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第101話 海人4人

ー/ー



マクダットたちは一斉に槍を向けてきた。
なんというか…全体的な構えがピシッとしていて、いかにも強そうな雰囲気を出している。

「来るなら来い!」
樹が棍を床に刺すと、樹の全身を水色の液体が薄く包み、魔力が露骨に膨れ上がる。
どうやら、自己強化の技を使ったようだ。
さっそく、敵が一人向かってくる。
そいつは、突くと見せかけて一回転して薙ぎ払ってきたが、樹はそれを承知だったのか空高くジャンプし、空中から技を繰り出した。
「棍技 [飛翔の刻印]」
棍を振るい、相手の足元から魔力を噴き出す。

それで相手はひっくり返るかに思われたが、若干ふらついただけで終わり、そのまま落下してきた樹の棍を受け止めた。
そして、そこから技を出した。銘の宣言はなかったが、槍をぐるぐる回して風を起こし、樹を空高く吹き上げ、落下してきた所を切り払う、というものだった。
樹は少しばかりきつそうにしていたが、どうにか相手とやり合っていた。

かくいう俺も負けてはられない。何か、強化技はないかな…と考えたら、ふと閃いた。
「炎法 [ハードバーニング]」
片手を掲げ、炎の力で力と行動速度を上げる。
そして、敵の中の一人に突っ込む。
相手が突き出してきた槍を躱し、さらにそのまま横に振るってきた槍も躱し、後ろにバク転しつつすれ違いざまに相手の胸を切った。

相手は槍に水をまとわせ、剣の斬撃のように続けて2回振るってきた。
当然これもジャンプで躱しつつ、斬りかかる。
防がれたら、適度に押し込みつつ攻撃を外し、左手で魔弾を放つ。
こいつらに火が効くかはわからないが、少なくとも至近で、しかも顔面に魔弾を放てば、防御は困難だろう。

向こうがふらついた隙をついて再びかかる。
その際ちらりと見たのだが、リトとイルもマクダットと交戦している。
一人を一人で相手に…と思いきや、リトには輝、イルには煌汰がついていた。
リトの攻撃を躱しつつ反撃してきた奴には輝が弓を射ち、煌汰と押し合っている奴にはイルが背後から奇襲をかける。

…と思っていたら、俺にも味方がきた。
「[隕石割り]」
突如として柳助が割り込んできて、相手を吹っ飛ばしてくれたのだ。
「柳助!」

「俺も黙っているわけにはいかんからな、助太刀する!」

「!…助かる!」
さらに、樹にも猶が加勢した。
樹が攻撃を食らいそうになった瞬間、猶が飛び込んで短剣でガードした。
「おいおい、俺を忘れんなよな、樹」

「…。そりゃ悪かったな!」

そうして、俺達は基本2対1の戦いを繰り広げた。
部屋が割と広かったこと、向こうが広範囲を攻撃する技や術を使ってこなかったことが幸いし、乱戦にはならなかった。
とは言え、相手はそこそこ強い。槍の技もそうだが、使ってくる水術の威力もそれなりにある。
特に術に関しては、今までのマクダットのそれより明確に威力があった。俺が元来水に弱いとはいえ、他の奴らでもニ、三発もらえば普通に沈むだろう。

なもんで、俺は技よりも術に気をつけて戦った。
まあぶっちゃけどちらも結界で防げるが、魔力がもったいないし、回避のスキルを身に着けておきたかった。
戦ってる途中でうっすら気づいたのだが、このマクダットはおそらく今までの奴らとは違う種族だ。
理由として今までのマクダットより肌の色が濃く、また動きも機敏だ。技と術のグレードも高いし、もしかしたら上位の種族かもしれない。

いずれにせよ、俺は精一杯やった。
今までもそうだったが、強い相手との戦いってことで尚更頑張った。
なるべくこちらの被弾を防げるように、かつ向こうに大きなダメージを与えられるように柳助とサポートし合って戦った。
その結果、どうにか敵を倒す事ができた。さらに、それとほぼ同時に樹と猶、イルと煌汰も相手を倒した。

