椎茸とピーマンとニンジン
ー/ー「あ、ねぇ、湊、今日の体育の時間、すごかったね」
「ん?」
「玲央くんよっ!ハットトリック、っていうの? サッカー部でもないのに3回もシュート決めてた、もう女子総立ち」
「んあ、そうだな」
これは当然ワザとだ。
玲央くんは高校入学してすぐ湊の真後ろの席になったことをきっかけに仲良くなった湊の今、一番仲良しの友達。
成績優秀なのに全然偉ぶらないし、見目麗しい、切れ長の目にキリッとした眉毛、スッキリと通った鼻筋、形のいい唇、そしてさらさらヘア、どんな女の子よりも『美人さん』という形容詞がぴったり、なのに、背が高くてスポーツ万能、サッカーもバスケも部員よりも断然上手い、それなのに帰宅部。彼女はおろか女友達も多くない、話しかけられればそつなく会話するのに、自分からヘラヘラ近づいてきたりしない。男子の友達といても大声で騒いだりせず、なんか大人っぽい。おまけに憂いを帯びたような低い声で、当然女子人気NO.1の人物だ。
玲央くんには申し訳ないけれども、湊にヤキモチを妬かせるにはうってつけなのだ。
しばらく前から何度も何度も湊に玲央くんの話題を持ちかけている。その度に眉間に皺を寄せる湊がとても可愛い。
昔の、泣き顔で私を追いかけてきていた湊のことを思い出してしまう。
「ほーんとカッコいい、ねねね、玲央くんってどんな女の子が好きなのかなぁ」
「あいつあんま、そういう話しないな」
ぶっきらぼうに言い捨ててプイッと横を向く。
ふふふっ、かーわーいーい。早く告白しないと、あなたの大好きな幼なじみの麻紀ちゃんは、他の男のものになっちゃうわよ。ほらほら、焦りなさいよ。
「えー、つまんないぃ。好きな女の子のタイプじゃなくてもいいから、なんか聞かせてよぉ、玲央くんのこと。毎日一緒にいるんだし、なんか知ってるでしょ? 好きな音楽とか好きな漫画とか」
「んー、玲央あんまり自分から、自分のこと言わないんだよなぁ。オレがCreepy Nuts好きだ、とか言った時は『俺も』とか言ってたけど。漫画は、どうだろ。なんか小説みたいなの読んでた気がするけど」
ふっふっふっふ、教えたくないんだ。ライバルになっちゃいそうだから警戒してるのかな。大丈夫だってば。玲央くんがいくらパーフェクト男子でも、私はずっと前から……だから、早く告って欲しいのに。
「あー、でもあいつ椎茸が嫌いなんだぜ。来々軒の炒飯に入ってる、こんなちっこい椎茸も目ざとく見つけて、オレの皿に入れてきやがる、ったく、子供かよっての」
右手の親指と人差し指を極限まで近づけて片目を瞑りながら言う。いや、可愛いかよ。ウインクじゃん、そんなの。
「えー、玲央くんスーパー可愛いじゃん。椎茸が苦手だなんて、子供みたいで」
「そっかぁ? 好き嫌いなんて、小学生じゃあるまいし」
ふっふっふっふ、湊すっごい不満気ーーー。私が玲央くんのことを褒めたから? どっちが子供なのよ。
「湊きゅんは、ピーマン、食べられるようになったのかなぁ、っと」
「あ、てめぇ、一体いつの話してんだよ、ガキの頃の話だろ、ピーマンなんてとっくに克服してるっつうの」
頭をくしゃくしゃと撫でられて、きゃーと大袈裟に声をあげる。なんか、なんていうかこうして湊とイチャイチャしている時間が本当に一番楽しい。でもこのイチャイチャも恋人同士になった後なら、もっと甘いイチャイチャになるんじゃない?
