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2.以心伝心

ー/ー



 校門を抜けて、駅へと続く並木道を二人で歩く。
 オレンジ色の夕日が伸びた影を二つ並べて、世界には私たちしかいないみたい。

「ねえ亮くん、昨日のテレビ見た? 駅前に新しくできたクレープ屋さん、すごく美味しそうだったよね」
「ああ、あの行列ができてた店? 確かに琴音が好きそうだなって思ってたんだ」

 亮くんは私の言葉を受けて、優しく微笑んでくれる。
 彼ってば、いつだって私の好みを一番に考えてくれているの。まるで、私が見ている世界を彼もそのまま共有しているみたい。

「今度の日曜日、一緒に行きたいな」
「もちろん。琴音と一緒なら、並ぶ時間も楽しそうだしね」

 間髪入れずに返ってくる肯定の言葉。
 私が何を望んでいるか、彼は考えるまでもなく分かってくれているんだわ。このスムーズな会話のテンポは、私たちの魂が深いところで繋がっている証拠だよね。

「嬉しい! 限定のイチゴ味、絶対食べたいの」
「じゃあ、早めに行かないとね。僕も楽しみになってきたよ」

 彼は私の目を見て、頷く。その瞳は澄んでいて、私の姿だけを映している。余計な思考なんて一切ない、純粋な愛の結晶。

 通り過ぎる車の音さえ、心地よいBGMに聞こえる。
 私は繋いだ手に少しだけ力を込めた。彼もすぐに、同じだけの強さで握り返してくれる。
 強すぎず、弱すぎず。私が心地よいと感じる完璧な力加減。最初からそうだったみたいに、驚くほどしっくりくるの。

「あ、見て亮くん。あそこの雲、猫みたい」
「本当だ。ふわふわしてて可愛いね」
「いいなぁ。私、いつか猫飼いたいな」
「うん、いいね。琴音ならきっといい飼い主になれるよ」

 ふふっ、本当に亮くんってば、私に甘々なんだから。
 どんなわがままだって、彼ならきっと「いいよ」って受け止めてくれる。否定の言葉なんて、彼の辞書には最初から載っていないみたいに。

 ふと、いたずら心が芽生えて、私は足を止めた。
 彼も不思議そうに振り返って足を止める。

 私は彼の胸に飛び込んで、顔を見上げた。

「ねえ、亮くん。私のこと、どれくらい好き?」

 恋人同士なら何度も繰り返す、ありふれた確認。でも、私にとっては大切な儀式。
 亮くんは私の頭を優しく撫でながら、迷わずに答えた。

「世界中の誰よりも、何よりも、琴音のことが好きだよ」

「……私のために、死ねる?」

 ちょっと重い冗談のつもりで聞いてみる。
 普通なら「えー、それは困るよ」なんて笑うところかもしれない。でも、亮くんは真剣な眼差しで、私の目を見つめ返した。

「ああ。琴音のためなら、今すぐだって」

 その声があまりにも迷いがなくて、あまりにも透き通っていたから、私はゾクゾクするような快感に包まれた。
 ああ、愛されてる。
 私の言葉が、私の意思が、そのまま彼の命になっている。

「ふふ、ダメだよ死んじゃ。亮くんはずっと私のそばにいなきゃ」
「うん。ずっと琴音のそばにいる」

 再び歩き出した私たちは、きっと誰が見ても理想のカップル。
 言葉にしなくても通じ合える、この完璧な調和。
 甘くて、とろけるようで、私の頭の中までふわふわしてくる。

 そう、これが私たちが育んだ「真実の愛」なんだから。


次のエピソードへ進む 3.ふとした静寂


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 校門を抜けて、駅へと続く並木道を二人で歩く。
 オレンジ色の夕日が伸びた影を二つ並べて、世界には私たちしかいないみたい。
「ねえ亮くん、昨日のテレビ見た? 駅前に新しくできたクレープ屋さん、すごく美味しそうだったよね」
「ああ、あの行列ができてた店? 確かに琴音が好きそうだなって思ってたんだ」
 亮くんは私の言葉を受けて、優しく微笑んでくれる。
 彼ってば、いつだって私の好みを一番に考えてくれているの。まるで、私が見ている世界を彼もそのまま共有しているみたい。
「今度の日曜日、一緒に行きたいな」
「もちろん。琴音と一緒なら、並ぶ時間も楽しそうだしね」
 間髪入れずに返ってくる肯定の言葉。
 私が何を望んでいるか、彼は考えるまでもなく分かってくれているんだわ。このスムーズな会話のテンポは、私たちの魂が深いところで繋がっている証拠だよね。
「嬉しい! 限定のイチゴ味、絶対食べたいの」
「じゃあ、早めに行かないとね。僕も楽しみになってきたよ」
 彼は私の目を見て、頷く。その瞳は澄んでいて、私の姿だけを映している。余計な思考なんて一切ない、純粋な愛の結晶。
 通り過ぎる車の音さえ、心地よいBGMに聞こえる。
 私は繋いだ手に少しだけ力を込めた。彼もすぐに、同じだけの強さで握り返してくれる。
 強すぎず、弱すぎず。私が心地よいと感じる完璧な力加減。最初からそうだったみたいに、驚くほどしっくりくるの。
「あ、見て亮くん。あそこの雲、猫みたい」
「本当だ。ふわふわしてて可愛いね」
「いいなぁ。私、いつか猫飼いたいな」
「うん、いいね。琴音ならきっといい飼い主になれるよ」
 ふふっ、本当に亮くんってば、私に甘々なんだから。
 どんなわがままだって、彼ならきっと「いいよ」って受け止めてくれる。否定の言葉なんて、彼の辞書には最初から載っていないみたいに。
 ふと、いたずら心が芽生えて、私は足を止めた。
 彼も不思議そうに振り返って足を止める。
 私は彼の胸に飛び込んで、顔を見上げた。
「ねえ、亮くん。私のこと、どれくらい好き?」
 恋人同士なら何度も繰り返す、ありふれた確認。でも、私にとっては大切な儀式。
 亮くんは私の頭を優しく撫でながら、迷わずに答えた。
「世界中の誰よりも、何よりも、琴音のことが好きだよ」
「……私のために、死ねる?」
 ちょっと重い冗談のつもりで聞いてみる。
 普通なら「えー、それは困るよ」なんて笑うところかもしれない。でも、亮くんは真剣な眼差しで、私の目を見つめ返した。
「ああ。琴音のためなら、今すぐだって」
 その声があまりにも迷いがなくて、あまりにも透き通っていたから、私はゾクゾクするような快感に包まれた。
 ああ、愛されてる。
 私の言葉が、私の意思が、そのまま彼の命になっている。
「ふふ、ダメだよ死んじゃ。亮くんはずっと私のそばにいなきゃ」
「うん。ずっと琴音のそばにいる」
 再び歩き出した私たちは、きっと誰が見ても理想のカップル。
 言葉にしなくても通じ合える、この完璧な調和。
 甘くて、とろけるようで、私の頭の中までふわふわしてくる。
 そう、これが私たちが育んだ「真実の愛」なんだから。