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シシト様

ー/ー



「シシト、お前、痩せてるな! 飯食ってるのか!?」

 スパチーはシシトに近付きながら言った。

 ルサークは慌てながらスパチーを止める。

「馬鹿!! だから『シシト様』だ!」

 そんな様子を笑いながらシシトは見ていた。

「大丈夫ですよ。スパチーさん、僕は病気でね、食べられないんだ」

「病気? 病気ってなんだ!?」

 スパチーは首をかしげて尋ねる。

「病気ってのは、えーっとね。体が辛くなったり、動けなくなったりするんだ」

「なんだ! お前弱いのか! 髪真っ白だもんな!」

 スパチーにデルタも声を掛けた。

「いい加減にしなさい。スパチー」

「いいんです。久しぶりにこうして人と話せて嬉しいですから」

 その言葉にルサークは違和感を覚える。

「久しぶり……。ですか?」

「えぇ、みんな。僕の病気がうつるのが心配だったり、僕の身分を気にして……」

 病気がうつると聞いて、一瞬、ドキッとしたルサークとデルタだったが、悟られないようにした。

 そして、ルサークはシシトに質問をする。

「失礼ですが、身分というのは……」

 言いにくそうにシシトは答える。

「……クルミン家の長男です」

 聞いたルサークもデルタも驚いた。

「クルミン家っていうと、メチャクチャ有名な貴族では!?」

 ルサークの言葉にシシトの顔は曇る。

「でも、僕は身分だけです。体はこんな状態ですし……」

 何て声を掛けようかと悩むルサークを無視して、スパチーは言う。

「そうだ、お前。飴食べろ!!」

 スパチーはこの間、レモーヌと作った飴の欠片をシシトに差し出す。

 ルサークは慌てて止めに入った。

「ばっ、お前!! そんな不衛生なモン食べさせるな!!」

「いえ、いただきますよ。ありがとうスパチーちゃん」

 シシトは飴の欠片を手に取る際にスパチーの暖かな手が触れ合った。

 茶色く、透き通ったそれを口に運ぶ。

「甘い、おいしいね。ありがとう」

 スパチーは満足そうに胸を張った。

「美味いだろ!!」

 ルサークは何か話題を振ろうと話す。

「シシト様、何かしたい事や、してほしい事などはありますか?」

 うーんと考えた後、シシトは言う。

「皆さんの事、教えて欲しいです。どんな人生を送ったのか、どうして僕のもとに来たのか」





 シシトに言われ、ルサークはうーんと悩む。

「俺、じゃなかった。私達の話などつまらないと思いますが……」

 その言葉に、シシトは首を横に振って言う。

「いいんです。外の話をもっと知りたいんです!」

 ルサークは「それでしたら」と話し始める。

「私達は冒険者をやっていましてね」

 その話の入りにシシトは目を輝かせた。

「冒険者さんだったんですね!」

 ルサークはシシトの食いつきっぷりに気が引けながら話す。

「それで、それはもう色々とありまして、今はシシト様にお仕えする形に……」

 シシトはもっと話が聞きたく、言葉を出す。

「その、冒険者時代のお話を聞かせてください! あぁ、すみません。どうぞ、椅子に掛けてください」

 椅子に座るよう言われ、デルタが断る。

「いえ、そういうわけには」

 シシトはまた首を横に振って、手で(うなが)す。

「いいんです! 座ってください! そしてもっとお話をしましょう!」

 スパチーは椅子に座ってから言った。

「私は座るぞ!」

 ルサークとデルタも顔を見合わせてから椅子に座った。

 そして、冒険者時代の話を語る。

 一通り聞き終えたシシトは満足そうに笑顔だった。

「ありがとうございました! また聞かせて下さいね!」

 ルサークも笑顔を作ってシシトに返す。

「えぇ、いつでも」

 そこでスパチーも声をあげた。

「私もシシトと話がしたいぞ!」

 ルサークがスパチーの呼び捨てを窘めた。

「だから、シシト様と呼べって言ってんだろ!」

「ははは。スパチーちゃんともお話したい。でもそろそろ体が疲れてきちゃってね」

「お前、体よわよわだな!」

 デルタもスパチーを叱る。

「お前って言うな!」

 シシトは前を向いて呟いた。

「新しい使用人の人が皆さんで良かった。久しぶりに楽しいです」

 最初はどうしたものかと考えていたルサークとデルタも、シシト様のお世話をしたいと思うようになった。

 その時、部屋のドアがノックされ、声が聞こえた。

「お食事の準備が整いました」

 ルサークはシシトに断りを入れた。

「シシト様、よろしいでしょうか?」

「えぇ、どうぞ」

 ルサークは部屋のドアを開いて、メイドを招き入れた。

 食事が乗った台車をルサークは受け取り、シシトの前まで行く。

「シシト様、どうぞ」

「あまりお腹空いてないんですけどね」

 デルタがテーブルに食事を運びながら言った。

「食べないと体に毒ですよ」

 スパチーはそんな料理を見て声を上げる。

