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第49話 森林の奥地

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 クロナたちは、戦力増強のためにキラーホーネットを尋ねることになった。
 場所は同じ森をさらに奥に入っていったところだ。そもそもクロナたちのいる場所も森の奥なのではあるが、この大森林には更なる奥地が存在している。国境のある場所から離れた最奥地は、周りを山に囲まれた場所になっている。そこが、この大森林の奥地である。
 アサシンスパイダーのイトナに乗り、クロナたちは一路その場所へと向かっていく。ちなみにスチールアントたちは留守番である。

「ふふっ、なんだかぞくぞくしますね。なんでしょう、とても気持ちが高揚してきます」

 クロナは不気味な笑みを浮かべている。
 さすがに自分の大切な人を立て続けに失ったショックは大きく、すっかり性格が豹変してしまっている。このクロナの姿に、ブラナははっきりいって心が痛い。
 しかし、ブラナにとってクロナは大切な守るべき相手。かつての暗殺者時代のように心を押し殺して、冷淡に付き従うしかなかった。

 こうしてやってきた森の奥地。
 そこは確かに他とは明らかに違う雰囲気を持った異界のような場所だ。

「霧が少々出ておりますね。まあ、この程度、私の魔法を使えばなんてことはありません」

『聖女様、もうここは私どもとは次元の違う魔物たちの巣窟でございます。お気を付けください』

「分かっておりますよ。ひしひしと感じますもの、濃い魔力というものを……。ねえ、ブラナ」

「ええ、そうでございますね。さすがの私でも、このような魔力は感じたことがありません。アサシンスパイダーが恐れるだけのことはありますね」

 ブラナとイトナが警戒を強める中、なぜかクロナだけが余裕のある態度を取っている。

『聖女様、何者かが近付いてきております。どうやら、私どもの目的の相手ではなさそうです』

「そうですか。では、遠慮は要りませんね」

 イトナの声に、クロナがすぐさま反応している。

「グオオオオオオッ!」

 巨大な方向が響き渡る。何かと思えば、大きな角を持った巨大なクマが現れた。

「デプスタイラントベアーですね。私ですら書物でしか見たことがない魔物ですよ。まさか実在していたなんて……」

「大きな熊なだけではないですか。この程度の魔物、私の力の前では無力です」

 大きなクマが迫ってきているというのに、クロナはとても落ち着いている。

「お嬢様!」

 ブラナが叫んでいるが、それでも動かない。

「ホーリーバインド」

 クロナがゆっくりと手を差し出して魔法を使うと、クマを包み込むように光の帯が出現し、あっという間に捕縛してしまった。
 なんとか抜け出そうとするものの、吹っ切れたクロナの魔法に遠慮はない。さすが歴代最高とも言われていたクロナの魔法は、このような凶暴な相手でも遠慮なく通じてしまった。

「さあ、私のしもべになるか、餌となるとか、好きな方を選ばせてあげましょう。あなたはどちらがお好みかしら」

 どす黒い笑みを浮かべながら、クロナはデプスタイラントベアーに語りかけている。
 ところが、クロナの言葉は目の前の魔物には通じていないようだった。拘束から抜け出そうと、執拗に暴れまわるばかりである。
 あまりにも返事があるように思えなかったので、クロナは冷めた目を向けている。

「あら、つまらないですね。ブラナ、仕留めてしまいなさい」

「はっ、お嬢様の仰せの通りに」

 汚れたものでも見つめるような目をデプスタイラントベアーに向けたクロナは、ブラナに始末するように指示を出していた。
 生きるためには食事が必要である。
 哀れ、デプスタイラントベアーはブラナの手によって首元をかき切られ、クロナたちの食事となることになってしまったのだった。

「まったく、言葉の通じない相手というのはいけませんね」

 クロナは冷たい目で吐き捨てている。元の性格からすると、とても考えられない言葉である。

「お嬢様、解体を行いますので、今しばらくお待ち下さい」

「ええ、頼みますよ、ブラナ。終わりましたら声をかけて下さい。浄化を行いますのでね」

「はい、承知致しました」

 ブラナがデプスタイラントベアーの解体を行っている間、クロナはイトナとともに周囲の警戒にあたっている。アサシンスパイダーのイトナは意外とびびりなのか、周囲を警戒しながら震えているようだった。

「あら、怖いのですか?」

『はい。なにせキラーホーネットがいつ襲ってくるかと考えますと、怖くて仕方がありません。あいつらは私の糸による拘束が通じませんからね』

「そうなのですね。ですが、ご安心なさい。私がいるからには、あなた方は傷つけさせやしませんから」

『ありがとう…ございます』

 クロナが守ると宣言する姿を見て、イトナは感激のあまりに頭が上がらないようだった。
 やがて、ブラナが行っていた解体が終わる。
 さすが元暗殺者ということもあってか、見事な解体の腕前だった。毛皮と肉以外の部分は必要ないとして、すべて焼き払っていた。

