ジョージは先ほどポケットにしまった手紙を取り出して見せた。
「君の言う案内状ってこれのことかい?」
「こ、これだ。間違いない。俺の仲間の言っていた文言だ!! この家にごくたまにしか現れない、噂の手紙だ!!」
それを聞いたアーサーが、すぐさま彼の胸ぐらをつかんだ。
「聞き捨てならねぇなぁ。その俺の仲間ってなんだよ。この家にお前以外のやつがいるのか?」
アーサーは睨みつけた。彼はまたすぐ取り乱した。
「っ違います!! ここには俺と旦那たちしかいないです。本来なら、朝早くに仲間と一緒にここに来るはずだったんですけど、俺、寝坊しちゃって……。それに呆れたであろうあいつらは、俺を置いて先に行っちゃったんです。俺はその後を追おうとおもって、案内状を探していたんです」
彼は話しながら落ち着きを取り戻していった。アーサーは不満げで、また何か言おうとしていたが、ジョージはそれを制した。
ジョージは火かき棒を床に転がし、彼に問いかけた。
「この案内状に載っている別荘に、噂の絵画があるんだね?」
「ああ、そうだ。間違いない」
ジョージは案内状をまじまじと見つめた。
(ここに行けば、噂の絵画に会える……)
ジョージの心拍数が、少しずつ上昇していく。夢にまでみた噂の絵画。その絵画のモチーフが、ジョージに対して、『おいでぇ、おいでぇ』と白い手をくねらせて手招きしているようだった。
ジョージが大人しくなったのを見て、アーサーは怪訝な顔をした。
「ジョージ……、大丈夫か?」
ハッとしたジョージは、大丈夫だと答え、笑顔を作った。
「……旦那、俺もそこへ連れて行ってください」
彼はさっきとは打って変わって、凛とした様子だった。
「だめだ、お前はその絵画が欲しいんだろう。俺らもだ。譲るわけにはいかない」
アーサーはきっぱりと断った。
「旦那、そんなこと言わないでくださいよ」
彼は食い下がった。
「ジョージ、コイツは放っておいて、この家を出よう」
「……そうだね」
ジョージとアーサーは、彼をおいて談話室の窓から外へ出た。
「待ってくださいよ、旦那。噂が本当なら、俺の仲間が……、兄がピンチかもしれないんです。頼みます、絵はいらないです。俺を一緒に連れて行ってください」
彼はしつこく付き纏ってきた。ジョージは困り果ててアーサーを見た。
アーサーはしばらくの間、だめだと言い張っていたが、ついに根負けしたらしくため息をついて言った。
「ったく、しょうがねぇなぁ……。分かった、明日の朝、この家の前で落ち合おう」
「あ、ありがとうございます!!」
それを聞いた彼は目を輝かせた。
「俺、オリバーっていいます。明日、よろしくお願いいたします!!」
オリバーは嬉しさからか、細い目をさらに細めた。