ep46 銀髪の魔剣使い
ー/ー
「えっ?」
ぼくは目を見開きました。なぜか炎は何処へ消え去り、眼前には何者かの背中がありました。その者は、剣を携えた銀髪の男性。
「あ、あなたは……」
「大丈夫か?」
その人は肩越しに振り向いて口をひらきました。綺麗な顔をした銀髪の冒険者です。
「あなたは、酒場でぼくを助けてくれた…!」
「シヒロ…だったか? なぜすぐに避難しなかった? あれから酒場に戻っていたわけじゃないだろ?」
「あ、ええと、その……すいません!」
「興味本意ってやつか」
「な、なぜわかるんですか?」
「書くためだろ?」
「は、はい。あの、あなたはいったい……」
「とにかく隙をついて逃げろ」
剣を構える銀髪の人。彼と向かい合う仮面の魔術師は、次第にワナワナとし始めます。
「お、お前……魔法を斬ったのか?」
「だったらなんだ?」
「ここ最近、やたらと〔フリーダム〕の活動を妨害する剣士がいると聞いていた。しかもその剣士は魔法を切り裂くと。そうか……お前があの魔剣使いか!」
ぼくは仮面の魔術師の言葉を聞き、ある噂を思い出しました。それは〔フリーダム〕の危険な噂とともに、まことしやかに囁かれていた〔銀髪の魔剣使い〕の話です。なんでも一ヶ月ほど前に突如として現れ、その行方はあの国際平和維持軍も追っているのだとか。
「この人が、あの魔剣使いさま……」
ぼくは今すぐ危険を回避するためにこの場から離れなければいけません。でも、ここで逃げてしまったら、もうこの人とは会えないかもしれません。
「ど、どうしよう……」
ぼくが葛藤していると、仮面の魔術師がまたしても魔法の詠唱を始めます。
「深淵なる万物万象の源泉よ。我が劤と為り、彼の者を凍て尽かせ給へ〔アルカーナ・グラキエース〕」
今度は杖の先に氷の塊がガチガチガチッと出現し、間もなく大きな氷弾となって発射されました。
ズアァァァッ!
魔剣使いさまへの直撃は必至です。
「魔剣使いさまぁぁ!」
ぼくの悲嘆の叫びはまったくの無意味でした。魔剣使いさまは氷弾に向かいビュンと一閃。その剣の一振りで、ものの見事にあっさりと氷弾は斬り裂かれて滅失しました。
「クッ! 魔剣使いめ! お前らもやれ!」
仮面の魔術師は焦燥を滲ませながらも、即座に他の仲間達へ攻撃の号令をかけました。
「やれ!」
「殺せ殺せ!」
「我らにあだなす魔剣使いを逃すな!」
その瞬間です。建物の奥から、屋根から、視界の届かなかった所からも、仮面の人達がコウモリの群れのようにババババッと出現して、魔剣使いさまに向かって一斉に襲いかかっていきました。同時に魔剣使いさまも、ダッと跳び出しました。
『特殊技能〔ニュンパ・グレイズ〕』
多勢の敵を激烈な疾風の勢いで薙ぎ払っていく魔剣使いさま。地を翔け宙を舞うその身体は縦横無尽にうねり、剣は様々な弧を描きながら敵を斬り伏していく。
「す、すごい……」
この時、ぼくはもう完全に魔剣使いさまから目が離せなくなっていました。一刻も早くこの場から避難しなければならないのに。ましてや一般の十代の女の子だったら、目を背けるのが普通でしょう。しかしぼくには、魔剣使いさまの闘いは 荘厳で神秘的ですらありました。
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「えっ?」
ぼくは目を見開きました。なぜか炎は何処へ消え去り、眼前には何者かの背中がありました。その者は、剣を携えた銀髪の男性。
「あ、あなたは……」
「大丈夫か?」
その人は肩越しに振り向いて口をひらきました。綺麗な顔をした銀髪の冒険者です。
「あなたは、酒場でぼくを助けてくれた…!」
「シヒロ…だったか? なぜすぐに避難しなかった? あれから酒場に戻っていたわけじゃないだろ?」
「あ、ええと、その……すいません!」
「興味本意ってやつか」
「な、なぜわかるんですか?」
「書くためだろ?」
「は、はい。あの、あなたはいったい……」
「とにかく隙をついて逃げろ」
剣を構える銀髪の人。彼と向かい合う仮面の魔術師は、次第にワナワナとし始めます。
「お、お前……魔法を斬ったのか?」
「だったらなんだ?」
「ここ最近、やたらと〔フリーダム〕の活動を妨害する剣士がいると聞いていた。しかもその剣士は魔法を切り裂くと。そうか……お前があの魔剣使いか!」
ぼくは仮面の魔術師の言葉を聞き、ある噂を思い出しました。それは〔フリーダム〕の危険な噂とともに、まことしやかに囁かれていた〔銀髪の魔剣使い〕の話です。なんでも一ヶ月ほど前に突如として現れ、その行方はあの国際平和維持軍も追っているのだとか。
「この人が、あの魔剣使いさま……」
ぼくは今すぐ危険を回避するためにこの場から離れなければいけません。でも、ここで逃げてしまったら、もうこの人とは会えないかもしれません。
「ど、どうしよう……」
ぼくが葛藤していると、仮面の魔術師がまたしても魔法の詠唱を始めます。
「深淵なる万物万象の源泉よ。我が劤と為り、彼の者を凍て尽かせ給へ〔アルカーナ・グラキエース〕」
今度は杖の先に氷の塊がガチガチガチッと出現し、間もなく大きな氷弾となって発射されました。
ズアァァァッ!
魔剣使いさまへの直撃は必至です。
「魔剣使いさまぁぁ!」
ぼくの悲嘆の叫びはまったくの無意味でした。魔剣使いさまは氷弾に向かいビュンと一閃。その剣の一振りで、ものの見事にあっさりと氷弾は斬り裂かれて滅失しました。
「クッ! 魔剣使いめ! お前らもやれ!」
仮面の魔術師は焦燥を滲ませながらも、即座に他の仲間達へ攻撃の号令をかけました。
「やれ!」
「殺せ殺せ!」
「我らにあだなす魔剣使いを逃すな!」
その瞬間です。建物の奥から、屋根から、視界の届かなかった所からも、仮面の人達がコウモリの群れのようにババババッと出現して、魔剣使いさまに向かって一斉に襲いかかっていきました。同時に魔剣使いさまも、ダッと跳び出しました。
『特殊技能〔ニュンパ・グレイズ〕』
多勢の敵を激烈な疾風の勢いで薙ぎ払っていく魔剣使いさま。地を翔け宙を舞うその身体は縦横無尽にうねり、剣は様々な弧を描きながら敵を斬り伏していく。
「す、すごい……」
この時、ぼくはもう完全に魔剣使いさまから目が離せなくなっていました。一刻も早くこの場から避難しなければならないのに。ましてや一般の十代の女の子だったら、目を背けるのが普通でしょう。しかしぼくには、魔剣使いさまの闘いは 荘厳で神秘的ですらありました。