第44話

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ここは、エルドランド王国のエルドランド城内。

ホウオウとスザクは【深淵の鍵】を求めて、侍女として城内に潜入していた。
「姉さん、大臣は執務室に入ったまま出てこないわ。」
スザクが言う。
「スザク、動きがあるまで待つのよ。ヤツは絶対に保管室に行く。」
ホウオウが真剣な眼差しでつぶやく。

夕方から夜になろうとする時間、大臣が動き出した。執務室を出て歩いていく。
「大臣が動き出した!行くわよスザク。」
ホウオウがつぶやく。

大臣は階段を降りて下の階に向かった。
スザクとホウオウは、怪しまれないように距離を取り、大臣を尾行する。

大臣は、長い廊下をゆっくりと奥に進んでいく。その中の一つの扉の前で立ち止まった。扉に右手を当てると、ぼんやりと光り、カチャッと鍵の開く音がする。
「ここね。」
スザクが言う。
大臣は扉を開けて部屋に入って行った。
スザクとホウオウは素早く扉に近づき、部屋の中に潜り込む事に成功した。
「ここは、どうなっているの?」
ホウオウが言う。
部屋の中は、広大な空間が広がっていた。沢山の棚が整然と並んでいて、棚にはぎっしりと物が置かれている。
倉庫のようだ。
「この何処かに【深淵の鍵】があるのね。」
スザクが言う。
「大臣を探しましょう。」
ホウオウが言うと、2人は慎重に動き出した。
迷路のような倉庫を進んでいく。
スザクの視線の中に大臣の姿を捉えた。
スザクは、見つからないように大臣の姿を追う。
すると、大臣が止まった。棚に置かれた木箱を取り出して、蓋を開け、中身を確認する。
しばらくすると、木箱を元の場所に戻して立ち去った。
「姉さん、あれが【深淵の鍵】で間違い無いわ。」
「大臣は、もう居ないようね。行きましょう。」
ホウオウが言うと、大臣が見ていた木箱の所に向かった。
その木箱は、綺麗な装飾がされ、如何にも大事な物がはいっていそうだ。

ホウオウは、慎重に木箱を出した。
ゆっくりと蓋を開ける。
そこには......
何も入っていなかった。
「空っぽだわ!」
ホウオウが言うと、男の声がした。
「探しているのは、これかな?」
その男-大臣-は、ニヤニヤと笑いながら、左手に鍵を持っていた。
「大臣!」
スザクが言う。
「その鍵を私たちに渡しなさい。」
ホウオウが言うと、
「盗人の分際で何を言うか!お前たちは何者だ!」
大臣が叫ぶ。
「鍵さえ渡せば、命は助けるわ。直ぐに鍵を渡しなさい。」
ホウオウが低い声で言う。
「残念だが、お前たちには鍵は渡せないな。これは魔神様への手土産だ。」
大臣の目が赤く光る。
「お前、人間では無いな!何者だ!」
スザクが叫ぶ。
大臣の体は、みるみる肥大化し、硬い皮膚が現れた。手足には鋭い爪が生えている。
「久しぶりだなぁ。ホウオウ、スザク!」
「お前は、ゲンブ!」
大臣の正体はゲンブだった。
ホウオウとスザクは剣を構える。
「鍵が欲しければ、俺を倒してみろ!」
ゲンブが襲いかかってきた。
両手の爪でホウオウとスザクに斬りかかる。2人は素早い動きでかわしていく。
ホウオウが剣で斬りかかるが、硬い皮膚に阻まれて傷一つ付けられない。
「俺に剣は効かないぞ!」
容赦なく爪の攻撃が続く。
「スザク!関節を狙うのよ。」
ホウオウが言うとスザクは、膝の関節を狙って剣を振った。
ザンッ!
ウガッ!
スザクの剣がゲンブの右足の関節を切り裂いた。
ゲンブは立てなくなった。
「クソッ!動けねぇ。」
「勝負有りね。ゲンブ、鍵を渡しなさい。」
ホウオウの言葉に、ゲンブは悔しそうに【深淵の鍵】を渡した。
「さあ、俺にとどめを刺せ。」
ゲンブが言うと、
「もう2度と私たちの前に現れないで。」
ホウオウとスザクは、そう言って立ち去ろうとした。
その背後で声がする。
「甘いな!ホウオウ!死ね!マウンテンフォール!」
巨大な岩の塊が落ちてくる。
「走って!スザク!」
ホウオウが叫ぶ。
ドドドドッッ!!
倉庫の中は、あっという間に岩の山に埋め尽くされた。
間一髪、スザクは扉からの脱出に成功した。
ホウオウは、いつまで待っても出てこない。
「姉さん!」
スザクは、その場に座り込んでしまった。
「姉さん、そんな!」
スザクが諦めたその時、
ゴホッ!ゴホッ!
砂まみれのホウオウが咳き込みながら出てきた。
「姉さん!生きてたのね!良かった。」
ホウオウか右手を出すと、そこには【深淵の鍵】があった。
ホウオウとスザクは、【深淵の鍵】を手に入れる事に成功したのである。