残るはリトと輝だけだ。加勢しようかとも思ったのだが、二人の戦いぶりを見たらその気持ちは煙のように消えた。
リトは懸命に薙刀を振るい、その体の小ささを活かして攻撃を躱し、打ち合う。
輝は細かな隙を見つけて矢を放ち、リトを助ける。そして、相手が輝の攻撃に気を取られたら、その隙にリトが一歩踏み込んだ攻撃をする。

戦闘の評価をするほど経験はないが、それでもわかる…一見初歩的なように見えるが、実はとても効率がよく難しい戦い方だ。
接近戦で攻める奴と、遠距離で援護する奴に分かれる、というのは誰もが考えつくことだろう。実際、この戦法は簡単な割に使える。
しかし、この戦法を最大限に使いこなそうとすると、話は違ってくる。

この戦法を最大限活かすには、近接担当はなるべく相手の注意を引き付けつつ遠距離担当が攻撃を当てやすいようにする必要があり、遠距離担当は近接担当の邪魔をしないようにしつつ、敵の隙や弱点を的確に狙わなければならない。
これが難しいことは、俺でも何となくイメージできる。
失敗すれば、役割を分けた意味がなくなる。
故に、互いによく経験を積んだ者同士でないとそう簡単には行かないだろう。

しかし、あの2人は現にそれをやってのけている。
それがいかに驚くべきことか、場の全員が理解していた。


やがてリトの技でマクダットは倒れたが、誰もが口をあんぐりと開けていた。
輝はともかく、リトにあんな戦闘のセンスがあったのは驚きだ。

「ふう…終わった。ありがとう」
リトは輝に礼を言ったが、輝もまた言った。

「こっちのセリフだよ。まさか君が、あんなに舞えるなんて思ってなかった」

リトは、照れくさそうに笑った。








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マクダットたちは一斉に槍を向けてきた。なんというか…全体的な構えがピシッとしていて、いかにも強そうな雰囲気を出している。
「来るなら来い!」
樹が棍を床に刺すと、樹の全身を水色の液体が薄く包み、魔力が露骨に膨れ上がる。
どうやら、自己強化の技を使ったようだ。
さっそく、敵が一人向かってくる。
そいつは、突くと見せかけて一回転して薙ぎ払ってきたが、樹はそれを承知だったのか空高くジャンプし、空中から技を繰り出した。
「棍技 [飛翔の刻印]」
棍を振るい、相手の足元から魔力を噴き出す。
それで相手はひっくり返るかに思われたが、若干ふらついただけで終わり、そのまま落下してきた樹の棍を受け止めた。
そして、そこから技を出した。銘の宣言はなかったが、槍をぐるぐる回して風を起こし、樹を空高く吹き上げ、落下してきた所を切り払う、というものだった。
樹は少しばかりきつそうにしていたが、どうにか相手とやり合っていた。
かくいう俺も負けてはられない。何か、強化技はないかな…と考えたら、ふと閃いた。
「炎法 [ハードバーニング]」
片手を掲げ、炎の力で力と行動速度を上げる。
そして、敵の中の一人に突っ込む。
相手が突き出してきた槍を躱し、さらにそのまま横に振るってきた槍も躱し、後ろにバク転しつつすれ違いざまに相手の胸を切った。
相手は槍に水をまとわせ、剣の斬撃のように続けて2回振るってきた。
当然これもジャンプで躱しつつ、斬りかかる。
防がれたら、適度に押し込みつつ攻撃を外し、左手で魔弾を放つ。
こいつらに火が効くかはわからないが、少なくとも至近で、しかも顔面に魔弾を放てば、防御は困難だろう。
向こうがふらついた隙をついて再びかかる。
その際ちらりと見たのだが、リトとイルもマクダットと交戦している。
