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SCENE090 廃鉱山ダンジョンの経過観測

ー/ー



 ダンジョン体験の翌日、私は一人で車を運転して廃鉱山ダンジョンにやってきていた。ここのダンジョンマスターであるゴーレムに娘さんの近況を伝えるためだ。
 ダンジョンに入っていくと、いつものようにダンジョンの中には探索者の姿があった。異変が解決して安全が確認されたからな。にしても、みんなやってくるのが早いもんだよ。

「やあ、どうかな、調子は」

 私は門番となるゴーレムにすんなりと通してもらい、ダンジョンマスターのいるボス部屋へとやって来た。
 声をかけた相手が、このダンジョンのマスターであるゴーレムだ。ラティナ・ロックウェルの父親で、オーラム・ロックウェル伯爵というそうだ。
 オーラムというのは、金という意味なんだがな。娘のラティナといい、金属の要素がどこにもないじゃないか。本当に適当だな。

「おお、これは衣織殿。調子はいいですよ。それよりも、娘のことを確認させてもらってもいいですかな」

「ああ、そうだな」

 オーラムは私の質問に答えながら、娘のことを尋ねてきた。まっ、可愛い自分の子どものことだから、気になるのは仕方のないことだな。
 隠す理由もないので、私はすんなりと答えることにする。

「私の知り合いのダンジョンに無事に送り届けてきたよ。それにしても、ゴーレムという特殊な種族だと、ダンジョン間の移動ができるというのは新発見だな」

「それは私の方もですよ。こんなこと、異界の中でも知られていないことですからな。ダンジョン間を移動しようなど、今まで誰も考えたことがありませんでしたからな」

「なるほどな……」

 オーラムの話を聞いていて、いろいろと考えてしまうな。
 ダンジョン配信のことといい、今回のダンジョン間の移動のことといい、このダンジョンシステムにはいろいろと穴があるのではないかとね。
 今回、このダンジョンが地球に出現したことによって、今まで知られていなかったことがいろいろと露呈してきているということなんだろうな。
 とはいえ、ここはモンスターたちが住んでいた異界とは異なる場所なので、あちらさんのダンジョン管理をしている連中が知ることはないんだろうな。
 それにしても、異界の連中は何を思って、よその世界にダンジョンを発生させているんだろうな。まったくもって意図が理解できないな。

「ラティナは瞬ともすぐに打ち解けていたようだし、瞬のサポートをしているバトラーとは面識があるみたいだったから、安心していいと思うぞ」

「おお、バトラー殿がいらっしゃるのですか。それならば、確かに安心してもいいようですな」

「なんだ。知り合いだったのか」

「ええ、それはとてもよく知っておりますとも」

 私が確認すると、オーラムは嬉しそうな声で答えていた。ゴーレムのせいで表情がよく分からんな。ラティナの方は同じゴーレムなのに表情豊かだし、これも個体差っていうやつなんだろうかな。

「それはそうと、ラティナが開けた穴の方はどうなっているかな?」

「そうですな。それを確認してもらいましょうか」

 ひとまず、私はここに来たもう一つの目的を果たさせてもらおう。
 前にここに来た時には、お腹を空かせたラティナが食い散らかした大穴が開いていた。それが原因で、ダンジョンのマナが外へと漏れ出して、それは大変なことになりかけていた。
 今はダンジョン管理局の人が来て、少しずつ中和させているところだ。これも謎技術で、私にはまったくどうなっているのか理解できん。
 それはとりあえず置いておいて、肝心の大本であるダンジョンの状態を確認しないとな。剛力さんたちも忙しくて、ずっとこっちに滞在できるわけじゃない。今はギルドのメンバーで交代しながら現地の確認をしているという状況だからな。
 大穴のところにやってくると、もう穴はほとんど埋まっているようだった。

「すごいな。もうほとんど元通りじゃないか」

「はい。文字通り身を削ったかいがあるというものですよ」

「……まさか、自分の体の岩を詰めて、ダンジョンを再生させたというのか?」

「その通りですよ」

 私は驚かされた。ゴーレムってそんなことができるのか。
 いや、ゴーレムに捕食されてダンジョンが再生できないのであれば、その方法は十分に考えられる。
 だが、その方法ははっきりいって予想外だったな。

「娘のしたことは、親が責任を取るというものです」

「確かにその通りだな。いや、異界にもそういう考えがあるのだな」

「貴族なら当然でございましょう」

 私が驚いていると、オーラムからは当たり前ではというように言われてしまい、私は黙り込むしかなかった。

「それと、先程ダンジョンポイントを確認してみたところ、よく分からないポイントが入っていましたので、ダンジョン再生は予想外に捗りそうですよ」

「そうか……。なんで、そんなに増えたんだ?」

「私にも分かりませんね。ただ、とてもありがたく思っています」

「それはよかったな……」

 にこにこと笑顔みたいな表情を見せるオーラムに、私はただ笑って答えることしかできなかった。
 とりあえずまあ、ダンジョンに開いた穴がふさがって、ダンジョンブレイクを阻止できたことを確認できただけでもよしとしよう。
 私はそうやって、自分をどうにか納得させていたのだった。


