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第三話 炎上する嫉妬〜愛のバリア消失の瞬間〜

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 ルナの「熱愛特訓」から数日後。アインは盾の焦げ跡が増えるたびに、ルナの焼きたてパンを要求するようになり、ルナはさらにアインを意識する悪循環に陥っていた。

 そんな中、彼らは合同遠征で、他のパーティの治癒魔法使いフィーネと出会う。フィーネは完璧な魔力制御で知られ、その容姿も相まって周囲からの信頼も厚い。

 フィーネは、アインの歪んだ盾を見て、優雅に微笑んだ。

「まあ、アインさん。その盾、かなり酷使されていますね。ルナさんの魔法は強力ですが、防御役も大変です。私の治癒魔法で、焦げ付いた魔力残滓だけでも取り除きましょうか?」

「ああ、助かるよ、フィーネさん。ルナも見習って、盾に当たらない完璧な制御ができるようになればいいんだがな」

 アインは素直にフィーネの心配を受け入れ、ルナの名前を口にしたが、ルナの顔色はみるみる青ざめていった。

(ルナの心内:完璧な制御…? 私だって望んでるわ! でも、なんで、なんであんたは、その女とそんなに親しげに話すのよ! 私の方が、誰よりもあんたの側にいるのに!)

(ザックの心内:おお、嫉妬だ! ルナちゃんの心の中が真っ黒に焦げてるぜ! フィーネ、ナイスアシスト! これはドラマになるぞ!)

(リーシャの心内:ルナの魔力中枢に激しい感情ノイズが発生。フィーネの『完璧』という言葉が、ルナの『不器用』な恋心を刺激しているわね。興味深い…)

 アルクは、ルナの怒りが爆発寸前なのを見て、慌てて話題を逸らそうとする。

「フィーネ殿。今日の魔物について、何か情報はないか?」

「ええ。この先に現れるゴブリンロードは、一撃が非常に重く、盾役の方が危険です。私は後衛からアインさんを完全にサポートできますから、ご安心を」

「ありがとう、心強いよ!」

 その言葉を聞いたルナは、もう我慢ができなかった。

「ふん! 完璧な制御でチマチマやるより、私の爆炎で一発よ! それに、あんたの盾を一番近くで守っているのは誰だと思っているの!」

「ルナ、何を言ってるんだ? お前はいつも俺の足元を狙ってるじゃないか」

 アインは本当に理解できずに首を傾げた。

(アルクの心内:アイン、今のは致命的な一言だ。ルナは『私はあんたの盾』だと主張しているんだ。その鈍感さ、もはや勇者の特技かもしれんな)

 その時、森の奥からゴブリンロードが出現。アインが最前線で盾を構える。

 フィーネが冷静に治癒魔法をアインにかけ、リーシャとザックが援護射撃をする。ルナは杖を構えたが、フィーネの存在がチラつき、アインへの感情が複雑に絡み合い、魔法の照準が定まらない。

「ルナ! 早く爆炎を!」

 アインが叫ぶ。

 フィーネ「ルナさん、焦らず、正確に。魔物の中央へ」

「うるさいわね!!」

 ルナの心の中で、嫉妬と焦燥感が爆発した。

「あんたを傷つける存在なんて、全部消えてしまえ!!」

 その瞬間、ルナの体から放出された炎は、これまでの甘いオレンジ色ではなく、殺意にも似た、純粋な青いマグマのような色をしていた。ルナの魔力は、アインを愛するあまりにかけていたはずの『愛のバリア』を完全に破壊し、彼女本来の最大火力を解放したのだ。

 ルナが叫びと共に杖を振る。

「『イグニッション・エンド』!」

 放たれた青い爆炎は、ゴブリンロードへ一直線に向かう。一切の『対象回避補正』がかかっていない、完璧な、そしてルナの真の殺意が込められた軌道だった。

 ドォオオオオン!!!

 凄まじい爆音と衝撃波が野営地を襲う。ゴブリンロードは、断末魔すら上げられずに一瞬で蒸発し、魔物がいた場所には、直径十メートルほどの巨大なクレーターが残された。

 アインを含め、全員がその光景に言葉を失った。

(ザックの心内:ひ、火力がヤベェ! これ、あの愛のバリアなかったら、俺たち遠征どころか、パーティー解散だったぞ! ルナちゃん、あんたは嫉妬で世界を滅ぼす魔王か!)

(リーシャの心内:解析結果:熱量、理論値の250%。これが『愛のバリア』を外したルナの真の力。恐ろしい。アイン、あなたは毎日この力に包まれて生きていたのよ!)

 アインは、自分に向かってくるはずだったその爆炎の真の威力を目の当たりにし、背筋が凍るのを感じた。

「…ルナ。今の、は…」

 ルナは青い爆炎の残光に照らされながら、アインをじっと見つめた。彼女の目には涙が滲んでいた。

「わ、私は…! 私はただ、魔物を倒したかっただけよ! あんたを助けたかっただけ! それなのに、あんたは! あんたは…!」

 ルナはそれ以上言葉を続けることができず、杖を地面に叩きつけ、泣きそうな顔でフィーネとアインを睨みつけた後、「ば、バカ!」と叫んで、クレーターの熱気から逃げるように、森の奥へと走り去っていった。

(アルクの心内:アイン、気づいたな。彼女の不器用さは、あなたの命を守るための必死の努力だった。そして、今の爆発は、彼女の愛の限界を超えた叫びだ。さあ、追いかける時だ)

 アインは、呆然とクレーターを見つめていたが、アルクの視線に気づき、ハッとした表情でルナの後を追った。

(つづく)