一人を一人で相手に…と思いきや、リトには輝、イルには煌汰がついていた。
リトの攻撃を躱しつつ反撃してきた奴には輝が弓を射ち、煌汰と押し合っている奴にはイルが背後から奇襲をかける。
…と思っていたら、俺にも味方がきた。
「[隕石割り]」
突如として柳助が割り込んできて、相手を吹っ飛ばしてくれたのだ。
「柳助!」
「俺も黙っているわけにはいかんからな、助太刀する!」
「!…助かる!」
さらに、樹にも猶が加勢した。
樹が攻撃を食らいそうになった瞬間、猶が飛び込んで短剣でガードした。
「おいおい、俺を忘れんなよな、樹」
「…。そりゃ悪かったな!」
そうして、俺達は基本2対1の戦いを繰り広げた。
部屋が割と広かったこと、向こうが広範囲を攻撃する技や術を使ってこなかったことが幸いし、乱戦にはならなかった。
とは言え、相手はそこそこ強い。槍の技もそうだが、使ってくる水術の威力もそれなりにある。
特に術に関しては、今までのマクダットのそれより明確に威力があった。俺が元来水に弱いとはいえ、他の奴らでもニ、三発もらえば普通に沈むだろう。
なもんで、俺は技よりも術に気をつけて戦った。
まあぶっちゃけどちらも結界で防げるが、魔力がもったいないし、回避のスキルを身に着けておきたかった。
戦ってる途中でうっすら気づいたのだが、このマクダットはおそらく今までの奴らとは違う種族だ。
理由として今までのマクダットより肌の色が濃く、また動きも機敏だ。技と術のグレードも高いし、もしかしたら上位の種族かもしれない。
いずれにせよ、俺は精一杯やった。
今までもそうだったが、強い相手との戦いってことで尚更頑張った。
なるべくこちらの被弾を防げるように、かつ向こうに大きなダメージを与えられるように柳助とサポートし合って戦った。
その結果、どうにか敵を倒す事ができた。さらに、それとほぼ同時に樹と猶、イルと煌汰も相手を倒した。
残るはリトと輝だけだ。加勢しようかとも思ったのだが、二人の戦いぶりを見たらその気持ちは煙のように消えた。
リトは懸命に薙刀を振るい、その体の小ささを活かして攻撃を躱し、打ち合う。
輝は細かな隙を見つけて矢を放ち、リトを助ける。そして、相手が輝の攻撃に気を取られたら、その隙にリトが一歩踏み込んだ攻撃をする。
戦闘の評価をするほど経験はないが、それでもわかる…一見初歩的なように見えるが、実はとても効率がよく難しい戦い方だ。
接近戦で攻める奴と、遠距離で援護する奴に分かれる、というのは誰もが考えつくことだろう。実際、この戦法は簡単な割に使える。
しかし、この戦法を最大限に使いこなそうとすると、話は違ってくる。
この戦法を最大限活かすには、近接担当はなるべく相手の注意を引き付けつつ遠距離担当が攻撃を当てやすいようにする必要があり、遠距離担当は近接担当の邪魔をしないようにしつつ、敵の隙や弱点を的確に狙わなければならない。
これが難しいことは、俺でも何となくイメージできる。
失敗すれば、役割を分けた意味がなくなる。
故に、互いによく経験を積んだ者同士でないとそう簡単には行かないだろう。
しかし、あの2人は現にそれをやってのけている。
それがいかに驚くべきことか、場の全員が理解していた。
やがてリトの技でマクダットは倒れたが、誰もが口をあんぐりと開けていた。
輝はともかく、リトにあんな戦闘のセンスがあったのは驚きだ。
「ふう…終わった。ありがとう」
リトは輝に礼を言ったが、輝もまた言った。
「こっちのセリフだよ。まさか君が、あんなに舞えるなんて思ってなかった」
リトは、照れくさそうに笑った。