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君といた幸せ。

ー/ー



 私はいつもの乗馬クラブに戻り、スランを手入れしてから部屋に入れた。
 するとスランの部屋の隣に、ヴェロネーゼという馬が入っていた。
 ヴェロネーゼは、尾花栗毛の馬で清宮先生の自馬と書いてあった。ものすごくキリッとしていて立派な馬だな、と思った。

 ヴェロネーゼはルビー色の目をしている。私は目がルビー色の馬が本当にいるんだな、と思って驚きに満ち溢れていた。それからスランを見るとやっぱり美しい目だな、と思った。

 真反対の馬を比べてみるのが楽しくて、私はスランとヴェロネーゼの部屋の真ん中で1時間、立ち尽くしていた。


 次の日、私はスランを休ませるためにレッスンは無しにしてスランを綺麗に手入れしてあげる。すると
「鈴ちゃんおめでと~!」
と言って菜々ちゃんが走ってきた。
「ありがとう」
私はそう答えて
「また後でゆっくり話そうね」
と言ってスランを手入れする。
 菜々ちゃんもモラネンシスを手入れし始めていた。
 互いに微笑み合うと私はスランのシャンプーに取り掛かった。
 体はもちろん鬣や尻尾も洗って、次に蹄を洗う。スランの蹄真っ白で雪のように白いので、手入れするとき私はその蹄がもっと白くなっていくのが好きだった。

 蹄を洗い終えると乾いた場所へ連れて行って体を拭いたり肢を拭いたりして、最後にブラシをかける。
 スランは雪のように鈴蘭のように水晶のように白く、まばゆい輝きを放っていた。私は最後に
「スラン、ありがとう」
と伝えてからスランを部屋に戻した。

 それから、私は1頭1頭にニンジンをあげていった。
 ハミルトニーの部屋の華が1番手前の部屋なので1番奥の部屋のスランから行くと最後は華。
 私は華のことも愛していたからじっくりと華を見たり、アメシストの目が綺麗でスミレのような透き通る目がいつも綺麗だな、と思った。しかし今日は華の目がスランがけがをした時のように曇っていた。

「—。」

 私は頭では動かないといけないと思っているのに体が動かない。

 数分してから私は手をぎゅっと握りしめて華の厩舎に入った。私はスランの時と同じように
「華、どこが苦しい?」
と問いかけるようにして華に近づいた。

 華は私に助けを求めるように足を引きずりながらこちらに寄ってきた。私は
「華…」
と言いながら泣きそうになった。
 私は左後肢を引きずっている華を優しくさすってあげてから、左後肢が熱くなっているのですぐに冷たいタオルを持ってきて冷やし前足もひょこひょこと痛そうだったので見てみるとー。

 私はその時、自分で見ても何もわからなかった。私は清宮先生を呼んで見てもらうとー。

 数分後、華も私も先生も涙を流していた。

ー華は骨折してしまった。

 私は棒のように立ち尽くしていた。これは夢だと思った。
 
 しかし、現実は乗り越えられない。

 私は手をぎゅっと握りしめ、華のオーナー様に現状を知らせた。
 華のオーナー様は乗馬クラブから家が近いのですぐに駆けつけてきた。

「ー華…」

オーナー様も信じられないような真っ青な顔をして、気が付くと涙を流していた。

 華はもしかしたら悲しい運命をたどることになるかもしれない。
 しかし、私もできるだけ華のケアを続けて様子を見るようにしようと思った。治る可能性は100%ではないけど0%なわけでもないからきっとー。

 華のアメシストが光り続けるように。私はそう願いながら華に

「さよなら、華。」

と言ってもう一度スランに会ってから、夕暮れが綺麗な空を見ながら明日への1歩を踏み出した。


次のエピソードへ進む 君がくれた優しい世界。


みんなのリアクション

 私はいつもの乗馬クラブに戻り、スランを手入れしてから部屋に入れた。
 するとスランの部屋の隣に、ヴェロネーゼという馬が入っていた。
 ヴェロネーゼは、尾花栗毛の馬で清宮先生の自馬と書いてあった。ものすごくキリッとしていて立派な馬だな、と思った。
 ヴェロネーゼはルビー色の目をしている。私は目がルビー色の馬が本当にいるんだな、と思って驚きに満ち溢れていた。それからスランを見るとやっぱり美しい目だな、と思った。
 真反対の馬を比べてみるのが楽しくて、私はスランとヴェロネーゼの部屋の真ん中で1時間、立ち尽くしていた。
 次の日、私はスランを休ませるためにレッスンは無しにしてスランを綺麗に手入れしてあげる。すると
「鈴ちゃんおめでと~!」
と言って菜々ちゃんが走ってきた。
「ありがとう」
私はそう答えて
「また後でゆっくり話そうね」
と言ってスランを手入れする。
 菜々ちゃんもモラネンシスを手入れし始めていた。
 互いに微笑み合うと私はスランのシャンプーに取り掛かった。
 体はもちろん鬣や尻尾も洗って、次に蹄を洗う。スランの蹄真っ白で雪のように白いので、手入れするとき私はその蹄がもっと白くなっていくのが好きだった。
 蹄を洗い終えると乾いた場所へ連れて行って体を拭いたり肢を拭いたりして、最後にブラシをかける。
 スランは雪のように鈴蘭のように水晶のように白く、まばゆい輝きを放っていた。私は最後に
「スラン、ありがとう」
と伝えてからスランを部屋に戻した。
 それから、私は1頭1頭にニンジンをあげていった。
 ハミルトニーの部屋の華が1番手前の部屋なので1番奥の部屋のスランから行くと最後は華。
 私は華のことも愛していたからじっくりと華を見たり、アメシストの目が綺麗でスミレのような透き通る目がいつも綺麗だな、と思った。しかし今日は華の目がスランがけがをした時のように曇っていた。
「—。」
 私は頭では動かないといけないと思っているのに体が動かない。
 数分してから私は手をぎゅっと握りしめて華の厩舎に入った。私はスランの時と同じように
「華、どこが苦しい?」
と問いかけるようにして華に近づいた。
 華は私に助けを求めるように足を引きずりながらこちらに寄ってきた。私は
「華…」
と言いながら泣きそうになった。
 私は左後肢を引きずっている華を優しくさすってあげてから、左後肢が熱くなっているのですぐに冷たいタオルを持ってきて冷やし前足もひょこひょこと痛そうだったので見てみるとー。
 私はその時、自分で見ても何もわからなかった。私は清宮先生を呼んで見てもらうとー。
 数分後、華も私も先生も涙を流していた。
ー華は骨折してしまった。
 私は棒のように立ち尽くしていた。これは夢だと思った。
 しかし、現実は乗り越えられない。
 私は手をぎゅっと握りしめ、華のオーナー様に現状を知らせた。
 華のオーナー様は乗馬クラブから家が近いのですぐに駆けつけてきた。
「ー華…」
オーナー様も信じられないような真っ青な顔をして、気が付くと涙を流していた。
 華はもしかしたら悲しい運命をたどることになるかもしれない。
 しかし、私もできるだけ華のケアを続けて様子を見るようにしようと思った。治る可能性は100%ではないけど0%なわけでもないからきっとー。
 華のアメシストが光り続けるように。私はそう願いながら華に
「さよなら、華。」
と言ってもう一度スランに会ってから、夕暮れが綺麗な空を見ながら明日への1歩を踏み出した。