小学生の頃、湊は『ピーマンは苦いから苦手』って言っていた。私はニンジンがちょっと苦手だったから、お互いのお皿の上の野菜を交換して食べたりもした。そう言えばいつ頃からピーマン平気になったんだろう。私だっていつの間にかニンジン平気になってるけど。
「ん?」
「玲央くんよっ!ハットトリック、っていうの? サッカー部でもないのに3回もシュート決めてた、もう女子総立ち」
「んあ、そうだな」
これは当然ワザとだ。
玲央くんは高校入学してすぐ湊の真後ろの席になったことをきっかけに仲良くなった湊の今、一番仲良しの友達。
成績優秀なのに全然偉ぶらないし、見目麗しい、切れ長の目にキリッとした眉毛、スッキリと通った鼻筋、形のいい唇、そしてさらさらヘア、どんな女の子よりも『美人さん』という形容詞がぴったり、なのに、背が高くてスポーツ万能、サッカーもバスケも部員よりも断然上手い、それなのに帰宅部。彼女はおろか女友達も多くない、話しかけられればそつなく会話するのに、自分からヘラヘラ近づいてきたりしない。男子の友達といても大声で騒いだりせず、なんか大人っぽい。おまけに憂いを帯びたような低い声で、当然女子人気NO.1の人物だ。
玲央くんには申し訳ないけれども、湊にヤキモチを妬かせるにはうってつけなのだ。
しばらく前から何度も何度も湊に玲央くんの話題を持ちかけている。その度に眉間に皺を寄せる湊がとても可愛い。
昔の、泣き顔で私を追いかけてきていた湊のことを思い出してしまう。
「ほーんとカッコいい、ねねね、玲央くんってどんな女の子が好きなのかなぁ」
「あいつあんま、そういう話しないな」
ぶっきらぼうに言い捨ててプイッと横を向く。
ふふふっ、かーわーいーい。早く告白しないと、あなたの大好きな幼なじみの麻紀ちゃんは、他の男のものになっちゃうわよ。ほらほら、焦りなさいよ。
「えー、つまんないぃ。好きな女の子のタイプじゃなくてもいいから、なんか聞かせてよぉ、玲央くんのこと。毎日一緒にいるんだし、なんか知ってるでしょ? 好きな音楽とか好きな漫画とか」
「んー、玲央あんまり自分から、自分のこと言わないんだよなぁ。オレがCreepy Nuts好きだ、とか言った時は『俺も』とか言ってたけど。漫画は、どうだろ。なんか小説みたいなの読んでた気がするけど」
ふっふっふっふ、教えたくないんだ。ライバルになっちゃいそうだから警戒してるのかな。大丈夫だってば。玲央くんがいくらパーフェクト男子でも、私はずっと前から……だから、早く告って欲しいのに。
「あー、でもあいつ椎茸が嫌いなんだぜ。来々軒の炒飯に入ってる、こんなちっこい椎茸も目ざとく見つけて、オレの皿に入れてきやがる、ったく、子供かよっての」
右手の親指と人差し指を極限まで近づけて片目を瞑りながら言う。いや、可愛いかよ。ウインクじゃん、そんなの。
「えー、玲央くんスーパー可愛いじゃん。椎茸が苦手だなんて、子供みたいで」
「そっかぁ? 好き嫌いなんて、小学生じゃあるまいし」
ふっふっふっふ、湊すっごい不満気ーーー。私が玲央くんのことを褒めたから? どっちが子供なのよ。
「湊きゅんは、ピーマン、食べられるようになったのかなぁ、っと」
「あ、てめぇ、一体いつの話してんだよ、ガキの頃の話だろ、ピーマンなんてとっくに克服してるっつうの」
頭をくしゃくしゃと撫でられて、きゃーと大袈裟に声をあげる。なんか、なんていうかこうして湊とイチャイチャしている時間が本当に一番楽しい。でもこのイチャイチャも恋人同士になった後なら、もっと甘いイチャイチャになるんじゃない?
小学生の頃、湊は『ピーマンは苦いから苦手』って言っていた。私はニンジンがちょっと苦手だったから、お互いのお皿の上の野菜を交換して食べたりもした。そう言えばいつ頃からピーマン平気になったんだろう。私だっていつの間にかニンジン平気になってるけど。
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「あ、ねぇ、|湊《みなと》、今日の体育の時間、すごかったね」
「ん?」
「|玲央《れおん》くんよっ!ハットトリック、っていうの? サッカー部でもないのに3回もシュート決めてた、もう女子総立ち」
「んあ、そうだな」
「ん?」
「|玲央《れおん》くんよっ!ハットトリック、っていうの? サッカー部でもないのに3回もシュート決めてた、もう女子総立ち」
「んあ、そうだな」
これは当然《《ワザ》》とだ。
玲央くんは高校入学してすぐ湊の真後ろの席になったことをきっかけに仲良くなった湊の今、一番仲良しの友達。
