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【少しこわい話】欲望

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 放課後、家に帰ったら、お母さんもお父さんもいなかった。でも、物音がする。そっと様子を窺うと、居間に、誰かがいた。それは、死んだ人だった。僕の知らない死んだ人だった。死んだ人は、壁の時計をじっと見ていた。そして、背伸びしてそれを取り外した。それから死んだ人は、時計の電池を抜いた。時計は動かなくなった。死んだ人は僕の前を通り、隣の部屋に行った。そして隣の部屋の時計の電池を抜いた。時計は動かなくなった。死んだ人は家じゅうの時計の電池を抜いて、満足そうにうなずいた。どうやら死んだ人は時の刻みを止めたいらしい。そして、死んだ人は、僕の前を通って、家から出て行った。僕は慌てて死んだ人を追いかけて、身につけていた腕時計を手渡した。


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 放課後、家に帰ったら、お母さんもお父さんもいなかった。でも、物音がする。そっと様子を窺うと、居間に、誰かがいた。それは、死んだ人だった。僕の知らない死んだ人だった。死んだ人は、壁の時計をじっと見ていた。そして、背伸びしてそれを取り外した。それから死んだ人は、時計の電池を抜いた。時計は動かなくなった。死んだ人は僕の前を通り、隣の部屋に行った。そして隣の部屋の時計の電池を抜いた。時計は動かなくなった。死んだ人は家じゅうの時計の電池を抜いて、満足そうにうなずいた。どうやら死んだ人は時の刻みを止めたいらしい。そして、死んだ人は、僕の前を通って、家から出て行った。僕は慌てて死んだ人を追いかけて、身につけていた腕時計を手渡した。