第48話

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ここはウエス国の森の中。

フィーネは、一通り話終えると、ふぅっと息を吐いた。
それを聞いていた、リリィも、イブも、ハクも、モックとドンキーさえも、固唾を飲み微動だにしない。
リビングに重い空気が立ち込めていた。
「フィーネ、大変だったんだね。」
リリィが、やっと口を開いた。
「おいら、フィーネがそんなに辛い目に遭ってたなんて知らなかった。ごめんよ。」
ハクが声を絞り出すように言う。
「フィーネ、可哀想キー。」
「可哀想キキー。」
モックとドンキーも言葉が出ない。

「フィーネ、よく話してくれたな。ありがとう。」
イブが神妙な顔で言う。

フィーネは黙って紅茶を淹れた。
フィーネが紅茶を口に運ぶと、他のみんなも紅茶を一口飲んで、ふーっと息を吐いた。

「私はこの丸太小屋にたどり着いた後、古い魔法の本を見つけた。それで魔法を覚えたわ。運良くこの丸太小屋は空き家だったから、手直しして住むことにした。」
フィーネが昔を懐かしむように話した。

「さあ、食事にしましょう。」
フィーネが、言う。
その夜は、エルフの里の人たちを弔うような満月が浮いていた。


翌朝。
フィーネは、町の人に頼まれた薬を届けるため一人で町に向かった。
今回はリリィたちは留守番である。

歩くこと1時間と少し。森が終わり、町が見えた。
薬を届ける家に向かう。
トントン。
玄関の扉を叩くと、中年の女性が出てきた。
「あ。フィーネさん。」
「お薬を持ってきました。」
「わざわざありがとう。はい、代金ね。」
「ありがとう。それじゃ。」
中年の女性は、薬を受け取ると、直ぐに家の中に引っ込んだ。

「これで用件は終わりね。オルガの所にでも行こうかしら。」
フィーネは、オルガの家に行くことにした。
「オルガ!いる?」
オルガの家の前でフィーネが呼び掛ける。
「今、行きます!」
家の裏の方から声がした。
玄関の扉が開いて、オルガが顔を出した。
「フィーネさん!今日はどうしたんですか?」
「他に用事があって、ついでに寄ったのよ。」
フィーネが言う。
「フィーネさん、どうぞ中へ。」
オルガがフィーネを誘い入れる。
「お邪魔します。」
フィーネは家の中に入った。
「どうぞ、そこにかけて。」
オルガに促されてフィーネは椅子に座る。
「オルガ、今日はお仕事?」
フィーネが尋ねると、
「今日は休みだよ。」
紅茶を淹れながら、オルガが答えた。
「ホウオウとスザクは?」
「二人も休みだから、何処かに出掛けてるんじゃないかな?」
「そうなんだ。」
フィーネは紅茶を一口飲んだ。
「やっぱりオルガが、淹れた紅茶は美味しいわ。」
「ありがとう。」

オルガも座り、しばらくの間、フィーネと他愛の無い話をして過ごした。

「そうだ、フィーネさん。町の市場に遊びに行こうよ。」
「良いわよ、行きましょうか。」
オルガとフィーネは市場に行くことにした。

町の市場は、沢山の人で賑わっている。衣料品の店、野菜を売る店、小物や雑貨を売る店、肉や魚を売る店、料理を振る舞う店......
様々な店が立ち並び、呼び込みの声が引っ切り無しに聞こえて、活気がある。
「このお店、見て良い?」
フィーネが言うと、オルガはうなづいてついて行く。
色とりどりの髪飾りやアクセサリーが置いてある店だ。
「欲しいものがあったら買うよ。」
オルガが言う。
「じゃあ、本気で選ぼうかな?」
フィーネが笑って言った。
「安いので頼むよ。」
オルガが小声で言うと、二人同じタイミングで笑った。

同じ頃。
「姉さん!この串焼美味しいね。」
「スザク、落ち着いて食べなさい。」
ホウオウとスザクの姉妹も市場にいた。
「あれ?もしかしてオルガじゃない?」
ホウオウが指差した方に、オルガがいた。笑っている。
「本当だ。一緒にいるのは...フィーネ!?」
「デートかしら?」
ホウオウはそう言った後、しまった!と言う顔をした。
スザクは、明らかに嫉妬している。
顔を赤くして拳を握り、体が小刻みに震えていた。
「姉さん、オルガの後を尾けるわよ。」
スザクが言う。
ホウオウはやれやれという顔をして
「わかったわ。」
と言った。


そうとは知らないオルガとフィーネはデートを楽しんでいた。
「うーん、この青いのも綺麗だな。こっちのも素敵。あ、それも可愛いな。」
フィーネは相当迷っている。
「ゆっくり考えて決めて良いからね。」
オルガが言う。
「ごめんね。なるべく速く決めるから。」
フィーネは申し訳なさそうだ。
それからしばらく選び続けて、何とか一つに決まった。
「おじさん、この髪飾りにするわ。」
「お嬢さん、ありがとう。」
オルガが代金を払い、早速、フィーネの髪に髪飾りをつけた。青い蝶の形をした髪飾りだ。
「フィーネさん、似合ってるよ。」
オルガが言うと、
「ありがとう。オルガ。」
フィーネは、少し顔を赤らめながら言った。
二人は店を出て歩き出した。


「姉さん、ターゲットが動き出したわ。」
「スザク...放っといてあげれば?」
「ダメよ、姉さん。二人に怪しい動きがないか、見張らないと。」
「もう、気が済むまでやれば良いわ...」
真剣なスザクにホウオウは呆れ気味だが、二人の尾行はまだ続くようだ。


