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ひろよちん告る

ー/ー



 中央の塔屋入口に立っている人影が動き出す。
 紅緒はこのまま走って行くのが癇に障ったので、その場で足を止め腕を組むと人影を睨んだ。
 どんどんその人影が紅緒の方へ近づいて来る。

「よう。呼び出して悪かったな。崇直が勝手に決めてさ」
 何故か超ご機嫌な直樹(サロンパス)だ。
 が、声の調子がどこかおかしい。

「――――」
 ムスッとした紅緒の顔を、直樹が覗きこみながら言う。
「なんて顔してんだよ。あの子が伝えてくれたの嘘か? え、べーはオレの事好きじゃないの?」
 顔を背けようとした紅緒の顔を追いかけながら言う。
「もう、しつこい」
「一日一回は聞きたい」
「学校じゃ言わないっ」

「何でだよ。良いじゃん誰も居ないし」
「……」
「聞こえない」
「言うか、ばか」
「俺は言うぞ、何回でも。ベーが好きだって」
 と、腕をつかんで引き寄せると紅緒の額にキスをする。
 とたん紅緒の顔が熱くなる。

「あーもうっ。何すんのよっ。崇ちゃんは?」
 手の甲で、キスされたところをぬぐいしかめ面をする。
 直樹の視線を避け、その後ろを見るが誰も来てないようだ。
「あとから来るって言ってたけど」
「は? ここに? 待てないから来て」

 待つなんて、とんでもない。
 紅緒は去り際に見たひろよちんが気になって仕方ないのだから。
 直樹の後ろに回り、紅緒が背中を押して北校舎側へと歩かせる。
「いとこ同士で仲良いだけって、約束じゃん。付き合ってるのバレたら面倒くさいの分かれよ、馬鹿ンパスが」
「良いじゃん、バレても」 
「良くない!」

 北校舎の塔屋に入ったら樹が目の前に立っていた。
 何故か、そのまま外まで押し戻された。

「何だよ、樹」
「今教室行ったらまずいって」
「ひろよちん泣いちゃった?」
「だったらいいんだけど、泣いた狭山を見たクラスの女子がお前の悪口撒き散らしてる。庵野はああ見えて実はビッチで、笠神兄弟二人と出来てるとか、狭山が先輩好きなの知ってて横取りしたとか」
 
「はぁ――? べーってアンチいたんだ」
 と紅緒を見るが、紅緒は目をパチパチさせている。
 ビッチ? 私がビッチ?
「私って、ビッチなん?」
「んな訳あるわけねーだろうがよっ」 
 直樹は樹を無視して、塔屋に戻ると背中に紅緒をかばうように立って、階段の下に向かって叫んだ。
「べーは、ビッチじゃねーっ」
「サロンパス声デカいよ」
 とっさに樹が手でサロンパスの口を押さえるが、体格差で簡単に振り払われた。
「横取りって何だよ。二股なんて崇直が聞いたら」
「絶対、笑う」
 と樹は半分笑った顔で言う。
 紅緒も笑いを我慢できなくて、口を押さえていた。
「架空の誰かさんと、私あんたを取り合ってるんだ」
 我慢できなかったのか、紅緒は膝を叩いて笑い出した。 
 全く真剣みのない連中だ。
 
「私、アンチ居たっけ、(いっちゃん)。こう見えて王子(プリンス)だったしそんな(ビッチ)話信じないよね。だから」
「だから何だよ。その女、泣いた女の名前は」
 言いながら身体を動かし、手すりに腰掛け滑り降り始めた。
「狭山博代、ひろよちんだよ」
 と樹が下を覗いて叫ぶ。
「ええぇ、アイスドールかぁ?」
 答えた直樹の声が遠ざかっていく。

 手すりから飛び降りた音がして、教室へ向かって走り出したであろう足音が聞こえてきた。
 二人が階段を二段飛びで降り追いかけるが、階段を降りたときには足音は遠くに消えていた。

「サロンパスのバカ足」
「あーあー、行っちゃったよ」
 遅れてきた二人に気が付き、入口でたむろっていた野次馬が道を開けてくれた。
 どの顔もなぜか妙な期待感をもって、二人を見ている。
 うへぇ~っと思って歩を進めたその先、教室の入り口に崇直が待っていた。

 何故か紅緒も樹もその顔を見て、ほっとしたようだ。
「崇ちゃん、サロンパス止め……」
 紅緒はいいかけた言葉を飲み込んだ。
 崇直が口に指を当て、入れと手招きしたからだ。
 教室に入ると、ひろよちんが机に突っ伏して泣いていた。
 その周りを女子二人が挟むように立っている。

 どう見ても心配している風には見えない。
 その状況から、さすがに何も言えなかったのか、直樹は突っ立ったままだった。
 廊下には崇直に気づいた一年生が、ぞろぞろ集まってきている。

