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第四十五話:世界統合審判と、盟約の王妃(前編)

ー/ー



 五龍ユニゾン「原始創世破」によって執行者は消滅したが、古王の抵抗は終わらない。古王は、自らの命脈が尽きようとしていることを悟り、最後の悪あがきに出た。

 古王は、盟約軍の最前線、五龍ユニゾンが大地を抉った巨大なクレーターの縁に立っていた。その身体は禍々しい古代の魔力で膨れ上がり、彼の背後には、闇のエネルギーが渦巻く「終焉」の魔方陣が完成していた。

「六龍盟約など、ぶっつけ本番の無謀なユニゾンに過ぎん! 貴様ごとき人間に、竜族の理が操れるものか!」

 古王は、ヒカルへ向けて嘲笑を放つ。

「ヴァルキリアを取り戻したくらいで、我に勝てると思うな、人間よ! 貴様らの愛が幻想であることを、世界の終焉をもって証明してやろう!」

 古王の魔力が、世界中の「音」と「調和」を根源から無効化しようと、盟約軍へ殺到する。その闇のエネルギーは、盟約軍の兵士たちの血を冷やすほどの原初の恐怖を放っていた。

 古王は、体長が六龍姫の竜体(20m級)を遥かに凌駕する、推定50メートルに達する巨大な漆黒の竜へと変貌した。その五対の巨大な翼は空を覆い尽くし、ヒカルの六龍盟約軍に「真の王の恐怖」を叩きつける最終形態であった。

「古代魔術! 終焉の無響(しゅうえんのむきょう)を食らうがよい!!!」

 古王の力が古代魔術によって、急激に上がっていく。個々の竜などアリのような存在となる数値まで戦闘能力数値Battle Power Index:BPIが上がっていく。


 ◇◆◇◆◇

「六龍姫! 全感情、完全調和だ! 命懸けで、俺の愛を信じろ!」

 ヒカルの愛の指揮棒が振り下ろされ、六龍ユニゾン「世界統合審判」が発動する。

 ヒカルは、戦場のすべての情報と、六人の竜姫の愛のベクトルが完璧に調和していることを確認した。

「六龍よ! 今こそ、俺たちの愛の絆を世界に示せ! 全員、完全竜体へ! 世界統合審判を発動する!」

 ヒカルの命令が響くと、六人の竜姫は同時に体長20メートル級の巨大な竜へと変身を遂げた。

 六龍ユニゾンによる完全竜体は、世界を変えるほどの力を持つが、感情の調和が一瞬でも崩れれば、全てが消滅する究極のリスクを伴う。ヒカルは、「絆の共感者」として、六人の妻たちの愛の和音を、絶対的な調和の境地へと調律した。


 古王の終焉の無響と、六龍の創造の和声が激突。二つの究極の力が正面からぶつかり合い、山脈が、空が、そして世界の時間が悲鳴を上げ、戦場は音のない津波に飲み込まれた。

「くっ…………BPIは安定度95%で15,000を超えて拮抗している! だが、このままでは圧し負ける! みんな、愛の純粋さを示してくれ!」

 ヒカルの叫びが木霊するが、ユニゾンのエネルギーは一進一退の攻防を続ける。古王の古代魔術は、六人の魂に裏切りのトラウマを突きつけ、肉体的な苦痛となって襲いかかる。

 古王の闇は、ヒカルの魂に「お前は裏切り者だ。誰も信じるな」と、リリアの死の瞬間の光景を幾度も焼き付ける。その苦痛は、ヒカルの全身を貫き、指揮棒を握る手が震え始めた。

「無駄だ、無駄だ! その微かな光は、我の終焉の理には勝てん! 貴様らの憎悪と裏切りを糧に、その醜い感情のノイズと共に、滅びるがいい!」

 盟約軍の兵士たちは、その膨大なエネルギーに屈し、土の竜兵は防御結界が崩壊し、炎の竜兵は炎を失い膝をついた。六天将ですら、戦場を支配する理不尽な重圧に、ただ耐えるしかない。