数日後。
ホウオウとスザクは、ウエス国の森に帰って来た。
「お帰り。ホウオウ、スザク。」
「ただいま。フィーネ。」
「深淵の鍵を手に入れたわ。これで魔神の本拠地-深淵の国-に行けるはずよ。」
ホウオウは、深淵の鍵をフィーネに渡した。
「2人とも疲れたでしょう。ゆっくり休んで。」
フィーネは、そう言って紅茶を淹れた。
「やっぱり、フィーネの淹れた紅茶が一番の癒しね。」
スザクは、紅茶を一口飲んで笑った。
「そうね。」
ホウオウも紅茶を飲んだ。

「これで、人と物は揃ったな。」
イブが言う。
「決戦が近づいて来たわね。」
フィーネは空を見上げた。

澄みきった青空が何処までも続いていた。




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ここは、エルドランド王国のエルドランド城内。
ホウオウとスザクは【深淵の鍵】を求めて、侍女として城内に潜入していた。
「姉さん、大臣は執務室に入ったまま出てこないわ。」
スザクが言う。
「スザク、動きがあるまで待つのよ。ヤツは絶対に保管室に行く。」
ホウオウが真剣な眼差しでつぶやく。
夕方から夜になろうとする時間、大臣が動き出した。執務室を出て歩いていく。
「大臣が動き出した!行くわよスザク。」
ホウオウがつぶやく。
大臣は階段を降りて下の階に向かった。
スザクとホウオウは、怪しまれないように距離を取り、大臣を尾行する。
大臣は、長い廊下をゆっくりと奥に進んでいく。その中の一つの扉の前で立ち止まった。扉に右手を当てると、ぼんやりと光り、カチャッと鍵の開く音がする。
「ここね。」
スザクが言う。
大臣は扉を開けて部屋に入って行った。
スザクとホウオウは素早く扉に近づき、部屋の中に潜り込む事に成功した。
「ここは、どうなっているの?」
ホウオウが言う。
部屋の中は、広大な空間が広がっていた。沢山の棚が整然と並んでいて、棚にはぎっしりと物が置かれている。
倉庫のようだ。
「この何処かに【深淵の鍵】があるのね。」
スザクが言う。
「大臣を探しましょう。」
ホウオウが言うと、2人は慎重に動き出した。
迷路のような倉庫を進んでいく。
スザクの視線の中に大臣の姿を捉えた。
スザクは、見つからないように大臣の姿を追う。
すると、大臣が止まった。棚に置かれた木箱を取り出して、蓋を開け、中身を確認する。
しばらくすると、木箱を元の場所に戻して立ち去った。
「姉さん、あれが【深淵の鍵】で間違い無いわ。」
「大臣は、もう居ないようね。行きましょう。」
ホウオウが言うと、大臣が見ていた木箱の所に向かった。
その木箱は、綺麗な装飾がされ、如何にも大事な物がはいっていそうだ。
ホウオウは、慎重に木箱を出した。
ゆっくりと蓋を開ける。
そこには......
何も入っていなかった。
「空っぽだわ!」
ホウオウが言うと、男の声がした。
「探しているのは、これかな?」
その男-大臣-は、ニヤニヤと笑いながら、左手に鍵を持っていた。
