表示設定
表示設定
目次 目次




SCENE134 遠い遠い目標

ー/ー



「ふわぁ……。やっぱり、死に戻りできる復活機能が欲しいなぁ……」

 僕は、セイレーンさんの配信を見てそう思った。うっかりやらかしても、相手を殺さずに済むんだもん。いや、本当は殺しちゃってるんだけど、生き返るから、ね。
 でも、復活させるための設備は100万ダンジョンポイントと、それは破格の高さだ。
 ちなみにだけど、僕が復活できるようにするためのダンジョンボス用のシステムは200万ダンジョンポイント。もう夢のまた夢、気の遠くなる道のりだよ。
 探索者用の復活システム。実は二種類あって、その両方をそろえようと思うと200万ダンジョンポイントが必要なんだよね。ダンジョン内で誰も死なないようにするとなると、全部で500万ダンジョンポイントが必要なんだよ。
 とてもじゃないけれど、今の僕だとどれだけかかるか分かったものじゃない。
 配信によるポイント収入も限定的だし、なんとしてももっとポイントを稼がなければならない。
 ああ、ダンジョンマスターって大変なんだなぁ。

「ウィンク様、どうなされたのですか?」

 ダンジョンで一緒に生活しているラティナさんが声をかけてくる。

「ラティナさん……」

 僕はため息をついた後の困った顔のまま振り向いてしまう。

「まあ、顔色がよろしくありませんね。少しおやすみになられたらどうでしょうか」

 ラティナさんは僕の顔色を見て慌ててしまっている。そんなに悪い顔色かなぁって思うよ。

「大丈夫ですよ、ラティナさん。ちょっとダンジョンのことで悩んでいただけですから」

「そ、そうですか?」

 僕が言い訳をしてみたところで、ラティナさんの心配そうな表情は変わらなかった。本気で心配してくれているみたいだ。

「いやぁ、ダンジョンポイントを稼ぎたいんですけれど、なかなか増えないからどうしたらいいかなって、そんなことを考えていただけなんですよ」

「ああ、そうだったんですね」

 正直なことを話すと、ラティナさんは安心した様子を見せていた。
 だけど、すぐに僕に質問をしてきたよ。

「配信というものだけで、稼げないのですか?」

「うーん、それが思ったより増えてないんだよね。僕の種族特性からすれば、もっと増えてもいいと思うんだけどね。難しいなぁ……」

 僕は改めてダンジョンコアを呼び出してポイントを確認してみる。
 配信を重ねていることもあって、ようやく20万くらいまでポイントは貯まってきた。でも、100万ポイントは遠すぎる。この調子じゃ何年かかるのか分かったものじゃないよ。
 あっ、ちなみにだけど最近一番増えたのは、ギルド『パラダイス』の連中が押し入った時だよ。あれで15万くらい増えたからなぁ。
 でも、ダンジョン改造によるポイント消費は多くて、あんまり貯まっていかないんだよね。15万増えても20万ちょっとって、どれだけ普段からポイント使ってるんだって感じだよ。
 ダンジョン改造や日々の生活によって、ポイントは容赦なく減っていくからね、しょうがないね。

「バトラーによれば、ダンジョン内で探索者を倒せばポイントは増えるって言ってたからなぁ。この間の15万ポイントもそのせいなんだろうね」

「そうですね。ですが、やはり人の命を奪うというのは、私たちにとってはとてもつらいものです。自分たちを守るためとはいえ、やはり……」

 ラティナさんもやっぱり命を奪うのは躊躇するみたいだ。
 だから、セイレーンさんもあれだけ初期投資を行って復活システムを入れたんだろうなぁ。間違って殺しちゃっても、死なないようにすれば気持ちが少しは楽になるってことなんだろう。
 ああ、気持ちが落ち込んできちゃう。
 よし、ここは話を切り替えよう。

「ラティナさん」

「はい、なんでしょうか、ウィンク様」

 僕が声をかけると、ラティナさんはびっくりしながらも返事をしていた。

「この迷路ですけれど、ラティナさんから見てどうですかね」

「はい。ちょっと見させて頂きますね」

 僕は作りかけの迷路をラティナさんにチェックしてもらう。僕だけだと単純な迷路になりがちだから、他の人の意見というのは大事なんだよね。

「どれどれ、我にも見せていただけますかな」

 ひょっこりとバトラーが顔を出してくる。

「あっ、バトラー。仕事は終わったの?」

「はい。ダンジョン管理局との定期的な更新は終わりましたぞ」

「それって、異界の方?」

「ですな。このダンジョン、意図的に空ダンジョンにしておりましたから、どのようになっているか時折報告せねばなりませんのでね」

「うっわぁ。それって、僕は監視対象ってことなの?」

「そういうことですな。ああ、ラティナ様のことは報告しておりませんよ。どうせ、あちらからこちらのことは分からぬのですからな」

 バトラーはそんなことを言いながら、にこにことした笑顔を浮かべていた。
 これだけ機嫌のいいバトラーもなかなか見ない感じだな。
 僕はそんな風に思いながらも、二人と一緒にダンジョン内迷路についてあれこれと議論を交わした。
 この調子なら、そう遠くないうちにダンジョンの新しいアトラクションが完成しそうだよ。
 さあ、頑張って貯めるぞ、500万ダンジョンポイント。
 目指せ、復活システム。


