ep112 決着
ー/ー「……」
自分でも不思議だ。奇妙なほどに沈着している。正直、負ける気がまったくしない。
「カレン」
「なんだ」
「あんたの魔法剣の準備ができたら…始めよう」
「なに?」
「さあやってくれ」
我ながら傲岸不遜にも思える発言。だが、この戦いは、全力の彼女に勝たなければ意味がない。
カレンはやや眉をぴくつかせたが、冷静な様子は崩さない。
「お前……何が狙いかはわからないが、後悔するなよ。......深淵なる万物万象の源泉よ。我が劤と為り、彼の者に裁きの雷を墜し給へ〔アルカーナ・フルメン〕」
詠唱を終えた途端、彼女の剣にバチバチと稲妻の閃光が宿った。すでに目の当たりにした炎の剣とも違う、迸る電流を纏った雷剣。
「来る!」
俺は身構えた。転瞬、彼女はその場で雷剣を振り下ろした。
「固有技能〔魔雷発閃〕」
何かを理解する瞬間にはもう目前に迫っていた。それは雷の魔力を帯びた…恐ろしく疾い〔発閃〕。
「!」
俺はギィィィンと剣で防御する。凄まじい疾さと威力。おそらく〔魔導剣〕でなければひとたまりもない。
「つぎは…」
次撃への対応もしくは攻撃へ動作を移そうとすると、正面にいたはずのカレンの姿が忽然と消えていた。
「固有技能〔魔動雷閃〕」
刹那、背後から彼女の瞬雷の一閃が弧を描いた。
「!」
このままでは防御どころか振り向くことすら間に合わない。まさに雷鳴の如き一閃。だが俺には奥の手の回避技がある。
「特殊技能〔ニュンパフガティオ〕」
今度は俺がその場から忽然と姿を消した。
「これをかわした!?」
さすがのカレンも驚きを隠せない。彼女から見れば、まさしく蝋燭の火がフッと消えるかのごとく俺の姿が消失したことだろう。ほんの一瞬ではあるが、彼女も俺を見失ったのだ。それはつまり、疾さに優る彼女に対してしっかりとタイミングを合わせるだけの間を、俺が手に入れたということ!
「特殊技能〔ニュンパギャッシュ〕」
十歩ばかり離れた位置に移動していた俺は、技を発動した。とはいっても自ら飛び込むわけではなく、飛び込んでくる彼女に合わせてだ。
「固有技能〔魔動雷閃〕」
やはりカレンは雷のようにドンと一気に詰めてきて、雷鳴の剣撃を放ってきた。俺は彼女の雷剣にぴったりと合わせて、ズバァァァッと一閃を放った。
ガギィィィィィィィン!
まるで光と光が衝突するように凄まじい勢いで互いの剣が交錯する。が、一方の剣がバキィィィンとガラスのように弾けて砕け飛び散った。
「なっ!?」
カレンは茫然と立ち尽くした。彼女の手には剣の柄のみが虚しく残されていた。
「えっ??」
あまりの出来事にギャラリーも立合人の兵士も理解が追いついていない。今さっきの闘いが嘘だったかのように水を打ったような静寂が訪れる。
俺は振り抜いた剣をびゅんと元に戻すと、再び彼女へ剣を向けた。
「勝負あり、でいいか?」
俺の声はよく通った。まわりの誰もか小音すら立てていなかったから。
「参った……」
まだ衝撃の結果から覚めやらぬ様子のカレンだったが、素直に負けを認めてくれた。
「……な、なんだ今のは!?」
「カレン隊長の魔法剣が破られただと!?」
「こんな光景はじめてだ!!」
やっと現実に追いついた立会人が騒ぎ立て始めた。
「うっ…うおぉぉぉぉ!」
ギャラリーの歓声が一気にわっと爆発した。
「クローさぁぁぁん!」
「ダンナぁ!」
「やっぱりスゲーなダンナは!」
安堵と驚きと歓喜を織り交ぜた表情でシヒロたちが駆け寄ってきた。
「……」
エレサは複雑な表情を浮かべながら、遠慮気味に皆から一歩離れて佇んでいた。
