第四話 告白と抱擁の爆炎
ー/ー「ば、バカ! 」と叫んで走り去ったルナを、アインは必死に追いかけた。しかし、ルナの足は速く、森の奥深くにある、彼女のお気に入りの静かな湖畔へとたどり着いてしまった。
(ザックの心内:アインの鈍感さは、時に致命的な遅れを生む! ルナちゃんが逃げたのは、完全に愛のバリアが壊れて、心が丸裸になったせいだぞ! 早く謝れ!)
(リーシャの心内:湖畔は魔力の流れが不安定な場所。ルナの制御不能な魔力と共鳴する危険性があるわ。アイン、急いで!)
湖畔に到着したアインは、ルナが泣き崩れているのを見つける。そして、ルナの背後には、ルナの不安定な魔力に引き寄せられたのか、強力な魔物『アビス・トロール』が出現していた。
「ルナ! 危ない! 早く離れろ! 」
アインはルナのもとへ走り寄り、彼女の足元に、第3話でルナが叩きつけていった杖を置いた。
「これがないと戦えないだろ! 」
アインの声にハッとしたルナは、泣きながらその杖を掴み、構える。しかし、彼女の心は乱れすぎて、狙いを定めることができない。
「ごめんなさい…! もう、狙えない…! またあんたを焦がすくらいなら…! 」
「ルナ! 俺を狙うくらいで丁度いい! いつもの誤射でいいんだ! 」
アインは叫ぶ。
「嫌よ! 私の不器用な魔法なんて…! 私の不器用なところなんて、全部なくなればいいのに! 」
ルナは、自分の魔法がアインへの恋心によって歪んでしまうことを、心の底から呪っていた。
アインは、盾を地面に突き刺し、無防備な状態でルナに向かって歩き出した。
「俺は、その不器用な爆炎が好きだ! 」
ルナの歩みが止まる。アインは続ける。
「お前が俺に魔法を向ける時、威力が落ちるんじゃなくて、熱量が温かさに変わるのを、皆知ってる! お前はいつも、誰よりも俺の盾になってくれてるんだ! だから、その不器用な熱意ごと、俺にぶつけてくれ!」
ルナの顔が真っ赤になり、感情が極限まで高まる。ルナは杖をアインに向け、涙ながらに絶叫した。
「黙れ! 馬鹿! あんたのことが、だ、だいきらいよ! …っ、だいきらいよぉぉぉ!! 」
その言葉と同時に、ルナから放出されたのは、ルナの全魔力を込めた、純粋な「愛の爆炎」だった。
(リーシャの心内:解析結果:熱量、過去最大! しかし、炎の分子構造はすべて『愛のバリア』で変換されているわ! これは……抱擁よ!)
(ザックの心内:熱い! 熱すぎるぜ、ルナ! これは爆炎じゃなくて、むしろプロポーズだ!)
アインは盾を構えることなく、炎に包まれる。一瞬の熱さの後、ルナの爆炎は巨大な温かい光のドームに変化し、アインとルナを優しく包み込んだ。アビス・トロールはそのドームに触れることもできず、ルナの愛の力に圧されて逃げ出していった。
光の中から、アインは少し焦げた黒髪を振り払い、ルナに微笑みかける。
「…大嫌い、か。知ってるよ、ルナ」
アインはルナの手を取り、そっとキスをする。
「俺も、その不器用な爆炎使い(ルナ)のことが、大好きだ」
ルナは顔を赤くしすぎて、まるで自分が爆炎そのものになったように熱くなった。
「う、うるさい…! もう知らないっ!」
ルナはアインから顔を背けるが、繋がれた手は離さない。
(木の陰より)
アインとルナの告白を見届けたリーシャ、ザック、アルク、そしてフィーネが、そっと木の陰から姿を現した。
「ヒューヒュー! 恋焦げボム、大成功! やったな、アイン! 」
「二人とも、本当におめでとう。いいものを見させてもらった」
ルナは振り向いた途端に、アインに手を引かれながら、祝福の言葉のシャワーを浴びることになった。アインもルナも、顔を真っ赤にして、ただオロオロとするばかりだ。
フィーネは、顔を真っ赤にして固まっているルナに優しく声をかけた。
「ルナさん、ごめんなさいね。私、本当はリーシャの親友で、この役を頼まれていたんです」
「え? 親友…? 」
リーシャは満足げに水晶玉を磨きながら、フィーネの言葉を引き継ぐ。
「完璧よ、フィーネ。あなたの存在が、ルナの恋心を限界まで揺さぶったわ。まるで高純度の触媒だった」
フィーネは少し気まずそうに、けれど安堵した表情でリーシャに囁いた。
「あえて、あんな完璧な治癒魔法使いを演じるのは、ちょっと心が痛みましたけど…。これで本当に、万事OKですよね? 」
リーシャは、フィーネの肩をポンと叩き、最高の笑顔を見せた。
「ええ、もちろんよ! 私の解析によれば、今回の作戦の成果は…」
リーシャは杖を振り、空中に光る文字を出す。
「120点満点! 協力、本当にありがとう! 」
◇◆◇◆◇
エピローグ
その後、二人は恋人同士となるが、ルナの魔法は相変わらずアインの近くに着弾する。
しかし、もう誰も文句を言わない。
むしろ、アインは少し焦げ付くたびにルナの愛を再確認し、ルナは赤面しながら「手が滑ったの! 」と叫び、他の仲間たちは「はい、本日三回目の恋焦がれボムいただきました!」と毎回茶化すのが、彼らの遠征における最高の楽しみとなったのだった。
(完)
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
「ば、バカ! 」と叫んで走り去ったルナを、アインは必死に追いかけた。しかし、ルナの足は速く、森の奥深くにある、彼女のお気に入りの静かな湖畔へとたどり着いてしまった。
(ザックの心内:アインの鈍感さは、時に致命的な遅れを生む! ルナちゃんが逃げたのは、完全に愛のバリアが壊れて、心が丸裸になったせいだぞ! 早く謝れ!)
