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第65話 襲撃されるコークロッチヌス子爵領

ー/ー



 クロナと約束をしたブラナは、単独でコークロッチヌス子爵領を目指して進む。
 アサシンスパイダーの体を手に入れて、半人半魔となったブラナだが、さすがに適応力の高いブラナはその体でも素早く動けている。

(思ったよりもクモの体でも素早く動けますね。これならば、想定していたよりも早く領地に着けそうです)

 今でこそクロナの侍女として働いているブラナだが、元は暗殺を請け負う傭兵だった。
 その経験もあって、単独行動でも何不自由なく動けている。

(単独行動だと行動の制限がないのがいいですが、今の私はお嬢様の侍女。お嬢様を悪く思うわけにはまいりませんね。ともかく、お嬢様を安心させるためにも、魔族をなんとしてでも討伐してみせましょう)

 ブラナはさらにコークロッチヌス子爵領へと向かう足を速めていた。
 その思いはただ一つ、クロナのために、である。
 ぎゅっと思いを抱きしめたブラナは、とにかく子爵領を襲う魔族と戦うために、休む間も惜しんで突き進んでいった。

 ―――

 その頃のコークロッチヌス子爵領内では、魔族が暴れているようだった。

「ひゃーはっはっはーっ!」

「これが、イクセン最強と呼ばれたコークロッチヌス私兵団ですか。もろすぎて面白くもないですねぇ」

「かはっ!」

 二人の魔族が、多くの兵士たちを目の前に余裕の表情を浮かべている。
 冷静に振る舞っている方の少年のような魔族は、斬りかかってきた兵士の腹部に風穴を開けている。
 高らかに笑う道化師のような魔族だが、何もしないでただ笑っているばかりだった。

「おい、クラウン。お前も笑ってばかりいないでちっとは遊べよ」

「ひゃーはっはーっ。そーですーねー。ミーもエキサイティングしましょうかねー?」

「……悪い、もうちょっと分かりやすく話してくれ」

 テンションの高いクラウンと呼ばれた魔族の態度に、どうやら少年の方はついていけないようである。

「オーウ、のーりがー悪いでーすねー? こーいうこーとはー、たーのしみませーんとねー?」

 少年の魔族の方が困っているようである。

「まったく、なんで俺とこいつを組ませたんだ。まったくわけがわからねえ……」

 どうやら、まったく相性の良くない二人のようだ。ここまで少年の魔族が嫌な顔をしているのだから、相当だということなのだろう。
 とはいえ、その相性の良くない二人でも、コークロッチヌス子爵の私兵たちを赤子の手をひねるが如くもてあそんでいた。

「くそっ! 我らは栄えあるコークロッチヌス子爵様に仕える私兵団だ。たった二人の魔族を相手に負けるなどあってはいけない。なんとしても、こやつらを討ち取るのだ」

「おーっ!」

 怯んではいるものの、撤退などできるわけがない。自分たちがやられれば、無力な領民たちが蹂躙されてしまうのだ。
 なんとしても魔族の脅威から領民を守るため、兵士たちは魔族へと立ち向かっていく。

「はあ、虫けらの分際で、この俺たちに楯突こうとはな」

「まったくでーすねー。ひゃーははーっ! ミーの華麗なーる芸術のー、華となーりなさーい!」

 魔族たちはなんとも冷ややかな目で、兵士たちを見ている。

「ひーっひっひーっ! イーッツ、ショーターイムーッ!」

 クラウンは頭にかぶった帽子を手に取ると、その中から何かをぼこぼこと出現させている。

「な、なんだ、あれは?!」

 兵士たちが驚き、つい足を止めてしまう。
 それもそうだろう。クラウンの帽子から飛び出した妙なものは、その辺に転がっている兵士たちの死体へと向かっていっているのだから。