 爆炎龍将軍フレアは、その場に立ち尽くし、憎悪と無力感に顔を歪ませる。

「くそっ、俺の炎では届かない! 王よ、負けるな!」

 ◇◆◇◆◇

 ヒカルの脳裏で、ユニゾンの安定度(95%)を示す数値が、痛みと絶望のノイズで激しく点滅する。

 レヴィアの炎が、悲鳴と共に小さくなる。その体から血が滲み、灼熱の魔力が逆流する。古王の闇は、レヴィアに「お前の愛は重すぎて、誰も貴方を求めない」という絶望を突きつける。

「夫ォオオオ! 熱い! 身体が燃え尽きる! …………それでも、貴方を独占したい! この愛の権利は、誰にも渡さないわ!」

 テラが、大地の魔力と共に血の涙を流す。古王の闇は、テラに「貴女の献身は、誰にも気付かれない孤独な愛だ」という無価値感を突きつける。

「主(あるじ)…………! それでも、わらわの命を捧げます! 貴方の安寧こそ、わらわの全て! 大地は、貴方の命の基盤を最後まで支え抜く!」

 セフィラが、風の刃で自らの腕を切りつけ、鮮血を散らす。古王の闇は、セフィラに「自由は無責任だ。貴方は永遠に義務に縛られる」という恐怖を突きつける。

「団長! 最高の冒険は、団長がいなきゃつまらない! 私を、団長の愛で縛って! この自由を、貴方の愛で征服して!」

 ヴァルキリアが、呪いの傷跡から血を流しながら、ヒカルへ視線を集中させる。古王の闇は、ヴァルキリアに「貴様は闇の支配者だ。愛される資格などない」という呪いを再燃させる。

「契約者! 私の孤高の忠誠が、貴方を支配する! 貴方の命を、誰にも渡さない! この闇の忠誠こそが、愛の証明だ!」

 アクアのクラリネットの音色が途切れかける。古王の闇は、アクアに「お前の理性は無力だ。すべてが破綻する」という論理的絶望を突きつける。

「王よ! 理性がもたない! 論理を超えて、愛の力を…………! 貴方の頭脳は、私が守る! この理性の破綻が、愛の証明です!」

 ルーナの光の調律が、古王の闇に押し潰され、悲鳴を上げる。古王の闇は、ルーナに「世界は憎悪に満ちている。お前の光は穢れる」という絶望を突きつける。

「ヒカル様…………! 貴方の孤独は、私が独占する! どうか、私の魂の安息を、貴方の命で守り抜いて!」

 ヒカルは、姫たちの悲鳴と愛の言葉を「絆の共感者」で受け止め、自身の命そのものを燃料とする。

「行けるか!? 今、この世界が崩壊する一瞬で、愛の論理を完成させるぞ!」

 古王の魔力が、ユニゾンを完全に停止させるため、最後の総力を注ぎ込む。

「終わりだ! 貴様の感情の脆弱性が、この世界の終焉を招くのだ!」

 ヒカルの叫びに、六人の竜姫の瞳に決意の炎が宿る。

「私たち六人の愛の力を信じて! 私たちは、貴方を独占する!」

 六人の愛の言葉は、論理を超えた純粋な愛の奔流となり、100%の調和を突破。

「愛の純粋さ、120%へ突破だ!」

 ◇◆◇◆◇

 戦闘能力数値Battle Power Index:BPI ×8.0という究極のユニゾンのエネルギーが、さらに120%に増加し、論理を超越した愛の力によって増幅され、古王の闇の奔流を凄まじい勢いで逆流させた。

 ヒカルの鼓動は、すべての竜姫たちの脈動と完璧に重なり、単一の巨大な協和音を奏で始めた。それはもはや音楽ではなかった。世界の法則そのものを定義し直す、原初的な創造の振動だ。

 古王の闇の奔流は、純粋な負のエネルギーの塊として、ヒカルたちを押し潰そうと轟音を立てて迫ってくる。

 その瞬間、六龍姫全員が絶叫した。

「ヒカル様!私の愛は、貴方の王冠よ!」(レヴィア)
「王よ!これが、私たちが護るべき世界の論理です!」(アクア)

 それは、数値でも、理論でもない。竜姫たちが「王への愛の純度」を、自らの命の代償と引き換えに120%まで高め、物理的な境界を破壊する、狂気じみた献身だった。

 ドオンッ――!

