表示設定
表示設定
目次 目次




第22話 貴族の思惑と新たな出会い -2

ー/ー



数日後、竜騎士中隊は小規模な帝国軍部隊との交戦に臨んだ。

ユウキはゲイルに搭乗し、ジェイやエリナ、ルナと共に戦場を駆け巡る。ザラは地上から、敵の配置や増援の動きを正確に把握し、中隊にリアルタイムで情報を送り続けていた。

「隊長!敵部隊、中央突破を試みています!後方からシリウス・タイプAが3機、高速で接近中!」

ザラの声が無線に響く。その声には、一切の迷いがなく、戦場の状況を完全に掌握していることが伺えた。

「ザラ、助かる!ユウキくん!右翼からシリウス・タイプAが接近!ジェイの援護をお願い!」ルナの声が響く。

「了解!」

ユウキはゲイルを操り、ジェイのリベラと共に敵機を挟み撃ちにする。ジェイがチェーンソードで敵機の注意を引きつけ、ユウキがその隙に脚部を狙い、無力化した。

「やるじゃねぇか、ユウキ!俺の動きに食らいついてくるとはな!」

ジェイが無線で笑う。

「ジェイさんの動きが速すぎて、ついていくのが大変です!」

ユウキも思わず笑みがこぼれる。






戦闘後、竜騎士中隊のメンバーは、ザラの働きを称賛した。

「ザラの情報がなければ、危なかったな。あの正確な斥候能力は、幻晶機一機分に匹敵するぜ」

ジェイが汗を拭いながら言った。

「ええ、ザラの索敵と状況判断は本当に素晴らしいわ。彼女がいなければ、私たちの幻晶機ももっと被弾していたでしょうね」

ルナも深く頷いた。

エリナもザラに歩み寄り、その肩を軽く叩いた。

「よくやった、ザラ。お前の働きが、今回の勝利に大きく貢献した」
「フン……当たり前だ。リアを守るためなら、これくらいどうってことない」

ザラは照れくさそうに顔を背けたが、その表情にはわずかな誇りが浮かんでいた。

ユウキは、仲間たちから褒められるザラの姿を遠くから見ていた。彼女の貢献は、幻晶機を操縦する自分たち以上だったかもしれない。

自分は、本当にこの中隊に貢献できているのだろうか?
アストレイアの力に頼りすぎているのではないか?

そんな自問自答が、ユウキの心の中で静かに始まった。

この小さな勝利は、中隊の士気を高め、ユウキの自信にも繋がった。彼は中隊の一員としての自覚を深め、仲間たちとの絆を強く感じ始める。

特に、リアとの信頼関係はさらに深まっていた。ユウキがリアの助言を実践し、戦闘で成果を上げることで、二人の間の信頼感は揺るぎないものになっていく。

「ユウキの戦い方、本当に素晴らしいわ。あなたの優しさが、アストレイアの力になっているのね」

リアが、戦闘後のゲイルのコックピットで、ユウキにそっと語りかけた。

「リアがいてくれるから、俺は戦えるんだ。リアの言葉が、俺を支えてくれる」

ユウキはリアの瞳を見つめ、二人の間に言葉にはできない温かい絆が育まれていることを感じた。




◇◆◇◆◇




小規模な任務での成功と、中隊のメンバーとの絆を深めながら、ユウキたちはアークライトへの旅を続けていた。

ある日の夕暮れ時、一行は補給のため、とある小さな交易都市に立ち寄った。

雑多な露店が軒を連ね、活気あふれる声が飛び交う中、ユウキはリアと共に、興味深そうに街並みを眺めていた。

「ユウキさん、リアさん、こっちです。基地への補給物資の最終確認をしますから」

エラが手元の端末を操作しながら、二人に声をかけた。

ユウキとリアは、エラと共に、賑やかな市場の奥へと進んでいく。エラは慣れた様子で商人たちと交渉し、物資の数量を確認していく。

その時、ユウキの視界の端に、ひときわ異質な存在が映った。

常にフードを深く被り、顔の全体を見せない小柄な男。彼は露店の片隅で、怪しげな光を放つ魔力結晶を品定めしているようだった。その周囲には、どこか不穏な空気が漂っている。

