シャッターの下りた商店街を、
影と音を抱えながら歩く。
石畳に触れる足先は冷たく、
落ち葉が風に囁き、カサカサと秘密を漏らす。
誰かの落としたマフラーは、
夜の波に乗るように揺れ、絡まった葉と舞い踊る。
遠く、海の方から低く唸る波の音が届く。
耳をすませば、暗がりの影が呼応し、
街の息づかいが微かに揺れる。
瓦の上に跳び上がり、
尾をしならせて体を翻す。
灯りのない路地では、
影が夜の水面のように静かに伸び、
雨の匂いが鼻をくすぐる。
紙屑が舞い、錆びた看板が小さく揺れ、
風がマフラーを押し戻す。
街の端からは波が砕ける音が届き、
海の匂いが混ざった風が頬をなでる。
屋根の向こうで、
波が遠く砕けるリズムが耳をくすぐる。
街灯の影と波の揺れが重なり、
夜が呼吸するように見える。
夜の商店街は、私だけの迷宮。
影と光が絡み合い、まだ見ぬ路地、
屋根の向こうに冒険が待つ。
胸を高鳴らせ、尾を揺らし、
足を止めずに進む。
ーーー
《短歌》
マフラーは 風にひとり揺れ 落ち葉舞い 海の遠き唸り 胸に届きけり