「大臣!」
スザクが言う。
「その鍵を私たちに渡しなさい。」
ホウオウが言うと、
「盗人の分際で何を言うか!お前たちは何者だ!」
大臣が叫ぶ。
「鍵さえ渡せば、命は助けるわ。直ぐに鍵を渡しなさい。」
ホウオウが低い声で言う。
「残念だが、お前たちには鍵は渡せないな。これは魔神様への手土産だ。」
大臣の目が赤く光る。
「お前、人間では無いな!何者だ!」
スザクが叫ぶ。
大臣の体は、みるみる肥大化し、硬い皮膚が現れた。手足には鋭い爪が生えている。
「久しぶりだなぁ。ホウオウ、スザク!」
「お前は、ゲンブ!」
大臣の正体はゲンブだった。
ホウオウとスザクは剣を構える。
「鍵が欲しければ、俺を倒してみろ!」
ゲンブが襲いかかってきた。
両手の爪でホウオウとスザクに斬りかかる。2人は素早い動きでかわしていく。
ホウオウが剣で斬りかかるが、硬い皮膚に阻まれて傷一つ付けられない。
「俺に剣は効かないぞ!」
容赦なく爪の攻撃が続く。
「スザク!関節を狙うのよ。」
ホウオウが言うとスザクは、膝の関節を狙って剣を振った。
ザンッ!
ウガッ!
スザクの剣がゲンブの右足の関節を切り裂いた。
ゲンブは立てなくなった。
「クソッ!動けねぇ。」
「勝負有りね。ゲンブ、鍵を渡しなさい。」
ホウオウの言葉に、ゲンブは悔しそうに【深淵の鍵】を渡した。
「さあ、俺にとどめを刺せ。」
ゲンブが言うと、
「もう2度と私たちの前に現れないで。」
ホウオウとスザクは、そう言って立ち去ろうとした。
その背後で声がする。
「甘いな!ホウオウ!死ね!マウンテンフォール!」
巨大な岩の塊が落ちてくる。
「走って!スザク!」
ホウオウが叫ぶ。
ドドドドッッ!!
倉庫の中は、あっという間に岩の山に埋め尽くされた。
間一髪、スザクは扉からの脱出に成功した。
ホウオウは、いつまで待っても出てこない。
「姉さん!」
スザクは、その場に座り込んでしまった。
「姉さん、そんな!」
スザクが諦めたその時、
ゴホッ!ゴホッ!
砂まみれのホウオウが咳き込みながら出てきた。
「姉さん!生きてたのね!良かった。」
ホウオウか右手を出すと、そこには【深淵の鍵】があった。
ホウオウとスザクは、【深淵の鍵】を手に入れる事に成功したのである。
数日後。
ホウオウとスザクは、ウエス国の森に帰って来た。
「お帰り。ホウオウ、スザク。」
「ただいま。フィーネ。」
「深淵の鍵を手に入れたわ。これで魔神の本拠地-深淵の国-に行けるはずよ。」
ホウオウは、深淵の鍵をフィーネに渡した。
「2人とも疲れたでしょう。ゆっくり休んで。」
フィーネは、そう言って紅茶を淹れた。
「やっぱり、フィーネの淹れた紅茶が一番の癒しね。」
スザクは、紅茶を一口飲んで笑った。
「そうね。」
ホウオウも紅茶を飲んだ。
「これで、人と物は揃ったな。」
イブが言う。
「決戦が近づいて来たわね。」
フィーネは空を見上げた。
澄みきった青空が何処までも続いていた。