「あれ……エラさん、あの人って……?」

ユウキが思わず指差すと、エラはちらりとその男に視線を向け、すぐに表情を引き締めた。

「ああ、あれはグレイ・シャドー。裏社会では有名な商人よ。幻晶機の部品や魔導素材、それに情報なんかを扱ってる。正規のルートじゃ手に入らないようなものも、彼を通せば手に入るって噂ね」

リアもユウキの視線の先を追うと、小さく息を呑んだ。

「裏社会の商人……こんな場所で、何をしているのかしら?」

グレイ・シャドーは、周囲の喧騒とは隔絶されたかのように、静かに佇んでいた。

彼の指先が、魔力結晶に触れるたび、微かな紫色の光が瞬く。その光は、どこか不穏な気配を纏っているようにユウキには感じられた。

その瞬間、グレイ・シャドーがふいに顔を上げ、フードの奥からユウキたちの方へ視線を向けた。まるで、こちらの存在に気づいていたかのように。

彼の口元が、わずかに歪んだように見えた。それは笑みなのか、それとも……。

「おや、これはこれは。竜騎士中隊の若きエース殿と、伝説の機竜の管制士殿、それに優秀なオペレーター殿ではございませんか。このような場所で、奇遇ですな」

グレイ・シャドーの声は、どこか胡散臭く、しかし妙に耳に残る響きがあった。彼はゆっくりとユウキたちの方へ歩み寄ってくる。護衛の兵士たちが警戒するように、彼に視線を向けた。

「あ、あの……もしかして、あなたが噂の……?」

ユウキは警戒しつつも尋ねた。初めて直接対面する裏社会の人物に、ユウキの心臓はわずかに高鳴っていた。

グレイ・シャドーはフードの奥で、ぞっとするような笑みを浮かべた。

「おやおや、私も有名になったものですねぇ。噂の、ですか。ふふふ……」

その声には、どこか粘りつくような、不気味な響きがあった。

「私はただ、商売の品を仕入れているだけですよ。この世界は、常に動いておりますからな。新しい技術、新しい素材……そして、新しい『力』が、常に求められている」

グレイ・シャドーはそう言うと、ちらりとユウキの背後に立つアストレイアを乗せた大型キャリアの方を見た。その視線には、アストレイアの持つ力への、並々ならぬ関心が宿っているようだった。

「特に、伝説の機竜が動き出したとなれば、市場も活気づくというもの。しかし、その力は、使い方次第で世界を救うことも、滅ぼすこともできる。……くれぐれも、その『コア』の力を、安易に信じてはなりませんぞ」

グレイ・シャドーは意味深な言葉を残し、再びフードの奥で笑った。その笑みは、ユウキにはまるで、この世界の裏側で何かが蠢いていることを示唆しているように感じられた。

「コアの力……?」ユウキが問い返そうとした時、グレイ・シャドーはすでに踵を返し、人混みの中へと消えていった。その姿は、まるで幻のようにあっという間に見えなくなった。

