恭吾の言葉だけが頼りだった。今はそれだけが不安を掻き消す閃きとなる。
「何?」
「分からないのか? ……サドルとハンドルの間にフレームがある自転車に乗っていたらどうやって乗る?」
「またぐしかないでしょ……?」
「そう、その通り! つまり……」
「つまり?」
謎が、解ける……例えそれがどんなに小さな問題であっても、人はそれに期待し、狂喜する。そして納得と安心という成果を得るものだ。
「恋実がそのスカート姿でこの紐を跨ごうとした時、それは……」
「それは……まさか!」
「そう、そのまさか……」
恋実は愕然とした……。
「私のパンツを狙っていたと言うの?」
「それしか……あるまい……犯人の狙いは、ずばり恋実のパンチラだ!」
「……いや、おかしいなと思って紐切るでしょ……」
「……いとをかし……」
なおも恭吾は真剣な趣で思考の内に居る。
徐に顔を上げると恋実に近づく、友達のエリアより深く恋実のパーソナルゾーンへと入り込む。
思わず一歩下がろうとする恋実の腕を恭吾が掴む。そして小声でこう言った。
「自転車がいつもの柱の影だとパンツが見えない可能性がある……つまり犯人は自転車をずらせば、恋実が足を上げた時に見える位置に潜んでいる……今も、だ」