「よぉ!マリリシャじゃねぇか!
オマエこの間は、
オークの群れをやったんだって?
しかも単騎で!」
酔っ払いのデカい声。
ギルドのいつもの日常。
「あんな図体デカいだけの豚なんか余裕だよ」
とりあえずテキトーに返して
受け付けへ向かう。
「依頼完了したよ。確認よろしく」
「はい!かしこまり!」
相変わらず軽い受け付け嬢だな。
あ。怒られてやがる。
「毒消し草20束、麻痺草20束、
確かに確認しました。
ギルドカードをお返しします。
それにしても、採取依頼なんて
珍しいですね?」
「ん? あぁ。
知り合いの薬屋のばぁちゃんから、
受けてくれって頼まれてさ。
最近、常設依頼やる奴少ねぇのか?」
「最近は、新人さんが減って来てしまって。
みんな討伐依頼とか護衛依頼ばっかり、
受けるようになっちゃって困ってますぅ」
確かに採取なんて、稼ぎにならないから
ちょっとでも腕に自信のある奴なら、
討伐依頼を受けるよな。
「まぁ、困ったらアタシに言いなよ。
採取依頼でも、子猫探しでも掃除でも、
何でもやるからよー」
スカートを翻し出口へ向かう。
「しっかしマリリシャよぉ。
そんなフリフリの格好で
戦いにくくねぇのかぁ?」
「あ? 別に、慣れりゃ平気だよ。
重い鎧よりは全然いいね」
扉のベルの音を残して、ギルドを後にする。
宿の部屋で、夕暮れを眺めながら、
ギルドを出る間際のやりとりを
思い出し独りごちる。
「あいつの " 好き " を否定したく無いからだよ」
それにしても、
「まだ王子様やってそうだなぁ」
ふぅ。とため息を吐いて、鎧戸を閉めた。