そんなこととは知らず、オルガとフィーネは市場を歩いていた。




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みんなのリアクション

ここはウエス国の森の中。
フィーネは、一通り話終えると、ふぅっと息を吐いた。
それを聞いていた、リリィも、イブも、ハクも、モックとドンキーさえも、固唾を飲み微動だにしない。
リビングに重い空気が立ち込めていた。
「フィーネ、大変だったんだね。」
リリィが、やっと口を開いた。
「おいら、フィーネがそんなに辛い目に遭ってたなんて知らなかった。ごめんよ。」
ハクが声を絞り出すように言う。
「フィーネ、可哀想キー。」
「可哀想キキー。」
モックとドンキーも言葉が出ない。
「フィーネ、よく話してくれたな。ありがとう。」
イブが神妙な顔で言う。
フィーネは黙って紅茶を淹れた。
フィーネが紅茶を口に運ぶと、他のみんなも紅茶を一口飲んで、ふーっと息を吐いた。
「私はこの丸太小屋にたどり着いた後、古い魔法の本を見つけた。それで魔法を覚えたわ。運良くこの丸太小屋は空き家だったから、手直しして住むことにした。」
フィーネが昔を懐かしむように話した。
「さあ、食事にしましょう。」
フィーネが、言う。
その夜は、エルフの里の人たちを弔うような満月が浮いていた。
翌朝。
フィーネは、町の人に頼まれた薬を届けるため一人で町に向かった。
今回はリリィたちは留守番である。
歩くこと1時間と少し。森が終わり、町が見えた。
薬を届ける家に向かう。
トントン。
玄関の扉を叩くと、中年の女性が出てきた。
「あ。フィーネさん。」
「お薬を持ってきました。」
「わざわざありがとう。はい、代金ね。」
「ありがとう。それじゃ。」
中年の女性は、薬を受け取ると、直ぐに家の中に引っ込んだ。
「これで用件は終わりね。オルガの所にでも行こうかしら。」
フィーネは、オルガの家に行くことにした。
「オルガ!いる?」
オルガの家の前でフィーネが呼び掛ける。
「今、行きます!」
家の裏の方から声がした。
玄関の扉が開いて、オルガが顔を出した。
「フィーネさん!今日はどうしたんですか?」
「他に用事があって、ついでに寄ったのよ。」
フィーネが言う。
「フィーネさん、どうぞ中へ。」
オルガがフィーネを誘い入れる。
「お邪魔します。」
フィーネは家の中に入った。
「どうぞ、そこにかけて。」
オルガに促されてフィーネは椅子に座る。
「オルガ、今日はお仕事?」
フィーネが尋ねると、
「今日は休みだよ。」
紅茶を淹れながら、オルガが答えた。
「ホウオウとスザクは?」
「二人も休みだから、何処かに出掛けてるんじゃないかな?」
「そうなんだ。」
フィーネは紅茶を一口飲んだ。
「やっぱりオルガが、淹れた紅茶は美味しいわ。」
「ありがとう。」
オルガも座り、しばらくの間、フィーネと他愛の無い話をして過ごした。
「そうだ、フィーネさん。町の市場に遊びに行こうよ。」
「良いわよ、行きましょうか。」
オルガとフィーネは市場に行くことにした。
町の市場は、沢山の人で賑わっている。衣料品の店、野菜を売る店、小物や雑貨を売る店、肉や魚を売る店、料理を振る舞う店......
様々な店が立ち並び、呼び込みの声が引っ切り無しに聞こえて、活気がある。
「このお店、見て良い?」
フィーネが言うと、オルガはうなづいてついて行く。
色とりどりの髪飾りやアクセサリーが置いてある店だ。
「欲しいものがあったら買うよ。」
オルガが言う。
「じゃあ、本気で選ぼうかな?」
フィーネが笑って言った。
「安いので頼むよ。」
オルガが小声で言うと、二人同じタイミングで笑った。
同じ頃。
「姉さん!この串焼美味しいね。」
「スザク、落ち着いて食べなさい。」
ホウオウとスザクの姉妹も市場にいた。
「あれ?もしかしてオルガじゃない?」
ホウオウが指差した方に、オルガがいた。笑っている。
「本当だ。一緒にいるのは...フィーネ!?」
「デートかしら?」
ホウオウはそう言った後、しまった!と言う顔をした。
スザクは、明らかに嫉妬している。
顔を赤くして拳を握り、体が小刻みに震えていた。
「姉さん、オルガの後を尾けるわよ。」
スザクが言う。
ホウオウはやれやれという顔をして
「わかったわ。」
と言った。
そうとは知らないオルガとフィーネはデートを楽しんでいた。
「うーん、この青いのも綺麗だな。こっちのも素敵。あ、それも可愛いな。」
フィーネは相当迷っている。
「ゆっくり考えて決めて良いからね。」
オルガが言う。
「ごめんね。なるべく速く決めるから。」
フィーネは申し訳なさそうだ。
それからしばらく選び続けて、何とか一つに決まった。
「おじさん、この髪飾りにするわ。」
「お嬢さん、ありがとう。」
オルガが代金を払い、早速、フィーネの髪に髪飾りをつけた。青い蝶の形をした髪飾りだ。
「フィーネさん、似合ってるよ。」
オルガが言うと、
「ありがとう。オルガ。」
フィーネは、少し顔を赤らめながら言った。
二人は店を出て歩き出した。
「姉さん、ターゲットが動き出したわ。」
「スザク...放っといてあげれば?」
「ダメよ、姉さん。二人に怪しい動きがないか、見張らないと。」
「もう、気が済むまでやれば良いわ...」
真剣なスザクにホウオウは呆れ気味だが、二人の尾行はまだ続くようだ。
そんなこととは知らず、オルガとフィーネは市場を歩いていた。