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@56話

ー/ー





「そこだー!」


 


 恭吾は勢いよく走り出す、その時草むらの陰から男が飛び出した。


 男は飛び出した勢いで恭吾にタックルをくらわすと一目散に逃走した。


 


 簡単に吹き飛ばされる恭吾、尻もちを着いて倒れる。


 


 


 


「クッ……」


 


 駆け寄る恋実。その心配げな眼差しに思わず顔を背ける恭吾。


 一人前に『カッコ悪いところを見せちまった』的な恥ずかしさと、恋実の揺れる髪、ふわりと着地するスカート……知覚の全てを囚われてしまいそうになったのに気付いたからだ。


 


 


「大丈夫?」


「あぁ……大丈夫だ」


 


 立ち上がる恭吾。


 


「恋実、顔見たか?」


「ううん……ゴメン」


 


 また恋実の顔が見れない……。


 


 


(それは『吊り橋効果』と同じだ……そんな顔で俺を見つめるな……)


 


 照れている……はっきり自覚した。隠すために話を始める。


 


 


「ま、仕方がない、あっちは暗がりだしね……でも奴の学ランの袖のボタンを見たんだ」


 


「え、それに何かあるの?」


 


 ニヤリと笑うことで返事とする。いつもの恭吾に戻った。


 


 


 


「普通は袖のボタンは二つなのに四つ付いていた……それはこの学校には2人しかいない」


 


「え?! それは……誰なの?」


 


 


 再び謎が解かれる……しかも今度は犯人を特定できるかもしれない根拠が……。


 


 


「一人は帰宅部の松岡……そしてもう一人は……」


「もう一人は?」


 


 今日の生唾は何も味がしない……何故だか次の言葉を待つ恋実には、昔飼っていたメダカがいなくなった時のことが思い浮かぶ……しかしそれは全く関係ない……胸騒ぎがした。


 


 


 


「……時巻だ……」


 


 


「えっ……」


 


 メダカの水槽にザリガニを一緒に入れていた弟の顔が浮かんだ……恐らくこれも関係のないことだ。


 しかしメダカが何故いなくなったのか、その原因が分かった……。


 


 恭吾が『親友』と認めるその名を呟いた時、寂しそうな気がしたから? それとも……? 少しだけ胸が締め付けられた。


 


 


 


(そしてサドルとハンドルを結んでいた紐……これはラケットのガットだ……的山にテニス部はない……時巻だけは極秘捜査のことも知っている……考えてみれば恋実との噂を聞いてきたのも時巻だ……時巻は恋実を好きな可能性もある……)




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「そこだー!」
 恭吾は勢いよく走り出す、その時草むらの陰から男が飛び出した。
 男は飛び出した勢いで恭吾にタックルをくらわすと一目散に逃走した。
 簡単に吹き飛ばされる恭吾、尻もちを着いて倒れる。
「クッ……」
 駆け寄る恋実。その心配げな眼差しに思わず顔を背ける恭吾。
 一人前に『カッコ悪いところを見せちまった』的な恥ずかしさと、恋実の揺れる髪、ふわりと着地するスカート……知覚の全てを囚われてしまいそうになったのに気付いたからだ。
「大丈夫?」
「あぁ……大丈夫だ」
 立ち上がる恭吾。
「恋実、顔見たか?」
「ううん……ゴメン」
 また恋実の顔が見れない……。
(それは『吊り橋効果』と同じだ……そんな顔で俺を見つめるな……)
 照れている……はっきり自覚した。隠すために話を始める。
「ま、仕方がない、あっちは暗がりだしね……でも奴の学ランの袖のボタンを見たんだ」
「え、それに何かあるの?」
 ニヤリと笑うことで返事とする。いつもの恭吾に戻った。
「普通は袖のボタンは二つなのに四つ付いていた……それはこの学校には2人しかいない」
「え?! それは……誰なの?」
 再び謎が解かれる……しかも今度は犯人を特定できるかもしれない根拠が……。
「一人は帰宅部の松岡……そしてもう一人は……」
「もう一人は?」
 今日の生唾は何も味がしない……何故だか次の言葉を待つ恋実には、昔飼っていたメダカがいなくなった時のことが思い浮かぶ……しかしそれは全く関係ない……胸騒ぎがした。
「……時巻だ……」
「えっ……」
 メダカの水槽にザリガニを一緒に入れていた弟の顔が浮かんだ……恐らくこれも関係のないことだ。
 しかしメダカが何故いなくなったのか、その原因が分かった……。
 恭吾が『親友』と認めるその名を呟いた時、寂しそうな気がしたから? それとも……? 少しだけ胸が締め付けられた。
(そしてサドルとハンドルを結んでいた紐……これはラケットのガットだ……的山にテニス部はない……時巻だけは極秘捜査のことも知っている……考えてみれば恋実との噂を聞いてきたのも時巻だ……時巻は恋実を好きな可能性もある……)