「ぐあ……あああ……」

「な、なんだと?!」

 驚いたことに、すでに死んだはずの兵士たちが起き上がってきた。
 なんということだろうか。クラウンは死体を操っているようなのである。

「やれやれ、悪趣味だな。俺はやる気が失せた。お前だけで勝手にやってくれ」

「ひゃーっはっははーっ。そーれではー、はでーにやらせーていただきまーすよーっ!」

 急に死体を操り始めたものだから、少年の魔族はどうやら興を削がれたようである。露骨に嫌な顔をしながら、頭の後ろに手を回して動きを止めてしまった。
 少年の魔族がそっぽを向いたことで、クラウンはますますやる気を出したようである。

「さーあ、ミーの可愛いお人形たちー? 生きーた連中を相手にー、はでーに踊っちゃいましょうーっ!」

「があああっ!」

「ぐおおおお……」

 クラウンが指図をすると、死んだ兵士たちは生きている兵士たちへと襲い掛かる。

「お、お前ら……。くそっ、怯むな! 戦わねば死ぬぞ!」

「は、はい!」

 襲いくる仲間の死体に震え上がるが、兵士たちは奮い立って攻撃に備える。

「くそっ……。なんてやつなんだ!」

「くーくくくーっ! ああ、なーんて賛美なーんでしょーかねー」

 兵士たちが睨みつけるも、クラウンは実に楽しそうである。
 戸惑う兵士たちに死体たちが襲い掛かる。その様子に恍惚とするクラウンだったが、次の瞬間、その表情が一瞬で消えてしまう。