 古王の闇を構成していたはずの「負の感情」が、物理的な逆流を始めた。

 闇の奔流は勢いを失うどころか、時間の流れに逆行するように、古王自身へと凄まじい勢いで押し戻されていく。 闇の粒子の色が、憎悪の黒から、王への献身を示す純粋な白銀へと変質していくのが、ヒカルの視界に痛々しく映った。

(愛の純度が、論理を破壊した。俺の異能が観測するBPIは、もはや計算不能。これは、数値では測れない、神話的な愛の暴力だ――)

 この「終焉の無響」は、古王の闇を消滅させるのではなく、「愛の力で浄化し、世界の理から物理的に引き剥がす」 創造の暴力だった。ヒカルは、竜姫たちの命を削るほどの熱量が生み出したこの究極の和音に、支配者の威厳と、王としての孤独な痛覚を刻み込んだ。

「ま…………まさか…………馬鹿な! 論理が存在しない! 100%を超越する愛だと!? この宇宙に、お前たちの絆などという非合理なものは…………!」

 古王の身体は、力と恐怖による「古の秩序」の象徴であった鎧ごと、木っ端微塵となって、光と闇の混ざり合った粒子として、静かに霧散した。

 古王の終焉の瞬間、盟約軍の全兵士が、ヒカルへ向けて歓喜の雄叫びを上げ、大地が揺れた。

 ヒカルは、勝利の雄叫びをあげる兵士たちを見つめた。

(これが、長きにわたる一年間の戦いの結末か)

