道端に一匹のイヌが座っていた。イヌの傍らには段ボール箱が置かれていた。段ボール箱の中には、一本のしっぽが入っていた。イヌを見た。しっぽがなかった。これはどういうことだろう。そう思っていると、ふいに声がした。「あげるよ」その声は、イヌが発していた。「もしかしてこれは君のしっぽかい」「ああ」「誰かにあげてしまっていいのかい」「俺にはもう必要ないからな」僕はしっぽを撫でた。なめらかな感触だった。僕は尋ねた。「嬉しい時や悲しい時、これから君は、どうやって感情を表現するんだい」イヌは答えた。「言葉があるさ」「言葉なんて頼りないぜ」「俺はそうは思わないね」イヌはまっすぐ前を見つめていた。「これは俺がもらうよ」「ああ」僕はしっぽを拾い上げ、帰宅し、自分のお尻にボンドでそれをくっつけた。「何してるの」恋人に俺はそう尋ねられた。僕は答えた。「わん!」