その点一華は、風吹よりその手のインパクトは劣るものの、その負けず嫌いで前向きな言動と、何といっても馬術演技の素晴らしさは脅威といって良かった。その年の2位である。
あのとき以来の再戦である。舞羽にも緊張が走る。ドレッサージュ、ジュニアライダーたちの聖地、ここ御殿場に再び才能たちが集まった。
「こんにちは。一華さん。其之方君」
「勝ち逃げとは卑怯ね、舞羽さん」
「そうだ! 去年はどこ行ってやがった! それと……舞香はどこだ?!」
二人が舞羽のケガのことを知るはずもない。舞羽、不在の昨年は当然の如く一華が制した。
風吹は舞香に会えなかったことも不満のようである。
「ま、いいわ。今年、これからあなたを倒せばいいのだから」
「そ、そうだ今年が最後! おまえを倒す!」
「最後?」「え? 最後?」
女子二人の疑問が合わさる。そして顔を見合わせる二人。一華が代表して風吹に問う。
「あなた……海外か何かにお引越しでもするの?」
「え? なんで?」
「だって……あなた『今年が最後』って……」
「は? だって来年は『ジュニア』だろ? 『チルドレン』は今年が最後じゃないか」
再び女子二人が顔を見合わせる。今度の驚きは先程の比ではない。二人の美人がこんなにも大きな口を開けて、締まらない顔を隠さず公開していることは珍しいのではないだろうか?
声にならない事態に、時間をかけて何とか振り絞って一華が答える。
「私たち『ジュニア』で出場しますけども……」