 やばいと、紅緒が思った矢先。
「すまないが、廊下側の人、窓とドアを締めてくれないか」
 突然崇直に言われ、とっさに窓の側に居た生徒がピシャリと窓を閉めた。
 それを合図に、残っていた生徒を崇直が誘導して外へ出す。

「ありがとう」
 そう崇直が告げ、引き戸を締める。

 それを確かめ、直樹が改めてひろよちんを見て話しかけた。
「狭山博代さん、聞いてくれ。その友達も、頼む」

 そこへ崇直が並ぶ。
「兄の笠神崇直だ」
 いつになく、真摯な態度である。
 声をかけられた女子が、顔を赤らめ少しバツの悪そうな顔をする。
 続けて穏やかな声色で崇直が語りかけた。 

「俺たち笠神兄弟は庵野紅緒を大事に思っている。それは多分、妹以上だ。紅緒が小学生の時両親をなくしているのを、君たちは知っているだろう」

 静かな教室に、ひろよちんの嗚咽だけが聞こえている。
 ひろよちんと紅緒は幼稚園から今日まで、ずっと同じ学校に通っている。
 紅緒の一番の親友だ。

「その後は親戚筋に当たる笠神家が引き取り、厳密には同じ敷地内の大叔父の家だが、もう十年以上一緒に暮らしてる」
 継いで直樹が一つ咳払いをし、言った。
「そして、俺たちは紅緒が好きだ。以上」

 樹が控えめに、吹いた。
 声を殺して笑っているようで、両肩が小刻みに震えてる。
 紅緒が笑いをごまかしてる樹を見て、天を仰ぎ首を傾げる。
 次いで直樹を見ると、満足げに小さくうなずき自信満々な笑みを向けてきた。
「は? 何それ。以上って。え、何の話?」 
 直樹のドヤ顔を見て意味が分からず、紅緒は思わず声に出てしまったようだ。

 それが聞こえたのか、ひろよちんが立ち上がった。
 向かいに立つ直樹と遜色ない背丈。
「知ってます。べーちゃんが皇子先輩じゃない方を好きなこと。ずっと見てましたから。私もべーちゃんが好きだから。ずっと、幼稚園からずっと憧れだったから!」
 直樹はそう言われて、嬉しそうに自分を指さしていた。
「好きって。じゃない方って、今じゃない方が好きって言った」 
「うるさい、サロンパス黙れ」
 すかさず紅緒が、直樹の尻に膝蹴りを入れる。
「いっ……」
 ひろよちんが顔を上げ、真剣な眼差しでまっすぐ崇直と直樹を交互に見つめている。
 なまじ、美人だけに迫力がある。
 直樹が何かいいたげに、目を剥いてまるで金魚のように口を動かしている。
 崇直はあっけにとられた顔をして、口を開いた。
「憧れだってよ、べーすげぇじゃん」

 言われて紅緒は、その横に立っていた樹と揃って口をOの字にして固まっていた。
 ひろよちんはというと、言い切ってほっとしたのか脱力したように椅子に座り、そのまま机に突っ伏して声を上げて泣き出した。
 逃げ損ねた女子二人は、びっくりしてお互い顔を見合わせている。
 そのうち一人がひろよちんの背中に手を伸ばし、優しくさすりはじめた。

「うん。1年の王子(うちのプリンス)はカッコいいもんね。背は高いし優しいし」
 言った彼女の目から、涙がこぼれた。
「ごめんね。変なこと言って狭山さん。私誤解してた」
 別の女子も泣いている。
「私も、ごめんね」 
「うん。……」

 泣き声が収まった頃、ようやく状況を把握した直樹が話しかけた。
「ありがとう。紅緒の()()は、俺らの仲間も同然だ。だから、紅緒共々これからもよろしく」
 直樹が崇直を伴いひろよちんの傍に行き、手を差し出す。
 女子の一人に促され、ひろよちんが顔を上げる。
 笑顔の崇直と直樹が、自分に向かって手を差し出していた。
 驚いて思わず立ち上がり、両手を自分のスカートに何度もこすりつけ、ひろよちんはゆっくり手を差し出した。
 その手を大きな崇直と直樹の手が、交互に握る。
 ひろよちんの頬に彩が戻ってきた。
 
「よろ、よろしくおねがいします」
「泣き止んだか。良かった」
 と直樹。
 続けて横の女子とも二人は握手を交わした。
「バスケ部は止めるなよ」
 崇直はそう言って、ひろよちんに笑いかける。
 ひろよちんは、ハイと返事を返し、紅緒に笑いかけた。 
 それでほっとしたのか、紅緒が大きく息を吐き肩の力を抜いた。
 