成績優秀なのに全然偉ぶらないし、見目麗しい、切れ長の目にキリッとした眉毛、スッキリと通った鼻筋、形のいい唇、そしてさらさらヘア、どんな女の子よりも『美人さん』という形容詞がぴったり、なのに、背が高くてスポーツ万能、サッカーもバスケも部員よりも断然上手い、それなのに帰宅部。彼女はおろか女友達も多くない、話しかけられればそつなく会話するのに、自分からヘラヘラ近づいてきたりしない。男子の友達といても大声で騒いだりせず、なんか大人っぽい。おまけに憂いを帯びたような低い声で、当然女子人気NO.1の人物だ。
成績優秀なのに全然偉ぶらないし、見目麗しい、切れ長の目にキリッとした眉毛、スッキリと通った鼻筋、形のいい唇、そしてさらさらヘア、どんな女の子よりも『美人さん』という形容詞がぴったり、なのに、背が高くてスポーツ万能、サッカーもバスケも部員よりも断然上手い、それなのに帰宅部。彼女はおろか女友達も多くない、話しかけられればそつなく会話するのに、自分からヘラヘラ近づいてきたりしない。男子の友達といても大声で騒いだりせず、なんか大人っぽい。おまけに憂いを帯びたような低い声で、当然女子人気NO.1の人物だ。
玲央くんには申し訳ないけれども、湊に《《ヤキモチ》》を妬かせるにはうってつけなのだ。
しばらく前から何度も何度も湊に玲央くんの話題を持ちかけている。その度に眉間に皺を寄せる湊がとても可愛い。
昔の、泣き顔で私を追いかけてきていた湊のことを思い出してしまう。
しばらく前から何度も何度も湊に玲央くんの話題を持ちかけている。その度に眉間に皺を寄せる湊がとても可愛い。
昔の、泣き顔で私を追いかけてきていた湊のことを思い出してしまう。
「ほーんとカッコいい、ねねね、玲央くんってどんな女の子が好きなのかなぁ」
「あいつあんま、そういう話しないな」
「あいつあんま、そういう話しないな」
ぶっきらぼうに言い捨ててプイッと横を向く。
ふふふっ、かーわーいーい。早く告白しないと、あなたの《《大好きな幼なじみの麻紀ちゃん》》は、他の男のものになっちゃうわよ。ほらほら、焦りなさいよ。
「えー、つまんないぃ。好きな女の子のタイプじゃなくてもいいから、なんか聞かせてよぉ、玲央くんのこと。毎日一緒にいるんだし、なんか知ってるでしょ? 好きな音楽とか好きな漫画とか」
「んー、玲央あんまり自分から、自分のこと言わないんだよなぁ。オレがCreepy Nuts好きだ、とか言った時は『俺も』とか言ってたけど。漫画は、どうだろ。なんか小説みたいなの読んでた気がするけど」
「んー、玲央あんまり自分から、自分のこと言わないんだよなぁ。オレがCreepy Nuts好きだ、とか言った時は『俺も』とか言ってたけど。漫画は、どうだろ。なんか小説みたいなの読んでた気がするけど」
ふっふっふっふ、教えたくないんだ。ライバルになっちゃいそうだから警戒してるのかな。大丈夫だってば。玲央くんがいくらパーフェクト男子でも、私はずっと前から……だから、早く告って欲しいのに。
「あー、でもあいつ椎茸が嫌いなんだぜ。来々軒の炒飯に入ってる、こんなちっこい椎茸も目ざとく見つけて、オレの皿に入れてきやがる、ったく、子供かよっての」
右手の親指と人差し指を極限まで近づけて片目を瞑りながら言う。いや、可愛いかよ。ウインクじゃん、そんなの。
右手の親指と人差し指を極限まで近づけて片目を瞑りながら言う。いや、可愛いかよ。ウインクじゃん、そんなの。
「えー、玲央くんスーパー可愛いじゃん。椎茸が苦手だなんて、子供みたいで」
「そっかぁ? 好き嫌いなんて、小学生じゃあるまいし」
ふっふっふっふ、湊すっごい不満気ーーー。私が玲央くんのことを褒めたから? どっちが子供なのよ。
「そっかぁ? 好き嫌いなんて、小学生じゃあるまいし」
ふっふっふっふ、湊すっごい不満気ーーー。私が玲央くんのことを褒めたから? どっちが子供なのよ。
「《《湊きゅん》》は、ピーマン、食べられるようになったのかなぁ、っと」
「あ、てめぇ、一体いつの話してんだよ、ガキの頃の話だろ、ピーマンなんてとっくに克服してるっつうの」
頭をくしゃくしゃと撫でられて、きゃーと大袈裟に声をあげる。なんか、なんていうかこうして湊とイチャイチャしている時間が本当に一番楽しい。でもこのイチャイチャも恋人同士になった後なら、もっと甘いイチャイチャになるんじゃない?
「あ、てめぇ、一体いつの話してんだよ、ガキの頃の話だろ、ピーマンなんてとっくに克服してるっつうの」
頭をくしゃくしゃと撫でられて、きゃーと大袈裟に声をあげる。なんか、なんていうかこうして湊とイチャイチャしている時間が本当に一番楽しい。でもこのイチャイチャも恋人同士になった後なら、もっと甘いイチャイチャになるんじゃない?
小学生の頃、湊は『ピーマンは苦いから苦手』って言っていた。私はニンジンがちょっと苦手だったから、お互いのお皿の上の野菜を交換して食べたりもした。そう言えばいつ頃からピーマン平気になったんだろう。私だっていつの間にかニンジン平気になってるけど。