@66話
ー/ー
恭吾の啖呵を皮切りに松岡が殴り掛かってくる、右ストレートだ。
恭吾はそのパンチが見えもしない。避けようともしない。代わりに不自然なほど大きく膨れ上がっている左腕から巻き付けてあった何かを外した。
「キャアァー」
恋実は悲鳴と共に眼を瞑る。
パンチが当たる、そう思った瞬間だった……。
「あ、あれれぇぇ?!?」
松岡の奇妙な叫びと共に松岡の右ストレートは大きく軌道を変えた。
恭吾の左腕に吸い寄せられるように弧を描いたパンチは、恭吾の左腕へと当たる。
恋実には状況が分からない。でも恭吾が立っていることに少しだけ安心する。
パンチを左腕に受け、よろよろと後退する恭吾。その表情は苦悶の顔ではない……不敵な笑みだ。
合わせてズボンも確認する……良かった、染み出ていない。
不敵な笑みが、松岡の不安を煽る。松岡の怒りを大きくする……。
「あれ? どうしちゃったんだ?」
バカな松岡は再び何も考えずパンチを繰り出す……しかし結果は、同じだ。
唖然とする松岡と恋実。
「ふっ……何度やっても無駄だ、松岡。お前のパンチは俺には当たらない」
「な、何でだ?」
松岡は開いた口が塞がらず、よだれが垂れている。それほどの脅威を感じているのであろう。
「直流の電気を流すと金属が着磁して磁石と化す。俺はコイルを使ってお前の制服の全てのボタンに着磁させた……。
そして俺の左腕にはネオジウム磁石……アルミや銅をも引き寄せる、超超超強力な磁石だ。
お前のパンチは全てこの左腕に吸い寄せられる! お前のパンチが届かない!(*注 そこまでできません)」
鋭い力の籠った視線が松岡を射抜く。恭吾、会心の目力だ。
火曜日の暑さで、みんな制服を脱いで置いてあったのが恭吾を助けたのだった。
「すごい! 恭吾!」
喜ぶ恋実。勝ち誇る恭吾。
「卑怯な……」
松岡が子供のように地団駄を踏む。
「ケンカに卑怯もクソもあるか」
「そうだそうだ!」
まさかの恭吾&恋実の攻勢だ。
「鳴海、お前相変わらずウザイ知識をひけらかして……」
「いいか、松岡……お前のような間抜けには分からないだろうが、知識は本棚! その学んだ知識を自分の中で変換し、それを放出できることが知恵というのだよ……ってあれ?」
恭吾は目を疑った……。
松岡が学生服を脱いでいた。
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恭吾はそのパンチが見えもしない。避けようともしない。代わりに不自然なほど大きく膨れ上がっている左腕から巻き付けてあった何かを外した。
「キャアァー」
恋実は悲鳴と共に眼を瞑る。
パンチが当たる、そう思った瞬間だった……。
「あ、あれれぇぇ?!?」
松岡の奇妙な叫びと共に松岡の右ストレートは大きく軌道を変えた。
恭吾の左腕に吸い寄せられるように弧を描いたパンチは、恭吾の左腕へと当たる。
恋実には状況が分からない。でも恭吾が立っていることに少しだけ安心する。
パンチを左腕に受け、よろよろと後退する恭吾。その表情は苦悶の顔ではない……不敵な笑みだ。
合わせてズボンも確認する……良かった、染み出ていない。
不敵な笑みが、松岡の不安を煽る。松岡の怒りを大きくする……。
「あれ? どうしちゃったんだ?」
バカな松岡は再び何も考えずパンチを繰り出す……しかし結果は、同じだ。
唖然とする松岡と恋実。
「ふっ……何度やっても無駄だ、松岡。お前のパンチは俺には当たらない」
「な、何でだ?」
松岡は開いた口が塞がらず、よだれが垂れている。それほどの脅威を感じているのであろう。
「直流の電気を流すと金属が着磁して磁石と化す。俺はコイルを使ってお前の制服の全てのボタンに着磁させた……。
そして俺の左腕にはネオジウム磁石……アルミや銅をも引き寄せる、超超超強力な磁石だ。
お前のパンチは全てこの左腕に吸い寄せられる! お前のパンチが届かない!(*注 そこまでできません)」
鋭い力の籠った視線が松岡を射抜く。恭吾、会心の目力だ。
火曜日の暑さで、みんな制服を脱いで置いてあったのが恭吾を助けたのだった。
「すごい! 恭吾!」
喜ぶ恋実。勝ち誇る恭吾。
「卑怯な……」
松岡が子供のように地団駄を踏む。
「ケンカに卑怯もクソもあるか」
「そうだそうだ!」
まさかの恭吾&恋実の攻勢だ。
「鳴海、お前相変わらずウザイ知識をひけらかして……」
「いいか、松岡……お前のような間抜けには分からないだろうが、知識は本棚! その学んだ知識を自分の中で変換し、それを放出できることが知恵というのだよ……ってあれ?」
恭吾は目を疑った……。
松岡が学生服を脱いでいた。