 彼の脳裏には、裏切られてからの一年間の全ての出来事がフラッシュバックしていた。



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 古王は、盟約軍の最前線、五龍ユニゾンが大地を抉った巨大なクレーターの縁に立っていた。その身体は禍々しい古代の魔力で膨れ上がり、彼の背後には、闇のエネルギーが渦巻く「終焉」の魔方陣が完成していた。
「六龍盟約など、ぶっつけ本番の無謀なユニゾンに過ぎん! 貴様ごとき人間に、竜族の理が操れるものか!」
 古王は、ヒカルへ向けて嘲笑を放つ。
「ヴァルキリアを取り戻したくらいで、我に勝てると思うな、人間よ! 貴様らの愛が幻想であることを、世界の終焉をもって証明してやろう!」
 古王の魔力が、世界中の「音」と「調和」を根源から無効化しようと、盟約軍へ殺到する。その闇のエネルギーは、盟約軍の兵士たちの血を冷やすほどの原初の恐怖を放っていた。
 古王は、体長が六龍姫の竜体(20m級)を遥かに凌駕する、推定50メートルに達する巨大な漆黒の竜へと変貌した。その五対の巨大な翼は空を覆い尽くし、ヒカルの六龍盟約軍に「真の王の恐怖」を叩きつける最終形態であった。
「古代魔術! |終焉の無響《しゅうえんのむきょう》を食らうがよい!!!」
 古王の力が古代魔術によって、急激に上がっていく。個々の竜などアリのような存在となる数値まで戦闘能力数値Battle Power Index:BPIが上がっていく。
 ◇◆◇◆◇
「六龍姫! 全感情、完全調和だ! 命懸けで、俺の愛を信じろ!」
 ヒカルの愛の指揮棒が振り下ろされ、六龍ユニゾン「世界統合審判」が発動する。
 ヒカルは、戦場のすべての情報と、六人の竜姫の愛のベクトルが完璧に調和していることを確認した。
「六龍よ! 今こそ、俺たちの愛の絆を世界に示せ! 全員、完全竜体へ! 世界統合審判を発動する!」
 ヒカルの命令が響くと、六人の竜姫は同時に体長20メートル級の巨大な竜へと変身を遂げた。
 六龍ユニゾンによる完全竜体は、世界を変えるほどの力を持つが、感情の調和が一瞬でも崩れれば、全てが消滅する究極のリスクを伴う。ヒカルは、「絆の共感者」として、六人の妻たちの愛の和音を、絶対的な調和の境地へと調律した。
 古王の終焉の無響と、六龍の創造の和声が激突。二つの究極の力が正面からぶつかり合い、山脈が、空が、そして世界の時間が悲鳴を上げ、戦場は音のない津波に飲み込まれた。
「くっ…………BPIは安定度95%で15,000を超えて拮抗している! だが、このままでは圧し負ける! みんな、愛の純粋さを示してくれ!」
 ヒカルの叫びが木霊するが、ユニゾンのエネルギーは一進一退の攻防を続ける。古王の古代魔術は、六人の魂に裏切りのトラウマを突きつけ、肉体的な苦痛となって襲いかかる。
 古王の闇は、ヒカルの魂に「お前は裏切り者だ。誰も信じるな」と、リリアの死の瞬間の光景を幾度も焼き付ける。その苦痛は、ヒカルの全身を貫き、指揮棒を握る手が震え始めた。
「無駄だ、無駄だ! その微かな光は、我の終焉の理には勝てん! 貴様らの憎悪と裏切りを糧に、その醜い感情のノイズと共に、滅びるがいい!」
 盟約軍の兵士たちは、その膨大なエネルギーに屈し、土の竜兵は防御結界が崩壊し、炎の竜兵は炎を失い膝をついた。六天将ですら、戦場を支配する理不尽な重圧に、ただ耐えるしかない。
 爆炎龍将軍フレアは、その場に立ち尽くし、憎悪と無力感に顔を歪ませる。
「くそっ、俺の炎では届かない! 王よ、負けるな!」
 ◇◆◇◆◇
 ヒカルの脳裏で、ユニゾンの安定度(95%)を示す数値が、痛みと絶望のノイズで激しく点滅する。
 レヴィアの炎が、悲鳴と共に小さくなる。その体から血が滲み、灼熱の魔力が逆流する。古王の闇は、レヴィアに「お前の愛は重すぎて、誰も貴方を求めない」という絶望を突きつける。
「夫ォオオオ! 熱い! 身体が燃え尽きる! …………それでも、貴方を独占したい! この愛の権利は、誰にも渡さないわ!」
 テラが、大地の魔力と共に血の涙を流す。古王の闇は、テラに「貴女の献身は、誰にも気付かれない孤独な愛だ」という無価値感を突きつける。
「主《あるじ》…………! それでも、わらわの命を捧げます! 貴方の安寧こそ、わらわの全て! 大地は、貴方の命の基盤を最後まで支え抜く!」