自分でも不思議だ。奇妙なほどに沈着している。正直、負ける気がまったくしない。
「カレン」
「なんだ」
「あんたの魔法剣の準備ができたら…始めよう」
「なに?」
「さあやってくれ」
我ながら傲岸不遜にも思える発言。だが、この戦いは、全力の彼女に勝たなければ意味がない。
カレンはやや眉をぴくつかせたが、冷静な様子は崩さない。
「お前……何が狙いかはわからないが、後悔するなよ。......深淵なる万物万象の源泉よ。我が劤と為り、彼の者に裁きの雷を墜し給へ〔アルカーナ・フルメン〕」
詠唱を終えた途端、彼女の剣にバチバチと稲妻の閃光が宿った。すでに目の当たりにした炎の剣とも違う、迸る電流を纏った雷剣。
「来る!」
俺は身構えた。転瞬、彼女はその場で雷剣を振り下ろした。
「固有技能〔魔雷発閃〕」
何かを理解する瞬間にはもう目前に迫っていた。それは雷の魔力を帯びた…恐ろしく疾い〔発閃〕。
「!」
俺はギィィィンと剣で防御する。凄まじい疾さと威力。おそらく〔魔導剣〕でなければひとたまりもない。
「つぎは…」
次撃への対応もしくは攻撃へ動作を移そうとすると、正面にいたはずのカレンの姿が忽然と消えていた。
「固有技能〔魔動雷閃〕」
刹那、背後から彼女の瞬雷の一閃が弧を描いた。
「!」
このままでは防御どころか振り向くことすら間に合わない。まさに雷鳴の如き一閃。だが俺には奥の手の回避技がある。
「特殊技能〔ニュンパフガティオ〕」
今度は俺がその場から忽然と姿を消した。
「これをかわした!?」
さすがのカレンも驚きを隠せない。彼女から見れば、まさしく蝋燭の火がフッと消えるかのごとく俺の姿が消失したことだろう。ほんの一瞬ではあるが、彼女も俺を見失ったのだ。それはつまり、疾さに優る彼女に対してしっかりとタイミングを合わせるだけの間を、俺が手に入れたということ!
「特殊技能〔ニュンパギャッシュ〕」
十歩ばかり離れた位置に移動していた俺は、技を発動した。とはいっても自ら飛び込むわけではなく、飛び込んでくる彼女に合わせてだ。
「固有技能〔魔動雷閃〕」
やはりカレンは雷のようにドンと一気に詰めてきて、雷鳴の剣撃を放ってきた。俺は彼女の雷剣にぴったりと合わせて、ズバァァァッと一閃を放った。
ガギィィィィィィィン!
まるで光と光が衝突するように凄まじい勢いで互いの剣が交錯する。が、一方の剣がバキィィィンとガラスのように弾けて砕け飛び散った。
「なっ!?」
カレンは茫然と立ち尽くした。彼女の手には剣の柄のみが虚しく残されていた。
「えっ??」
あまりの出来事にギャラリーも立合人の兵士も理解が追いついていない。今さっきの闘いが嘘だったかのように水を打ったような静寂が訪れる。
俺は振り抜いた剣をびゅんと元に戻すと、再び彼女へ剣を向けた。
「勝負あり、でいいか?」
俺の声はよく通った。まわりの誰もか小音すら立てていなかったから。
「参った……」
まだ衝撃の結果から覚めやらぬ様子のカレンだったが、素直に負けを認めてくれた。
「……な、なんだ今のは!?」
「カレン隊長の魔法剣が破られただと!?」
「こんな光景はじめてだ!!」
やっと現実に追いついた立会人が騒ぎ立て始めた。
「うっ…うおぉぉぉぉ!」
ギャラリーの歓声が一気にわっと爆発した。
「クローさぁぁぁん!」
「ダンナぁ!」
「やっぱりスゲーなダンナは!」
安堵と驚きと歓喜を織り交ぜた表情でシヒロたちが駆け寄ってきた。
「……」
エレサは複雑な表情を浮かべながら、遠慮気味に皆から一歩離れて佇んでいた。
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