ep9 チャラ男
ー/ー
「ぷはぁーっ。酒のチカラでもなんでもいい! ヤルぞ!」
次の一杯を頼みにバーカウンターへ行こうと立ち上がった。とその時。
「ヨォー。なかなかイイ飲みっぷりじゃねーか」
俺に向かって誰かが話しかけてきた。振り向くと、ツンツンした髪を真ん中で分けた、張りのあるシャツ&スラックス姿のチャラそうな爽やか野郎が、ニヤリと笑って立っていた。身長は俺より高く、年齢はクローと同じくらいだろうか。
「おまえさん、見ない顔だな。この店、はじめてかい?」
「えっ、あ、ああ!」
「ひとりで来てんのか?」
「あ、ああ!」
「ふーん、なるほどねぇ。身なりもいいしキレイな顔してやがる。ひょっとして……どっかの貴族のおぼっちゃんかい?」
「えっ」
「っと、すまねえすまねえ。まだ名乗ってもいないのに失礼だな。おれはミックだ。まあ、この店にはよく来てるからジョーレンってやつになんのかな。おまえさんは?」
「お、俺はクロー」
「クローか。よろしくな! で、やっぱりどっかの貴族のモンなのかい?」
「ええと、まあ、なんというか……」
「ひとりでおしのびで来たって感じか?」
「ま、まあ、そうだね!」
「おっけーおっけー! ま、これもなにかの縁だ! せっかくだし一緒に飲もうぜ? 実はおれもひとりなんだ!」
「そ、そうなのか」
「よーし! んじゃ、酒頼みにいこーぜ! カンパイしよう!」
「あ、ああ!」
俺は相手のチャラさ加減とグイグイ来るパリピ感に圧倒されていた。一方で、知らない慣れない場所で味方がひとり見つかったような気にもなり、ほのかに嬉しさを感じた。
「おっし。んじゃあ、カンパーイ!」
「か、カンパーイ!」
ミックとグラスをカチッとぶつけ合った。俺はさっさと酔っぱらいたかったので、またしても勢いよく酒を流しこんだ。
「いいね〜いいね〜クロー。イイ飲みっぷりだねぇ」
「フーッ。げぷっ」
「ハッハッハ! げっぷはヤメろよ! オンナにモテねーぞ!」
「ハハ、ハハハ……!」
「で、ねらってるのはどのコなんよ?」
「えっ?」
「おいおいトボけてんじゃねーよ! ソレ目的で来たんだろ?」
「あ、まあ、その」
「それともナニか? クローさまのおめがねにかなうオンナはいねーってか?」
「い、いや、まだ来たばっかでそんなに見ていないから……」
「どんなコがタイプなんだ?」
「タイプ……」
それはやっぱり……清純系? 可愛くてやさしくて明るくてしとやかで……
いや待てよ。ぶっちゃけカワイけりゃなんでもよくないか?
めちゃくちゃ気の強そうな可愛いギャルがいたとして、俺の前でデレデレになってくれるなら全然イイじゃんか! むしろそれグッとくるわ!
清純系だろうがギャル系だろうが、スポーツ系だろうがオタク系だろうが、お姉さん系だろうが妹系だろうが、ツンデレだろうがヤンデレだろうが……カワイけりゃオールオーケーだ!
そう。カワイイは正義!
「……」
「おい? どした? だいじょーぶか?」
「……ハッ!」
俺は〔脳内カワイイ会議〕から帰還した。
「なんだなんだ? エロイ妄想でもしてたのか?」
「ち、違うよ」
「じゃあさ? こっから見える範囲で、よさげなコはいるか?」
「えっ、ああ、ええと…….」
酒のせいもあってか、ミックという仲間を得たせいもあってか、俺は入店してから初めて物怖じせずにじっくりとまわりの人間を見まわした。
すると……。
カウンターにいる、ひとりの女に目がとまった。
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
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次の一杯を頼みにバーカウンターへ行こうと立ち上がった。とその時。
「ヨォー。なかなかイイ飲みっぷりじゃねーか」
俺に向かって誰かが話しかけてきた。振り向くと、ツンツンした髪を真ん中で分けた、張りのあるシャツ&スラックス姿のチャラそうな爽やか野郎が、ニヤリと笑って立っていた。身長は俺より高く、年齢はクローと同じくらいだろうか。
「おまえさん、見ない顔だな。この店、はじめてかい?」
「えっ、あ、ああ!」
「ひとりで来てんのか?」
「あ、ああ!」
「ふーん、なるほどねぇ。身なりもいいしキレイな顔してやがる。ひょっとして……どっかの貴族のおぼっちゃんかい?」
「えっ」
「っと、すまねえすまねえ。まだ名乗ってもいないのに失礼だな。おれはミックだ。まあ、この店にはよく来てるからジョーレンってやつになんのかな。おまえさんは?」
「お、俺はクロー」
「クローか。よろしくな! で、やっぱりどっかの貴族のモンなのかい?」
「ええと、まあ、なんというか……」
「ひとりでおしのびで来たって感じか?」
「ま、まあ、そうだね!」
「おっけーおっけー! ま、これもなにかの縁だ! せっかくだし一緒に飲もうぜ? 実はおれもひとりなんだ!」
「そ、そうなのか」
「よーし! んじゃ、酒頼みにいこーぜ! カンパイしよう!」
「あ、ああ!」
俺は相手のチャラさ加減とグイグイ来るパリピ感に圧倒されていた。一方で、知らない慣れない場所で味方がひとり見つかったような気にもなり、ほのかに嬉しさを感じた。
「おっし。んじゃあ、カンパーイ!」
「か、カンパーイ!」
ミックとグラスをカチッとぶつけ合った。俺はさっさと酔っぱらいたかったので、またしても勢いよく酒を流しこんだ。
「いいね〜いいね〜クロー。イイ飲みっぷりだねぇ」
「フーッ。げぷっ」
「ハッハッハ! げっぷはヤメろよ! オンナにモテねーぞ!」
「ハハ、ハハハ……!」
「で、ねらってるのはどのコなんよ?」
「えっ?」
「おいおいトボけてんじゃねーよ! ソレ目的で来たんだろ?」
「あ、まあ、その」
「それともナニか? クローさまのおめがねにかなうオンナはいねーってか?」
「い、いや、まだ来たばっかでそんなに見ていないから……」
「どんなコがタイプなんだ?」
「タイプ……」
それはやっぱり……清純系? 可愛くてやさしくて明るくてしとやかで……
いや待てよ。ぶっちゃけカワイけりゃなんでもよくないか?
めちゃくちゃ気の強そうな可愛いギャルがいたとして、俺の前でデレデレになってくれるなら全然イイじゃんか! むしろそれグッとくるわ!
清純系だろうがギャル系だろうが、スポーツ系だろうがオタク系だろうが、お姉さん系だろうが妹系だろうが、ツンデレだろうがヤンデレだろうが……カワイけりゃオールオーケーだ!
そう。カワイイは正義!
「……」
「おい? どした? だいじょーぶか?」
「……ハッ!」
俺は〔脳内カワイイ会議〕から帰還した。
「なんだなんだ? エロイ妄想でもしてたのか?」
「ち、違うよ」
「じゃあさ? こっから見える範囲で、よさげなコはいるか?」
「えっ、ああ、ええと…….」
酒のせいもあってか、ミックという仲間を得たせいもあってか、俺は入店してから初めて物怖じせずにじっくりとまわりの人間を見まわした。
すると……。
カウンターにいる、ひとりの女に目がとまった。