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SCENE068 水魔法を見せてあげるね

ー/ー



 水魔法をだいぶ習得してきたので、僕はそろそろ配信してみることにした。
 あまり手の内を見せるのはよろしくないのだけど、基本的に争うことのない僕なら、見せても大丈夫だよね?

「みなさん、こんにちは。ダンジョンマスターのウィンクです」

『こんらみあ~』

 僕が配信を始めると、やっぱり定番の挨拶がしっかり返ってくる。監視されてるのかなってくらい反応が早い。いくら通知がいくとはいっても、この反応は早すぎると思うんだよね。

『ウィンクちゃん、今日は何を見せてくれるんだろう』

『楽しみだよね』

 視聴者さんたちは、ずいぶんと楽しみにしてくれているみたいだ。
 でもこれって、僕の種族特性である魅了のせいじゃないよね?
 僕の配信を楽しみにしすぎて、生活が荒れてるとかになったら、僕はきっと気に病んじゃうと思うんだ。無理してないよね?

「えっと、確認しますけど……」

『おっ、なになに?』

「みなさん、生活はちゃんとしてますかね?」

『大丈夫だ、問題ない』

『一番いい配信を頼む』

 あっこれ、大丈夫じゃない返事だ。こういう時にネットミームで返すのはやめてもらいたいなぁ。かえって心配になってきちゃうよ。

『まあ、本当に俺たちのことは心配しなくてもいいから』

『ウィンクちゃん、優しいからな。きっと自分の魅了で俺たちがボロボロになってないか心配してるんだよ』

「あっ、魅了のこと分かってるんですか?」

『もちのろんよ』

『探索者たちもいる中で、知らない方がおかしいと思うなぁ』

『ボロボロになってたら、コメントでまともなことを返せやしないって』

 ああ、真面目に反論されちゃった。でも、確かにその通りだなって思う。
 うん、僕は視聴者さんたちを信じよう。

「分かりました。みなさんが無事だということで、僕はすっごく安心しました」

『ええんやで』

「では、本日の配信の内容をお知らせしますね」

『ドキドキ・・・』

 視聴者さんたちがものすごく期待しているみたいだ。なら、僕もそれに応えないとね。

「本日は、新たに取得した水魔法を披露します」

『おっ、今度は水魔法か』

『ラミアって水魔法も使えたんやな』

「はい。バトラーによると水魔法と闇魔法に適性があるようです。努力次第では他の属性も使えるらしいですけれど、まずは得意な属性を伸ばそうかなって思っていますよ」

『うん、まずはそれでいいと思う』

『なんだかんだ言っても、ウィンクちゃんはダンジョンマスターだからね。討伐しようとするやつが絶対現れるから、手数は多い方がええで』

 視聴者さんたちからいろいろ言われちゃってるな。
 そうか、やっぱり討伐しようとする人が出てくるんだね。ダンジョンマスターってそういう対象だからしょうがないよね。
 でも、ダンジョン管理局がこれだけ深くかかわっているダンジョンで、そんなことって許されるのかなとは思う。
 視聴者さんたちの話だと、そういう人たちはそこそこいるらしい。まったく困った話だなぁ。

『でも、ウィンクちゃんなら強い執事がいるからそんなに心配ないかな』

『だな。そんなやつはバトラーさんにこてんぱんにやられちゃえ』

「はははっ、物騒な話はこのくらいにしておいて、水魔法を披露しますね」

『わくわく・・・』

 視聴者さんたちが期待する中、僕はいつものデコイに向けて水魔法を放つことにする。
 だいぶ特訓したけど、あまり自信はないんだよね。闇魔法よりもどうも適性がないんじゃないかって思えるくらいにね。

「ウォーターボール!」

 僕はデコイに向けて水魔法を放つ。基本的な水の球体を生み出す魔法だ。
 勢いよく放たれた水の球は、デコイにぶつかって弾ける。

『うん、、、地味』

『でも、水が出せるってことは、ウィンクちゃんの魔法で出した水を使ったお茶でも飲めるってこと?』

『それはぜひ飲んでみたいな』

「わわっ、それは……考えておきます。でも、飲みたいんでしたら、ダンジョンに来て下さいね?」

『遠いなぁ・・・』

 飲みたいって言っておいて、それなのぉっ!?
 叫びたい気持ちを必死に抑える。
 気を取り直した僕は、覚えた数個の水魔法を披露してみる。闇と違って、水魔法って攻撃が少ないからすっごく地味だなぁ。

『ウィンクちゃんの魔法って結構慎重に放っている感じだから、探索者を目指す俺なんかは参考になるな』

「わわっ、十五歳以下の人もいるんですか」

『意外と見てると思うよ』

『ダンジョン管理局が演習の場にするって宣言してからは特に増えたと思う』

「そうなんですね。でも、どういう理由でも見てくれる方がいるっていうのは嬉しいですね」

 視聴者さんたちからのコメントに、僕はつい嬉しくなってしまう。

「それでは、今日はこのくらいで済ませておきます。みなさん、いつかダンジョンに遊びに来て下さいね。デコイがあるのでスキル打ち放題ですからね」

『おつらみあ~』

『行けたら行く』

「みなさん、また次回の配信でお会いしましょう」

 こうして僕は、今日の配信も無事に終わらせることができた。
 でも、実は使えるようになった水魔法、半分くらいしか見せてないんだよね。
 遊びに来てくれたら目の前で見せてあげて、視聴者さんたちの驚く顔が見たいな、えへへへ。
 ダンジョンにもっと人が来るようになることを夢見ながら、その日の僕は再び魔法の特訓をこなしたのだった。


