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第94話 合戦

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 第一種戦闘配置発令に伴い、朝風の艦橋では照明の照度が落とされ、映像表示と計器類のディスプレイの明かりがくっきりと見えた。

「敵、百キロメートル圏に入りました」と通信科のエリカ。

「射撃準備して!」と艦長の恵子。

「レールガン、一番から三十六番まで、速射モードで射撃準備!」と砲雷長の早苗。

「朝風、撃ち方はじめ」と艦隊司令のリリス。

「撃ち方はじめ!」と恵子。

「目標は百キロメートル圏に入った正面の敵よ。撃て!」と早苗。

 約十秒後、敵艦隊への着弾による爆発の閃光が観測された。

「前衛のベータクラス二体の崩壊を確認しました」と通信科のエリカ。

「有効だな」とリリス。「全艦、撃ち方はじめ」


「後方からも敵が近づいてきます」と恵子。

「最後尾の高雄に攻撃させろ」とリリス。


「デルタクラス、ガンマクラスの敵編隊が西経九十三度、南緯十二度より減速しながら接近中です。現在の距離五百二十キロメートル。多すぎて数えられません」とエリカ。「三分以内に接触します」

「各艦長に伝達。左舷の敵編隊を核砲弾でまとめて始末しろ。三十キロ圏まで近づいたらパルスレーザー砲で撃ち落とせ」とリリス。

「伝達して!」と恵子。

「了解しました」とエリカ。


「第一波来ます」とエリカ。

 敵の残骸が朝風の船体に衝突して艦が振動した。

「春日から火が出ています」とエリカ。

「春日の艦長を呼び出せ」とリリス。

 春日の艦長、香川洋一の上半身が正面モニターに映し出された。

「大丈夫か?」とリリス。

「敵の体当たりを受けて、後部航空甲板を損傷しました。しかし、かすり傷です」と陽一。

「無理するな。脱落する前にカプセルで脱出しろ」とリリス。「今は泳いで助けに行く暇はないぞ」

「了解です」と陽一。


「敵編隊、第二波来ます」とエリカ。

「各艦長に伝達、弾幕を厚くしろ」とリリス。


「早苗、自走砲を出して」と恵子。

「了解」と早苗。「陸戦隊の自走砲をすべて航空甲板に出して! 陸戦隊も応戦に参加するのよ!」


「敵艦隊が接近してきます」と恵子。

「いくら潰してもきりがないな。いくらでも涌いてくる」とリリス。

「敵艦隊、三十キロメートル圏に侵入」と恵子。

「いよいよだな」とリリス。「ミサイル巡洋艦ボーズの艦長を呼び出せ」

 正面のモニターにボーズの艦長、正美・ハーンの姿が映った。

「ようやくお前たちの出番だ」とリリス。「敵がいい具合に接近してきた。これだけ近づけば、奴らのビームでミサイルを撃ち落とすことは不可能だ」

「何発撃ちましょうか?」と正美。

「ありったけ撃て。撃ち尽くすまで撃ち続けろ」とリリス。「近づいてくる敵艦をすべて焼き払ってやれ。低能異星生物どもに地球人類の恐ろしさを教えてやるんだ」

「承知いたしました」と正美は敬礼をした。

「艦隊の総員に遮光ゴーグルをつけさせろ」とリリス。


 核ミサイルが敵艦に当たると温度が百万度を超える火球ができ、明るい光を放った。三十キロ離れていても、失明しかねないほどの強い光が朝風に届いた。前方だけではなく、上方や左舷、右舷でも核ミサイル攻撃による火球が次々と発生した。


