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SCENE083 ダンジョン体験、第二回の始まり

ー/ー



 翌日、ダンジョン体験の第二回が始まる。
 僕たちはダンジョンの入口までやってきて、参加者たちを出迎えることにする。

「あの、ウィンク様」

「なんでしょうか、ラティナさん」

「部外者である私も、出てきてよかったのでしょうか」

 ラティナさんは、どうやらお出迎えに参加することを戸惑っているようだった。
 それもそうかなとは思う。なんといっても、ラティナさんは服まで含めて全部岩だらけの体だもん。女の子ということもあって恥ずかしいんだろうな。

「大丈夫ですよ。僕だって下半身これですからね」

 どことなく不安そうなラティナさんに、僕は自分の下半身を指差して笑いながら話している。
 僕はラミア族だから、下半身は蛇だもん。プリンセスらしく、スカートの長いドレス風の服を着ているからといっても、やっぱりなんとなく恥ずかしい。

「そうですね。ウィンク様はラミアですものね。……なんとなく気持ちが落ち着きました、ありがとうございます」

 ラティナさんにそう言われると、僕はなんとなく微妙な気分になった。
 でも、気持ちが楽になったというのなら、僕はおとなしく喜ぶことにするよ。だって、こんな純粋そうな子を怒ることなんて、僕にはできないからね。
 そうこうしている間に、ダンジョンの外から人が近付いてくる足音がする。

「おお、どうやらいらしたようですな」

「だね、バトラー」

 谷地さんと日下さん、それと衣織お姉さんが、四人の男女を連れてやって来た。

「やあ、瞬。わざわざ出迎えに来てくれたのか」

「衣織お姉さん、本名で呼ばないで下さい。今の僕はウィンクですよ」

「いやぁ、悪いな。その名前は呼び慣れないんだ」

 衣織お姉さんが相変わらず僕のことを本名で呼んでくるから、さすがに僕は注意をしたよ。うん、ダメだったけどね。

「おお、配信で見るウィンクちゃんだ」

「実物、結構可愛いよね」

「というか、横の岩の子は誰だ?」

「こ、この子たちと二日間過ごすのか……」

 後ろに控えている四人が、なにやらひそひそと話している。残念だけど、僕の耳には全部聞こえているからね。
 だけど、悪い話をしているわけではなさそうなので、ダンジョンマスターとして僕は軽く聞き流しておく。

「では、ダンジョン体験の説明をするので、とりあえずダンジョンの中にお入り下さい」

「は、はい!」

 それよりもやることはやらないとね。僕は、ダンジョンのギリギリまで前に出て、体験にやって来た四人の探索者見習いたちに挨拶をする。

「ようこそ、僕のダンジョンへ。僕がこのダンジョンのマスターであるウィンクです。話を聞いている限りは、僕の配信を見て下さっている方もいらっしゃるみたいですね」

「あ、聞こえちゃってたんだ。なんか恥ずかしいよ」

 四人の中の一人が、頬に手を当てて恥ずかしそうにしている。聞かれていると思ってなかったんだ。

「気をつけて下さいね。モンスターの中には耳がいいモンスターもいますので」

「は、はい、気をつけます……」

 女の子は、僕の注意に表情を引き締めて返事をしていた。

「では、中に案内をします。他のみなさんの紹介は、最奥のボス部屋でしますね。その時にはみなさんの自己紹介もしてもらいますので」

「はい!」

 元気のいい返事を聞いて、僕たちは探索者見習いたちをダンジョンの中へと案内する。

「うっ……」

 中に入った瞬間、一人がちょっと気持ち悪そうにしていた。

「マナとの相性が悪いのか? まっ、最初のうちだけだ。そのうち慣れる」

「大丈夫かな?」

「大丈夫だと思うぞ。もし無理だったら早めに言ってほしい。私が対処しよう」

「トップ探索者の衣織さん自らですか?」

 予想外だったのか、探索者見習いの人たちが驚いている。

「私も最初は、マナに慣れなくてよく吐いたものだからね。苦しさというのはよく分かっている」

 あっ、そうだったんだ。
 僕は衣織お姉さんの証言に、びっくりしていた。
 あれだけ強い衣織お姉さんでも、そんな弱い時期があったんだなと思うと衝撃しかないよ。
 それはそれとして、詳しいことは後で聞くことにしよう。
 僕は地下へと潜っていく。
 途中にある扉では、バトラーと衣織お姉さんが威嚇して、キラーアントたちを怯ませている。こうしておかないと、谷地さんたちが襲われかねないからだ。
 僕の言うことは聞いてくれるんだけど、説得するよりこの方が早いからね。
 こうして歩いている間に、ダンジョンの三階層にある僕の住む部屋に到着した。

「ここがこのダンジョンのボス部屋です。では、あちらにあるテーブルを囲んで、ひとまず話をしましょう。バトラー、飲み物をお願いするね」

「はい、プリンセス。お任せを」

 バトラーはいつものように紅茶の準備を始める。その間に、僕たちはテーブルを囲んで座る。普通のは四人掛けなので、もちろんテーブルはツーセット出してあるよ。
 テーブルが一脚で20ポイント、椅子が一脚で10ポイントなので、合わせて120ポイント。決して安くはないけれど、こうやってダンジョンに人を招く以上はちゃんと用意しておかないとね。立ち話はしんどいし、地面はごつごつしてるから慣れないと痛いだけだもん。
 あっ、もちろんこれは一回目の時から使ってるから、新しくダンジョンポイントは消費してないから安心してね。
 そんなわけで、第二回のダンジョン体験教室の始まりだよ。