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む SCENE135 迷路プロジェクト、難航中


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



「ふわぁ……。やっぱり、死に戻りできる復活機能が欲しいなぁ……」
 僕は、セイレーンさんの配信を見てそう思った。うっかりやらかしても、相手を殺さずに済むんだもん。いや、本当は殺しちゃってるんだけど、生き返るから、ね。
 でも、復活させるための設備は100万ダンジョンポイントと、それは破格の高さだ。
 ちなみにだけど、僕が復活できるようにするためのダンジョンボス用のシステムは200万ダンジョンポイント。もう夢のまた夢、気の遠くなる道のりだよ。
 探索者用の復活システム。実は二種類あって、その両方をそろえようと思うと200万ダンジョンポイントが必要なんだよね。ダンジョン内で誰も死なないようにするとなると、全部で500万ダンジョンポイントが必要なんだよ。
 とてもじゃないけれど、今の僕だとどれだけかかるか分かったものじゃない。
 配信によるポイント収入も限定的だし、なんとしてももっとポイントを稼がなければならない。
 ああ、ダンジョンマスターって大変なんだなぁ。
「ウィンク様、どうなされたのですか?」
 ダンジョンで一緒に生活しているラティナさんが声をかけてくる。
「ラティナさん……」
 僕はため息をついた後の困った顔のまま振り向いてしまう。
「まあ、顔色がよろしくありませんね。少しおやすみになられたらどうでしょうか」
 ラティナさんは僕の顔色を見て慌ててしまっている。そんなに悪い顔色かなぁって思うよ。
「大丈夫ですよ、ラティナさん。ちょっとダンジョンのことで悩んでいただけですから」
「そ、そうですか?」
 僕が言い訳をしてみたところで、ラティナさんの心配そうな表情は変わらなかった。本気で心配してくれているみたいだ。
「いやぁ、ダンジョンポイントを稼ぎたいんですけれど、なかなか増えないからどうしたらいいかなって、そんなことを考えていただけなんですよ」
「ああ、そうだったんですね」
 正直なことを話すと、ラティナさんは安心した様子を見せていた。
 だけど、すぐに僕に質問をしてきたよ。
「配信というものだけで、稼げないのですか?」
「うーん、それが思ったより増えてないんだよね。僕の種族特性からすれば、もっと増えてもいいと思うんだけどね。難しいなぁ……」
 僕は改めてダンジョンコアを呼び出してポイントを確認してみる。
 配信を重ねていることもあって、ようやく20万くらいまでポイントは貯まってきた。でも、100万ポイントは遠すぎる。この調子じゃ何年かかるのか分かったものじゃないよ。
 あっ、ちなみにだけど最近一番増えたのは、ギルド『パラダイス』の連中が押し入った時だよ。あれで15万くらい増えたからなぁ。
 でも、ダンジョン改造によるポイント消費は多くて、あんまり貯まっていかないんだよね。15万増えても20万ちょっとって、どれだけ普段からポイント使ってるんだって感じだよ。
 ダンジョン改造や日々の生活によって、ポイントは容赦なく減っていくからね、しょうがないね。
「バトラーによれば、ダンジョン内で探索者を倒せばポイントは増えるって言ってたからなぁ。この間の15万ポイントもそのせいなんだろうね」
「そうですね。ですが、やはり人の命を奪うというのは、私たちにとってはとてもつらいものです。自分たちを守るためとはいえ、やはり……」
 ラティナさんもやっぱり命を奪うのは躊躇するみたいだ。
 だから、セイレーンさんもあれだけ初期投資を行って復活システムを入れたんだろうなぁ。間違って殺しちゃっても、死なないようにすれば気持ちが少しは楽になるってことなんだろう。
 ああ、気持ちが落ち込んできちゃう。
 よし、ここは話を切り替えよう。
「ラティナさん」
「はい、なんでしょうか、ウィンク様」
 僕が声をかけると、ラティナさんはびっくりしながらも返事をしていた。
「この迷路ですけれど、ラティナさんから見てどうですかね」
「はい。ちょっと見させて頂きますね」
 僕は作りかけの迷路をラティナさんにチェックしてもらう。僕だけだと単純な迷路になりがちだから、他の人の意見というのは大事なんだよね。
「どれどれ、我にも見せていただけますかな」
 ひょっこりとバトラーが顔を出してくる。
「あっ、バトラー。仕事は終わったの?」
「はい。ダンジョン管理局との定期的な更新は終わりましたぞ」
「それって、異界の方?」
「ですな。このダンジョン、意図的に空ダンジョンにしておりましたから、どのようになっているか時折報告せねばなりませんのでね」
「うっわぁ。それって、僕は監視対象ってことなの?」
「そういうことですな。ああ、ラティナ様のことは報告しておりませんよ。どうせ、あちらからこちらのことは分からぬのですからな」
 バトラーはそんなことを言いながら、にこにことした笑顔を浮かべていた。
 これだけ機嫌のいいバトラーもなかなか見ない感じだな。
 僕はそんな風に思いながらも、二人と一緒にダンジョン内迷路についてあれこれと議論を交わした。
 この調子なら、そう遠くないうちにダンジョンの新しいアトラクションが完成しそうだよ。
 さあ、頑張って貯めるぞ、500万ダンジョンポイント。
 目指せ、復活システム。