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SCENE135 迷路プロジェクト、難航中

ー/ー



「うーん、こんな感じかなぁ……」

 僕は迷路の設計図をだいぶ完成させていた。さすがに実際に迷路を作るにはダンジョンポイントを消費しなければならないので、前に衣織お姉さんが持ってきてくれたノートに図案を書き込んでいた。

「どんな感じなのですかね」

 ラティナさんが覗き込んでくる。
 僕はノートをラティナさんに見せると、じーっとノートを見つめている。

「ウィンク様、ちょっとよろしいでしょうか」

「はい、なんでしょうか」

 ラティナさんが僕を見ながら、なんだか複雑な表情をしている。

「この迷路ですけれど、どこがスタートで、どこがゴールなのでしょうか」

「はっ!」

 ノートを見たラティナさんにものすごく当たり前な指摘をされてしまった。
 そうだった。迷路の形ばかり考えていて、肝心のスタートとゴールを書き込むのを忘れてたよ。何やってるんだよ、僕ぅっ!
 僕が慌てふためく様子を見て、ラティナさんがおかしそうに笑ってしまっていた。そこまで笑っちゃう?
 ラティナさんの反応に困りながらも、僕は書いた図面を改めて確認しながら、スタートとゴールの位置を設定する。これならこことここかなと、『S』と『G』の文字を書き込む。

「あら、それはなんて書いてありますのかしら」

 ラティナさんが再び指摘を入れてくる。

「うん、僕の世界の言葉で、こっちがスタートの頭文字で、こっちはゴールの頭文字なんだ」

「まあ、そうなんですね。なるほど、勉強になりました」

 ラティナさんはとても素直に反応してくれている。漫画なんかで見たことはあるけれど、お嬢様ってやっぱり違うんだなぁって思わされるな。
 とりあえず、全体的な迷路のイメージはでき上がったから、どこに宝箱と罠を仕掛けていくか考えないとね。キラーアントっていう例外はいるけれど、基本的には僕のダンジョンは非戦闘系だからね。

「うーん、行き詰まってきたから、ちょっと気分転換でもしようかな」

「どうなさるのですか?」

 僕はちょっと困ってしまったので、隠し部屋の方へと一度移動していく。ラミアの体のせいで歩いているっていう感覚じゃないよ。
 僕の急な行動に、ラティナさんは戸惑っているみたいだ。
 だけど、とりあえずラティナさんの反応は放っておいて、僕は配信ドローンを持ってラティナさんのところに戻ってきた。

「やっぱり、気分転換には配信がいいですよ。それじゃ始めますよ」

「えっ、えっ。わ、分かりました」

 僕がにこりと笑うと、ラティナさんは混乱している気持ちを落ち着かせるために軽く咳払いをしていた。
 僕はラティナさんが落ち着くのを確認すると、ドローンを起動して配信を始める。

