナは、アリアの制止も聞かず、鉱山の奥へと、単身で足を踏み入れた。その行動は、あまりにも唐突で、あまりにも無謀に見えた。

「リリアーナ様!?お待ちください!魔王軍の罠があるかもしれません!単独行動は危険です!」

 アリアが叫んだが、リリアーナの耳には届かない。彼女の意識は、既に鉱山の奥へと向かっていた。アリアは、リリアーナの「勇敢さ」に感銘を受けつつも、その無鉄砲さに肝を冷やした。

 リリアーナは、坑道の中を、猫らしい身軽さで進んでいった。
 暗闇の中でも「猫の目(ナイト・ビジョン)」が働き、周囲の状況は鮮明に見える。
 壁のわずかな凹凸、天井から滴る水滴、そして、地面に仕掛けられた魔力トラップも、リリアーナの目には、魔力の光の筋として見えていた。

 彼女は、それらの光の筋を、まるで地面に描かれた模様のように避けながら、軽やかに進んでいく。その動きは、まるで影が滑るようだった。

「ニャー…(邪魔ニャ…)」

 坑道の奥から、警備にあたっていた魔族の兵士たちが、リリアーナの姿に気づき、襲いかかってきた。彼らの顔には、侵入者への敵意が露わになっている。

「何者だ!?侵入者め!そこを動くな!」

 しかし、リリアーナは、彼らを「邪魔な障害物」としか認識していなかった。
 彼女は、兵士たちの間を縫うように、超高速の「猫の足音(サイレント・ステップ)」で駆け抜ける。兵士たちは、リリアーナの姿を捉えることすらできず、ただ風が吹き抜けたような感覚に襲われるだけだった。

「くっ…見えない!?何という速さだ!人間ごときに、こんな動きができるはずが…!」

「まるで幻のようだ…!どこへ行った!?」

 魔族の兵士たちは、リリアーナの神出鬼没な動きに混乱し、互いに剣を振り回し始めた。
 リリアーナは、兵士たちの混乱を尻目に、鉱山の奥へと、さらに深く進んでいく。彼女の目的は、ただ一つ。奥にある、もっと大きな「キラキラ」だ。その輝きは、ミーコを誘う、最高の誘惑だった。

 その頃、鉱山の最深部では、魔王シエルが、新たな備蓄場所の設営に勤しんでいた。
 彼の周囲には、すでに大量の魔力結晶が運び込まれ、シエルはそれらを一つ一つ丁寧に、地面に掘った穴に埋めていた。

 彼の小さな体は、汗で光り、額には土がついていた。
 しかし、その顔には、備蓄への純粋な喜びと、達成感が満ちている。

「フフフ…これでまた一つ、大いなる冬への備えができたぞ。完璧だ…完璧な貯蔵だ…」

 シエルは、満足げに呟いた。彼の側近であるゼノスは、その隣で、魔王の指示を仰いでいた。

「魔王様、この区画の警備は万全でございます。たとえ人間が侵入したとしても、この複雑な坑道を突破し、ここまで辿り着くことは不可能でしょう。ご安心ください。」

 その時、シエルの鋭い耳が、かすかな物音を捉えた。彼の「超高速思考(クイックシンク)」が、瞬時にその音を分析する。
 それは、通常の人間や魔族の足音とは異なる、極めて静かで、しかし予測不能な動きの音だった。
 シエルは、その音に、本能的な警戒心を抱いた。

「何者だ!?まさか、あの女か!?」

 シエルは、警戒心を露わにした。彼のリスとしての本能が、自身の貯蔵品が脅かされることに、最大の危険信号を発していた。彼の瞳は、音のする方向を鋭く見据える。

 その音の方向から、リリアーナが姿を現した。
 彼女の瞳は、鉱山奥の壁に埋め込まれた、ひときわ大きく輝く魔力結晶に釘付けになっていた。

 それは、シエルが「次元貯蔵」の核として、最も大切にしている備蓄品の一つだった。その輝きは、他の結晶とは比べ物にならないほど強く、リリアーナの好奇心を極限まで刺激した。