「あーっ良かったぁ。ひろよちんに嫌われたのかと思った」
 今度はそこに居た全員が、はぁ? という顔で紅緒を凝視した。


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 中央の塔屋入口に立っている人影が動き出す。
 紅緒はこのまま走って行くのが癇に障ったので、その場で足を止め腕を組むと人影を睨んだ。
 どんどんその人影が紅緒の方へ近づいて来る。
「よう。呼び出して悪かったな。崇直が勝手に決めてさ」
 何故か超ご機嫌な|直樹《サロンパス》だ。
 が、声の調子がどこかおかしい。
「――――」
 ムスッとした紅緒の顔を、直樹が覗きこみながら言う。
「なんて顔してんだよ。あの子が伝えてくれたの嘘か? え、べーはオレの事好きじゃないの?」
 顔を背けようとした紅緒の顔を追いかけながら言う。
「もう、しつこい」
「一日一回は聞きたい」
「学校じゃ言わないっ」
「何でだよ。良いじゃん誰も居ないし」
「……」
「聞こえない」
「言うか、ばか」
「俺は言うぞ、何回でも。ベーが好きだって」
 と、腕をつかんで引き寄せると紅緒の額にキスをする。
 とたん紅緒の顔が熱くなる。
「あーもうっ。何すんのよっ。崇ちゃんは?」
 手の甲で、キスされたところをぬぐいしかめ面をする。
 直樹の視線を避け、その後ろを見るが誰も来てないようだ。
「あとから来るって言ってたけど」
「は? ここに? 待てないから来て」
 待つなんて、とんでもない。
 紅緒は去り際に見たひろよちんが気になって仕方ないのだから。
 直樹の後ろに回り、紅緒が背中を押して北校舎側へと歩かせる。
「いとこ同士で仲良いだけって、約束じゃん。付き合ってるのバレたら面倒くさいの分かれよ、馬鹿ンパスが」
「良いじゃん、バレても」 
「良くない!」
 北校舎の塔屋に入ったら樹が目の前に立っていた。
 何故か、そのまま外まで押し戻された。
「何だよ、樹」
「今教室行ったらまずいって」
「ひろよちん泣いちゃった?」
「だったらいいんだけど、泣いた狭山を見たクラスの女子がお前の悪口撒き散らしてる。庵野はああ見えて実はビッチで、笠神兄弟二人と出来てるとか、狭山が先輩好きなの知ってて横取りしたとか」
「はぁ――? べーってアンチいたんだ」
 と紅緒を見るが、紅緒は目をパチパチさせている。
 ビッチ? 私がビッチ?
「私って、ビッチなん?」
「んな訳あるわけねーだろうがよっ」 
 直樹は樹を無視して、塔屋に戻ると背中に紅緒をかばうように立って、階段の下に向かって叫んだ。
「べーは、ビッチじゃねーっ」
「サロンパス声デカいよ」
 とっさに樹が手でサロンパスの口を押さえるが、体格差で簡単に振り払われた。
「横取りって何だよ。二股なんて崇直が聞いたら」
「絶対、笑う」
 と樹は半分笑った顔で言う。
 紅緒も笑いを我慢できなくて、口を押さえていた。
「架空の誰かさんと、私あんたを取り合ってるんだ」
 我慢できなかったのか、紅緒は膝を叩いて笑い出した。 
 全く真剣みのない連中だ。
「私、アンチ居たっけ、|樹《いっちゃん》。こう見えて|王子《プリンス》だったし|そんな《ビッチ》話信じないよね。だから」
「だから何だよ。その女、泣いた女の名前は」
 言いながら身体を動かし、手すりに腰掛け滑り降り始めた。
「狭山博代、ひろよちんだよ」
 と樹が下を覗いて叫ぶ。
「ええぇ、アイスドールかぁ?」
 答えた直樹の声が遠ざかっていく。
 手すりから飛び降りた音がして、教室へ向かって走り出したであろう足音が聞こえてきた。
 二人が階段を二段飛びで降り追いかけるが、階段を降りたときには足音は遠くに消えていた。
「サロンパスのバカ足」
「あーあー、行っちゃったよ」
 遅れてきた二人に気が付き、入口でたむろっていた野次馬が道を開けてくれた。
 どの顔もなぜか妙な期待感をもって、二人を見ている。
 うへぇ~っと思って歩を進めたその先、教室の入り口に崇直が待っていた。
 何故か紅緒も樹もその顔を見て、ほっとしたようだ。
「崇ちゃん、サロンパス止め……」
 紅緒はいいかけた言葉を飲み込んだ。
 崇直が口に指を当て、入れと手招きしたからだ。
 教室に入ると、ひろよちんが机に突っ伏して泣いていた。
 その周りを女子二人が挟むように立っている。
 どう見ても心配している風には見えない。