「美味そうだな!!」

 ルサークはスパチーの肩を掴んで引き止めた。

「お前のじゃない。スパチー」



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「シシト、お前、痩せてるな! 飯食ってるのか!?」
 スパチーはシシトに近付きながら言った。
 ルサークは慌てながらスパチーを止める。
「馬鹿!! だから『シシト様』だ!」
 そんな様子を笑いながらシシトは見ていた。
「大丈夫ですよ。スパチーさん、僕は病気でね、食べられないんだ」
「病気? 病気ってなんだ!?」
 スパチーは首をかしげて尋ねる。
「病気ってのは、えーっとね。体が辛くなったり、動けなくなったりするんだ」
「なんだ! お前弱いのか! 髪真っ白だもんな!」
 スパチーにデルタも声を掛けた。
「いい加減にしなさい。スパチー」
「いいんです。久しぶりにこうして人と話せて嬉しいですから」
 その言葉にルサークは違和感を覚える。
「久しぶり……。ですか?」
「えぇ、みんな。僕の病気がうつるのが心配だったり、僕の身分を気にして……」
 病気がうつると聞いて、一瞬、ドキッとしたルサークとデルタだったが、悟られないようにした。
 そして、ルサークはシシトに質問をする。
「失礼ですが、身分というのは……」
 言いにくそうにシシトは答える。
「……クルミン家の長男です」
 聞いたルサークもデルタも驚いた。
「クルミン家っていうと、メチャクチャ有名な貴族では!?」
 ルサークの言葉にシシトの顔は曇る。
「でも、僕は身分だけです。体はこんな状態ですし……」
 何て声を掛けようかと悩むルサークを無視して、スパチーは言う。
「そうだ、お前。飴食べろ!!」
 スパチーはこの間、レモーヌと作った飴の欠片をシシトに差し出す。
 ルサークは慌てて止めに入った。
「ばっ、お前!! そんな不衛生なモン食べさせるな!!」
「いえ、いただきますよ。ありがとうスパチーちゃん」
 シシトは飴の欠片を手に取る際にスパチーの暖かな手が触れ合った。
 茶色く、透き通ったそれを口に運ぶ。
「甘い、おいしいね。ありがとう」
 スパチーは満足そうに胸を張った。
「美味いだろ!!」
 ルサークは何か話題を振ろうと話す。
「シシト様、何かしたい事や、してほしい事などはありますか?」
 うーんと考えた後、シシトは言う。
「皆さんの事、教えて欲しいです。どんな人生を送ったのか、どうして僕のもとに来たのか」
 シシトに言われ、ルサークはうーんと悩む。
「俺、じゃなかった。私達の話などつまらないと思いますが……」
 その言葉に、シシトは首を横に振って言う。
「いいんです。外の話をもっと知りたいんです!」
 ルサークは「それでしたら」と話し始める。
「私達は冒険者をやっていましてね」
 その話の入りにシシトは目を輝かせた。
「冒険者さんだったんですね!」
 ルサークはシシトの食いつきっぷりに気が引けながら話す。
「それで、それはもう色々とありまして、今はシシト様にお仕えする形に……」
 シシトはもっと話が聞きたく、言葉を出す。
「その、冒険者時代のお話を聞かせてください! あぁ、すみません。どうぞ、椅子に掛けてください」
 椅子に座るよう言われ、デルタが断る。
「いえ、そういうわけには」
 シシトはまた首を横に振って、手で|促《うなが》す。
「いいんです! 座ってください! そしてもっとお話をしましょう!」
 スパチーは椅子に座ってから言った。
「私は座るぞ!」
 ルサークとデルタも顔を見合わせてから椅子に座った。
 そして、冒険者時代の話を語る。
 一通り聞き終えたシシトは満足そうに笑顔だった。
「ありがとうございました! また聞かせて下さいね!」
 ルサークも笑顔を作ってシシトに返す。
「えぇ、いつでも」
 そこでスパチーも声をあげた。
「私もシシトと話がしたいぞ!」
 ルサークがスパチーの呼び捨てを窘めた。
「だから、シシト様と呼べって言ってんだろ!」
「ははは。スパチーちゃんともお話したい。でもそろそろ体が疲れてきちゃってね」
「お前、体よわよわだな!」
 デルタもスパチーを叱る。
「お前って言うな!」
 シシトは前を向いて呟いた。
「新しい使用人の人が皆さんで良かった。久しぶりに楽しいです」
 最初はどうしたものかと考えていたルサークとデルタも、シシト様のお世話をしたいと思うようになった。
 その時、部屋のドアがノックされ、声が聞こえた。
「お食事の準備が整いました」
 ルサークはシシトに断りを入れた。
「シシト様、よろしいでしょうか?」
「えぇ、どうぞ」
 ルサークは部屋のドアを開いて、メイドを招き入れた。
 食事が乗った台車をルサークは受け取り、シシトの前まで行く。
「シシト様、どうぞ」
「あまりお腹空いてないんですけどね」
 デルタがテーブルに食事を運びながら言った。
「食べないと体に毒ですよ」
 スパチーはそんな料理を見て声を上げる。
「美味そうだな!!」
 ルサークはスパチーの肩を掴んで引き止めた。
「お前のじゃない。スパチー」