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 翌日、ダンジョン体験の第二回が始まる。
 僕たちはダンジョンの入口までやってきて、参加者たちを出迎えることにする。
「あの、ウィンク様」
「なんでしょうか、ラティナさん」
「部外者である私も、出てきてよかったのでしょうか」
 ラティナさんは、どうやらお出迎えに参加することを戸惑っているようだった。
 それもそうかなとは思う。なんといっても、ラティナさんは服まで含めて全部岩だらけの体だもん。女の子ということもあって恥ずかしいんだろうな。
「大丈夫ですよ。僕だって下半身これですからね」
 どことなく不安そうなラティナさんに、僕は自分の下半身を指差して笑いながら話している。
 僕はラミア族だから、下半身は蛇だもん。プリンセスらしく、スカートの長いドレス風の服を着ているからといっても、やっぱりなんとなく恥ずかしい。
「そうですね。ウィンク様はラミアですものね。……なんとなく気持ちが落ち着きました、ありがとうございます」
 ラティナさんにそう言われると、僕はなんとなく微妙な気分になった。
 でも、気持ちが楽になったというのなら、僕はおとなしく喜ぶことにするよ。だって、こんな純粋そうな子を怒ることなんて、僕にはできないからね。
 そうこうしている間に、ダンジョンの外から人が近付いてくる足音がする。
「おお、どうやらいらしたようですな」
「だね、バトラー」
 谷地さんと日下さん、それと衣織お姉さんが、四人の男女を連れてやって来た。
「やあ、瞬。わざわざ出迎えに来てくれたのか」
「衣織お姉さん、本名で呼ばないで下さい。今の僕はウィンクですよ」
「いやぁ、悪いな。その名前は呼び慣れないんだ」
 衣織お姉さんが相変わらず僕のことを本名で呼んでくるから、さすがに僕は注意をしたよ。うん、ダメだったけどね。
「おお、配信で見るウィンクちゃんだ」
「実物、結構可愛いよね」
「というか、横の岩の子は誰だ?」
「こ、この子たちと二日間過ごすのか……」
 後ろに控えている四人が、なにやらひそひそと話している。残念だけど、僕の耳には全部聞こえているからね。
 だけど、悪い話をしているわけではなさそうなので、ダンジョンマスターとして僕は軽く聞き流しておく。
「では、ダンジョン体験の説明をするので、とりあえずダンジョンの中にお入り下さい」
「は、はい!」
 それよりもやることはやらないとね。僕は、ダンジョンのギリギリまで前に出て、体験にやって来た四人の探索者見習いたちに挨拶をする。
「ようこそ、僕のダンジョンへ。僕がこのダンジョンのマスターであるウィンクです。話を聞いている限りは、僕の配信を見て下さっている方もいらっしゃるみたいですね」
「あ、聞こえちゃってたんだ。なんか恥ずかしいよ」
 四人の中の一人が、頬に手を当てて恥ずかしそうにしている。聞かれていると思ってなかったんだ。
「気をつけて下さいね。モンスターの中には耳がいいモンスターもいますので」
「は、はい、気をつけます……」
 女の子は、僕の注意に表情を引き締めて返事をしていた。
「では、中に案内をします。他のみなさんの紹介は、最奥のボス部屋でしますね。その時にはみなさんの自己紹介もしてもらいますので」
「はい!」
 元気のいい返事を聞いて、僕たちは探索者見習いたちをダンジョンの中へと案内する。
「うっ……」
 中に入った瞬間、一人がちょっと気持ち悪そうにしていた。
「マナとの相性が悪いのか? まっ、最初のうちだけだ。そのうち慣れる」
「大丈夫かな?」
「大丈夫だと思うぞ。もし無理だったら早めに言ってほしい。私が対処しよう」
「トップ探索者の衣織さん自らですか?」
 予想外だったのか、探索者見習いの人たちが驚いている。
「私も最初は、マナに慣れなくてよく吐いたものだからね。苦しさというのはよく分かっている」
 あっ、そうだったんだ。
 僕は衣織お姉さんの証言に、びっくりしていた。
 あれだけ強い衣織お姉さんでも、そんな弱い時期があったんだなと思うと衝撃しかないよ。
 それはそれとして、詳しいことは後で聞くことにしよう。
 僕は地下へと潜っていく。
 途中にある扉では、バトラーと衣織お姉さんが威嚇して、キラーアントたちを怯ませている。こうしておかないと、谷地さんたちが襲われかねないからだ。
 僕の言うことは聞いてくれるんだけど、説得するよりこの方が早いからね。
 こうして歩いている間に、ダンジョンの三階層にある僕の住む部屋に到着した。
「ここがこのダンジョンのボス部屋です。では、あちらにあるテーブルを囲んで、ひとまず話をしましょう。バトラー、飲み物をお願いするね」
「はい、プリンセス。お任せを」
 バトラーはいつものように紅茶の準備を始める。その間に、僕たちはテーブルを囲んで座る。普通のは四人掛けなので、もちろんテーブルはツーセット出してあるよ。
 テーブルが一脚で20ポイント、椅子が一脚で10ポイントなので、合わせて120ポイント。決して安くはないけれど、こうやってダンジョンに人を招く以上はちゃんと用意しておかないとね。立ち話はしんどいし、地面はごつごつしてるから慣れないと痛いだけだもん。
 あっ、もちろんこれは一回目の時から使ってるから、新しくダンジョンポイントは消費してないから安心してね。
 そんなわけで、第二回のダンジョン体験教室の始まりだよ。