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 ぼくはいつから、ここにいるのだろう? 改めて考えるのも久しぶりのことだけれど、目を開けた時には、見渡す限り真っ白だったことを覚えている。そう……真っ白で、本当に何もなかったけれども、ぼくがいるこの空間は温かくって、優しくて、安心できるものだった。
 ここで過ごす時間が増えるごとに、ぼくの世界をいろどるものが一つずつ、増えていった。それは、ぼくの記憶の中から何かをすくい上げて、形にしていくようで、くすぐったい感じがした。そう。地面ができた時にも、空ができた時にも、住む家ができた時にも。この世界を形づくるものができてゆくと、ぼくはなつかしさとともに、居心地のよさと幸せを感じたのだった。
「きっと、ここは天国なんだ」
 ぼくはそう、結論づけた。
 天国は楽園。そんなイメージがあった。ぼくがいる場所は、いわゆる楽園といえるものなのかどうかは分からなかった。でも、何もなかった空間に一つずつ、世界が形成されてゆき、その度に幸せを感じる。それはまさに、天国なのだろうと思った。
 しかし、ぼくはここで、初めて声をかけられた。
「いいえ。ここは、天国ではありません」
「えっ……」
 誰か、いるの? もちろん、ここで人に会ったことはなかったし、自分以外に人がいるとも思っていなかった。
 しかし、振り返ったぼくの目には、一人の女子の姿が飛び込んできた。その子の顔ははっきりとは見えず、存在もどこか、ぼんやりとしていたけれど……なぜだろう? その子のことが、すごくなつかしくって、切なくて、ぼくは泣きそうになった。
「君は、だれ?」
「私は、アイ」
「アイ……どうして、ここに? ここは、どこ?」
 ここは、どこなのか? そのことについては、アイの口から語られることはなかった。
 しかし、アイはいわゆる『人工知能(AI)』であり、それが名前の由来だということを教えてくれた。そして、ぼくが自分の世界を取りもどすのを手助けするためにここにいるのだと語った。理由はよく分からないけれど、ぼくはここでアイと出会ったのは、あらかじめ決められていたかのような……何か、運命のようなものを感じた。
 その時以降、ぼくはアイと一緒に自分の記憶から世界をひろい上げて、取りもどしていく……そんな時間を過ごすようになった。


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 ぼくはいつから、ここにいるのだろう? 改めて考えるのも久しぶりのことだけれど、目を開けた時には、見渡す限り真っ白だったことを覚えている。そう……真っ白で、本当に何もなかったけれども、ぼくがいるこの空間は温かくって、優しくて、安心できるものだった。
 ここで過ごす時間が増えるごとに、ぼくの世界をいろどるものが一つずつ、増えていった。それは、ぼくの記憶の中から何かをすくい上げて、形にしていくようで、くすぐったい感じがした。そう。地面ができた時にも、空ができた時にも、住む家ができた時にも。この世界を形づくるものができてゆくと、ぼくはなつかしさとともに、居心地のよさと幸せを感じたのだった。
「きっと、ここは天国なんだ」
 ぼくはそう、結論づけた。
 天国は楽園。そんなイメージがあった。ぼくがいる場所は、いわゆる楽園といえるものなのかどうかは分からなかった。でも、何もなかった空間に一つずつ、世界が形成されてゆき、その度に幸せを感じる。それはまさに、天国なのだろうと思った。
 しかし、ぼくはここで、初めて声をかけられた。
「いいえ。ここは、天国ではありません」
「えっ……」
 誰か、いるの? もちろん、ここで人に会ったことはなかったし、自分以外に人がいるとも思っていなかった。
 しかし、振り返ったぼくの目には、一人の女子の姿が飛び込んできた。その子の顔ははっきりとは見えず、存在もどこか、ぼんやりとしていたけれど……なぜだろう? その子のことが、すごくなつかしくって、切なくて、ぼくは泣きそうになった。
「君は、だれ?」
「私は、アイ」
「アイ……どうして、ここに? ここは、どこ?」
 ここは、どこなのか? そのことについては、アイの口から語られることはなかった。
 しかし、アイはいわゆる『人工知能(AI)』であり、それが名前の由来だということを教えてくれた。そして、ぼくが自分の世界を取りもどすのを手助けするためにここにいるのだと語った。理由はよく分からないけれど、ぼくはここでアイと出会ったのは、あらかじめ決められていたかのような……何か、運命のようなものを感じた。
 その時以降、ぼくはアイと一緒に自分の記憶から世界をひろい上げて、取りもどしていく……そんな時間を過ごすようになった。