第97話 過激派壊滅作戦
ー/ー作戦会議の最中、ちょくちょくここの状況やここで今まで起こった事を聞いた。
マクダットはこのあたりの海域を偵察し、見つけた海人を手当たり次第に捕まえてここに連れてきているらしく、水守人の他にも全体が魚に似たフォルムの「魚人」、本来は水守人と同様に浅い海域を漂って生活する「海姫」などの種族がいるらしい。
ここで暮らしている海人達は、普段の生活には大して干渉されないが、マクダットや海人を批判したり、陸に興味を示すような言動をするとたちまち奴らが飛んでくるという。
「外ではいつ、誰に、どこから見られてるかわからない。だから、例え家族との会話であっても、自由な発言ができないんです」と、イルは言っていた。
それで思った。
家の中まで監視されていなくて、よかったと。
もしそうだったら、こうして会議をすることも出来なかっただろう。
ちなみに、奴らの最終的な目的は、リトたちは正確には知らないそうだが、おそらくは地上の連中を滅ぼすことだろう、とのことだった。
また、やはりというかリトの他にもここから脱走した者は少なくないようだ。
当然、見つかればタダでは済まない。だが、本来自由である海人達にとって、監視、束縛、言論統制のトリプルコンボは耐え難いもの。本来の生活を取り戻すため、危険を冒して外へ出たのだろう、とイルは言う。
まったく持ってその通りだろう。実際、リトも元の生活を取り戻すために俺達に助けを求めにきたわけであるし。
しかし、ここ数日間は脱走する者も減った。
その理由は2つ。リトを脱走させたとしてイルの両親が殺された事が知れ渡り、家族や知人に危害が及ぶことを恐れて脱走する者が減ったこと。
そして、例え脱走できてもこの海域をマクダットがうろついているため、見つかって連れ戻される者が多くいること。
周辺海域をマクダットがうろついていることはリトもすっかり忘れていたというが、俺達がここに来る時に見つからなかったのは奇跡か、あるいはそう望まれての事だったのであろう。
色々聞いたが、聞けば聞くほど悲惨で辛い状況である事が伝わってきた。
やはり、このままにはしておけない。
肝心の作戦会議だが、こちらも相手に負けず数が多いこと、向こうの行動パターンがきっちりしていたこと、そもそもの作戦が恐ろしい程シンプルであること、そして、リトとイルが奴らの本拠地や行動日程をおおまかにだが知っていたことが幸いし、さして複雑な話し合いにはならなかった。
そして決まった作戦も、要約すると奇襲をかけて普通に攻め落とすだけのものであった。
相手が大して頭がいいわけでもなかったのもまた、幸いした点だろうか。
この集落はどちらかというと城下町に近いものになっているようで、奥に行くと海人…もといマクダット達の本拠地となっている「清海宮」という建物があり、夜間はその周りを複数人のマクダットが巡回しているが、昼間にはその人数がめっきり減るらしい。
海人は昼に眠るものが多いので、そのせいだろうとの事だ。
作戦はこうだ。
夜明けにマクダットが巡回に来る。それがいなくなったら少し待ち、気づかれないように透明魔法を使って清海宮へ向かう。
清海宮に着いたら一度分散し、宮殿周辺の見張りの連中をすべて倒す。それが終わったら集合し、正門から宮殿内部へ入る。
あとはみんなで突撃し、マクダットを一人残らず撃破する。
その際、捕まっている海人がいたら助け出す。
そうしてマクダットを倒しつつ進み、最深部の玉座にいるらしい奴らのボスを仕留める。
この時、背後から増援が来る可能性もあるので、はさみ撃ちにされないよう何人かを玉座の間の入り口に残し、俺、輝、猶、樹、リト、イルで部屋に突撃する。
ちなみに、リトとイルはボスの首切り役を希望した。
「奴らは私達を虐げ、私達兄妹から両親を奪った。その報いを、私達が受けさせてやる!」
リトの力強い口調から、並々ならぬ怒りと悲しみが伝わってきた。
とは言え、マクダットは武装集団である。
どれくらいの実力があるかはわからないが、用心した方が良いのは言うまでもない。
「何か、奴らを一撃で牽制できるような方法はないかな?」
そう発言すると、何人かから返事が返ってきた。
「魔法で音波を放つのがいいんじゃないか?海人は音波に弱いって聞いたことあるし」
「電魔法を使いましょう。海人の弱点と言えば、電気ですから」
「凍らせる、っていうのもアリだと思うぜ。瞬間的に凍らせれば、簡単にやっつけれる」
音波の魔法ってどんなのか見当つかないな…というのはさておき、結構いい案を出してもらえた気がする。
そこで、こう言った。
「なら、各自で良さげな方法を取ってくれ。念の為、1つのグループに1人は今出たような魔法を使えるやつがいてくれると助かるな」
その結果、半分以上のメンバーがいずれかの魔法を使うことにしていた。
魔法が苦手だと言っていた秀典でさえ、音波の魔法を使うと言っていた。
ちなみに、柳助は「音波か…アレは嫌いだ」と言っていた。
地属性であり、砂や土を操る事もできる柳助は、音波攻撃は食らうのも見るのも苦手らしい。
セルクはやはりというか電魔法を使うらしい。
立ち上がり、魔導書を片手にうっすら微笑み、肩の高さで右手にパチパチと火花を散らせ、準備万端だ。
その様子を見て、イル達が怯えていた。
どうやら、海人が電気に弱いというのは事実のようだ。
煌汰や吏廻流は氷魔法でいくらしい。
煌汰はともかく、吏廻流は意外だ。
苺が音波の魔法を使うと宣言していたので、被らないようにしたのかもしれないが。
とまあそんな感じで、今日はここで宿泊することになった。
さすがにベッドはないので、みんな部屋のあちこちでごろ寝をした。
水中だからか寒くも暑くもなく、ちょうどいい温度ですぐに眠
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
おすすめ作品を読み込み中です…
作者の他の作品
この作者の他作品はありません。
この作品と似た作品
似た傾向の作品は見つかりませんでした。
この作品を読んだ人が読んでいる作品
読者の傾向からおすすめできる作品がありませんでした。
おすすめ作品は現在準備中です。
おすすめ作品の取得に失敗しました。時間をおいて再度お試しください。