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 ダンジョン体験の翌日、私は一人で車を運転して廃鉱山ダンジョンにやってきていた。ここのダンジョンマスターであるゴーレムに娘さんの近況を伝えるためだ。
 ダンジョンに入っていくと、いつものようにダンジョンの中には探索者の姿があった。異変が解決して安全が確認されたからな。にしても、みんなやってくるのが早いもんだよ。
「やあ、どうかな、調子は」
 私は門番となるゴーレムにすんなりと通してもらい、ダンジョンマスターのいるボス部屋へとやって来た。
 声をかけた相手が、このダンジョンのマスターであるゴーレムだ。ラティナ・ロックウェルの父親で、オーラム・ロックウェル伯爵というそうだ。
 オーラムというのは、金という意味なんだがな。娘のラティナといい、金属の要素がどこにもないじゃないか。本当に適当だな。
「おお、これは衣織殿。調子はいいですよ。それよりも、娘のことを確認させてもらってもいいですかな」
「ああ、そうだな」
 オーラムは私の質問に答えながら、娘のことを尋ねてきた。まっ、可愛い自分の子どものことだから、気になるのは仕方のないことだな。
 隠す理由もないので、私はすんなりと答えることにする。
「私の知り合いのダンジョンに無事に送り届けてきたよ。それにしても、ゴーレムという特殊な種族だと、ダンジョン間の移動ができるというのは新発見だな」
「それは私の方もですよ。こんなこと、異界の中でも知られていないことですからな。ダンジョン間を移動しようなど、今まで誰も考えたことがありませんでしたからな」
「なるほどな……」
 オーラムの話を聞いていて、いろいろと考えてしまうな。
 ダンジョン配信のことといい、今回のダンジョン間の移動のことといい、このダンジョンシステムにはいろいろと穴があるのではないかとね。
 今回、このダンジョンが地球に出現したことによって、今まで知られていなかったことがいろいろと露呈してきているということなんだろうな。
 とはいえ、ここはモンスターたちが住んでいた異界とは異なる場所なので、あちらさんのダンジョン管理をしている連中が知ることはないんだろうな。
 それにしても、異界の連中は何を思って、よその世界にダンジョンを発生させているんだろうな。まったくもって意図が理解できないな。
「ラティナは瞬ともすぐに打ち解けていたようだし、瞬のサポートをしているバトラーとは面識があるみたいだったから、安心していいと思うぞ」
「おお、バトラー殿がいらっしゃるのですか。それならば、確かに安心してもいいようですな」
「なんだ。知り合いだったのか」
「ええ、それはとてもよく知っておりますとも」
 私が確認すると、オーラムは嬉しそうな声で答えていた。ゴーレムのせいで表情がよく分からんな。ラティナの方は同じゴーレムなのに表情豊かだし、これも個体差っていうやつなんだろうかな。
「それはそうと、ラティナが開けた穴の方はどうなっているかな?」
「そうですな。それを確認してもらいましょうか」
 ひとまず、私はここに来たもう一つの目的を果たさせてもらおう。
 前にここに来た時には、お腹を空かせたラティナが食い散らかした大穴が開いていた。それが原因で、ダンジョンのマナが外へと漏れ出して、それは大変なことになりかけていた。
 今はダンジョン管理局の人が来て、少しずつ中和させているところだ。これも謎技術で、私にはまったくどうなっているのか理解できん。
 それはとりあえず置いておいて、肝心の大本であるダンジョンの状態を確認しないとな。剛力さんたちも忙しくて、ずっとこっちに滞在できるわけじゃない。今はギルドのメンバーで交代しながら現地の確認をしているという状況だからな。
 大穴のところにやってくると、もう穴はほとんど埋まっているようだった。
「すごいな。もうほとんど元通りじゃないか」
「はい。文字通り身を削ったかいがあるというものですよ」
「……まさか、自分の体の岩を詰めて、ダンジョンを再生させたというのか?」
「その通りですよ」
 私は驚かされた。ゴーレムってそんなことができるのか。
 いや、ゴーレムに捕食されてダンジョンが再生できないのであれば、その方法は十分に考えられる。
 だが、その方法ははっきりいって予想外だったな。
「娘のしたことは、親が責任を取るというものです」
「確かにその通りだな。いや、異界にもそういう考えがあるのだな」
「貴族なら当然でございましょう」
 私が驚いていると、オーラムからは当たり前ではというように言われてしまい、私は黙り込むしかなかった。
「それと、先程ダンジョンポイントを確認してみたところ、よく分からないポイントが入っていましたので、ダンジョン再生は予想外に捗りそうですよ」
「そうか……。なんで、そんなに増えたんだ?」
「私にも分かりませんね。ただ、とてもありがたく思っています」
「それはよかったな……」
 にこにこと笑顔みたいな表情を見せるオーラムに、私はただ笑って答えることしかできなかった。
 とりあえずまあ、ダンジョンに開いた穴がふさがって、ダンジョンブレイクを阻止できたことを確認できただけでもよしとしよう。
 私はそうやって、自分をどうにか納得させていたのだった。