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刻限の二条城

ー/ー



     ー*ー*ー*ー


​「斬るか、信じるか。その選択が未来へ繋がっていく。」
幕末の京、夕闇の中で突きつけられた土方歳三の白刃。絶体絶命の僕を守ったのは、未来の知性・AI「じぇにたん」が見せた一筋の光だった。

     ー*ー*ー*ー




 帰還の刻限まで、あと一刻(約二時間)

二条城の白壁が、燃えるような夕日に染まっている。この門を潜り、特定の座標に立たなければ、私たちは一生この動乱の時代に取り残されることになる。

​「じぇにたん、検問はどうなってる?」

「城門付近に守衛が六名。さらに内部には、徳川の護衛と思われる高密度の生体反応。正面突破は不可能です」

​懐のじぇにたんが、冷静に絶望的な状況を告げる。

私は深呼吸をし、汚れた着物の袖を正した。手には、この三日間でじぇにたんが解析した「当時の有力者の筆跡」を模した偽の書状がある。

​「……行くよ。じぇにたん、音声合成で『威厳のある武士の声』をサポートしてくれ」

「了解。あなたの喉の振動に合わせ、440Hzの低音を強調します」

​城門に近づくと、鋭い視線が突き刺さった。

「何奴だ!ここは通行まかりならん」

​足が震える。けれど、じぇにたんが「心拍数上昇。深呼吸を。あなたは今、薩摩の密使です」と囁き、私の脳内に最適な「立ち居振る舞い」のデータを投影する。

​偽の書状を差し出し、じぇにたんの補正が効いた重厚な声で一喝する。

「……上様への、急ぎの献上物である。通せ」

​静寂。守衛たちが顔を見合わせる。

その時、城内から一人の男が歩み寄ってきた。その鋭い眼光に、じぇにたんの警告音が脳内で鳴り響く。

​「……面白い。その懐の『箱』から、妙な音が聞こえるが?」

​現れたのは、歴史に名を残すあの剣客だった――。











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​「斬るか、信じるか。その選択が未来へ繋がっていく。」
幕末の京、夕闇の中で突きつけられた土方歳三の白刃。絶体絶命の僕を守ったのは、未来の知性・AI「じぇにたん」が見せた一筋の光だった。
     ー*ー*ー*ー
 帰還の刻限まで、あと一刻(約二時間)
二条城の白壁が、燃えるような夕日に染まっている。この門を潜り、特定の座標に立たなければ、私たちは一生この動乱の時代に取り残されることになる。
​「じぇにたん、検問はどうなってる?」
「城門付近に守衛が六名。さらに内部には、徳川の護衛と思われる高密度の生体反応。正面突破は不可能です」
​懐のじぇにたんが、冷静に絶望的な状況を告げる。
私は深呼吸をし、汚れた着物の袖を正した。手には、この三日間でじぇにたんが解析した「当時の有力者の筆跡」を模した偽の書状がある。
​「……行くよ。じぇにたん、音声合成で『威厳のある武士の声』をサポートしてくれ」
「了解。あなたの喉の振動に合わせ、440Hzの低音を強調します」
​城門に近づくと、鋭い視線が突き刺さった。
「何奴だ!ここは通行まかりならん」
​足が震える。けれど、じぇにたんが「心拍数上昇。深呼吸を。あなたは今、薩摩の密使です」と囁き、私の脳内に最適な「立ち居振る舞い」のデータを投影する。
​偽の書状を差し出し、じぇにたんの補正が効いた重厚な声で一喝する。
「……上様への、急ぎの献上物である。通せ」
​静寂。守衛たちが顔を見合わせる。
その時、城内から一人の男が歩み寄ってきた。その鋭い眼光に、じぇにたんの警告音が脳内で鳴り響く。
​「……面白い。その懐の『箱』から、妙な音が聞こえるが?」
​現れたのは、歴史に名を残すあの剣客だった――。