「みなさん、こんにちは。ダンジョンマスターのウィンクです」

「あの、こんにちは。ラティナ・ロックウェルです」

 ドローンに向かって僕たちは挨拶をする。

『こんらみあー』

『ウィンクちゃんとラティナちゃんだ』

 目の前の画面内に、視聴者さんたちのコメントが流れていく。相変わらず配信を始めると秒で視聴を始めてくれる。すごいなぁ、みんな。

『今日はどんな配信なんだろう』

 おっと、視聴者さんが何かを期待しているみたいだ。
 僕はちょっと考えながらも、正直に話すことにした。

「あっ、特に今日は話題はないです。いやぁ、ダンジョン内の迷路を考えていて、ちょっと行き詰まってきたので、気分転換にみなさんとお話がしたくなりましてね」

『なるほど』

『根を詰めすぎて、気を紛らわせようとしてるってことか』

『わかるマン』

 僕の言葉を聞いて、視聴者さんたちは案外すんなりと理解してしまったみたいだ。みんなすごいなぁ。

「そんなわけで、今日はみなさんとお話をするだけの配信です。答えられる範囲であるなら、できる限りは答えていこうと思います」

 僕はにっこりと微笑んでみる。
 そしたら、みんな黙っちゃったんだけど、一体どうしたんだろう。

「えっと、みなさん……?」

『ああ、可愛すぎる』

『こんな子がモンスターだなんて信じられない』

『ああ、遠方に住んでなきゃ会いに行きたいのにぃっ!』

「ええっと……」

 視聴者さんたちの反応に、僕はついつい戸惑ってしまう。

「ふふっ。ウィンク様は人気者ですね」

「ら、ラティナさん」

『ああ、てえてえ・・・』

『み゜っ』

「ちょっと、みなさん?!」

 ラティナさんが笑うものだから僕が困っていると、視聴さんたちの様子もなんかおかしい。
 ねえ、ちょっと一体何が起きてるってわけ?

「まあまあ、ウィンク様。平和そうなのでよいではないですか。みなさま、よろしければ異界のお話でも、少しお聞きになりますか?」

『おっ、いいね』

『モンスターたちの故郷かぁ、気になるなぁ』

「あっ、それは僕も気になるな。僕はモンスターとなったけどこっちの世界の人間だから、よく分からないんだよね」

「まあ、ウィンク様には少しお話したといいますのに」

 僕も反応を示すと、ラティナさんはくすくすと笑っている。
 というわけで、ラティナさんが話題を提供してくれたおかげで、今日の配信も結構盛り上がっていた。
 なんだかラティナさんに借りを作っちゃった気がするけれど、まぁいっかな。