(リーシャの心内:湖畔は魔力の流れが不安定な場所。ルナの制御不能な魔力と共鳴する危険性があるわ。アイン、急いで!)
湖畔に到着したアインは、ルナが泣き崩れているのを見つける。そして、ルナの背後には、ルナの不安定な魔力に引き寄せられたのか、強力な魔物『アビス・トロール』が出現していた。
「ルナ! 危ない! 早く離れろ! 」
アインはルナのもとへ走り寄り、彼女の足元に、第3話でルナが叩きつけていった杖を置いた。
「これがないと戦えないだろ! 」
アインの声にハッとしたルナは、泣きながらその杖を掴み、構える。しかし、彼女の心は乱れすぎて、狙いを定めることができない。
「ごめんなさい…! もう、狙えない…! またあんたを焦がすくらいなら…! 」
「ルナ! 俺を狙うくらいで丁度いい! いつもの誤射でいいんだ! 」
アインは叫ぶ。
「嫌よ! 私の不器用な魔法なんて…! 私の不器用なところなんて、全部なくなればいいのに! 」
ルナは、自分の魔法がアインへの恋心によって歪んでしまうことを、心の底から呪っていた。
アインは、盾を地面に突き刺し、無防備な状態でルナに向かって歩き出した。
「俺は、その不器用な爆炎が好きだ! 」
ルナの歩みが止まる。アインは続ける。
「お前が俺に魔法を向ける時、威力が落ちるんじゃなくて、熱量が温かさに変わるのを、皆知ってる! お前はいつも、誰よりも俺の盾になってくれてるんだ! だから、その不器用な熱意ごと、俺にぶつけてくれ!」
ルナの顔が真っ赤になり、感情が極限まで高まる。ルナは杖をアインに向け、涙ながらに絶叫した。
「黙れ! 馬鹿! あんたのことが、だ、だいきらいよ! …っ、だいきらいよぉぉぉ!! 」
その言葉と同時に、ルナから放出されたのは、ルナの全魔力を込めた、純粋な「愛の爆炎」だった。
(リーシャの心内:解析結果:熱量、過去最大! しかし、炎の分子構造はすべて『愛のバリア』で変換されているわ! これは……抱擁よ!)
(ザックの心内:熱い! 熱すぎるぜ、ルナ! これは爆炎じゃなくて、むしろプロポーズだ!)
アインは盾を構えることなく、炎に包まれる。一瞬の熱さの後、ルナの爆炎は巨大な温かい光のドームに変化し、アインとルナを優しく包み込んだ。アビス・トロールはそのドームに触れることもできず、ルナの愛の力に圧されて逃げ出していった。
光の中から、アインは少し焦げた黒髪を振り払い、ルナに微笑みかける。
「…大嫌い、か。知ってるよ、ルナ」
アインはルナの手を取り、そっとキスをする。
「俺も、その不器用な爆炎使い(ルナ)のことが、大好きだ」
ルナは顔を赤くしすぎて、まるで自分が爆炎そのものになったように熱くなった。
「う、うるさい…! もう知らないっ!」
ルナはアインから顔を背けるが、繋がれた手は離さない。
(木の陰より)
アインとルナの告白を見届けたリーシャ、ザック、アルク、そしてフィーネが、そっと木の陰から姿を現した。
「ヒューヒュー! 恋焦げボム、大成功! やったな、アイン! 」
「二人とも、本当におめでとう。いいものを見させてもらった」
ルナは振り向いた途端に、アインに手を引かれながら、祝福の言葉のシャワーを浴びることになった。アインもルナも、顔を真っ赤にして、ただオロオロとするばかりだ。
フィーネは、顔を真っ赤にして固まっているルナに優しく声をかけた。
「ルナさん、ごめんなさいね。私、本当はリーシャの親友で、この役を頼まれていたんです」
「え? 親友…? 」
リーシャは満足げに水晶玉を磨きながら、フィーネの言葉を引き継ぐ。
「完璧よ、フィーネ。あなたの存在が、ルナの恋心を限界まで揺さぶったわ。まるで高純度の触媒だった」
フィーネは少し気まずそうに、けれど安堵した表情でリーシャに囁いた。
「あえて、あんな完璧な治癒魔法使いを演じるのは、ちょっと心が痛みましたけど…。これで本当に、万事OKですよね? 」
リーシャは、フィーネの肩をポンと叩き、最高の笑顔を見せた。
「ええ、もちろんよ! 私の解析によれば、今回の作戦の成果は…」
リーシャは杖を振り、空中に光る文字を出す。
「120点満点! 協力、本当にありがとう! 」
◇◆◇◆◇
エピローグ
その後、二人は恋人同士となるが、ルナの魔法は相変わらずアインの近くに着弾する。
しかし、もう誰も文句を言わない。
むしろ、アインは少し焦げ付くたびにルナの愛を再確認し、ルナは赤面しながら「手が滑ったの! 」と叫び、他の仲間たちは「はい、本日三回目の恋焦がれボムいただきました!」と毎回茶化すのが、彼らの遠征における最高の楽しみとなったのだった。
(完)