SCENE007 初めての配信
ー/ー「みなさん、初めまして。探索者見習いのウィンクです」
僕は、撮影ドローンに向かって話しかけている。
実は今、僕はダンジョンからの配信を行っているんだ。
えっ、ダンジョンに入れるのは十六歳からじゃなかったのかって?
僕が配信できているのには、理由があるんだ。
配信に使っている探索者用の配信ドローン。これには撮影に関しても配信に関しても、特に年齢制限はない。だって、僕がこうやって購入できちゃっているのがいい証拠。
確かに、ダンジョンに潜ることが十六歳からなんだけど、これにも抜け道はあるんだ。
それが、ダンジョン内のマナに慣れるために、モンスターの出ない無人ダンジョンで行われる実地訓練。実はこれ、中学三年生の段階で受けられるんだ。だから、誰か一緒に来てもらっていることにすれば、僕が一人で配信していたって問題ないってわけなんだよね。許可が取れればいいんだもん。
というわけで、その抜け道を使って、僕は配信を行っている。
だけど、配信の経過時間はだんだんと過ぎていくというのに、視聴者が一人もいない。
初めての配信だし、無名の配信者を見てくれる人なんてまずいないよね。
それでも僕は、ダンジョンポイントを稼ぐために、こうやって配信を行うしかないんだ。
視聴者はいなくても、僕はダンジョンの中でバトラーが見守る中一人でずっとしゃべり続けた。
この配信に関しても、ここにたどり着くまでは大変だった。
アカウントの作成にパスワードの設定、必要事項の入力など、いろいろとやることがあった。
僕は未成年であるので、保護者の項目はほとんどバトラーが入力してくれた。最後の実地訓練に関しても、バトラーが見守るということで同意してくれたので、無事に突破できたんだ。
僕が十六歳になるのは梅雨の時期にあたる六月。まだまだ先なので当面はこのパターンでいくしかないかな。
とはいえ、何もない中で喋り続けるのも大変だった。
自己紹介と探索者を目指した理由を話すので精一杯。結局、言うことだけ言って数分間の撮影で配信を終えた。
「それではみなさん、今日はここら辺で失礼しますね」
配信終了という声で、ぷつりと配信が終了する。
「はあぁぁぁ……。緊張したぁ」
「お疲れ様ですぞ、プリンセス」
配信を終えた僕が大きなため息をつくと、バトラーが優しく声をかけてくれる。
「ど、どうだったかな?」
僕は視聴者のいない配信について、バトラーに意見を求める。
バトラーは腕を組んで、なにやら考え込んでいるようだった。
「まあ、初めてということでございますからね、なんとも硬かったと思いますな。言葉は平坦、表情は作ったのがすぐ分かるような笑顔。これでは、プリンセスの魅力が十分に伝わりません」
これでもかというくらいにダメ出しが飛んできた。やるとなったら徹底的というのがバトラーの考えみたいだ。
はっきり言われてしまうと、僕はものすごくショックを受けるしかないじゃないか。
「というわけです。せっかく鏡もございますからね、笑顔の練習をするといいですぞ。言葉ももう少し抑揚をつけて、はっきり喋るといいかと思います。なんて言いましょうかな、棒読みというのがしっくりきますな」
「辛辣ぅ!」
バトラーの言葉に、僕は思い切り凹んでしまった。これは、しばらく立ち直れそうにないや。
そんなわけで、僕はしばらく隠し部屋の中でふて腐れた。
翌日はバトラーを前にして、配信の予行演習をする。
バトラーは僕のトークに対してバンバンとダメ出しをしてくる。ものすごく厳しい。
「まあ、こんなもんでしょうな。だいぶんよくなりましたよ、プリンセス」
「あ、ありがとうございます」
バトラーに褒められて、ちょっと嬉しくなってしまう。
ところが、喜んでいられたのも少しだけだった。
「さあ、早速第二回にいってみましょう」
「ええっ?! な、何を話せばいいんだよ。前にだいぶ喋っちゃったのに」
「いっそのこと、正体をばらしてはいかがでしょうか」
「や、やだよ。そんなことしたら、ダンジョン管理局が飛んでくるよ」
僕はさすがに自分の正体をばらすつもりはない。だから、バトラーの提案には真っ向から反対した。
だったらと、バトラーはこの無人ダンジョンを入口から奥まで移動してはどうかと提案してきた。
僕はなるほどと思ったので、二回目の配信はそれで行くことにした。
方針が決まったことで、僕は早速ダンジョンの入口までやって来る。
ダンジョンの通路は相変わらず何もない大きなものだな。
外を見つめながら、僕ははぁっとため息をつく。
「よし、バトラー、始めよっか」
「はい、プリンセス」
ふんぬと気合を入れた僕は、ダンジョンの入口に立ってドローンを前にする。
最初はダンジョンの外が映るようにして構えると、僕はとにかく下半身を映さないように注意をしながら配信を始めることにする。
こうして始まる、第二回目の配信。
バトラーと行った特訓に成果を十分発揮して、魅力のある配信ができるのだろうか。
僕は今一度大きく深呼吸をして、ドローンに向かって声を声をかける。
「配信、開始」
僕は、撮影ドローンに向かって話しかけている。
実は今、僕はダンジョンからの配信を行っているんだ。
えっ、ダンジョンに入れるのは十六歳からじゃなかったのかって?