次のエピソードへ進む 第四話 告白と抱擁の爆炎


みんなのリアクション

 ルナの「熱愛特訓」から数日後。アインは盾の焦げ跡が増えるたびに、ルナの焼きたてパンを要求するようになり、ルナはさらにアインを意識する悪循環に陥っていた。
 そんな中、彼らは合同遠征で、他のパーティの治癒魔法使いフィーネと出会う。フィーネは完璧な魔力制御で知られ、その容姿も相まって周囲からの信頼も厚い。
 フィーネは、アインの歪んだ盾を見て、優雅に微笑んだ。
「まあ、アインさん。その盾、かなり酷使されていますね。ルナさんの魔法は強力ですが、防御役も大変です。私の治癒魔法で、焦げ付いた魔力残滓だけでも取り除きましょうか?」
「ああ、助かるよ、フィーネさん。ルナも見習って、盾に当たらない完璧な制御ができるようになればいいんだがな」
 アインは素直にフィーネの心配を受け入れ、ルナの名前を口にしたが、ルナの顔色はみるみる青ざめていった。
(ルナの心内:完璧な制御…? 私だって望んでるわ! でも、なんで、なんであんたは、その女とそんなに親しげに話すのよ! 私の方が、誰よりもあんたの側にいるのに!)
(ザックの心内:おお、嫉妬だ! ルナちゃんの心の中が真っ黒に焦げてるぜ! フィーネ、ナイスアシスト! これはドラマになるぞ!)
(リーシャの心内:ルナの魔力中枢に激しい感情ノイズが発生。フィーネの『完璧』という言葉が、ルナの『不器用』な恋心を刺激しているわね。興味深い…)
 アルクは、ルナの怒りが爆発寸前なのを見て、慌てて話題を逸らそうとする。
「フィーネ殿。今日の魔物について、何か情報はないか?」
「ええ。この先に現れるゴブリンロードは、一撃が非常に重く、盾役の方が危険です。私は後衛からアインさんを完全にサポートできますから、ご安心を」
「ありがとう、心強いよ!」
 その言葉を聞いたルナは、もう我慢ができなかった。
「ふん! 完璧な制御でチマチマやるより、私の爆炎で一発よ! それに、あんたの盾を一番近くで守っているのは誰だと思っているの!」
「ルナ、何を言ってるんだ? お前はいつも俺の足元を狙ってるじゃないか」
 アインは本当に理解できずに首を傾げた。
(アルクの心内:アイン、今のは致命的な一言だ。ルナは『私はあんたの盾』だと主張しているんだ。その鈍感さ、もはや勇者の特技かもしれんな)
 その時、森の奥からゴブリンロードが出現。アインが最前線で盾を構える。
 フィーネが冷静に治癒魔法をアインにかけ、リーシャとザックが援護射撃をする。ルナは杖を構えたが、フィーネの存在がチラつき、アインへの感情が複雑に絡み合い、魔法の照準が定まらない。
「ルナ! 早く爆炎を!」
 アインが叫ぶ。
 フィーネ「ルナさん、焦らず、正確に。魔物の中央へ」
「うるさいわね!!」
 ルナの心の中で、嫉妬と焦燥感が爆発した。
「あんたを傷つける存在なんて、全部消えてしまえ!!」
 その瞬間、ルナの体から放出された炎は、これまでの甘いオレンジ色ではなく、殺意にも似た、純粋な青いマグマのような色をしていた。ルナの魔力は、アインを愛するあまりにかけていたはずの『愛のバリア』を完全に破壊し、彼女本来の最大火力を解放したのだ。
 ルナが叫びと共に杖を振る。
「『イグニッション・エンド』!」
 放たれた青い爆炎は、ゴブリンロードへ一直線に向かう。一切の『対象回避補正』がかかっていない、完璧な、そしてルナの真の殺意が込められた軌道だった。
 ドォオオオオン!!!
 凄まじい爆音と衝撃波が野営地を襲う。ゴブリンロードは、断末魔すら上げられずに一瞬で蒸発し、魔物がいた場所には、直径十メートルほどの巨大なクレーターが残された。
 アインを含め、全員がその光景に言葉を失った。
(ザックの心内:ひ、火力がヤベェ! これ、あの愛のバリアなかったら、俺たち遠征どころか、パーティー解散だったぞ! ルナちゃん、あんたは嫉妬で世界を滅ぼす魔王か!)
(リーシャの心内:解析結果:熱量、理論値の250%。これが『愛のバリア』を外したルナの真の力。恐ろしい。アイン、あなたは毎日この力に包まれて生きていたのよ!)
 アインは、自分に向かってくるはずだったその爆炎の真の威力を目の当たりにし、背筋が凍るのを感じた。
「…ルナ。今の、は…」
 ルナは青い爆炎の残光に照らされながら、アインをじっと見つめた。彼女の目には涙が滲んでいた。
「わ、私は…! 私はただ、魔物を倒したかっただけよ! あんたを助けたかっただけ! それなのに、あんたは! あんたは…!」
 ルナはそれ以上言葉を続けることができず、杖を地面に叩きつけ、泣きそうな顔でフィーネとアインを睨みつけた後、「ば、バカ!」と叫んで、クレーターの熱気から逃げるように、森の奥へと走り去っていった。
(アルクの心内:アイン、気づいたな。彼女の不器用さは、あなたの命を守るための必死の努力だった。そして、今の爆発は、彼女の愛の限界を超えた叫びだ。さあ、追いかける時だ)
 アインは、呆然とクレーターを見つめていたが、アルクの視線に気づき、ハッとした表情でルナの後を追った。
(つづく)