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 こうして、リリアーナは、魔王の企みを阻止するためではなく、ただ「キラキラしたもの」を探すために、王国軍と共に輝きの鉱山へと向かうことになった。彼女の胸には、新たな「おもちゃ」への期待だけが満ちていた。
 輝きの鉱山は、王国の北部に位置する巨大な山脈の中にあった。
 その山脈は、まるで巨大な竜が横たわっているかのように、荒々しくそびえ立っている。鉱山の入り口は、巨大な洞窟のようだが、内部は複雑に入り組んだ坑道が、まるで蟻の巣のように張り巡らされている。
 坑道の壁面には、自然に生成された魔力結晶が埋め込まれており、その輝きが、坑道全体をほのかに、しかし幻想的に照らしていた。
 王国軍は、鉱山の入り口付近に陣を張り、魔王軍との衝突に備えていた。兵士たちは、重い鎧を身につけ、剣を構え、緊張した面持ちで坑道の奥を見つめている。リリアーナは、アリアの隣で、鉱山の奥から漂ってくる、かすかな魔力の輝きに目を細めていた。
「ニャー…(奥に、もっとキラキラがあるニャ…)」
 その輝きは、リリアーナの猫としての本能を強く刺激した。
 まるで、隠された獲物の気配を感じ取るかのように、彼女の意識は坑道の深部へと引き寄せられていく。
 リリアーナは、待つのが苦手だった。
 特に、目の前に「キラキラ」があるのに、じっとしているのは拷問に等しい。
 ミーコは、獲物を見つけたら、すぐにでも飛びつきたい性分だった。
 リリアーナは、アリアの制止も聞かず、鉱山の奥へと、単身で足を踏み入れた。その行動は、あまりにも唐突で、あまりにも無謀に見えた。
「リリアーナ様!?お待ちください!魔王軍の罠があるかもしれません!単独行動は危険です!」
 アリアが叫んだが、リリアーナの耳には届かない。彼女の意識は、既に鉱山の奥へと向かっていた。アリアは、リリアーナの「勇敢さ」に感銘を受けつつも、その無鉄砲さに肝を冷やした。
 リリアーナは、坑道の中を、猫らしい身軽さで進んでいった。
 暗闇の中でも「猫の目(ナイト・ビジョン)」が働き、周囲の状況は鮮明に見える。
 壁のわずかな凹凸、天井から滴る水滴、そして、地面に仕掛けられた魔力トラップも、リリアーナの目には、魔力の光の筋として見えていた。
 彼女は、それらの光の筋を、まるで地面に描かれた模様のように避けながら、軽やかに進んでいく。その動きは、まるで影が滑るようだった。
「ニャー…(邪魔ニャ…)」
 坑道の奥から、警備にあたっていた魔族の兵士たちが、リリアーナの姿に気づき、襲いかかってきた。彼らの顔には、侵入者への敵意が露わになっている。
「何者だ!?侵入者め!そこを動くな!」
 しかし、リリアーナは、彼らを「邪魔な障害物」としか認識していなかった。
 彼女は、兵士たちの間を縫うように、超高速の「猫の足音(サイレント・ステップ)」で駆け抜ける。兵士たちは、リリアーナの姿を捉えることすらできず、ただ風が吹き抜けたような感覚に襲われるだけだった。
「くっ…見えない!?何という速さだ!人間ごときに、こんな動きができるはずが…!」
「まるで幻のようだ…!どこへ行った!?」
 魔族の兵士たちは、リリアーナの神出鬼没な動きに混乱し、互いに剣を振り回し始めた。
 リリアーナは、兵士たちの混乱を尻目に、鉱山の奥へと、さらに深く進んでいく。彼女の目的は、ただ一つ。奥にある、もっと大きな「キラキラ」だ。その輝きは、ミーコを誘う、最高の誘惑だった。
 その頃、鉱山の最深部では、魔王シエルが、新たな備蓄場所の設営に勤しんでいた。
 彼の周囲には、すでに大量の魔力結晶が運び込まれ、シエルはそれらを一つ一つ丁寧に、地面に掘った穴に埋めていた。
 彼の小さな体は、汗で光り、額には土がついていた。
 しかし、その顔には、備蓄への純粋な喜びと、達成感が満ちている。
「フフフ…これでまた一つ、大いなる冬への備えができたぞ。完璧だ…完璧な貯蔵だ…」
 シエルは、満足げに呟いた。彼の側近であるゼノスは、その隣で、魔王の指示を仰いでいた。
「魔王様、この区画の警備は万全でございます。たとえ人間が侵入したとしても、この複雑な坑道を突破し、ここまで辿り着くことは不可能でしょう。ご安心ください。」
 その時、シエルの鋭い耳が、かすかな物音を捉えた。彼の「超高速思考(クイックシンク)」が、瞬時にその音を分析する。
 それは、通常の人間や魔族の足音とは異なる、極めて静かで、しかし予測不能な動きの音だった。
 シエルは、その音に、本能的な警戒心を抱いた。
「何者だ!?まさか、あの女か!?」
 シエルは、警戒心を露わにした。彼のリスとしての本能が、自身の貯蔵品が脅かされることに、最大の危険信号を発していた。彼の瞳は、音のする方向を鋭く見据える。
 その音の方向から、リリアーナが姿を現した。
 彼女の瞳は、鉱山奥の壁に埋め込まれた、ひときわ大きく輝く魔力結晶に釘付けになっていた。
 それは、シエルが「次元貯蔵」の核として、最も大切にしている備蓄品の一つだった。その輝きは、他の結晶とは比べ物にならないほど強く、リリアーナの好奇心を極限まで刺激した。