「はい、そんなわけで、ちょっと長くなってしまいましたが、このくらいにしておきましょう」

『ええー……』

 僕が打ち切ろうとすると、視聴者さんたちは残念そうにしている。

「一気に情報を出し過ぎても混乱するだけじゃないですか。それに、あんまり時間を長くしてみなさんを引きとめちゃいますと、他の配信者の人たちの迷惑ですし」

『ウィンクちゃんは優しいなぁ』

『そこまで言われちゃ仕方がない』

『うん、次の楽しみにしておこう』

 そんなわけで、視聴者さんたちが理解してくれたので、今日のところはここで配信を終わりにしたよ。
 また次回までにいろいろ話題を作っておかないとね、うん。


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次のエピソードへ進む SCENE136 妹からの電話


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「うーん、こんな感じかなぁ……」
 僕は迷路の設計図をだいぶ完成させていた。さすがに実際に迷路を作るにはダンジョンポイントを消費しなければならないので、前に衣織お姉さんが持ってきてくれたノートに図案を書き込んでいた。
「どんな感じなのですかね」
 ラティナさんが覗き込んでくる。
 僕はノートをラティナさんに見せると、じーっとノートを見つめている。
「ウィンク様、ちょっとよろしいでしょうか」
「はい、なんでしょうか」
 ラティナさんが僕を見ながら、なんだか複雑な表情をしている。
「この迷路ですけれど、どこがスタートで、どこがゴールなのでしょうか」
「はっ!」
 ノートを見たラティナさんにものすごく当たり前な指摘をされてしまった。
 そうだった。迷路の形ばかり考えていて、肝心のスタートとゴールを書き込むのを忘れてたよ。何やってるんだよ、僕ぅっ!
 僕が慌てふためく様子を見て、ラティナさんがおかしそうに笑ってしまっていた。そこまで笑っちゃう?
 ラティナさんの反応に困りながらも、僕は書いた図面を改めて確認しながら、スタートとゴールの位置を設定する。これならこことここかなと、『S』と『G』の文字を書き込む。
「あら、それはなんて書いてありますのかしら」
 ラティナさんが再び指摘を入れてくる。
「うん、僕の世界の言葉で、こっちがスタートの頭文字で、こっちはゴールの頭文字なんだ」
「まあ、そうなんですね。なるほど、勉強になりました」
 ラティナさんはとても素直に反応してくれている。漫画なんかで見たことはあるけれど、お嬢様ってやっぱり違うんだなぁって思わされるな。
 とりあえず、全体的な迷路のイメージはでき上がったから、どこに宝箱と罠を仕掛けていくか考えないとね。キラーアントっていう例外はいるけれど、基本的には僕のダンジョンは非戦闘系だからね。
「うーん、行き詰まってきたから、ちょっと気分転換でもしようかな」
「どうなさるのですか?」
 僕はちょっと困ってしまったので、隠し部屋の方へと一度移動していく。ラミアの体のせいで歩いているっていう感覚じゃないよ。
 僕の急な行動に、ラティナさんは戸惑っているみたいだ。
 だけど、とりあえずラティナさんの反応は放っておいて、僕は配信ドローンを持ってラティナさんのところに戻ってきた。
「やっぱり、気分転換には配信がいいですよ。それじゃ始めますよ」
「えっ、えっ。わ、分かりました」
 僕がにこりと笑うと、ラティナさんは混乱している気持ちを落ち着かせるために軽く咳払いをしていた。
 僕はラティナさんが落ち着くのを確認すると、ドローンを起動して配信を始める。
「みなさん、こんにちは。ダンジョンマスターのウィンクです」
「あの、こんにちは。ラティナ・ロックウェルです」
 ドローンに向かって僕たちは挨拶をする。
『こんらみあー』
『ウィンクちゃんとラティナちゃんだ』
 目の前の画面内に、視聴者さんたちのコメントが流れていく。相変わらず配信を始めると秒で視聴を始めてくれる。すごいなぁ、みんな。
『今日はどんな配信なんだろう』
 おっと、視聴者さんが何かを期待しているみたいだ。
 僕はちょっと考えながらも、正直に話すことにした。
「あっ、特に今日は話題はないです。いやぁ、ダンジョン内の迷路を考えていて、ちょっと行き詰まってきたので、気分転換にみなさんとお話がしたくなりましてね」
『なるほど』
『根を詰めすぎて、気を紛らわせようとしてるってことか』
『わかるマン』
 僕の言葉を聞いて、視聴者さんたちは案外すんなりと理解してしまったみたいだ。みんなすごいなぁ。
「そんなわけで、今日はみなさんとお話をするだけの配信です。答えられる範囲であるなら、できる限りは答えていこうと思います」
 僕はにっこりと微笑んでみる。
 そしたら、みんな黙っちゃったんだけど、一体どうしたんだろう。
「えっと、みなさん……?」
『ああ、可愛すぎる』
『こんな子がモンスターだなんて信じられない』
『ああ、遠方に住んでなきゃ会いに行きたいのにぃっ!』
「ええっと……」
 視聴者さんたちの反応に、僕はついつい戸惑ってしまう。
「ふふっ。ウィンク様は人気者ですね」
「ら、ラティナさん」
『ああ、てえてえ・・・』
『み゜っ』
「ちょっと、みなさん?!」
 ラティナさんが笑うものだから僕が困っていると、視聴さんたちの様子もなんかおかしい。
 ねえ、ちょっと一体何が起きてるってわけ?
「まあまあ、ウィンク様。平和そうなのでよいではないですか。みなさま、よろしければ異界のお話でも、少しお聞きになりますか?」
『おっ、いいね』
『モンスターたちの故郷かぁ、気になるなぁ』
「あっ、それは僕も気になるな。僕はモンスターとなったけどこっちの世界の人間だから、よく分からないんだよね」
「まあ、ウィンク様には少しお話したといいますのに」
 僕も反応を示すと、ラティナさんはくすくすと笑っている。
 というわけで、ラティナさんが話題を提供してくれたおかげで、今日の配信も結構盛り上がっていた。
 なんだかラティナさんに借りを作っちゃった気がするけれど、まぁいっかな。
「はい、そんなわけで、ちょっと長くなってしまいましたが、このくらいにしておきましょう」
『ええー……』
 僕が打ち切ろうとすると、視聴者さんたちは残念そうにしている。
「一気に情報を出し過ぎても混乱するだけじゃないですか。それに、あんまり時間を長くしてみなさんを引きとめちゃいますと、他の配信者の人たちの迷惑ですし」
『ウィンクちゃんは優しいなぁ』
『そこまで言われちゃ仕方がない』
『うん、次の楽しみにしておこう』
 そんなわけで、視聴者さんたちが理解してくれたので、今日のところはここで配信を終わりにしたよ。
 また次回までにいろいろ話題を作っておかないとね、うん。