僕が配信できているのには、理由があるんだ。
配信に使っている探索者用の配信ドローン。これには撮影に関しても配信に関しても、特に年齢制限はない。だって、僕がこうやって購入できちゃっているのがいい証拠。
確かに、ダンジョンに潜ることが十六歳からなんだけど、これにも抜け道はあるんだ。
それが、ダンジョン内のマナに慣れるために、モンスターの出ない無人ダンジョンで行われる実地訓練。実はこれ、中学三年生の段階で受けられるんだ。だから、誰か一緒に来てもらっていることにすれば、僕が一人で配信していたって問題ないってわけなんだよね。許可が取れればいいんだもん。
というわけで、その抜け道を使って、僕は配信を行っている。
だけど、配信の経過時間はだんだんと過ぎていくというのに、視聴者が一人もいない。
初めての配信だし、無名の配信者を見てくれる人なんてまずいないよね。
それでも僕は、ダンジョンポイントを稼ぐために、こうやって配信を行うしかないんだ。
視聴者はいなくても、僕はダンジョンの中でバトラーが見守る中一人でずっとしゃべり続けた。
この配信に関しても、ここにたどり着くまでは大変だった。
アカウントの作成にパスワードの設定、必要事項の入力など、いろいろとやることがあった。
僕は未成年であるので、保護者の項目はほとんどバトラーが入力してくれた。最後の実地訓練に関しても、バトラーが見守るということで同意してくれたので、無事に突破できたんだ。
僕が十六歳になるのは梅雨の時期にあたる六月。まだまだ先なので当面はこのパターンでいくしかないかな。
とはいえ、何もない中で喋り続けるのも大変だった。
自己紹介と探索者を目指した理由を話すので精一杯。結局、言うことだけ言って数分間の撮影で配信を終えた。
「それではみなさん、今日はここら辺で失礼しますね」
配信終了という声で、ぷつりと配信が終了する。
「はあぁぁぁ……。緊張したぁ」
「お疲れ様ですぞ、プリンセス」
配信を終えた僕が大きなため息をつくと、バトラーが優しく声をかけてくれる。
「ど、どうだったかな?」
僕は視聴者のいない配信について、バトラーに意見を求める。
バトラーは腕を組んで、なにやら考え込んでいるようだった。
「まあ、初めてということでございますからね、なんとも硬かったと思いますな。言葉は平坦、表情は作ったのがすぐ分かるような笑顔。これでは、プリンセスの魅力が十分に伝わりません」
これでもかというくらいにダメ出しが飛んできた。やるとなったら徹底的というのがバトラーの考えみたいだ。
はっきり言われてしまうと、僕はものすごくショックを受けるしかないじゃないか。
「というわけです。せっかく鏡もございますからね、笑顔の練習をするといいですぞ。言葉ももう少し抑揚をつけて、はっきり喋るといいかと思います。なんて言いましょうかな、棒読みというのがしっくりきますな」
「辛辣ぅ!」
バトラーの言葉に、僕は思い切り凹んでしまった。これは、しばらく立ち直れそうにないや。
そんなわけで、僕はしばらく隠し部屋の中でふて腐れた。
翌日はバトラーを前にして、配信の予行演習をする。
バトラーは僕のトークに対してバンバンとダメ出しをしてくる。ものすごく厳しい。
「まあ、こんなもんでしょうな。だいぶんよくなりましたよ、プリンセス」
「あ、ありがとうございます」
バトラーに褒められて、ちょっと嬉しくなってしまう。
ところが、喜んでいられたのも少しだけだった。
「さあ、早速第二回にいってみましょう」
「ええっ?! な、何を話せばいいんだよ。前にだいぶ喋っちゃったのに」
「いっそのこと、正体をばらしてはいかがでしょうか」
「や、やだよ。そんなことしたら、ダンジョン管理局が飛んでくるよ」
僕はさすがに自分の正体をばらすつもりはない。だから、バトラーの提案には真っ向から反対した。
だったらと、バトラーはこの無人ダンジョンを入口から奥まで移動してはどうかと提案してきた。
僕はなるほどと思ったので、二回目の配信はそれで行くことにした。
方針が決まったことで、僕は早速ダンジョンの入口までやって来る。
ダンジョンの通路は相変わらず何もない大きなものだな。
外を見つめながら、僕ははぁっとため息をつく。
「よし、バトラー、始めよっか」
「はい、プリンセス」
ふんぬと気合を入れた僕は、ダンジョンの入口に立ってドローンを前にする。
最初はダンジョンの外が映るようにして構えると、僕はとにかく下半身を映さないように注意をしながら配信を始めることにする。
こうして始まる、第二回目の配信。
バトラーと行った特訓に成果を十分発揮して、魅力のある配信ができるのだろうか。
僕は今一度大きく深呼吸をして、ドローンに向かって声を声をかける。
「配信、開始」
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