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屋形船

ー/ー



 エリシアとヴァイは、日本旅行中に屋形船を貸し切ることにした。



 水面に揺れる船内では、二人のテンションがそれぞれのペースで上がっていた。



「ウッヒョおおおお! これがジャパニーズ・トラディションだぜぇ!?」



 ヴァイは窓際に駆け寄り、外の景色を見ながら興奮気味に叫ぶ。その勢いに、エリシアは少し呆れたような表情を浮かべたが、楽しそうに微笑む。



「おお! ヴァイ! グリコのやつ! ほら! グリコ!」



 エリシアが指差す方向を見ると、大阪名物の「グリコ看板」が川沿いに見える。



「オーケー! 写真撮れよ、写真!」



 ヴァイはポーズを決め、無理やりエリシアを巻き込む。エリシアは「まあ仕方ありませんわね」と言いながらもカメラに微笑む。

 船内では、お膳が並び、日本酒や天ぷらが用意されているが、二人は景色や船の雰囲気を堪能することに夢中で、食事にはまだ手を付けていなかった。



「これ、悪くないですわね。意外と。」
「だろ!? 屋形船、最高だぜ!」



 夜の景色が船を包む中、二人の異世界的な組み合わせが船上で妙に馴染んでいた。



 
 ——1時間後。



 ——シュ……シュ……



 水面を滑る音だけが響く中、エリシアはスマホを手に黙々とTikTokの動画を眺めている。指を上下にスワイプしながら、時折「ふん」と鼻で笑うが、特に興味深そうな様子もない。



 一方、ヴァイは隣で電話に夢中になっていた。



「あぁ、もしもし俺だが……例の件だがな……。」



 彼は椅子に腰をかけ、片手で電話を持ちながら苛立たしげに話している。



「あの頼み方じゃあ受けられねぇ。伝えておいてくれ。」



 ヴァイの声が低く響くが、エリシアはTikTokから目を離す気配もなく、「へぇ」と興味なさげに呟くだけだった。

 ヴァイは電話の相手に一通り指示を出し終えると、受話器を置くような仕草でスマホをしまった。



「おい、エリシア、あれから何か面白い動画でも見つけたか?」
「べつに。」



 おわり












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 エリシアとヴァイは、日本旅行中に屋形船を貸し切ることにした。
 水面に揺れる船内では、二人のテンションがそれぞれのペースで上がっていた。
「ウッヒョおおおお! これがジャパニーズ・トラディションだぜぇ!?」
 ヴァイは窓際に駆け寄り、外の景色を見ながら興奮気味に叫ぶ。その勢いに、エリシアは少し呆れたような表情を浮かべたが、楽しそうに微笑む。
「おお! ヴァイ! グリコのやつ! ほら! グリコ!」
 エリシアが指差す方向を見ると、大阪名物の「グリコ看板」が川沿いに見える。
「オーケー! 写真撮れよ、写真!」
 ヴァイはポーズを決め、無理やりエリシアを巻き込む。エリシアは「まあ仕方ありませんわね」と言いながらもカメラに微笑む。
 船内では、お膳が並び、日本酒や天ぷらが用意されているが、二人は景色や船の雰囲気を堪能することに夢中で、食事にはまだ手を付けていなかった。
「これ、悪くないですわね。意外と。」
「だろ!? 屋形船、最高だぜ!」
 夜の景色が船を包む中、二人の異世界的な組み合わせが船上で妙に馴染んでいた。
 ——1時間後。
 ——シュ……シュ……
 水面を滑る音だけが響く中、エリシアはスマホを手に黙々とTikTokの動画を眺めている。指を上下にスワイプしながら、時折「ふん」と鼻で笑うが、特に興味深そうな様子もない。
 一方、ヴァイは隣で電話に夢中になっていた。
「あぁ、もしもし俺だが……例の件だがな……。」
 彼は椅子に腰をかけ、片手で電話を持ちながら苛立たしげに話している。
「あの頼み方じゃあ受けられねぇ。伝えておいてくれ。」
 ヴァイの声が低く響くが、エリシアはTikTokから目を離す気配もなく、「へぇ」と興味なさげに呟くだけだった。
 ヴァイは電話の相手に一通り指示を出し終えると、受話器を置くような仕草でスマホをしまった。
「おい、エリシア、あれから何か面白い動画でも見つけたか?」
「べつに。」
 おわり