「何だったんだ、今のは……」

ユウキは呆然と呟いた。

エラは腕を組み、グレイ・シャドーが消えた方向をじっと見つめていた。

「あの男……相変わらず、何を考えているのか読めないわ。でも、『コアの力』……やはり、アストレイアの存在が、裏で動いている連中を刺激しているのは間違いないわね」

リアもグレイ・シャドーが消えた方向をじっと見つめていた。

「あの人……何か、知っているのね。『見えない敵』のこと……幻晶のコアのこと……」

ユウキの心に、漠然とした不安が募る。

グレイ・シャドーの言葉は、この戦争が単なる国家間の争いではない、より深い闇が潜んでいることを改めて示唆していた。

彼は、この世界の真実を知る必要性を、強く感じ始めていた。





次のエピソードへ進む 第23話 貴族の思惑と新たな出会い -3


みんなのリアクション

数日後、竜騎士中隊は小規模な帝国軍部隊との交戦に臨んだ。
ユウキはゲイルに搭乗し、ジェイやエリナ、ルナと共に戦場を駆け巡る。ザラは地上から、敵の配置や増援の動きを正確に把握し、中隊にリアルタイムで情報を送り続けていた。
「隊長!敵部隊、中央突破を試みています!後方からシリウス・タイプAが3機、高速で接近中!」
ザラの声が無線に響く。その声には、一切の迷いがなく、戦場の状況を完全に掌握していることが伺えた。
「ザラ、助かる!ユウキくん!右翼からシリウス・タイプAが接近!ジェイの援護をお願い!」ルナの声が響く。
「了解!」
ユウキはゲイルを操り、ジェイのリベラと共に敵機を挟み撃ちにする。ジェイがチェーンソードで敵機の注意を引きつけ、ユウキがその隙に脚部を狙い、無力化した。
「やるじゃねぇか、ユウキ!俺の動きに食らいついてくるとはな!」
ジェイが無線で笑う。
「ジェイさんの動きが速すぎて、ついていくのが大変です!」
ユウキも思わず笑みがこぼれる。
戦闘後、竜騎士中隊のメンバーは、ザラの働きを称賛した。
「ザラの情報がなければ、危なかったな。あの正確な斥候能力は、幻晶機一機分に匹敵するぜ」
ジェイが汗を拭いながら言った。
「ええ、ザラの索敵と状況判断は本当に素晴らしいわ。彼女がいなければ、私たちの幻晶機ももっと被弾していたでしょうね」
ルナも深く頷いた。
エリナもザラに歩み寄り、その肩を軽く叩いた。
「よくやった、ザラ。お前の働きが、今回の勝利に大きく貢献した」
「フン……当たり前だ。リアを守るためなら、これくらいどうってことない」
ザラは照れくさそうに顔を背けたが、その表情にはわずかな誇りが浮かんでいた。
ユウキは、仲間たちから褒められるザラの姿を遠くから見ていた。彼女の貢献は、幻晶機を操縦する自分たち以上だったかもしれない。
自分は、本当にこの中隊に貢献できているのだろうか?
アストレイアの力に頼りすぎているのではないか?
そんな自問自答が、ユウキの心の中で静かに始まった。
この小さな勝利は、中隊の士気を高め、ユウキの自信にも繋がった。彼は中隊の一員としての自覚を深め、仲間たちとの絆を強く感じ始める。
特に、リアとの信頼関係はさらに深まっていた。ユウキがリアの助言を実践し、戦闘で成果を上げることで、二人の間の信頼感は揺るぎないものになっていく。
「ユウキの戦い方、本当に素晴らしいわ。あなたの優しさが、アストレイアの力になっているのね」
リアが、戦闘後のゲイルのコックピットで、ユウキにそっと語りかけた。
「リアがいてくれるから、俺は戦えるんだ。リアの言葉が、俺を支えてくれる」
ユウキはリアの瞳を見つめ、二人の間に言葉にはできない温かい絆が育まれていることを感じた。
◇◆◇◆◇
小規模な任務での成功と、中隊のメンバーとの絆を深めながら、ユウキたちはアークライトへの旅を続けていた。
ある日の夕暮れ時、一行は補給のため、とある小さな交易都市に立ち寄った。
雑多な露店が軒を連ね、活気あふれる声が飛び交う中、ユウキはリアと共に、興味深そうに街並みを眺めていた。
「ユウキさん、リアさん、こっちです。基地への補給物資の最終確認をしますから」