「正面より、アルファクラスの敵艦が衝突コースに入りました」とエリカ。

「回避しろ」とリリス。

「綾子、回避して!」と恵子。

「取りかーじ」と航海長の綾子。


「後続はついてきてるか?」とリリス。

「五隻ともついてきています」とエリカ。「ですが、ベルンと高雄から火が出ています」


「さらに二隻、衝突コースに入りました」とエリカ。

「回避して!」と恵子。


「加速して一旦敵をやり過ごす」とリリス。「後続に伝えろ」

「増速!」と恵子。

「加速を二十秒行う」と機関長の舞。


 敵の攻撃がやんだ。

「第一波が通り過ぎたな」とリリス。

「だいぶ母星に近づいたわ」と恵子。

「敵の母星って黄色かったのね」と綾子。

「大気の主成分は硫化硫黄だそうよ」とサキ。

「臭そうだな」とリリス。

「先ほどから、重力波の異常を検知しています」とエリカ。

「なんだと」とリリス。

「西経六十七度、南緯二十度。距離三万キロメートルです」とエリカ。

「ゲート生成か?」とリリス。

「かもしれません」とエリカ。

「レーダーの反応は?」とリリス。

「敵艦が集結しています」とエリカ。

「どういうつもりだ?」とリリス。

「逃げるのでしょうか?」とサキ。

「偵察にウィッチを出せ。護衛にフォックスをつけろ」とリリス。

「航空隊、佐々木大尉。西経六十七度、南緯二十度、距離三万キロメートルの付近をフォックス第一小隊を連れてウィッチで偵察に出てください」
 恵子は無線で伝達した。

「了解した」
 航空隊指揮所にいる孝子が答えた。

「飛行甲板には自走砲が出ていますので、カタパルトを使ってください」とエリカ。

「了解」と孝子。



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 第一種戦闘配置発令に伴い、朝風の艦橋では照明の照度が落とされ、映像表示と計器類のディスプレイの明かりがくっきりと見えた。
「敵、百キロメートル圏に入りました」と通信科のエリカ。
「射撃準備して!」と艦長の恵子。
「レールガン、一番から三十六番まで、速射モードで射撃準備!」と砲雷長の早苗。
「朝風、撃ち方はじめ」と艦隊司令のリリス。
「撃ち方はじめ!」と恵子。
「目標は百キロメートル圏に入った正面の敵よ。撃て!」と早苗。
 約十秒後、敵艦隊への着弾による爆発の閃光が観測された。
「前衛のベータクラス二体の崩壊を確認しました」と通信科のエリカ。
「有効だな」とリリス。「全艦、撃ち方はじめ」
「後方からも敵が近づいてきます」と恵子。
「最後尾の高雄に攻撃させろ」とリリス。
「デルタクラス、ガンマクラスの敵編隊が西経九十三度、南緯十二度より減速しながら接近中です。現在の距離五百二十キロメートル。多すぎて数えられません」とエリカ。「三分以内に接触します」
「各艦長に伝達。左舷の敵編隊を核砲弾でまとめて始末しろ。三十キロ圏まで近づいたらパルスレーザー砲で撃ち落とせ」とリリス。
「伝達して!」と恵子。
「了解しました」とエリカ。
「第一波来ます」とエリカ。
 敵の残骸が朝風の船体に衝突して艦が振動した。
「春日から火が出ています」とエリカ。
「春日の艦長を呼び出せ」とリリス。
 春日の艦長、香川洋一の上半身が正面モニターに映し出された。
「大丈夫か?」とリリス。
「敵の体当たりを受けて、後部航空甲板を損傷しました。しかし、かすり傷です」と陽一。
「無理するな。脱落する前にカプセルで脱出しろ」とリリス。「今は泳いで助けに行く暇はないぞ」
「了解です」と陽一。
「敵編隊、第二波来ます」とエリカ。
「各艦長に伝達、弾幕を厚くしろ」とリリス。
「早苗、自走砲を出して」と恵子。
「了解」と早苗。「陸戦隊の自走砲をすべて航空甲板に出して! 陸戦隊も応戦に参加するのよ!」
「敵艦隊が接近してきます」と恵子。
「いくら潰してもきりがないな。いくらでも涌いてくる」とリリス。
「敵艦隊、三十キロメートル圏に侵入」と恵子。
「いよいよだな」とリリス。「ミサイル巡洋艦ボーズの艦長を呼び出せ」
 正面のモニターにボーズの艦長、正美・ハーンの姿が映った。
「ようやくお前たちの出番だ」とリリス。「敵がいい具合に接近してきた。これだけ近づけば、奴らのビームでミサイルを撃ち落とすことは不可能だ」
「何発撃ちましょうか?」と正美。
「ありったけ撃て。撃ち尽くすまで撃ち続けろ」とリリス。「近づいてくる敵艦をすべて焼き払ってやれ。低能異星生物どもに地球人類の恐ろしさを教えてやるんだ」
「承知いたしました」と正美は敬礼をした。
「艦隊の総員に遮光ゴーグルをつけさせろ」とリリス。
 核ミサイルが敵艦に当たると温度が百万度を超える火球ができ、明るい光を放った。三十キロ離れていても、失明しかねないほどの強い光が朝風に届いた。前方だけではなく、上方や左舷、右舷でも核ミサイル攻撃による火球が次々と発生した。
「正面より、アルファクラスの敵艦が衝突コースに入りました」とエリカ。
「回避しろ」とリリス。
「綾子、回避して!」と恵子。
「取りかーじ」と航海長の綾子。
「後続はついてきてるか?」とリリス。
「五隻ともついてきています」とエリカ。「ですが、ベルンと高雄から火が出ています」
「さらに二隻、衝突コースに入りました」とエリカ。
「回避して!」と恵子。
「加速して一旦敵をやり過ごす」とリリス。「後続に伝えろ」
「増速!」と恵子。
「加速を二十秒行う」と機関長の舞。
 敵の攻撃がやんだ。
「第一波が通り過ぎたな」とリリス。
「だいぶ母星に近づいたわ」と恵子。
「敵の母星って黄色かったのね」と綾子。
「大気の主成分は硫化硫黄だそうよ」とサキ。
「臭そうだな」とリリス。
「先ほどから、重力波の異常を検知しています」とエリカ。
「なんだと」とリリス。
「西経六十七度、南緯二十度。距離三万キロメートルです」とエリカ。
「ゲート生成か?」とリリス。
「かもしれません」とエリカ。
「レーダーの反応は?」とリリス。
「敵艦が集結しています」とエリカ。
「どういうつもりだ?」とリリス。
「逃げるのでしょうか?」とサキ。
「偵察にウィッチを出せ。護衛にフォックスをつけろ」とリリス。
「航空隊、佐々木大尉。西経六十七度、南緯二十度、距離三万キロメートルの付近をフォックス第一小隊を連れてウィッチで偵察に出てください」
 恵子は無線で伝達した。
「了解した」
 航空隊指揮所にいる孝子が答えた。
「飛行甲板には自走砲が出ていますので、カタパルトを使ってください」とエリカ。
「了解」と孝子。