「が……あ……?」

 死体たちがいきなり動かなくなったのだ。
 立ってはいるものの、その場から一歩も動けない。一体何が起きたのか。

「だーれですかー? ミーの素晴らしいショーを邪ー魔するのはー?」

 クラウンが辺りをきょろきょろと見回す。

「やれやれ。派手に暴れまわってくれているようですね」

「誰だ!」

 少年の魔族が振り向いた先には、クモの下半身を持つメイド服の女性の姿があった。
 そう、クロナの侍女であるブラナが間に合ったのだった。


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次のエピソードへ進む 第66話 ブラナと魔族の戦い


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 クロナと約束をしたブラナは、単独でコークロッチヌス子爵領を目指して進む。
 アサシンスパイダーの体を手に入れて、半人半魔となったブラナだが、さすがに適応力の高いブラナはその体でも素早く動けている。
(思ったよりもクモの体でも素早く動けますね。これならば、想定していたよりも早く領地に着けそうです)
 今でこそクロナの侍女として働いているブラナだが、元は暗殺を請け負う傭兵だった。
 その経験もあって、単独行動でも何不自由なく動けている。
(単独行動だと行動の制限がないのがいいですが、今の私はお嬢様の侍女。お嬢様を悪く思うわけにはまいりませんね。ともかく、お嬢様を安心させるためにも、魔族をなんとしてでも討伐してみせましょう)
 ブラナはさらにコークロッチヌス子爵領へと向かう足を速めていた。
 その思いはただ一つ、クロナのために、である。
 ぎゅっと思いを抱きしめたブラナは、とにかく子爵領を襲う魔族と戦うために、休む間も惜しんで突き進んでいった。
 ―――
 その頃のコークロッチヌス子爵領内では、魔族が暴れているようだった。
「ひゃーはっはっはーっ!」
「これが、イクセン最強と呼ばれたコークロッチヌス私兵団ですか。もろすぎて面白くもないですねぇ」
「かはっ!」
 二人の魔族が、多くの兵士たちを目の前に余裕の表情を浮かべている。
 冷静に振る舞っている方の少年のような魔族は、斬りかかってきた兵士の腹部に風穴を開けている。
 高らかに笑う道化師のような魔族だが、何もしないでただ笑っているばかりだった。
「おい、クラウン。お前も笑ってばかりいないでちっとは遊べよ」
「ひゃーはっはーっ。そーですーねー。ミーもエキサイティングしましょうかねー?」
「……悪い、もうちょっと分かりやすく話してくれ」
 テンションの高いクラウンと呼ばれた魔族の態度に、どうやら少年の方はついていけないようである。
「オーウ、のーりがー悪いでーすねー? こーいうこーとはー、たーのしみませーんとねー?」
 少年の魔族の方が困っているようである。
「まったく、なんで俺とこいつを組ませたんだ。まったくわけがわからねえ……」
 どうやら、まったく相性の良くない二人のようだ。ここまで少年の魔族が嫌な顔をしているのだから、相当だということなのだろう。
 とはいえ、その相性の良くない二人でも、コークロッチヌス子爵の私兵たちを赤子の手をひねるが如くもてあそんでいた。
「くそっ! 我らは栄えあるコークロッチヌス子爵様に仕える私兵団だ。たった二人の魔族を相手に負けるなどあってはいけない。なんとしても、こやつらを討ち取るのだ」
「おーっ!」
 怯んではいるものの、撤退などできるわけがない。自分たちがやられれば、無力な領民たちが蹂躙されてしまうのだ。
 なんとしても魔族の脅威から領民を守るため、兵士たちは魔族へと立ち向かっていく。
「はあ、虫けらの分際で、この俺たちに楯突こうとはな」
「まったくでーすねー。ひゃーははーっ! ミーの華麗なーる芸術のー、華となーりなさーい!」
 魔族たちはなんとも冷ややかな目で、兵士たちを見ている。
「ひーっひっひーっ! イーッツ、ショーターイムーッ!」
 クラウンは頭にかぶった帽子を手に取ると、その中から何かをぼこぼこと出現させている。
「な、なんだ、あれは?!」
 兵士たちが驚き、つい足を止めてしまう。
 それもそうだろう。クラウンの帽子から飛び出した妙なものは、その辺に転がっている兵士たちの死体へと向かっていっているのだから。
「ぐあ……あああ……」
「な、なんだと?!」
 驚いたことに、すでに死んだはずの兵士たちが起き上がってきた。
 なんということだろうか。クラウンは死体を操っているようなのである。
「やれやれ、悪趣味だな。俺はやる気が失せた。お前だけで勝手にやってくれ」
「ひゃーっはっははーっ。そーれではー、はでーにやらせーていただきまーすよーっ!」
 急に死体を操り始めたものだから、少年の魔族はどうやら興を削がれたようである。露骨に嫌な顔をしながら、頭の後ろに手を回して動きを止めてしまった。
 少年の魔族がそっぽを向いたことで、クラウンはますますやる気を出したようである。
「さーあ、ミーの可愛いお人形たちー? 生きーた連中を相手にー、はでーに踊っちゃいましょうーっ!」
「があああっ!」
「ぐおおおお……」
 クラウンが指図をすると、死んだ兵士たちは生きている兵士たちへと襲い掛かる。
「お、お前ら……。くそっ、怯むな! 戦わねば死ぬぞ!」
「は、はい!」
 襲いくる仲間の死体に震え上がるが、兵士たちは奮い立って攻撃に備える。
「くそっ……。なんてやつなんだ!」
「くーくくくーっ! ああ、なーんて賛美なーんでしょーかねー」
 兵士たちが睨みつけるも、クラウンは実に楽しそうである。
 戸惑う兵士たちに死体たちが襲い掛かる。その様子に恍惚とするクラウンだったが、次の瞬間、その表情が一瞬で消えてしまう。
「が……あ……?」
 死体たちがいきなり動かなくなったのだ。
 立ってはいるものの、その場から一歩も動けない。一体何が起きたのか。
「だーれですかー? ミーの素晴らしいショーを邪ー魔するのはー?」
 クラウンが辺りをきょろきょろと見回す。
「やれやれ。派手に暴れまわってくれているようですね」
「誰だ!」
 少年の魔族が振り向いた先には、クモの下半身を持つメイド服の女性の姿があった。
 そう、クロナの侍女であるブラナが間に合ったのだった。