灯の海を渡る
ー/ー
夜の風が俺のひげをくすぐる。
屋根の上から見下ろす街は黒い海のようで、
灯りの点々が波のように揺れ、影が跳ねる。
瓦に爪を立てて体を翻すと、
冷たい感触が指先に走り、
尾を揺らしながらバランスを整える。
胸の奥が高鳴る。
塀を越え、濡れた庭の土を踏むたび、
湿った匂いが鼻を撫でる。
古い木の香り、雨の残り香、
遠くの鍋の匂いが入り混じり、
耳をぴくりと動かすたび、
街の音が微かに響く。
慎重に前足を出し、影の揺れを確認する。
半開きの倉庫の扉が揺れ、
紙くずが舞う。
瓦の隙間を伝い、
屋根から屋根へ跳び移る。
水たまりに映る街灯の光が波打ち、
影が伸び、夜の空気がざわめく。
雨粒が顔に触れ、冷たくも心地よい。
風が唸り、
濡れた葉が触れるたび
匂いが鼻先を撫でる。
角を曲がると、一枚の窓が淡く光っていた。
誰もいないのに呼ばれる気がし、
胸の奥が疼く。
夜の迷い道は俺だけの冒険を抱き、足は止まらない。
まだ見ぬ景色が向こうに待っている。
瓦の感触、街灯の光、濡れた葉の匂い、
全てが俺の体を刺激する。
影が跳ね、胸が高鳴る。
夜は深く、世界は広い。
ーーー
《短歌》
路地抜け 光を目指して 影伸ばす
雨の匂いに 胸が高鳴る
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