第47話 資質
ー/ー
「私から少し説明させて」と瞳。「奇跡の防衛戦の後、悠木が病院から逃げた話をしたのを覚えてる?」
「その後、家に帰ってきてくれたのだけど、宇宙に出て戦ってくれなんて到底頼める状況ではなかったの」と瞳が続けた。「どうしようもなくて、瑠璃子内親王にすべてを打ち明けて助けを求めたの。それから佐々木中将にも助力をお願いした。そしてあなたたちを集めた」
「政府はパニック状態に陥っていて、機能していなかった。だけど魔女狩りで迫害された義勇軍は第二次防衛戦争に参戦していなかったから、戦力と人材を温存していた。彼らから、朝風と夕霧を供与してもらった」
「後はあなたたちが知る通りよ」と瞳。「あなたたちに本当のことを言わずに利用したのは私です。ごめんなさい」
「ですが、私たちは全員この艦に乗ることを志願しました」と恵子。「利用などされていません」
「君たちが志願するように誘導したのだ」と桐子。「わざと意にそぐわない移動の命令を出して、それと同時に朝風の乗員募集の広報が君たちの目に入るようにした」
「そんな……」とサキ。
「でもなぜ私たちなのでしょうか?」とエリカ。
「もちろん魔女の資質があるからよ」と瑠璃子。「かたっぱしからこの船に集めたの。その中で、一番優秀だったのがあなたたちよ」
「そんなはずありません」とエリカ。「魔女だなんてどうやって分かったのですか」
「ドラゴン級攻撃艦がまとう青い光や主砲の虹色の光は魔女にしか見えないのよ」と瑠璃子。「だから奇跡の防衛戦の時の報告書を片っ端から調べて、あなたたちを見つけたの」
「そんな、うそ?」とエリカ。
「だれも青い光の情報を隠してなんかいなかった」と瑠璃子。「普通の人には見えなかっただけよ」
「あの時、私は異常な電磁波を検知しました」とエリカ。
「確かに虹色の光に由来するものだが、指向性の強いものだったから、ほかの場所では観測されなかったようだ」と桐子。
「では、艦長は私たちが魔女の資質を持つことを知っていたのですか?」とサキ。
「ええ、少なくとも、艦長の歓迎会であなたたちが青い光の話をした時には気づいていたはずよ」と瑠璃子。「そして、あなたたちを魔女として訓練してほしいという私たちの希望にも」
「ちなみに、私には青い光なんて見えないから」と瑠璃子。
「まるで見えているような口ぶりでしたが」と恵子。
「話を合わせていただけよ」と瑠璃子。「本当にごめんなさい」
「しかし、まだわかりません」と孝子。「私は奇跡の防衛戦でのドラゴン級攻撃艦の出撃を見ていません。それ以前にも青い光を見た覚えがありません。なぜ私が呼ばれたのでしょうか?」
「あなたは最初から招集リストのトップだったのよ」と瑠璃子。「念のため、こっそり適性も調べさせてもらったわ」
「なぜ私なのでしょうか?」と孝子。
「あなたが佐々木中将の娘だからよ」と瑠璃子。「中将はもともと魔女の素養があった。だから第一次戦争では数少ないフォックス戦闘機の搭乗員だったし、涙の魔術師の親友になる機会もあった。それから、あなたの母親が魔女だと聞いているわ。だから候補者の筆頭だったのよ」
「ですが魔女になったとして、私にできることなんてあるのでしょうか?」と孝子。
「朝風の航空甲板にあるウィッチ偵察機は君のために用意されたものだろう」とリリス。
「まさか!」と孝子。「あれは艦長のものです」
「あれは明らかに涙の魔術師のカラーリングじゃない。それに仕様が一般向けだ。彼の専用機なら、特別仕様のはずだ」とリリス。
「本当ですか?」と孝子。
「悠木は自分が乗って君に飛び方を教えていたのだ」と桐子。「この基地で君が飛行訓練を受けられるように、ファレン女史に頼んでおいたよ」
