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Zoomで作戦会議

ー/ー



 エリシアとヴァイがZoomで作戦会議をしている。



 エリシアが画面越しに話す。



「ヴァイ、今回の任務は難易度が高いですわ。あなたが来てくれなければ、成功する確率が下がりますのよ。」



 だが、モニターに映るヴァイはいつもの革ジャンではなく、スーツにネクタイ姿。

 しかも、小声で囁いている。



「すまんな〜エリシアちゃんよぉ〜。今、訳あって潜入中なんだゼェ?」



 エリシアが眉をひそめる。



「潜入中?何をしてますの?」



 ヴァイはカメラをチラリと確認してから、慎重に言葉を選ぶ。



「いやぁ、これがよぉ……とあるブラック企業に潜り込んでるんだ。社員が全員、マインドコントロールされててな、証拠を掴む必要があんだよ。」



 彼の背後には、深夜のオフィスが映っている。

 誰一人いない薄暗いフロア、パソコンの微かな光だけが漂う異様な空間だ。

 エリシアが怪訝な顔で尋ねる。



「その……スーツ姿も、その潜入の一環ですの?」



 ヴァイは肩をすくめながら言った。



「まぁな、変に目立つとすぐバレるからよぉ。ここの社員っぽく見せねえとな。」



 エリシアはZoom越しに、しつこいほどヴァイを説得し続けている。



「いいから、キャンセルしちゃいなさいよ!」
「そりゃ無理な話だぜ、エリシアちゃんよぉ!」



 ヴァイはスーツ姿ながらも、無造作に机に足を乗せ、身振り手振りで力説する。



「なんせ、もう着手金ももらっちまってんだ!この仕事を途中で放り出すってのは、俺のポリシーに反すんだよ!」



 エリシアは腕を組み、画面越しにヴァイを睨む。



「ポリシーとか関係ありませんわ!その仕事を辞めて私の任務を優先しなさい!」



「ったく、エリシア……いつも自分勝手だよな!」



 ヴァイは苦笑いしながら頭を掻く。

 エリシアがしつこく説得を続けていると、ヴァイがふいに画面の外を向いた。



「……?」



 エリシアは首をかしげる。

 その瞬間、ヴァイがほんの一瞬、何か小さなジェスチャーをしたように見えた。



 エリシアは即座に声を上げた。



「え、ちょっと!誰かいますの!?何か隠してませんの!?」



 ヴァイは慌てたように顔を戻し、手を振りながら否定する。



「あん?いやいや、誰もいねえぜ!……ただよ、汚ねえ蛾が飛び回ってやがるんだよなぁ!」



 そう言いながら、ヴァイはモニター越しに蛾を払うような仕草をして見せた。



 エリシアは疑わしげに目を細める。



「ほんとにぃ?怪しいですわねぇ……。後ろに人影とかありませんの?」



「そんなもんあるわけねえだろ!つーか、お前こそ、覗き趣味でもあんのかよ!」



 ヴァイが少し苛立った様子で反論すると、エリシアはむっとして腕を組む。



「趣味じゃありませんわ!任務の話をしてる最中ですのよ!」



 ——ガタ!