 セフィラが、風の刃で自らの腕を切りつけ、鮮血を散らす。古王の闇は、セフィラに「自由は無責任だ。貴方は永遠に義務に縛られる」という恐怖を突きつける。
「団長! 最高の冒険は、団長がいなきゃつまらない! 私を、団長の愛で縛って! この自由を、貴方の愛で征服して!」
 ヴァルキリアが、呪いの傷跡から血を流しながら、ヒカルへ視線を集中させる。古王の闇は、ヴァルキリアに「貴様は闇の支配者だ。愛される資格などない」という呪いを再燃させる。
「契約者! 私の孤高の忠誠が、貴方を支配する! 貴方の命を、誰にも渡さない! この闇の忠誠こそが、愛の証明だ!」
 アクアのクラリネットの音色が途切れかける。古王の闇は、アクアに「お前の理性は無力だ。すべてが破綻する」という論理的絶望を突きつける。
「王よ! 理性がもたない! 論理を超えて、愛の力を…………! 貴方の頭脳は、私が守る! この理性の破綻が、愛の証明です!」
 ルーナの光の調律が、古王の闇に押し潰され、悲鳴を上げる。古王の闇は、ルーナに「世界は憎悪に満ちている。お前の光は穢れる」という絶望を突きつける。
「ヒカル様…………! 貴方の孤独は、私が独占する! どうか、私の魂の安息を、貴方の命で守り抜いて!」
 ヒカルは、姫たちの悲鳴と愛の言葉を「絆の共感者」で受け止め、自身の命そのものを燃料とする。
「行けるか!? 今、この世界が崩壊する一瞬で、愛の論理を完成させるぞ!」
 古王の魔力が、ユニゾンを完全に停止させるため、最後の総力を注ぎ込む。
「終わりだ! 貴様の感情の脆弱性が、この世界の終焉を招くのだ!」
 ヒカルの叫びに、六人の竜姫の瞳に決意の炎が宿る。
「私たち六人の愛の力を信じて! 私たちは、貴方を独占する!」
 六人の愛の言葉は、論理を超えた純粋な愛の奔流となり、100%の調和を突破。
「愛の純粋さ、120%へ突破だ!」
 ◇◆◇◆◇
 戦闘能力数値Battle Power Index:BPI ×8.0という究極のユニゾンのエネルギーが、さらに120%に増加し、論理を超越した愛の力によって増幅され、古王の闇の奔流を凄まじい勢いで逆流させた。
 ヒカルの鼓動は、すべての竜姫たちの脈動と完璧に重なり、単一の巨大な協和音を奏で始めた。それはもはや音楽ではなかった。世界の法則そのものを定義し直す、原初的な創造の振動だ。
 古王の闇の奔流は、純粋な負のエネルギーの塊として、ヒカルたちを押し潰そうと轟音を立てて迫ってくる。
 その瞬間、六龍姫全員が絶叫した。
「ヒカル様!私の愛は、貴方の王冠よ!」(レヴィア)
「王よ!これが、私たちが護るべき世界の論理です!」(アクア)
 それは、数値でも、理論でもない。竜姫たちが「王への愛の純度」を、自らの命の代償と引き換えに120%まで高め、物理的な境界を破壊する、狂気じみた献身だった。
 ドオンッ――!
 古王の闇を構成していたはずの「負の感情」が、物理的な逆流を始めた。
 闇の奔流は勢いを失うどころか、時間の流れに逆行するように、古王自身へと凄まじい勢いで押し戻されていく。 闇の粒子の色が、憎悪の黒から、王への献身を示す純粋な白銀へと変質していくのが、ヒカルの視界に痛々しく映った。
(愛の純度が、論理を破壊した。俺の異能が観測するBPIは、もはや計算不能。これは、数値では測れない、神話的な愛の暴力だ――)
 この「終焉の無響」は、古王の闇を消滅させるのではなく、「愛の力で浄化し、世界の理から物理的に引き剥がす」 創造の暴力だった。ヒカルは、竜姫たちの命を削るほどの熱量が生み出したこの究極の和音に、支配者の威厳と、王としての孤独な痛覚を刻み込んだ。
「ま…………まさか…………馬鹿な! 論理が存在しない! 100%を超越する愛だと!? この宇宙に、お前たちの絆などという非合理なものは…………!」
 古王の身体は、力と恐怖による「古の秩序」の象徴であった鎧ごと、木っ端微塵となって、光と闇の混ざり合った粒子として、静かに霧散した。
 古王の終焉の瞬間、盟約軍の全兵士が、ヒカルへ向けて歓喜の雄叫びを上げ、大地が揺れた。
 ヒカルは、勝利の雄叫びをあげる兵士たちを見つめた。
(これが、長きにわたる一年間の戦いの結末か)
 彼の脳裏には、裏切られてからの一年間の全ての出来事がフラッシュバックしていた。