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「その後、家に帰ってきてくれたのだけど、宇宙に出て戦ってくれなんて到底頼める状況ではなかったの」と瞳が続けた。「どうしようもなくて、瑠璃子内親王にすべてを打ち明けて助けを求めたの。それから佐々木中将にも助力をお願いした。そしてあなたたちを集めた」
「政府はパニック状態に陥っていて、機能していなかった。だけど魔女狩りで迫害された義勇軍は第二次防衛戦争に参戦していなかったから、戦力と人材を温存していた。彼らから、朝風と夕霧を供与してもらった」
「後はあなたたちが知る通りよ」と瞳。「あなたたちに本当のことを言わずに利用したのは私です。ごめんなさい」
「ですが、私たちは全員この艦に乗ることを志願しました」と恵子。「利用などされていません」
「君たちが志願するように誘導したのだ」と桐子。「わざと意にそぐわない移動の命令を出して、それと同時に朝風の乗員募集の広報が君たちの目に入るようにした」
「そんな……」とサキ。
「でもなぜ私たちなのでしょうか?」とエリカ。
「もちろん魔女の資質があるからよ」と瑠璃子。「かたっぱしからこの船に集めたの。その中で、一番優秀だったのがあなたたちよ」
「そんなはずありません」とエリカ。「魔女だなんてどうやって分かったのですか」
「ドラゴン級攻撃艦がまとう青い光や主砲の虹色の光は魔女にしか見えないのよ」と瑠璃子。「だから奇跡の防衛戦の時の報告書を片っ端から調べて、あなたたちを見つけたの」
「そんな、うそ?」とエリカ。
「だれも青い光の情報を隠してなんかいなかった」と瑠璃子。「普通の人には見えなかっただけよ」
「あの時、私は異常な電磁波を検知しました」とエリカ。
「確かに虹色の光に由来するものだが、指向性の強いものだったから、ほかの場所では観測されなかったようだ」と桐子。
「では、艦長は私たちが魔女の資質を持つことを知っていたのですか?」とサキ。
「ええ、少なくとも、艦長の歓迎会であなたたちが青い光の話をした時には気づいていたはずよ」と瑠璃子。「そして、あなたたちを魔女として訓練してほしいという私たちの希望にも」
「ちなみに、私には青い光なんて見えないから」と瑠璃子。
「まるで見えているような口ぶりでしたが」と恵子。
「話を合わせていただけよ」と瑠璃子。「本当にごめんなさい」
「しかし、まだわかりません」と孝子。「私は奇跡の防衛戦でのドラゴン級攻撃艦の出撃を見ていません。それ以前にも青い光を見た覚えがありません。なぜ私が呼ばれたのでしょうか?」
「あなたは最初から招集リストのトップだったのよ」と瑠璃子。「念のため、こっそり適性も調べさせてもらったわ」
「なぜ私なのでしょうか?」と孝子。
「あなたが佐々木中将の娘だからよ」と瑠璃子。「中将はもともと魔女の素養があった。だから第一次戦争では数少ないフォックス戦闘機の搭乗員だったし、涙の魔術師の親友になる機会もあった。それから、あなたの母親が魔女だと聞いているわ。だから候補者の筆頭だったのよ」
「ですが魔女になったとして、私にできることなんてあるのでしょうか?」と孝子。
「朝風の航空甲板にあるウィッチ偵察機は君のために用意されたものだろう」とリリス。
「まさか!」と孝子。「あれは艦長のものです」
「あれは明らかに涙の魔術師のカラーリングじゃない。それに仕様が一般向けだ。彼の専用機なら、特別仕様のはずだ」とリリス。
「本当ですか?」と孝子。
「悠木は自分が乗って君に飛び方を教えていたのだ」と桐子。「この基地で君が飛行訓練を受けられるように、ファレン女史に頼んでおいたよ」