ep62 屋敷④
ー/ー すでに目前には迫りくるダガーナイフが鋭く光っている。
「死ねぇ!!」
考えている暇などない。俺は再びあれを放つ。今度は守備に徹する必要なしだ。
「特殊技能〔ニュンパ・グレイズ〕」
剣尖が下方から上方へ、地面をえぐってから昇るように螺旋に弧を描く。
「ぎゃあぁぁ!」
「なにぃ!?」
剣はデブ男の手首をズバリと切断してからそのままの勢いでガキィィィンとダガーナイフをも弾いた。
「手が! 手がぁ〜! ゲインを! 早くゲインを!」
スキンヘッドのデブ男は、シューシューと痛ましく血を噴き垂らす手を押さえてうずくまった。
「おいブースト! 落ち着きやがれ!」
眉なし小男が怒鳴った。
「痛え! 痛えんだよ! トレブル!」
その時、部屋の入り口からボォォォッと炎が噴き出たかと思うと、魔術師ゲインが現れる。
「おっ、ゲイン! タイミング良かったぜ! ブーストのヤローが手首を斬り落とされやがった!」
眉なし小男のトレブルが後ろに振り返って叫んだ。
「ゲイン! 早くおれの手を治せ! 痛くて痛くてたまらねえ!」
デブ男のブーストは足をジタバタさせながらでっぷりした身体を震わせている。
俺は奴らへギロリと一瞥をくれてから、クルッときびすを返して駆けだした。
「待てコラぁ!」
敵の声を背中に受けながら廊下を走り抜け、階段を滑り降りて一階を抜けると玄関を飛び出した。
「く、クローさん!」
建物を出てすぐの所で立ち止まっていたシヒロが頭だけで振り向いた。
「あれは」
俺はシヒロの先にある光景を視認した瞬間、彼女の前にサッと躍り出る。門までの庭道の途中に、緑髪をおっ立てたグラサン野郎・シヴィスが立っていたのだ。
「あれぐらいじゃ殺れねーか」
シヴィスは相変わらず余裕の面持ちで不敵な笑みを浮かべている。
「シヒロ」
「ひゃっ」
俺はさきほどと同様にシヒロを抱きかかえると、玄関口から横へずれるようにターンと庭の中へ移動する。
「降ろすぞ」
「は、はい」
シヒロを降ろして玄関口を見ると、ダガーナイフを持ったトレブルも外に出てくる。
「し、シヴィスさん」
「トレブル。テメー、しくったみてーだなぁオイ」
「す、すんません」
「つえーんだろ? わかってんよ。報告のとおりってことだ」
「今度こそは殺ります!」
「戻んぞ。この時間はねみーんだ」
「は?」
「どうせその魔剣使いとはすぐに会うことになんだろ」
「で、ですが!」
「ああ? いつからテメーがおれたちの行動を決定するようになった? あんまチョーシ乗んじゃねーぞ」
「す、すんません!」
「てことで、おつかれ」
まるで友人の家から帰るみたいに、シヴィスはしれっと退散していった。
小男のトレブルは「おいテメー。おれたち〔ダムド〕に逆らってタダじゃすまねーからなぁ」と、いかにもな捨て台詞を吐いて立ち去っていった。
それからすぐにブーストと魔術師ゲインも建物から出てくる。
「次はテメーの手を潰してやる!」とブーストが俺を見るなり眼を血走らせて鈍器を素振りする。切断されたはずの手は元通りになっていた。
魔術師ゲインは俺にスッと杖を向けて「魔剣士クロー、貴様の力は認める。だが次はそうはいかんぞ」と宣戦布告してから、ブーストをなだめつつ去っていった。
「死ねぇ!!」
考えている暇などない。俺は再びあれを放つ。今度は守備に徹する必要なしだ。
「特殊技能〔ニュンパ・グレイズ〕」
剣尖が下方から上方へ、地面をえぐってから昇るように螺旋に弧を描く。
「ぎゃあぁぁ!」
「なにぃ!?」
剣はデブ男の手首をズバリと切断してからそのままの勢いでガキィィィンとダガーナイフをも弾いた。
「手が! 手がぁ〜! ゲインを! 早くゲインを!」
スキンヘッドのデブ男は、シューシューと痛ましく血を噴き垂らす手を押さえてうずくまった。
「おいブースト! 落ち着きやがれ!」
眉なし小男が怒鳴った。
「痛え! 痛えんだよ! トレブル!」
その時、部屋の入り口からボォォォッと炎が噴き出たかと思うと、魔術師ゲインが現れる。
「おっ、ゲイン! タイミング良かったぜ! ブーストのヤローが手首を斬り落とされやがった!」
眉なし小男のトレブルが後ろに振り返って叫んだ。
「ゲイン! 早くおれの手を治せ! 痛くて痛くてたまらねえ!」
デブ男のブーストは足をジタバタさせながらでっぷりした身体を震わせている。
俺は奴らへギロリと一瞥をくれてから、クルッときびすを返して駆けだした。
「待てコラぁ!」
敵の声を背中に受けながら廊下を走り抜け、階段を滑り降りて一階を抜けると玄関を飛び出した。
「く、クローさん!」
建物を出てすぐの所で立ち止まっていたシヒロが頭だけで振り向いた。
「あれは」
俺はシヒロの先にある光景を視認した瞬間、彼女の前にサッと躍り出る。門までの庭道の途中に、緑髪をおっ立てたグラサン野郎・シヴィスが立っていたのだ。
「あれぐらいじゃ殺れねーか」
シヴィスは相変わらず余裕の面持ちで不敵な笑みを浮かべている。
「シヒロ」
「ひゃっ」
俺はさきほどと同様にシヒロを抱きかかえると、玄関口から横へずれるようにターンと庭の中へ移動する。
「降ろすぞ」
「は、はい」
シヒロを降ろして玄関口を見ると、ダガーナイフを持ったトレブルも外に出てくる。
「し、シヴィスさん」
「トレブル。テメー、しくったみてーだなぁオイ」
「す、すんません」
「つえーんだろ? わかってんよ。報告のとおりってことだ」
「今度こそは殺ります!」
「戻んぞ。この時間はねみーんだ」
「は?」
「どうせその魔剣使いとはすぐに会うことになんだろ」
「で、ですが!」
「ああ? いつからテメーがおれたちの行動を決定するようになった? あんまチョーシ乗んじゃねーぞ」
「す、すんません!」
「てことで、おつかれ」
まるで友人の家から帰るみたいに、シヴィスはしれっと退散していった。
小男のトレブルは「おいテメー。おれたち〔ダムド〕に逆らってタダじゃすまねーからなぁ」と、いかにもな捨て台詞を吐いて立ち去っていった。
それからすぐにブーストと魔術師ゲインも建物から出てくる。
「次はテメーの手を潰してやる!」とブーストが俺を見るなり眼を血走らせて鈍器を素振りする。切断されたはずの手は元通りになっていた。
魔術師ゲインは俺にスッと杖を向けて「魔剣士クロー、貴様の力は認める。だが次はそうはいかんぞ」と宣戦布告してから、ブーストをなだめつつ去っていった。
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