「お嬢様にお渡ししたかばんに入れておけば、持ち運びには困りませんので、しまっておきましょう」

「ええ、そうですね。では、こちらへ」

 しっかりと浄化をした上で、クロナの提げているかばんの中へと肉と毛皮をしまい込んでいく。
 その最中だった。

『来ました! キラーホーネットの群れです!』

 イトナが強く反応を示している。
 どうやら目的の相手が接近しているらしい。

「そうですか。どのような方々なのか、とても楽しみですね」

 クロナはとても楽しみな様子で、にっこりと微笑むのだった。


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 クロナたちは、戦力増強のためにキラーホーネットを尋ねることになった。
 場所は同じ森をさらに奥に入っていったところだ。そもそもクロナたちのいる場所も森の奥なのではあるが、この大森林には更なる奥地が存在している。国境のある場所から離れた最奥地は、周りを山に囲まれた場所になっている。そこが、この大森林の奥地である。
 アサシンスパイダーのイトナに乗り、クロナたちは一路その場所へと向かっていく。ちなみにスチールアントたちは留守番である。
「ふふっ、なんだかぞくぞくしますね。なんでしょう、とても気持ちが高揚してきます」
 クロナは不気味な笑みを浮かべている。
 さすがに自分の大切な人を立て続けに失ったショックは大きく、すっかり性格が豹変してしまっている。このクロナの姿に、ブラナははっきりいって心が痛い。
 しかし、ブラナにとってクロナは大切な守るべき相手。かつての暗殺者時代のように心を押し殺して、冷淡に付き従うしかなかった。
 こうしてやってきた森の奥地。
 そこは確かに他とは明らかに違う雰囲気を持った異界のような場所だ。
「霧が少々出ておりますね。まあ、この程度、私の魔法を使えばなんてことはありません」
『聖女様、もうここは私どもとは次元の違う魔物たちの巣窟でございます。お気を付けください』
「分かっておりますよ。ひしひしと感じますもの、濃い魔力というものを……。ねえ、ブラナ」
「ええ、そうでございますね。さすがの私でも、このような魔力は感じたことがありません。アサシンスパイダーが恐れるだけのことはありますね」
 ブラナとイトナが警戒を強める中、なぜかクロナだけが余裕のある態度を取っている。
『聖女様、何者かが近付いてきております。どうやら、私どもの目的の相手ではなさそうです』
「そうですか。では、遠慮は要りませんね」
 イトナの声に、クロナがすぐさま反応している。
「グオオオオオオッ!」
 巨大な方向が響き渡る。何かと思えば、大きな角を持った巨大なクマが現れた。
「デプスタイラントベアーですね。私ですら書物でしか見たことがない魔物ですよ。まさか実在していたなんて……」
「大きな熊なだけではないですか。この程度の魔物、私の力の前では無力です」
 大きなクマが迫ってきているというのに、クロナはとても落ち着いている。
「お嬢様!」
 ブラナが叫んでいるが、それでも動かない。
「ホーリーバインド」
 クロナがゆっくりと手を差し出して魔法を使うと、クマを包み込むように光の帯が出現し、あっという間に捕縛してしまった。
 なんとか抜け出そうとするものの、吹っ切れたクロナの魔法に遠慮はない。さすが歴代最高とも言われていたクロナの魔法は、このような凶暴な相手でも遠慮なく通じてしまった。
「さあ、私のしもべになるか、餌となるとか、好きな方を選ばせてあげましょう。あなたはどちらがお好みかしら」
 どす黒い笑みを浮かべながら、クロナはデプスタイラントベアーに語りかけている。
 ところが、クロナの言葉は目の前の魔物には通じていないようだった。拘束から抜け出そうと、執拗に暴れまわるばかりである。
 あまりにも返事があるように思えなかったので、クロナは冷めた目を向けている。
「あら、つまらないですね。ブラナ、仕留めてしまいなさい」
「はっ、お嬢様の仰せの通りに」
 汚れたものでも見つめるような目をデプスタイラントベアーに向けたクロナは、ブラナに始末するように指示を出していた。
 生きるためには食事が必要である。
 哀れ、デプスタイラントベアーはブラナの手によって首元をかき切られ、クロナたちの食事となることになってしまったのだった。
「まったく、言葉の通じない相手というのはいけませんね」
 クロナは冷たい目で吐き捨てている。元の性格からすると、とても考えられない言葉である。
「お嬢様、解体を行いますので、今しばらくお待ち下さい」
「ええ、頼みますよ、ブラナ。終わりましたら声をかけて下さい。浄化を行いますのでね」
「はい、承知致しました」
 ブラナがデプスタイラントベアーの解体を行っている間、クロナはイトナとともに周囲の警戒にあたっている。アサシンスパイダーのイトナは意外とびびりなのか、周囲を警戒しながら震えているようだった。
「あら、怖いのですか?」
『はい。なにせキラーホーネットがいつ襲ってくるかと考えますと、怖くて仕方がありません。あいつらは私の糸による拘束が通じませんからね』
「そうなのですね。ですが、ご安心なさい。私がいるからには、あなた方は傷つけさせやしませんから」
『ありがとう…ございます』
 クロナが守ると宣言する姿を見て、イトナは感激のあまりに頭が上がらないようだった。
 やがて、ブラナが行っていた解体が終わる。
 さすが元暗殺者ということもあってか、見事な解体の腕前だった。毛皮と肉以外の部分は必要ないとして、すべて焼き払っていた。
「お嬢様にお渡ししたかばんに入れておけば、持ち運びには困りませんので、しまっておきましょう」
「ええ、そうですね。では、こちらへ」
 しっかりと浄化をした上で、クロナの提げているかばんの中へと肉と毛皮をしまい込んでいく。
 その最中だった。
『来ました! キラーホーネットの群れです!』
 イトナが強く反応を示している。
 どうやら目的の相手が接近しているらしい。
「そうですか。どのような方々なのか、とても楽しみですね」
 クロナはとても楽しみな様子で、にっこりと微笑むのだった。