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 水魔法をだいぶ習得してきたので、僕はそろそろ配信してみることにした。
 あまり手の内を見せるのはよろしくないのだけど、基本的に争うことのない僕なら、見せても大丈夫だよね?
「みなさん、こんにちは。ダンジョンマスターのウィンクです」
『こんらみあ~』
 僕が配信を始めると、やっぱり定番の挨拶がしっかり返ってくる。監視されてるのかなってくらい反応が早い。いくら通知がいくとはいっても、この反応は早すぎると思うんだよね。
『ウィンクちゃん、今日は何を見せてくれるんだろう』
『楽しみだよね』
 視聴者さんたちは、ずいぶんと楽しみにしてくれているみたいだ。
 でもこれって、僕の種族特性である魅了のせいじゃないよね?
 僕の配信を楽しみにしすぎて、生活が荒れてるとかになったら、僕はきっと気に病んじゃうと思うんだ。無理してないよね?
「えっと、確認しますけど……」
『おっ、なになに?』
「みなさん、生活はちゃんとしてますかね?」
『大丈夫だ、問題ない』
『一番いい配信を頼む』
 あっこれ、大丈夫じゃない返事だ。こういう時にネットミームで返すのはやめてもらいたいなぁ。かえって心配になってきちゃうよ。
『まあ、本当に俺たちのことは心配しなくてもいいから』
『ウィンクちゃん、優しいからな。きっと自分の魅了で俺たちがボロボロになってないか心配してるんだよ』
「あっ、魅了のこと分かってるんですか?」
『もちのろんよ』
『探索者たちもいる中で、知らない方がおかしいと思うなぁ』
『ボロボロになってたら、コメントでまともなことを返せやしないって』
 ああ、真面目に反論されちゃった。でも、確かにその通りだなって思う。
 うん、僕は視聴者さんたちを信じよう。
「分かりました。みなさんが無事だということで、僕はすっごく安心しました」
『ええんやで』
「では、本日の配信の内容をお知らせしますね」
『ドキドキ・・・』
 視聴者さんたちがものすごく期待しているみたいだ。なら、僕もそれに応えないとね。
「本日は、新たに取得した水魔法を披露します」
『おっ、今度は水魔法か』
『ラミアって水魔法も使えたんやな』
「はい。バトラーによると水魔法と闇魔法に適性があるようです。努力次第では他の属性も使えるらしいですけれど、まずは得意な属性を伸ばそうかなって思っていますよ」
『うん、まずはそれでいいと思う』
『なんだかんだ言っても、ウィンクちゃんはダンジョンマスターだからね。討伐しようとするやつが絶対現れるから、手数は多い方がええで』
 視聴者さんたちからいろいろ言われちゃってるな。
 そうか、やっぱり討伐しようとする人が出てくるんだね。ダンジョンマスターってそういう対象だからしょうがないよね。
 でも、ダンジョン管理局がこれだけ深くかかわっているダンジョンで、そんなことって許されるのかなとは思う。
 視聴者さんたちの話だと、そういう人たちはそこそこいるらしい。まったく困った話だなぁ。
『でも、ウィンクちゃんなら強い執事がいるからそんなに心配ないかな』
『だな。そんなやつはバトラーさんにこてんぱんにやられちゃえ』
「はははっ、物騒な話はこのくらいにしておいて、水魔法を披露しますね」
『わくわく・・・』
 視聴者さんたちが期待する中、僕はいつものデコイに向けて水魔法を放つことにする。
 だいぶ特訓したけど、あまり自信はないんだよね。闇魔法よりもどうも適性がないんじゃないかって思えるくらいにね。
「ウォーターボール!」
 僕はデコイに向けて水魔法を放つ。基本的な水の球体を生み出す魔法だ。
 勢いよく放たれた水の球は、デコイにぶつかって弾ける。
『うん、、、地味』
『でも、水が出せるってことは、ウィンクちゃんの魔法で出した水を使ったお茶でも飲めるってこと?』
『それはぜひ飲んでみたいな』
「わわっ、それは……考えておきます。でも、飲みたいんでしたら、ダンジョンに来て下さいね?」
『遠いなぁ・・・』
 飲みたいって言っておいて、それなのぉっ!?
 叫びたい気持ちを必死に抑える。
 気を取り直した僕は、覚えた数個の水魔法を披露してみる。闇と違って、水魔法って攻撃が少ないからすっごく地味だなぁ。
『ウィンクちゃんの魔法って結構慎重に放っている感じだから、探索者を目指す俺なんかは参考になるな』
「わわっ、十五歳以下の人もいるんですか」
『意外と見てると思うよ』
『ダンジョン管理局が演習の場にするって宣言してからは特に増えたと思う』
「そうなんですね。でも、どういう理由でも見てくれる方がいるっていうのは嬉しいですね」
 視聴者さんたちからのコメントに、僕はつい嬉しくなってしまう。
「それでは、今日はこのくらいで済ませておきます。みなさん、いつかダンジョンに遊びに来て下さいね。デコイがあるのでスキル打ち放題ですからね」
『おつらみあ~』
『行けたら行く』
「みなさん、また次回の配信でお会いしましょう」
 こうして僕は、今日の配信も無事に終わらせることができた。
 でも、実は使えるようになった水魔法、半分くらいしか見せてないんだよね。
 遊びに来てくれたら目の前で見せてあげて、視聴者さんたちの驚く顔が見たいな、えへへへ。
 ダンジョンにもっと人が来るようになることを夢見ながら、その日の僕は再び魔法の特訓をこなしたのだった。