 その状況から、さすがに何も言えなかったのか、直樹は突っ立ったままだった。
 廊下には崇直に気づいた一年生が、ぞろぞろ集まってきている。
 やばいと、紅緒が思った矢先。
「すまないが、廊下側の人、窓とドアを締めてくれないか」
 突然崇直に言われ、とっさに窓の側に居た生徒がピシャリと窓を閉めた。
 それを合図に、残っていた生徒を崇直が誘導して外へ出す。
「ありがとう」
 そう崇直が告げ、引き戸を締める。
 それを確かめ、直樹が改めてひろよちんを見て話しかけた。
「狭山博代さん、聞いてくれ。その友達も、頼む」
 そこへ崇直が並ぶ。
「兄の笠神崇直だ」
 いつになく、真摯な態度である。
 声をかけられた女子が、顔を赤らめ少しバツの悪そうな顔をする。
 続けて穏やかな声色で崇直が語りかけた。 
「俺たち笠神兄弟は庵野紅緒を大事に思っている。それは多分、妹以上だ。紅緒が小学生の時両親をなくしているのを、君たちは知っているだろう」
 静かな教室に、ひろよちんの嗚咽だけが聞こえている。
 ひろよちんと紅緒は幼稚園から今日まで、ずっと同じ学校に通っている。
 紅緒の一番の親友だ。
「その後は親戚筋に当たる笠神家が引き取り、厳密には同じ敷地内の大叔父の家だが、もう十年以上一緒に暮らしてる」
 継いで直樹が一つ咳払いをし、言った。
「そして、俺たちは紅緒が好きだ。以上」
 樹が控えめに、吹いた。
 声を殺して笑っているようで、両肩が小刻みに震えてる。
 紅緒が笑いをごまかしてる樹を見て、天を仰ぎ首を傾げる。
 次いで直樹を見ると、満足げに小さくうなずき自信満々な笑みを向けてきた。
「は? 何それ。以上って。え、何の話?」 
 直樹のドヤ顔を見て意味が分からず、紅緒は思わず声に出てしまったようだ。
 それが聞こえたのか、ひろよちんが立ち上がった。
 向かいに立つ直樹と遜色ない背丈。
「知ってます。べーちゃんが皇子先輩じゃない方を好きなこと。ずっと見てましたから。私もべーちゃんが好きだから。ずっと、幼稚園からずっと憧れだったから!」
 直樹はそう言われて、嬉しそうに自分を指さしていた。
「好きって。じゃない方って、今じゃない方が好きって言った」 
「うるさい、サロンパス黙れ」
 すかさず紅緒が、直樹の尻に膝蹴りを入れる。
「いっ……」
 ひろよちんが顔を上げ、真剣な眼差しでまっすぐ崇直と直樹を交互に見つめている。
 なまじ、美人だけに迫力がある。
 直樹が何かいいたげに、目を剥いてまるで金魚のように口を動かしている。
 崇直はあっけにとられた顔をして、口を開いた。
「憧れだってよ、べーすげぇじゃん」
 言われて紅緒は、その横に立っていた樹と揃って口をOの字にして固まっていた。
 ひろよちんはというと、言い切ってほっとしたのか脱力したように椅子に座り、そのまま机に突っ伏して声を上げて泣き出した。
 逃げ損ねた女子二人は、びっくりしてお互い顔を見合わせている。
 そのうち一人がひろよちんの背中に手を伸ばし、優しくさすりはじめた。
「うん。|1年の王子《うちのプリンス》はカッコいいもんね。背は高いし優しいし」
 言った彼女の目から、涙がこぼれた。
「ごめんね。変なこと言って狭山さん。私誤解してた」
 別の女子も泣いている。
「私も、ごめんね」 
「うん。……」
 泣き声が収まった頃、ようやく状況を把握した直樹が話しかけた。
「ありがとう。紅緒の|友《・》|人《・》は、俺らの仲間も同然だ。だから、紅緒共々これからもよろしく」
 直樹が崇直を伴いひろよちんの傍に行き、手を差し出す。
 女子の一人に促され、ひろよちんが顔を上げる。
 笑顔の崇直と直樹が、自分に向かって手を差し出していた。
 驚いて思わず立ち上がり、両手を自分のスカートに何度もこすりつけ、ひろよちんはゆっくり手を差し出した。
 その手を大きな崇直と直樹の手が、交互に握る。
 ひろよちんの頬に彩が戻ってきた。
「よろ、よろしくおねがいします」
「泣き止んだか。良かった」
 と直樹。
 続けて横の女子とも二人は握手を交わした。
「バスケ部は止めるなよ」
 崇直はそう言って、ひろよちんに笑いかける。
 ひろよちんは、ハイと返事を返し、紅緒に笑いかけた。 
 それでほっとしたのか、紅緒が大きく息を吐き肩の力を抜いた。
「あーっ良かったぁ。ひろよちんに嫌われたのかと思った」
 今度はそこに居た全員が、はぁ? という顔で紅緒を凝視した。