エラが手元の端末を操作しながら、二人に声をかけた。
ユウキとリアは、エラと共に、賑やかな市場の奥へと進んでいく。エラは慣れた様子で商人たちと交渉し、物資の数量を確認していく。
その時、ユウキの視界の端に、ひときわ異質な存在が映った。
常にフードを深く被り、顔の全体を見せない小柄な男。彼は露店の片隅で、怪しげな光を放つ魔力結晶を品定めしているようだった。その周囲には、どこか不穏な空気が漂っている。
「あれ……エラさん、あの人って……?」
ユウキが思わず指差すと、エラはちらりとその男に視線を向け、すぐに表情を引き締めた。
「ああ、あれはグレイ・シャドー。裏社会では有名な商人よ。幻晶機の部品や魔導素材、それに情報なんかを扱ってる。正規のルートじゃ手に入らないようなものも、彼を通せば手に入るって噂ね」
リアもユウキの視線の先を追うと、小さく息を呑んだ。
「裏社会の商人……こんな場所で、何をしているのかしら?」
グレイ・シャドーは、周囲の喧騒とは隔絶されたかのように、静かに佇んでいた。
彼の指先が、魔力結晶に触れるたび、微かな紫色の光が瞬く。その光は、どこか不穏な気配を纏っているようにユウキには感じられた。
その瞬間、グレイ・シャドーがふいに顔を上げ、フードの奥からユウキたちの方へ視線を向けた。まるで、こちらの存在に気づいていたかのように。
彼の口元が、わずかに歪んだように見えた。それは笑みなのか、それとも……。
「おや、これはこれは。竜騎士中隊の若きエース殿と、伝説の機竜の管制士殿、それに優秀なオペレーター殿ではございませんか。このような場所で、奇遇ですな」
グレイ・シャドーの声は、どこか胡散臭く、しかし妙に耳に残る響きがあった。彼はゆっくりとユウキたちの方へ歩み寄ってくる。護衛の兵士たちが警戒するように、彼に視線を向けた。
「あ、あの……もしかして、あなたが噂の……?」
ユウキは警戒しつつも尋ねた。初めて直接対面する裏社会の人物に、ユウキの心臓はわずかに高鳴っていた。
グレイ・シャドーはフードの奥で、ぞっとするような笑みを浮かべた。
「おやおや、私も有名になったものですねぇ。噂の、ですか。ふふふ……」
その声には、どこか粘りつくような、不気味な響きがあった。
「私はただ、商売の品を仕入れているだけですよ。この世界は、常に動いておりますからな。新しい技術、新しい素材……そして、新しい『力』が、常に求められている」
グレイ・シャドーはそう言うと、ちらりとユウキの背後に立つアストレイアを乗せた大型キャリアの方を見た。その視線には、アストレイアの持つ力への、並々ならぬ関心が宿っているようだった。
「特に、伝説の機竜が動き出したとなれば、市場も活気づくというもの。しかし、その力は、使い方次第で世界を救うことも、滅ぼすこともできる。……くれぐれも、その『コア』の力を、安易に信じてはなりませんぞ」
グレイ・シャドーは意味深な言葉を残し、再びフードの奥で笑った。その笑みは、ユウキにはまるで、この世界の裏側で何かが蠢いていることを示唆しているように感じられた。
「コアの力……?」ユウキが問い返そうとした時、グレイ・シャドーはすでに踵を返し、人混みの中へと消えていった。その姿は、まるで幻のようにあっという間に見えなくなった。
「何だったんだ、今のは……」
ユウキは呆然と呟いた。
エラは腕を組み、グレイ・シャドーが消えた方向をじっと見つめていた。
「あの男……相変わらず、何を考えているのか読めないわ。でも、『コアの力』……やはり、アストレイアの存在が、裏で動いている連中を刺激しているのは間違いないわね」
リアもグレイ・シャドーが消えた方向をじっと見つめていた。
「あの人……何か、知っているのね。『見えない敵』のこと……幻晶のコアのこと……」
ユウキの心に、漠然とした不安が募る。
グレイ・シャドーの言葉は、この戦争が単なる国家間の争いではない、より深い闇が潜んでいることを改めて示唆していた。
彼は、この世界の真実を知る必要性を、強く感じ始めていた。