 突然の音にエリシアがぎょっとする。



 モニター越しに見えるヴァイは、突如として左腕を真横に伸ばしたまま、妙なポーズを取っていた。
その手は画面の端で切れていて、何をしているのか見えない。

 エリシアは訝しげに問いかける。



「ヴァイ?……何してますの?」



 ヴァイは焦ったような笑みを浮かべながら、慌てて言い訳を始める。



「あ、あん!?なんでもねえよ!……ほら、長時間座ってると腕が痺れるんだよ!同じ姿勢でいるとヨォ!」



 彼の声はどこかぎこちない。
 エリシアは眉をひそめて続ける。



「そう……?なんだか不自然ですわねぇ……。」



 ヴァイは苦笑いしながら腕を振る仕草をしてみせる。



「ほら、これで血行を良くしてんだよ!Zoom中に倒れたら、お前が困るだろ!」



 エリシアは納得していない表情を浮かべたままもどかしそうに言った。



「なんだか怪しい気がしますわ……そっちに本当に誰もいないんですの?」

「いねえって!お前もZoom越しに変なもん探すんじゃねえよ!」



 次の瞬間、ヴァイの画面が揺れ始めた。



 ——ガタガタ……ユラユラ……



「おや?通信不良?画面のラグ……?」



 エリシアが疑問に思う間もなく、モニターに映るオフィスの背景が不自然に倒れていった。



 ——バタン!



「あああぁあ〜!」



 画面の向こうでヴァイが何か叫んでいる。



 倒れた「オフィスの背景ボード」の向こうに現れたのは——常夏のビーチ。

 青い空、白い砂浜、そして波の音。

 そこにはアウトロー感満載のマフィア数人が、ラフなシャツや水着姿でくつろいでいる。
一人がヴァイに向かって叫んだ。



「ヴァイ!ボール取ってくれや!」



 別の男が酒のボトルを掲げて言う。



「てか何やってんの?酒持ってきたぞ!」



 さらに、ヴァイの怒鳴り声が響く。



「おおぃ!ふざけんじゃねーぞ!ボールぶつけやがってコンニャロ〜!」



 ヴァイは渋々立ち上がるが、その瞬間——衝撃の事実が判明。



 スーツのジャケットとネクタイを着ていたが、下半身は海パン。



 エリシアはモニター越しに、呆れた声を放った。



「へぇ、常夏のビーチに潜入ですか。これはすごいですわねぇ……」



 ヴァイは頭を掻きながら、苦笑いで返す。



「いやぁ、エリシアちゃんよぉ、これはだな……」



 エリシアは腕を組み、半眼でジッとヴァイを見つめたまま一言。



「説明、ちゃんとしてもらいますわよ。」



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 エリシアとヴァイがZoomで作戦会議をしている。
 エリシアが画面越しに話す。
「ヴァイ、今回の任務は難易度が高いですわ。あなたが来てくれなければ、成功する確率が下がりますのよ。」
 だが、モニターに映るヴァイはいつもの革ジャンではなく、スーツにネクタイ姿。
 しかも、小声で囁いている。
「すまんな〜エリシアちゃんよぉ〜。今、訳あって潜入中なんだゼェ?」
 エリシアが眉をひそめる。
「潜入中?何をしてますの?」
 ヴァイはカメラをチラリと確認してから、慎重に言葉を選ぶ。
「いやぁ、これがよぉ……とあるブラック企業に潜り込んでるんだ。社員が全員、マインドコントロールされててな、証拠を掴む必要があんだよ。」
 彼の背後には、深夜のオフィスが映っている。
 誰一人いない薄暗いフロア、パソコンの微かな光だけが漂う異様な空間だ。
 エリシアが怪訝な顔で尋ねる。
「その……スーツ姿も、その潜入の一環ですの?」
 ヴァイは肩をすくめながら言った。
「まぁな、変に目立つとすぐバレるからよぉ。ここの社員っぽく見せねえとな。」
 エリシアはZoom越しに、しつこいほどヴァイを説得し続けている。
「いいから、キャンセルしちゃいなさいよ!」
「そりゃ無理な話だぜ、エリシアちゃんよぉ!」
 ヴァイはスーツ姿ながらも、無造作に机に足を乗せ、身振り手振りで力説する。
「なんせ、もう着手金ももらっちまってんだ!この仕事を途中で放り出すってのは、俺のポリシーに反すんだよ!」
 エリシアは腕を組み、画面越しにヴァイを睨む。
「ポリシーとか関係ありませんわ!その仕事を辞めて私の任務を優先しなさい!」
「ったく、エリシア……いつも自分勝手だよな!」
 ヴァイは苦笑いしながら頭を掻く。
 エリシアがしつこく説得を続けていると、ヴァイがふいに画面の外を向いた。
「……?」
 エリシアは首をかしげる。
 その瞬間、ヴァイがほんの一瞬、何か小さなジェスチャーをしたように見えた。
 エリシアは即座に声を上げた。
「え、ちょっと!誰かいますの!?何か隠してませんの!?」
 ヴァイは慌てたように顔を戻し、手を振りながら否定する。
「あん?いやいや、誰もいねえぜ!……ただよ、汚ねえ蛾が飛び回ってやがるんだよなぁ!」
 そう言いながら、ヴァイはモニター越しに蛾を払うような仕草をして見せた。
 エリシアは疑わしげに目を細める。
「ほんとにぃ?怪しいですわねぇ……。後ろに人影とかありませんの?」
「そんなもんあるわけねえだろ!つーか、お前こそ、覗き趣味でもあんのかよ!」
 ヴァイが少し苛立った様子で反論すると、エリシアはむっとして腕を組む。
「趣味じゃありませんわ!任務の話をしてる最中ですのよ!」
 ——ガタ!
 突然の音にエリシアがぎょっとする。
 モニター越しに見えるヴァイは、突如として左腕を真横に伸ばしたまま、妙なポーズを取っていた。
その手は画面の端で切れていて、何をしているのか見えない。
 エリシアは訝しげに問いかける。
「ヴァイ?……何してますの?」
 ヴァイは焦ったような笑みを浮かべながら、慌てて言い訳を始める。
「あ、あん!?なんでもねえよ!……ほら、長時間座ってると腕が痺れるんだよ!同じ姿勢でいるとヨォ!」
 彼の声はどこかぎこちない。
 エリシアは眉をひそめて続ける。
「そう……?なんだか不自然ですわねぇ……。」
 ヴァイは苦笑いしながら腕を振る仕草をしてみせる。
「ほら、これで血行を良くしてんだよ!Zoom中に倒れたら、お前が困るだろ!」
 エリシアは納得していない表情を浮かべたままもどかしそうに言った。
「なんだか怪しい気がしますわ……そっちに本当に誰もいないんですの?」
「いねえって!お前もZoom越しに変なもん探すんじゃねえよ!」
 次の瞬間、ヴァイの画面が揺れ始めた。
 ——ガタガタ……ユラユラ……
「おや?通信不良?画面のラグ……?」
 エリシアが疑問に思う間もなく、モニターに映るオフィスの背景が不自然に倒れていった。
 ——バタン!
「あああぁあ〜!」
 画面の向こうでヴァイが何か叫んでいる。
 倒れた「オフィスの背景ボード」の向こうに現れたのは——常夏のビーチ。
 青い空、白い砂浜、そして波の音。
 そこにはアウトロー感満載のマフィア数人が、ラフなシャツや水着姿でくつろいでいる。
一人がヴァイに向かって叫んだ。
「ヴァイ!ボール取ってくれや!」
 別の男が酒のボトルを掲げて言う。
「てか何やってんの?酒持ってきたぞ!」
 さらに、ヴァイの怒鳴り声が響く。
「おおぃ!ふざけんじゃねーぞ!ボールぶつけやがってコンニャロ〜!」
 ヴァイは渋々立ち上がるが、その瞬間——衝撃の事実が判明。
 スーツのジャケットとネクタイを着ていたが、下半身は海パン。
 エリシアはモニター越しに、呆れた声を放った。
「へぇ、常夏のビーチに潜入ですか。これはすごいですわねぇ……」
 ヴァイは頭を掻きながら、苦笑いで返す。
「いやぁ、エリシアちゃんよぉ、これはだな……」
 エリシアは腕を組み、半眼でジッとヴァイを見つめたまま一言。
「説明、ちゃんとしてもらいますわよ。」